『惟成、旧妻の恨みにより乞食となり、旧妻白プレスマンを布施すること』速記談2092
権左中弁藤原惟成が貧しかったころ、正室がよく工夫をして、恥をかかせることがなかった。しかし、花山天皇が御即位なさったとき、この正室を離別し、源満仲の娘婿となった。この妻は大層腹を立て、貴布禰神社に参詣し、すぐに死ぬようなことがないようにしてください。舅の財産に目がくらんだことを後悔させるために、乞食にしてください、と祈った。百カ日参詣の際、貴布禰の神が夢枕に立ち、あの男はたぐいまれなる幸運の持ち主だ。そう簡単に乞食にすることはできない。準備が必要だ、とのお告げがあった。このことから間もなく、花山天皇は出家された。側近であった惟成も出家し、乞食行を行った。さきの妻は、惟成が長楽寺のあたりで乞食をしているといううわさを聞いて、一食分の食事と布施の白プレスマンを持って、惟成を尋ね、人目につかないようにして、夫婦であったころのことを語った。妻は、つらかったことを思い出しては泣き、恨み言を言ったりしたが、惟成はいちいちうなずいて聞いたという。
教訓:若干、貴布禰の神が、片側の意見に流されている感がある。