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第五話 報告

「ユウキ!ユウキ!」

「んーなに?あと五分」

「いいから起きろ。それと服どうした?」


 ユウキは、自分の部屋に戻らないで、リビングで寝ていたようだ。

 制服は、部屋で脱いで、シャワーを浴びて、着替えて、夕ご飯を食べたところまでは、一緒に居たので解っている。


 下着姿ではないが、制服のシャツの下に来ているキャミソールだけの姿だ。下も履いていないようだ。ユウキに買った、毛布を使っているが、昨日履いていたズボンは横に脱ぎ捨ててある。


「服?あぁ暑いから脱いだ」

「暑きゃぁエアコン入れろよ」

「うーん。次からそうするよ」

「朝ごはん作るから、顔洗ってこいよ。寝癖もすごいぞ」

「わかった。朝ごはんは何?」

「ホットドックとジュースだ」


 ガバっと、起き上がった。


「うん!起きた!」


 そのときに、インターホンが鳴った。


「悪い。ユウキ。出てくれ」

「わかった」


 近所の人なら、ユウキがここに居ても不思議に思わないだろうし、知らない人なら、そのまま帰ってもらえばいい。


「タクミ。先輩だよ」

「え?約束していないよな?」

「うん。どうする?」

「帰ってもらえ!」

「わかった!”タクミが帰らせろと言っている”と、言っておく」

「まて、ユウキ!」


 失敗した。

 いや、失敗ではない。失敗ではないが、正しくも無い。もう一度、インターホンが鳴った。


「タクミ。先輩が、送るから入れろと言っているよ」

「わかった。わかった。ユウキ頼む」

「了解!」


 毛布を丸めて、ソファーに投げ捨てた場所は、ユウキの寝床になっている場所だ。シャツや寝間着のズボンやスパッツが投げ捨てられている。もしかしたら、ブラもあるかも知れない。キャミソールだけの姿で、ユウキが先輩を迎い入れて、そのまま部屋に戻って着替えてくるようだ。


 ”勝手知ったる他人の家”なのか、先輩たちも何も言わないでリビングに入ってくる。定位置になっている場所に腰を下ろす。


「キミ。僕たちは、朝は食べてきたら大丈夫だよ。何か、飲み物を貰えると嬉しい」

「わかりました。フルーツジュースでいいですよね?」

「あぁ」


 ユウキが選んだ缶詰は昨日の段階で、シロップと分けて、凍らせてある。

 自家製のシロップと凍らせた果物をミキサーに入れて、ジュースにしていく。梓先輩には、少し甘さを強めいにした物を渡して、美優先輩には、甘さ控えめだけどヨーグルトを入れた物を作って渡す。


「キミ。これは?」

「え?梓さんは、結構甘党ですよね。それで、美優さんは、甘さ控えめで乳製品が好きみたいですから、ヨーグルトを入れたものですよ。ユウキの朝ごはん作るので、話は後でいいですか?」


