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僕がつくる異世界の騎士団  作者: 葉月 優奈
二話:ダメダメ天使といじめの騎士団
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021

それからあっという間に一週間が過ぎた。

ケンコからもらった緑色のシャツを、今も着て仕事をしていた。

ここに来た日の夕方から、僕は酒場のバイトの仕事を入れた。

酒場で主に、僕は厨房をやることにした。

元々ファミレスで調理のバイトをしていたから、一番慣れていると思ったからだ。


仕事はマスターが、三つ用意してあった。三択だ。

一番は、絶対に難しそうな悪魔狩り。

二番は、やはり危険が伴うゴブリン集団退治。

三番は、酒場での厨房担当。


あまり迷うことなく、僕が選ぶのは三番だ。


夜の酒場は、昼間の閑散とした状況と一変。

結構人が入っていた。そのほとんどが地元民だ。

それでも厨房に入れば、やることは同じだと思っていた。


「水、汲んできて」

「はいっ、分かりました」

僕は桶を持って外に出た。酒場のすぐそばにある小川から水を汲んでくる。

リアルのファミレスバイトの厨房を想像していただけに、大変な重労働だ。

体を動かす系の仕事は、僕が苦手なジャンルなのだ。

それでもお金を稼ぐために、桶に水をめいっぱいくんできた。


「よし、じゃあ、下ごしらえして」

「はい」疲れた表情で包丁を持つ。ただし、火を起こすのは大変だ。

「薪、置いておきます」そばで、小さな女の子のチャマが背中に薪を背負って現れた。


「ご苦労。チャマちゃん、火をおこして」

「はい」かまどに薪をくべると、チャマが指先一つで火をおこした。

どうやらチャマの魔法らしい。

最近知ったが、ステータスに表示される魔法以外にも簡単な魔法が使えることがわかった。

最もチャマ自身が属性火で、火属性限定の魔法しか使えない。


「いやぁ、いつもチャマちゃんには助かるよ」

「そんなこと……ないです」そういいながらも、恥ずかしながら酒樽に入ってしまう。

ある意味、チャマの魔法がかなり便利だと悟った。


「新入りぼさっとしていないで、注文通り料理を作って」

「は、はいっ」

そう言いながら、肉を焼き始めた。


「注文まだですか?勇者様。マトンステーキ三人前です」甘い声が、フロアから聞こえた。

そこに出てきたのが、羽根の生えたメイド。

スラっとしながらも、巨乳のセレニエルの胸が大きく見えた。

ブラウンメイド服は、まさに萌え要素が完成されていた。


「せ、セレニエル」

「うふふっ、似合いますか勇者様」

「どうして、セレニエルも?」

「私だって、ちゃんとバイトしていますよ。お金が欲しいですし」

「そ、そうなのか」

「それより、かわいいですか?」セレニエルが、クルリと一回転して可愛くポーズを取る。

僕は顔を逸らして、照れていた。


「うん……萌える」

「萌える?」

「ああ、いや、なんでもない」

「うふふっ。早く料理作ってくださいね、勇者様」

そう言いながらも、料理だけは自信があった。

ファミレスなんかよりもメニューは少ないし、レシピをよく見るとやる調理工程が少ない。

手際よく調理を進めていく。


「勇者様、今いいですか?」

「うん、なに?僕は勇者じゃないけど」

「勇者様は、空飛びたくないですか?」

「まあ、飛べるなら」

「私は空が飛びたいです。でも今はまだダメダメで……」

そりゃあ、コスト3の天使だからな。コスト3って村人レベルだし、とツッコミは入れないでおこう。


「でも先輩はすごいんですよ、空も飛べるし強いです」

「へえ、ほかにも天使がいるんだ」

「はい、天使族はそもそも希少ですよ!稀ですよ、レアですよっ!」

「ある意味、希少な弱さの……ああ、いやなんでもない」

そう言いながら頼まれたマトンステーキを、一つ完成させた。

ファミレスだといっぺんに焼けるが、ファンタジー世界は火力弱いから一個ずつ焼くしかない。

料理という面から見れば、かなり異世界というのは不便だな。

というわけですぐに二つ目の肉を、切り分けて焼き始めた。


「セレニエルはいいのか、ここで待っていても?」

「大丈夫です、調理待ちです。それより勇者様、いきなりいいですか?」

「ど、どうした?」

「勇者様に三つ質問があります。これは、騎士契約の名において重要なものです」

「お、おう」いきなり真顔で、言ってくるセレニエル。

さっきまでの明るい雰囲気が一変した。

僕も料理の手を動かしながらも、表情をなぜか緊張させていた。


「では最初の質問」

「よしこい」

「勇者様は、好きな食べ物ありますか?」

「は?」

「だから好きな食べ物です。私はありますよ。カカオカフルーツっていう木の実。

あれのパフェが大好きなんですよ」とろける笑顔を見せた、天使のメイド。

「えと……それは米かな?卵かけのご飯とか」

「お米ですか、すごい贅沢ですね」

いきなり贅沢と言われて、驚く僕。

この世界にはコメがあるらしい、そしてそれが贅沢品だという無駄な情報を得た。

確かに、メニューの中にコメ料理なかったな。


「では、二つ目の質問です」

「その質問に、なにか意味があるのか?」

「好きな魔法はなんですか?」

「魔法?僕……魔法使えないけど」

「ええっ、そうですか?」なぜかガッカリした顔を見せるセレニエル。

セレニエルを相手にしてもちゃんと手を動かしつつ、二皿目のステーキを完成させた。


「神聖魔法に、共通魔法、あと暗黒魔法、精霊魔法、それに古代魔法。

この五種が、主な内容ですね」

『ユーベル ファンタジア』のスマホゲームと、同じ魔法の種類がある。

騎士(キャラクター)ごとに属性がある。火、水、土、風、光と闇の六属性。

属性には相性もある、例えば火は水に強くて、水は火に強い。

キャラクターの属性は、実は使える技や魔法にも影響している。


神聖魔法は光、暗黒魔法は闇の属性だけ存在しない特別なものだが、残りの四種は全ての属性が存在する。

職業で使える魔法も決まっていて、魔術師が使うのが共通魔法。

チャマのキャラクター属性は火で、魔術師だとしたら彼女が使えるのは火属性の共通魔法だけだ。

精霊使い(ドルイド)は精霊魔法、神官(プリースト)は神聖魔法を使うわけだ。

精霊使いは、最大三種類の精霊と契約が可能らしい。


「チャマちゃんは火の魔術師で、あたしは神聖魔法ですよ。

天使だから当然です。でも下級であたしはダメダメですよ」

「わかった、わかった」今にも泣き出しそうなセレニエルを、なんとかなだめた。

そうこうしているうちに、三つ目のマトンステーキが焼きあがった。セレニエルに手渡す。


「そんな質問より……」

「では最後の質問です」

「大事なのかよ、その質問?」僕のぼやきも、完全無視して続けるセレニエル。


「好きな人はいますか?」

「えっ……」真っ先に僕は一人の女の子の顔を浮かべた。

それは美幸ではない、別の女の子。

そして、その女の子は僕よりもずっと若い。


「いるよ」

「えっ、本当ですか?結婚とかは?」セレニエルが、言葉と同時に身を乗り出した。

「していないって」

「おい、早くしてくれっ!少年」

厨房長が、なぜか僕に対して怒ってきた。



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