潜入 夜の部
時間無いので性急に進ませていただきますです。
俺に飛びかからんとものすごい勢いでこちらに向かってきたドーベルマンに俺は逃げるのを諦める。すぐさま着ていた服を脱いで左腕に巻き付ける。身を潜めていた樹のそばに立ち、犬が突進してくるのを待つ。大きい!黒い獣が素早い直線的な動きで俺の方に飛びかかろうとした瞬間俺は咄嗟に木の陰に身を隠す。巨大な猛犬の体当たりを俺はすんでの所で避け、方向転換しようと突撃の勢いが殺されたドーベルマンの牙顎に服を巻いた左腕を押し込み嚙みつかせる。俺の腰の高さまである犬の頭を狙い澄まし警棒の一撃を見舞う。確かな手応えを感じ、犬はそのまま大地に崩れおちた。
それを確認した俺はすぐさま逃走に移る。どんな相手か分からず、人数もこちらより多い。まずは身の安全を優先した俺だった。しかし、もう一台黒い車が坂道を上ってくるのが見えた。俺は茂みの中に身を隠しつつ屋敷から距離をとろうと全速力でその場から離れはじめた。
しばらく身を隠すことに成功した俺だったが、今は先ほどいた所から屋敷を挟んで反対側の場所に潜んでいた。しばらく男達は付近を捜していたようだったが、地の利はこちらにある。何とか上手く逃げおおせたようだ。男達は1人を見張りに出し、皆中に入っていった。
すでに辺りは暗くなってきている。しかし、奇妙なことに男達が入っていった屋敷の中から光が漏れてこない。電気もつけずに彼らはいったい何をしているのか。近くに生っていた木イチゴを口に数個放り込むとその甘酸っぱさをしばし味わう。
俺は懐に双眼鏡をしまうと屋敷に匍匐前進しながら徐々に近づいていった。
「うっ!」
暗闇に紛れて男の後ろから回り込み首を絞め意識を刈り取った後、静かに横たえる。男を建物の陰に隠し、俺は手早くボディチェックを行う。男の持ち物の中から分かったことは、こいつらは見た目通りの単なるその筋の人ってだけじゃないってことだった。なぜなら、とある議員の名前が浮かび上がってきたからだ。そして、とある外国とのつながりもあるってこと。かなりヤバ目の橋を渡ることになりそうだ。男を後ろ手に縛り上げておく。とりあえず口の中に布を突っ込んでおいて声も出せないようにしておく。
俺は男の荷物に入っていた鍵などを丁寧に譲り受けると妻に一つ連絡を入れる。必要な情報や手はずを伝え、素早く俺は建物内部を確認し中に滑り込んだ。
案の定建物の中は暗闇に包まれていた。目指す場所は、鍵が何重にもかかっていた部屋だ。たぶんあそこに何かが隠されているはず。一つの仮説は立ててあるが、はたして。すっかり猫捜しとは別件になってしまったが、わずかに窓から差し込む月の明かりを頼りに夜目を利かせて少しずつ目的の部屋に近づいていく。遠くでフクロウが鳴いている。
部屋の前に静かにたどり着く。一応見張りなどは立っていないようだ。トラップも確認した限りではない。ゴーグルを再びポケットに忍ばせると扉に付いていた鍵の状態を確認する。すべて空いていたが、扉はやはり開かない。中からも鍵がかけられているようだった。どれだけ厳重なんだと。その時、猫の鳴き声が聞こえた。天井からだ。俺は再び携帯電話で妻を呼び出す。
「やっぱり鍵がかかっていて中には入れないよ。窓を壊して進入したいところだが、おまえの力で何とかできないか?」
『ちょっと無理そうね。天井に潜り込む場所は確認できたから、そこから潜り込んでみて。ほこりだらけで申し訳ないけれどね』
電話口では比較的口調が柔らかい彼女であった。
俺は教えられた場所に移動すると、その穴に身体をねじ込ませ、懐中電灯をくわえながら匍匐前進で部屋の上まで何とかたどり着く。下をのぞき込んで確認すると何とか部屋に降りることができそうだった。注意深く天井板の一部を外し部屋に降り立つ。その中央には明らかに不自然な床が目に付いた。そこの部分だけ埃がかぶっていないのだ。ゆっくり板をずらすと案の定、地下室への階段が現れた。
地下室への階段を足音を忍ばせて降りていく。何か声が聞こえる。それも複数の声だ。この声は、もしかすると・・・・・・。もっとやばいものを俺は引き当ててしまったようだ。
外で見張っていた男から手に入れた鍵を静かに差し込み、地下室へのドアの隙間から中をのぞいてみる。そこは鎖や拘束具で動きを封じられた若い女性達が男達になぶられている地獄絵図だった。
うーん、18禁にした方がいいのかなぁ。そっち系は好きな方なんだけど、あえて普通路線にこだわっていきたいところ。