 お互いのジュースを一口づつ飲んで、なにか言いたさそうにしていたがスルーさせてもらう。


「あっ先輩。改めて、おはようございます。タクミ。お腹へった!」

「焼けているやつから食べろよ」

「うん!あぁぁ僕にもジュース!」

「作ってあるから安心しろ」


 ユウキ用にはスムージ風にした物を渡す。甘さは控えめだけど、果物を層にしてある。


「ありがとう。お水は?」

「有るだろう?」

「え?あっうん」


 オフクロの言いつけで、朝起きてから朝ごはんの前に、コップ一杯の常温の水を飲むことになっている。それは、森下家でも同じだ。


「ふぅ・・・梓」「なんだい。美優。きっと、僕と同じ意見なのだろうけど、それは後で答え合わせをしよう」

「わかった。タクミくん。ユウキ。エリとマリの件ありがとう。親御さんから昨日の夜にお礼の電話が入った」

「そうですか」

「それで、費用が発生したのなら、支払うと言っているけどどうする?」

「そうですね。梓先輩への”貸し”にするか、1,000万円のどちらかでお願いします」

「わかった。キミへの”借り”にしておく」

「ありがとうございます」

「それで、僕たちも、キミの報告書を読んだけど、あんな事が可能なのか?」

「そうですね。可能ですよ。それも、そんなに難しくないですよ」

「そうなのか・・・美優」「そうね」


 なんだか、二人で納得している様子だ。

 ユウキは、我関せずに、2本目のホットドックにかぶりついている。


 口元にケチャップが付いている。寝癖も治っていない。本当に手がかかる。


「タクミ。ジュースのおかわり有る?」

「別の物なら有るぞ」

「頂戴」


 冷蔵庫から、今度はみかんのシロップを凍らせた物とみかんと牛乳とヨーグルトで作った物を渡す。これが意外と美味しい。パイナップルは、牛乳とヨーグルトは入れないで、水で作るのが丁度いい。モモは、ヨーグルトだけが美味しい。


「何がいい?」

「みかん!」

「先輩たちは、どうします?お茶もありますよ?」

「私はお茶をもらうわ。梓は?」「僕にもお茶をくれ」

「温かいのと冷たいのがありますが?」

「冷たいので」「冷たい方がいいな。なんか、今日は暑い」


 ユウキに新しいジュースを入れて、先輩たちには、水出しした緑茶を渡す。氷は、お茶を凍らせた物だ。溶けても、薄まらない。


 3本目のホットドックを半分くらいまで食べたユウキが

「タクミ。飽きた。上げる。他になにか無い?」


 半分残ったホットドックを、俺の口に入れてくる。

 他・・かぁ、ハンバーグのパテがまだ有ったけど、焼くには時間がない。スモークチキンを電子レンジで温めて、ベーコンを炙っておく、そこに、市販のケチャップとウスターソースを混ぜた簡易的なソースをつける。簡単に焼いた玉子を付けて、サンドイッチ風にして渡す。残った具材は、俺が食べればいい。


 朝ご飯が終わって、ユウキの隣に座る。着替えてくると行ったが、下に制服のスカートを履いただけのようだ。


「それで先輩。朝からのご訪問は、先程の件だけですか?」

「それも有ったのだが・・・すっかり毒気を抜かれてしまったよ」

「どうしました?」

「いや、いい。正直に頼む事にするよ。タクミくん。ユウキ。旅行の時に、一日だけ僕たちに時間をもらえないか?」

「え?構いませんよ?どこの、誰に会って、何を話せばいいのですか?資料は作った方がいいですか?」

「なっ・・・美優。僕は、なにか間違えたかい?」

「いいえ」

「ふぅわかった。会って欲しいのは、僕たちの父親だ。できれば、タクミの父親である、篠崎氏とユウキの両親にも同席して欲しいのだが、時間的に難しいだろう?」

「そうですね先の事なので、わかりませんが、両親たちは難しいと思います」

「そうか」「ねぇ梓。未来先生は?」


「未来さんなら、今からお願いすれば、大丈夫だと思いますよ。正式な依頼なら、梓さんか、美優さんが依頼したほうがすんなり行くと思いますよ」

「そうだな」「梓。私から、頼んでみるよ」


 これで、なんとなく見えてきた。

 オヤジは、技術的な保証を得るために、桜さんは、何からの事件になっている可能性が有るために、美和さんは、弁護士として守秘義務を守らせるため。こんな所だろうか?技術的な事なら、違う技術屋に問い合わせればいい。桜さんの代わりは難しいだろうけど、先輩たちの実家の力なら可能だろう。春日家に頼ってもいいだろう。美和さんは、こちらの守秘義務のためだろうから、未来さんで代わりができると思っているのだろう。

