依存
この途中から、新ルートに入ります。
電話が終わって数ヶ月が経った。やる気が起きない。
寂しい、寂しい、寂しい。
絶えられなくなっていた。携帯を意味もなく触る。なんだこれ。1人でいたくない。
ふととあるコミュサイトに目が行く。暇潰しにいいかもな。これサクラとかどうなんだ。
登録を済ませ数人に送信する。しばらくして返事が返ってきた。
「塾の先生なんですか?すごいですね^^」
塾でも小中学生とはよくしゃべっている。高校生もそのノリでいいのかな?
不安を抱えつつまた返事をする。
仲良くなった子が数人できた。
アド交換もできた。
電話もした。
会ってみる?と恐る恐るメールする。
「いいよー^^」
意外にも軽くOKがもらえた。
実際に会ってみる。
可愛いぞ。寂しさを紛らわすには十分だった。
脈略も無くくすぐったりしてみる。
頭を撫でてみる。
とりあえず褒めてみる。
悪い気分はしてないみたいだ。
今日初めてあったのに。
おかしな雰囲気になってきた。
キスしてみよっかな。怒られたら謝ろう。
……受け入れられた。
この先も?
「しよっか」
女の子は頷く。あれ、マジで?
これで気分を良くしてしまった。携帯に登録したメル友は消えてはどんどん増えて行く。
没頭した。ひたすら繰り返した。
最初のうちは名前や人数を覚えていたのだが、面倒になった。
こうして依存はエスカレートしていく。刹那的ではあるが寂しさが紛らわせるのに加えて、必要とされている感覚に陥った。求められればそれに応えたい。例えそれが仮初の愛だとしても。愛で無かったとしても。
禁断症状こそ出ないものの完全に中毒となっていった。中毒になりつつ自分を防衛しようと、正当化しようと常に脳に働きかける。
麻薬じゃないもの害なんてない。
相手を傷つけなければ問題ない。
別にいつでもやめられる。
病気利得を得る為に否認をする。言い訳を続ける。
俺は可愛そうなんだ。親のせいなんだ。だから依存してもいいよね?
人間はいつか死ぬんだ。だから依存してもいいよね?
これで心が安らぐんだからいいじゃない。法に違反してなきゃいいじゃない。
大樹は自分が依存症だとは思っていない。しかしその思考はまさに、依存症以外の何物でもなかった。
感覚が麻痺して、どうやって人を好きになるのかわからなくなっていた。いつも遊んでいる女の子達は見て可愛いとは思う。行為にも及ぶ。でも好きかと云えば少し違った気がした。そばにいてくれれば嬉しい。だがそれだけだった。他の子でも良かった。それを愛と呼べないという事は自覚する事ができている。
じゃあ、愛ってなんだろう。
香織に対する気持ちは愛だったと言える。きっとそれと同じような気持ちになったら愛なのかな。
そう考えるともう3年以上恋愛をしていない事になる。この先、人を好きになる事はあるのだろうか。
怖くなって祐治に相談をした。全てを話して。祐治がくれたアドバイスは、とりあえずメル友などを切れ、というものだった。
大樹はその日、登録されている女の子のメモリーの半分を消去した。それ以上はまだできなかった。
そうして過ごしているうちに、大樹は1人の女性と出逢う事となる。