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埼玉市内の駅から少し離れたところに、閑静な住宅街がある。
酒の匂いとタバコの匂いが少し付いたまま、僕は夜道を歩く。
手には、デパートで買った袋を持っていた。
(美幸が、怒っていないだろうか)
一応、LINEでメッセージは送った。
美幸は家に帰っているのもわかった、文面から察するにそんなに怒っていない様子。
だけど僕は分かる、アイツ完全に怒っているな。
人気のない住宅街の夜道を、僕は歩く。
すると、ポケットに入れたスマホが着信をした。
(美幸からか?それともサークル?)
歩きながらスマホを手に取る。
しかし、そこのIDは見慣れないものだ。
『この世界に三つの災いが起きている。三つの災いは、多くの者を苦しめていた』
メッセージを読んで、全く意味がわからない。
(災い?なんだこれ……はっ)
僕は一瞬、昼間の夢を思い出した。
闇に包まれた中で、光が囁いていた。
その中で言っていた言葉と、あまりにも似ていた。
(あれは夢の中の出来事ではないのか?)
だが、次の瞬間新しいメッセージが流れてきた。
『あなたに問う、世界を救ってくれないか?三つの災いによって巻き込まれた世界を』
そして、そこには『YES』と『NO』の大きなボタンが、スマホの画面を占拠していた。