 そこまで厳重にしなければならない事・・・


「情報流出ですか?内部的な犯行なのか、外部からの犯行なのかも、解っていないのですね?」

「え?」「なんで?」


「詳細は、車の中で聞きますよ。走る車は、密室と同じですからね。ユウキ。いつまでも食べてないで、着替えてこいよ。その格好じゃ学校に行けないぞ」

「ねぇユウキ。僕のブラ知らない?」

「どれだよ。昨日のなら、そこで脱いだのだろう?」

「え?あぁありがとう。部屋になかったから探していた。着替えてくるね」


 ユウキが、脱ぎ捨ててあったブラを取って部屋に戻る。


「それじゃ俺も着替えてきますよ。さすがに、エプロンのままじゃ行けないですからね」


 エプロンを外して、椅子にかける。ユウキの食器を流しに持っていく、毛布と、ゆうきのズボンも部屋に上がるついでに持っていく事にする。

 なにか、先輩たちが微妙な顔をしていたが、気にしてもしょうがないだろう。


 俺が着替えて部屋から出ると、部屋の前でユウキが待っていた。

 二人で、リビングに降りると、先輩たちはすでに出られる状態になっていた。コップも軽く洗って、流しに置いておいてくれている。


「あっタクミ。布団、ありがとう」

「あぁいい加減、ソファーで寝るのやめろよ」

「だって、(ゲーム)やった後だと眠くなるよ」

「だからって、そのまま寝なくていいだろう?部屋にベッドと、ユウキが欲しがった布団と専用の枕も買っただろう?」

「うん。でも、そのまま寝るのが気持ちいいよ」

「あっそう言えば、(菓子から)出たゴミはどうした?」

「ん?容器と一緒に捨てたよ」

「そうか、悪いな」

「いいよ。いつもの所でいいよね?」

「あぁ」


 先輩の車はいつものように、駐車場に止められていた。

 乗り込んで、学校まで送ってもらった。さっきの話の詳細な事は聞けなかった。未来さんの許可をもらってからにすると言っていた。


 今晩の予定を聞いたら、大丈夫だと言っていたので、予定通り、双子に起こった事の説明をする事になった。

 カレーが無駄にならなくてよかった。先輩たちにも、夕ご飯用にカレーを作っているので、食べていってくださいとお願いしておいた。


 いつもと同じ場所でおろしてもらって、校舎に向った。


--- とある車の中の会話 始まり

「梓」

「なんだい。僕の美優」

「もう。それは解っている。タクミくんとユウキ」

「確実だろうね。リビングでだよ」

「そうね。会話からそう思ったけど・・・ソファーにユウキのブラやシャツやズボンが脱いであったからな」

「えぇそうね。タクミくんも、それが解っているみたいだったからね」


「それに、今日も二人揃って降りてきた。ユウキは、ブラしてシャツ着て上着を着るだけだろう?」

「そうね。タクミくんの着替えでも手伝っていたのかな?」

「そういう雰囲気もあるな。それよりもだ。どうして、僕と美優の好みの味が、カレはわかるのだ?」


「私もびっくりしたわ。もう少し甘さを控えてくれたら、私が好みの味だった。梓の物に関しては、パーフェクトだったでしょ?」

「あぁ飲んでみてびっくりした、それに・・・何年も連れ添った夫婦のようだったぞ」

「そうね。自然体過ぎて考えなかったけど、高校生のカップルなのだよね」


 こうして、タクミとユウキは、先輩たちに盛大に勘違いされていく。

 勘違いでない所もあるが、もっと簡単に言えば、”こうだろう”や”これならいい”という考えに当てはめているだけなのだ、これが誤解である事は、後日わかるのだが、それは別の話として・・・。

--- とある車の中の会話 終わり


 放課後になって、生徒総会の部屋に移動して、端末を開くと、先輩から連絡が入っていた。

 迎えに来てくれる時間の確認だ。もし、早く着いたら、電子科の先生の所に言っていると書かれていた。


 ”ユウキの準備ができたら、むかいます”と、返事を返しておく。


 双子に持たせた、資料に、APK の分析結果を融合させておく。

 オヤジには、問題ないと返事をもらったので、大きな間違いは無いのだろう。


 資料は、今日の夜に先輩たちに渡せばいいだろう。


「タクミ!おまたせ!」


 部屋に入ってきたユウキは、部活が終わったままの様だ。シャワーだけは浴びてきたのだろう、髪の毛が濡れている。俺が持たせたシャンプーの匂いもしているから間違いないだろう。手には、制服とシャツを持っている。スカートもだ


