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赤いリボン〜三毛猫との数分間の場合〜

作者: こころ

ふぅわりと、軽くて冷たい感触が私の鼻先に舞い降りて儚く消えた。

空は鈍よりと淀んでいて絶え間無く、ちらちらと粉雪を降らす。

「寒っ…」

思わず呟いてから、それをなんとなく見上げてみた私は傘を開いた。

雨降りの日の、あの白とも鼠色ともつかない、はっきりしない空の色──それに視界を支配されないようにと今年の梅雨に選んだ、カラフルな水玉模様が白地に踊る大きめの傘。

「にゃあ」

今日も学校。駅に向かって歩き出したら小さく小さく、そんな鳴き声が聞こえた。

もちろん無視。‥‥いつもなら。

雪のせいでいつもよりも静かな朝の町中。

私は辺りを見回した。そしてくるりと方向転換して側にあった公園に入る。

なんとなく、だけど確かにここに猫がいるような気がしたのだ。

「‥‥ニャア」

猫の鳴き真似をしてみる。

いつもの私なら考えられないけれど、これで猫が出てきてくれたらなんとなくラッキー。

それでもやっぱり辺りには何の変化も無くて、諦めきれない私はもう一度鳴いてみた。

「ニャア」

雪が舞い散る音のみが静かに静かに響く。

「…ぷっ…くすくす…」

寒い雪の朝から、こんな誰もいない小さな公園で猫の鳴き真似をする女の子。

なんだかおかしくなってきて、私は思わず笑ってしまった。

ハタから見ればますます怪しいことこの上無いが、誰もいないし構わない。

「にゃあ」

ガサっという音と共にそんな声が聞こえて私は慌てて振り向いた。

そこには赤いリボンを首に巻いた猫…三毛猫だ。

なるべく目線の高さを同じにしようと屈んでみる。遠くから見たら水玉柄の傘が開いたまま放置してあるように見えるかもしれない。

リボンの三毛猫はまるで雨宿りをしようとするみたいに私に近付いてきた。

「あれ…?」

首の後ろと赤いリボンの丁度結び目の間に小さな紙が挟まっている。

リボンの三毛猫はだいぶ人に慣れてるみたいで、私が手を伸ばしてもまるっきり無視。

私は左手でリボンの三毛猫の頭を撫でて気をまぎらわせながら右手でそっとリボンの隙間に指を差し込んだ。

メモ‥‥?

小さく小さく折り畳まれた白いメモ。

少しだけ、リボンの三毛猫の温もりによって溶けた雪で濡れてしまってはいるけど、そんなにビショビショってわけではない。

私はそっと破らないようにそれを広げた。

「…そっか。もうすぐクリスマスかぁ…」

私が呟いたらリボンの三毛猫は欠伸を一つ。

私はくすっと笑ってしまう。

なんとなく寒さが和らいだような気がした。

私はメモを元通りに畳んでリボンの三毛猫にお返しする。

「ご主人様によろしくね?」

リボンの三毛猫の頭を撫でてから私は立ち上がった。

ちらりと腕時計を確認すると、まだ急げば始業に間に合う時間。

私は小さな子供の字で書いてあったメモの文面をそっと思い出してから歩き出した。

いつもの生活に戻る。

公園の出口で一度立ち止まり振り返ればすでにリボンの三毛猫はもう姿を消していた。

ただ粉雪が舞い落ちるだけ。

静かに静かに舞い落ちるだけ。







──クリスマスプレゼントはなにがいい?



トナカイに乗って届けに行くよ。



サンタクロースより──







読んでいただきありがとうございました☆

連載の方をマイペースに書きつつ、なんとなく思い付きで書き始めたクリスマス小説…いかがでしたか?(・ω・;)


これってクリスマス小説になってるんでしょうか。。(笑)


と、言うか話の内容伝わりましたかねぇι

未熟者なのでご勘弁ください。


それでは、感想いただけたら幸いです!((*uεu*))


こころでした★



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