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名前の由来なんてそんなもんですよ。

 ノブ夫と一子は、3歳違いの兄妹だ。

 兄が高二で、妹が中二。



 二人とも母の律子に似て顔立ちが整っているが、ノブ夫は外に出たがらずゲームばかりする為、イケメンらしい爽やかさもオーラもない。


 現実の女子より二次元の美少女を愛する、残念なヲタクである。

 ゲームでは強いが、運動嫌いなので、リアルなケンカではメチャクチャ弱い。



 そんな兄とは対照的に、妹の一子は快活で明るく、長い黒髪の美人である。

 ゲームのしすぎで勉強が疎かになる兄とは違い、成績はいつも優秀。


 運動神経もよく、空手部に所属しており、腕っぷしも気も強い。

 何事も醒めた目で見ているので、稀に可愛い子ぶった時の笑顔の破壊力は凄まじく、その上甘え上手ときたものだから父も母も一子には甘い。



 この家でノブ夫の味方なのは、アホ面の愛犬のバトラッシュだけだ。


 バトラッシュは、ゴールデンレトリーバーのオスで5歳。


 兄妹が涙して観た『フランダースの犬』のパトラッシュと、どんな犬にも襲い掛かるという戦闘(バトル)狂な性格からもじり、名付けられた。



 そんなバトラッシュの名付け親であるノブ夫と一子は、戦国好きな父により、それぞれ偉人の織田信長とその妹・お市の方にあやかって、名付けられた。



 ノブ夫は「ノブ」とよく呼ばれるが、これは、信長の「信」という字からとっている。

 漢字では「信夫」と書く。


 一子は、お市の「イチ」の発音を残し、漢数字の「一」に変えて「子」を付けただけ。



 何故変えたのかというと、律子が「その方が可愛いから♪」と可愛らしく言っていたそうだが、何が何でも一番になりなさいという意味が暗に込められているのではないかとノブ夫は推察している。


 一子自身は何のプレッシャーも苦もなくのびのびと育ち、学年トップの成績を維持している。



 対してノブ夫は常に学年の底辺をさまよっており、天下統一どころではない。

 名前負けしていることにコンプレックスを感じており、偉人の名前にあやかるよりキラキラネームを付けてくれた方がマシだった、とさえ思っている。


 周りから優秀な妹と比較されることにも嫌気が差している。

 だからといって、怠惰な自分を正そうとする気は全くない。



 はてさて父の趣味により、立派すぎる偉人の名前をもじって名付けられてしまった二人だが、名字は至って普通の「佐藤」である。


 そう、織田家とは全く縁もゆかりもない「佐藤」である。

 いつでも美味しい『サトウのごはん』の「佐藤」である。

 一番多い名字なので減らしますと言われたら、真っ先にターゲットにされる「佐藤」である。


 その点では、ノブ夫は自分の名字が「織田」でなくて良かったと思っている。


 もしそうだったら、クラスメートに

「惜しい!一文字違い!」とか

「天下獲らないの?」とか

「スケートやんないの?」等言われて

からかわれていただろうからである。



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