神様の忘れもの~ヒロインエリルの話~
愛と美の国ハイト国の姫君エリルの幼少期のお話。
この少女があの時世界を、一人の男性を救った………。
ここはセビラという世界のアフロディテが加護する国ハイト国。
この国は愛と美の国と呼ばれ、この国の者は皆一様に美男美女ばかりだ。
そして、ハイト国のアフロディテの血縁の家系であるディーテ家はこの国の国王族と呼ばれ国の政治などを一切管理している。国王様の名は「リベル・ラ・ディーテ」アフロディテの直属の血を受け継ぐ。そして、その国王様の娘「エリル・ラ・ディーテ」この娘もまたアフロディテの直属の血を受け継ぎ、「淡い桃色の髪に太陽のような明るい色の瞳」というアフロディテの色を受け継いでいる。これは物凄く稀なことであり、神の落とし子呼ばれている。神の落とし子は巫女神斧と同等に祀り上げられ大切に育てられる。だが彼女は国王様の子という事で家族のもとで育てられている。
その、神の落とし子のエリルは今、王宮の庭園にて王妃様と二人でお茶をしている。
のどかな美しい庭園で母と父譲りの美女なエリルは、国王族の子だからといって無理に教育をせられず、のどかに暮らしている。
「お母様、今日は良き花が育っておられます!」
エリルは百合の花の前に立ち止まり小さな手で花を撫でる。
彼女は今5歳。
「まあ…。美しいこと!エリル、お花を撫でては茎が折れてしまいますよ。お花は撫でずに見るのよ。採りたい時はそっと茎を折るのよ」
温厚で温かな王妃様は家来からも信頼されており、小さい頃から教育を受けており知識もそこそこある。
「そうなのですか…。それではお母様!この百合の花を摘んで私はお父様にプレゼントしてきます!」
「あらあら。それでは、綺麗な花瓶に入れて届けに行きましょうか」
王妃様は柔らかな笑顔で娘の頭を撫でる。
コンコン。王妃様とエリルは、国王様がいる執務室の戸を叩く。
「お父様、エリルです。お母様も一緒に入ってよろしいでしょうか?」
「ああ、構わないよ」
戸を開け、広々とした執務室に国王様直属の騎士のリヒトと国王様が居る。
「どうしたんだいエリル?」
国王様は作業を中断し笑顔で走り寄ってきた娘を膝の上に乗せる。
「庭園で綺麗な百合の花を見つけたのでお父様にプレゼントをしたくて来ました!」
「ありがとう、エリル。大切にするよ」
親ばかな国王様は綺麗な花瓶に入った花をデスクに置き、娘をギュッと抱きしめる
「リベル、親ばかもそこそこにね」
王妃様はあきれ顔で国王様を見る。
エリルは幼少期の頃から魔力の高さ故に王宮内で大切に育てられた。
神の落とし子は神の血を直接受け継ぎ、神の色をも受け継ぐ。それ故に母親のお腹の中から出た時から高魔力を持っていて、難産と言われている。
エリルは神の落とし子の中でも魔力が強く、それそれは難産だった。
母親の体内から出てきた時、普通の赤子は産声を上げるがエリルはそれが出来なかった。それに、肌の色も悪くて産声を上げたり肌の色を通常の色を戻すのに国王と王妃の昔からの知り合いの天才医のエミルは身を削る思いで必死にエミルに色んな対処法を施した。母親と父親、それからリヒトとエミルの思いが通じたのか、エリルは通常の肌の色を戻し産声を上げた。
その時、空に浮かぶ星がキラキラ輝き、流星群が流れた。母親と父親にリヒトとエミル以外に神もエリルの誕生を祝福した瞬間だった。
そんなエリルは、神々からの祝福「神星響の祝」を受けた。神々の祝福は並みの人間。巫女神斧でさえも中々受けることが出来ない凄い物だ。
そして、エリルが世界を救いたった一人の男性を命がけで救う日が来ることを今はまだ知らない。その男はセビラの世界を作った二体の神の信頼と希望。思惑を受け、二体の神の戦の真実。この世界を加護した理由。二体の神の裏切り。と沢山の重荷を背負った者。エリルはそんな彼の光が失われた瞳に光を灯した。
ここまでお読みいただきありがとうございました!
ヒロインエリルの話はまだ続きます!今後ともよろしくお願いいたします。
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