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東界浪漫譚  作者: YADOKARI
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第一幕:思遺出  弐章ー暗雲ー

 却説(さて)、祝いの席が終わりを迎えて一週間が経とうという頃。両国では交易の準備が始まっていました。

 二国間に広がる『東方大海(とうほうたいかい)』の荒波に耐え得る造船技術を未だ持ち得ない日の輪の国に配慮し、桃華の園から船舶が派遣され、荷積みの交換が行われました。




 普段は漁民の船出場所となっている海岸は、大層な賑わいとなっておりました。




 その頃、『シロ』こと神子様(かんねさま)の暮らす宮殿では、桃華の園へと送られる品々の確認及び管理の為に官吏達が右往左往し、繫忙を極めておりました。




 桃華の園では、煉馬が「自分も日の輪の国まで付いていきたかった」と官吏達に文句を言い、困らせておりました。



「僕一人くらい一緒に行かせて呉れても良いじゃないか!小氣(ケチ)為什麼不(なんで駄目なのさ)!」


「いや、しかし・・・」「船に乗っていて嵐に巻き込まれたら・・・」


「僕は国が消滅しない限りは死なないんだよ!・・・言い訳には乗らないよ。」



 どれだけ駄々をこねられても、日の輪の国へと連れては行けない理由が有りました。

 日の輪の国にあまり入れ込んで貰っては困る、と、為政者とその周辺の官吏は考えていたのです。

 今回、桃華の園から船を派遣したことだけでも特別扱いだったのです。これ以上厚遇してしまえば、自国の威厳が保たれないと考え、『煉馬』を桃華の園から出さない、という判断を示し、船を出させました。




 そんな数々の思惑を他所に、日の輪の国と桃華の園との交易は膨大な利益を生み、日の輪の国は経済、技術共に発展を遂げて行きました。煉馬と最初に出会った時は童の様な風貌であったシロも、10(とお)を超えたばかりの少年の風貌へと変容して行きました。

 しかし、日の輪の国が発展し、国としての実力が上がった影響で、桃華の園の国力は衰退し、それにより王朝内の貴族同士の権力闘争が勃発。王朝の体制は機能不全と為り、滅亡の一途を辿る事となりました。







 「また会おう」の約束は、二人が出会った時から桃華の園の王朝が滅びるまでの凡そ700年の間、果たされる事はありませんでした。

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