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第8楽譜:過去

ロクスの過去編です

多少コメディしてますが…

面白くないかもです

「そうだな…あれはほんの一年前…」

俺は昔を思い出す、目を閉じるといつも鮮明に浮かんでくる

あの…忌々しい…俺の過去




「ロクス?どうしたの?ボーッとして…」

隣の女性騎士が話しかけてくる、彼女はアリス

俺の義理の姉であり、俺の現恋人だ

「いや…昨日はよく眠れなくてな…」

欠伸を噛み殺し、山道を歩く

今日は王子が隣の国に遊びに行くのに護衛だ

「全く…今日の任務だって大事なんだからね?」

まあ…確かに大事だが…高々護衛だ

襲ってくるのは馬鹿な魔物かケチな山賊だ

エリート騎士団の敵ではない

チマチマと魔物と山賊を倒しつつ、山頂に着いた辺りで少し休憩をとる

皆、昼食などを食べている

俺とアリスは食べ終り、山頂から平原を見渡して美味い空気を堪能していた

「しっかし…王子一人でも隣の国位行ける実力があるのになあ…」

王子、コステロは俺と同じ位の剣術の腕がある

別段問題はない筈だが…

「あのガンコジジイ…なんでわざわざ国の守りの要である俺達を…」

ガンコジジイ…王は優しい方だ。

多少ガンコな所があっても国民に慕われ、兵に慕われ、他国の王達にも尊敬される

そんな素晴らしい方だ

「そんな事言わないの。」

アリスに怒られてしまった

俺はニヤリと笑うと後ろを振り向く、長い、紫色の髪をなびかせ、髪と同じ色をした少し切長の目は呆れた

と語っていた

「さて…そろそろ…」

行くか

と言おうとした。しかし後ろからの殺気に腰の長剣を引き抜く

金属同士の澄んだ音が辺りに響く

「よう。ロクス!久々に戦いたかったぜ!」

相手はコステロ王子だ、ロクスは剣を弾き返すとニヤリと笑う

「王子、手加減しないぜ?」


コステロもニヤリと笑うと斬りかかってくる

それを受けると同時に蹴りを出す、コステロはマトモに受け吹き飛ぶ


「重心がぐらついてるぜ?コステロ」

長剣で自分の肩をポンポンと叩く

コステロはゆっくり立ち上がると頬から流れる血を拭う

「へっ…そういうアンタも油断しすぎだ」

中指を立てているコステロに言われて気付いた

ロクスの頬は薄く切られていて一筋の血が流れていた

ロクスは顔をしかめ、舌打ちすると長剣を構えた

「生意気になったな…あ?糞王子…」

ちょっとムカついた、言葉が雑になる

「へっ生意気なのはどっちだ、エセ騎士」

コステロも怒っているらしい、青筋がコメカミに立っている

二人はある程度睨み合うと剣に気を纏わせ始めた、ロクスの長剣は炎が吹き上がり、コステロの曲剣は雷を纏っていた

「「うおぉらあああ!!」」

二人同時に斬りかかる、しかし、剣はどこにも当たらなかった

「止めなさい!【永昌破棄】…【アースウェイブ】!」

大地の津波がロクスとコステロの意識を明後日の方向に飛ばしたからだった

アリスが仲裁に入ったのだ

「全く…どうして男って馬鹿ばかりなのかしら…」

腰に手を当てて呆れるアリス、ため息を着くとロクスとコステロを荷馬車の中に放りこんだ

「さ、皆、出発よ」

手をパンパンと叩き、見物客と化していた騎士団員達を指揮する

ロクスとコステロが起きるのは都に着くちょっと前だった






なんなのだろう、これは、相手国の首都は鉄壁を誇る城塞都市だった筈だ

しかし、城壁は崩れ、街からは火の手が上がっていた

そしてこの被害なのに全く人の声がしない

「何よ…これ…どうして…」

アリスが絶望のあまり膝をついた

顔が青ざめて、震えていた

「しっかりしろ!」

ロクスは思いきり、アリスの頭をひっぱたく

勢いあまり、アリスは地面に顔を打ち付けた

「こっこんな時に、ギャグを入れなくてもいいんじゃないかしら!?」

アリスは意味不明な事を叫びながら立ち上がった

「訳のわからん事を言うなよ、とりあえず、王子とアリスは俺に着いてこい!残りは街から生存者を探せ!」

そういってロクスは走り出す

二人は慌ててロクスを追う

酷い状況だった

街はアチコチ燃えていて、幾つもの死体が倒れていた

