おまわりさんの夜の顔 夜の部
この場面を書きたかったんです。僭越ながら投稿させていただきます。
まだ年端もいかないとおぼしき子や未成年と分かる人、20代と思われる人など、その数6人。その周りを屈強な男達が囲んでいた。
こりゃあ、すこし骨だな。どこからこの女性達は集められてきたのか。考えられるのは村の人たちだが、村人達が行方不明になったという話は聞かない。おそらく他の所から何らかの手段でここまで運ばれてきて監禁されていたのか。外国とのつながりがありそうな情報がでてきたことから、もしかすると人身売買もやってる組織かもしれない。まずは、この場をどうやって切り抜けるかだが。どうする?
女性陣は泣き叫んでいる者もいればぐったりと無気力な表情で倒れ伏している人もいる。
一度出直すことも選択肢としてあるが、できればこの男達は一網打尽にしたいところだ。
その時、屋外に車が止まる音がした。複数のドアが開け閉めされる音と男達の声。さらに応援を呼んでいたのか?玄関から複数の足音が聞こえてくる。かなり近くから犬の遠吠えも聞こえる。間に合うかどうか微妙だが、こりゃあやるしかないかな。俺はため息をつきながらポケットから煙草を出し火をつけると、目の前のドアを開けた。
「はいはい、そこまでですよ。みなさん」
ぎょっとした表情でこちらを振り返る皆様方。男達は半身裸状態でなかなかシュールな図である。
「なっ!おまえどっから入ってきたんだ!おい、つかまえろ!」
一同の中で首領らしき頭が脂ぎっている男が壁際にたたずんでいた男達に声をかける。
「・・・・・・おまえ何者だ。見たところただのポリ公のようだが。ガサ入れか?」
壁の影の部分から現れた目つきの鋭い痩せぎすの背の高い男がこちらに問いかける。この男だけは周りにいる男達と違い一人冷静でいるようだ。何気なく一同の前にでて屹然とたたずむその姿に隙を見つけることは難しい。
「いやぁ。私は単なるおまわりさんですよ。頼まれて猫を探しに来たんですがね。あと少しというところで犬に追いかけられてしまいまして。偶然ですよ」
へらへら笑っている俺を表情を変えずにただ見つめている。その時、奴の目に火がともった。
「いや、おまえは危険だ。ここで消させてもらう」
男は懐から銃を取り出し、俺に銃口を向ける。
「おーっと。ちょっと待ってくれないか。俺がここに来るまでにどんな手を打ってきたか興味は無いかな?今後ここにどんな奴らが来るか情報は欲しくないかい?」
「興味ないな。お前を殺して、後は早々に引き上げるだけだ。ここは証拠隠滅のために跡形無く燃やさせてもらうさ」
「待て、奴一人で来たかどうかまだ定かではない。上に控えている奴らがいるかもしれない。取引が必要だ」
後ろにいる首領おぼしき男は俺と対峙していた男に声をかける。
その時、後ろのドアが開き、また黒ずくめの男達がなだれ込んでくる。
「おやっさん。大丈夫ですか。上に陣の奴が倒れてました。こいつは!」
再び俺を囲んで男達が展開する。こりゃやばいかな?
後ろから猫が一匹ニャアといいつつ部屋の中に入ってきた。皆の顔を見上げると、小首をかしげ、そのまま奥のほうにてけてけ歩いて行く。妙に間延びしたその声と仕草に皆の視線がにそこに集められる。いやがおうもなく意識を向けさせられているその猫を不審に思った人はその場にいただろうか。そして、何時の間にか静かに一匹の黒犬が部屋の中に入って来ていた。背中には犬用簡易リュックサックを装着している。そいつは俺の所までとことこ歩いてくると立ち止まった。俺はにこっと笑うとしゃがみ込み、そのシェパード犬の頭をなでる。
「良く来たな。タロー。ありがとうな」
そして俺はリュックサックからサブマシンガンMP5SDを取り出す。
周りの男達はその一連の流れをあっけにとられ見ていたが、俺が高性能自動短銃を手にした時思わず目をひん剥いた。
「撃て!」
ボスが声を上げるがすでに襲い。タローは目の前にいた拳銃を向けていた男に飛びかかっていた。俺はトリガーを引きそいつの腹部を打ちつつ前に転がり後ろにいた男達の胴体を同じように打ち抜く。黒い液体が辺りに飛び散る。さらに奥の壁に控えていた男達も無力化する。最後に残った裸でいた男達にも一撃を与え、その場に昏倒させる。部屋の中は悲鳴でつんざかれた。
もうちょっと派手な夜の顔登場と行きたかったんですが、内容の流れ的におとなしめになっちゃいました。もう少しど派手に行きたかった!