しかし、不思議な事に敵兵の姿が全く見えないのだ

死体すらもない

そんな光景が城まで続いていて城も酷い状況だった

頑強な鉄の巨大門は粉ごなに吹き飛び、城の中は兵士と騎士の死体で溢れかえっていた

そして、玉座の間には、黒焦げの骨となった国王と黒髪が美しい少年が立っていた

「…てめえがやったのか?」

ロクスは黒髪の少年をにらみつける、両手を強く握り締める

「そだよ」

少年は悪びれのないように普通に答えた

「なぜ…こんな事を…?」

怒りが爆発しそうなのを堪え聞く

「暇だったから」

少年の答えにもう我慢出来なくなった

ここの王には世話になった、それにたかが暇潰しで人を殺すのは許さない

腰の長剣を引き抜く

「許さん!」

長剣から炎が吹き出る、紅蓮の炎が剣を包み、巨大な剣へとなる

あれは炎帝剣ではない

「【猛火裂斬剣】!」

巨大な炎の剣は少年に直撃したが…少年は片手で剣を止めていた

それどころか、炎を全て手の平で吸いとった

「なんだ…この程度…つまらないな…【永昌破棄】【水魔法:スパイラル】」

ロクスの足元から水のドリルが襲う、人一人軽く飲み込めるドリルはロクスを巻き上げ、大理石の床に叩きつけられた

「ロクス!」

アリスはロクスの方を一瞬見るがすぐに魔法の永昌に入る

「アルセルス・アギメント・クラックス・ベル・ギガゼイアント!【ライトニング・アロー】!」

指を天井に掲げると真っ黒な雷雲が現れる

そして青い雷が少年を打つが少年は手から赤い雷を出して、それを押し返した

「うそ!上級魔法が!」

【永昌破棄】の魔法に掻き消された

驚いている暇はない、直ぐに次の魔法に入る

「アレル・ウィルガドノ・ディアモール・ゲム・ガルマスア!【フレイム・スタンプ】!」

天井に掲げた両手を振り下ろす、それと同時に炎の巨大ハンマーが少年を襲う

今度は決まった

「無駄だよ」

炎が吹き飛ばされ、消えた炎の中心では無傷の少年が微笑んでいた

そして少年はアリスに左手を向ける

「じゃーね」

左手から赤い雷が放たれる

アリスは思わず目をつむったが、何も感じなかった

うっすら目を開けるとコステロが剣で赤い雷を受けていた

「アリスさん!早く魔法を…!ぐっ!」

あまり長く持ちそうはない

「はい!…デアナタカ・ヒョロウム・サアルト・キンギム!【フリーズ・クロー】!」

両腕を横に広げ、胸の前で拳を打ち付ける

冷気の剣山が挟むように少年を襲う

少年は手を下ろし、指を鳴らした

それだけ

それだけで氷の剣山は砕け散る

「うそ…そんな…」

自然とアリスの目から涙が溢れ出てくる

恐怖によって…ペタンと座り込み、涙を流しながら震える

コステロが雷を再度受け、宙に浮く

「ぐぎ…ギギギ!」

苦しみのあまりに悲鳴をあげるコステロ、そして吹き飛ばされた

コステロの体は窓を突き破り、何十メートルも下の地面に落ちて行った

少年はアリスにゆっくり近寄る

「ふん…いいや…暇になったし、しばらく君で遊ぶかな…」

少年は邪悪な笑みを浮かべるとアリスの形のいい顎を掴む

「い…いやあああああ!!」







「俺が起きた時には全て終わっていた…」

ロクスは苦々しげにそう語った

「彼女は……死んでいた…」

そう、ロクスの旅の理由、それは復讐

その話を聞いていたサーナの表情は読めなかった

「ロクス…」

しばらくの沈黙の後、サーナが声をかけてくる

「…どうした?」

後ろは振り向けないのでとりあえず返事をする

ピトっとサーナが抱き締めたというよりくっついてきた

「辛かったんですよね?悲しかったんですよね?…苦しくて苦しくて…いつも泣いてたんですね…」

まあ…そうなんだが…俺たちはいま裸で…そんな状況で抱きつかれると背中に小さくて軟らかい何かが当たって俺の理性がぶっ飛びそうになる

「あの…サーナ?」

はい?と声が背中から聞こえた

「その状態だと…貴方の胸がじかに背中に当たってまして…その〜離して貰えないと理性が吹き飛んでしまうというか風前の灯というか…」

サーナは急いで俺を離し、隠れてしまう

二人で顔を赤くしていたのはいうまでもない

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