「ユウキ。また、ジャージだけか?」

「うん。だって、この後、車でしょ、その後、カレーだからね。汗かくよ?」

「そうだけど、髪の毛くらい乾かせよ」

「大丈夫だよ。それよりも、早くカレー食べよう」

「いきなりすっ飛ばすなよ」


 ユウキが他にも課題の荷物があったので、俺がユウキの制服を預かる事になる。

 駐車場に先輩がもう着いているだろうから、そこで待ち合わせをする事になった。生徒総会の部屋を閉めて、鍵を教諭にあずけて、電子科の教諭が居る職員室に向かう。先輩たちの話も終わっているようで、すぐに移動を開始する。


「キミ。少し気になるのだが?」

「え?なんでしょうか?」

「キミが持っているのは?」

「あぁユウキの制服ですよ。あいつ、ジャージで帰るようですからね」

「なっ」「は?キミたちはいつもこんな感じなのか?」

「失礼ですよ。俺がバイクで着ているときには、ライダースーツに着替えさせるから、持ちますが、それ意外は、いくらユウキでもジャージで帰ったりしませんよ」

「いや・・・まぁいい。そのユウキは?」

「あぁ課題があるらしくて、取りに行ってから、車の所で待ち合わせしていますよ?」


「(ねぇ梓)」「(なんだい?)」

「(あれって、キャミよね?)」「(あぁ今朝、ユウキが着ていた奴だな)」

「(それに、あれって)」「(タイツだな)」

「(そうよね。さすがに、ブラやショーツはないわよね?)」「(いや、あの袋の中はわからないぞ)」

「(え?そう・・・確かに・・・)」


「なぁキミ。その袋は?」

「ユウキの着替えとタオル入れですよ。汗だくのまま帰るのが嫌だって言っていますからね。俺の後ろに乗る時に、わざわざ着替えなくていいって言っているのですけどね」


「(ほらな、美優)」

「(そうね)」


 先輩たちがなにか話しているが、多分今朝の事がなにか動いたのだろう。そのうち聞かせてくれるだろう。

 車の所で、ユウキが待っていた。


「こんにちは!タクミ。ありがとう!」


 ユウキを乗せて、俺の家に向った。


「いいよ。それよりも、髪の毛しっかり拭いておけよ」


 着替え入れの中から、タオルを取り出して、ユウキの頭にかぶせる。


「いいよ。大丈夫だよ」

「せっかく、着替えたのに、髪の毛濡れていたら、風邪引くだろう。あぁユウキなら大丈夫か?」

「酷い。ね。美優さん。梓さん。タクミ。酷いですよね」

「あっあぁ」「そうね」

「わかった。わかった」

「うん。それなら、今日、お風呂お湯ためてね」

「はい。はい。わかった。わかった」


 車の中で、そんなやり取りをしていると、軽快に走った梓先輩の車は、迷うことなく、家に着いて、当然の様に駐車場に車を入れた。

 オヤジもオフクロも帰ってきていない。ユウキの家も同じ様だ。


 道路を挟んだ、正面にあった”オンボロ”の平屋が、この前解体されていた。駐車場にでもなるのかと思ったら、地鎮祭が行われて、工事が始まった。マンションなのか、一軒家なのかわからないが、大きめの地下室を作るようだ。オヤジと話しているときに、地下室がある2階建ての家とかいいだろうなと話したのを思い出してしまう。

 鍵を開けて、認証を通して中に入る。

 先輩たちは、そのままリビングで待っていてもらう。俺は、ユウキの荷物を持って、ユウキの部屋に向かう。ユウキは、一旦自分の家に戻って、勉強のために必要な物を取ってから、戻ってくる事にしたようだ。課題に関しては、先輩たちが居るので、頼るつもりなのだろう。


 さて、最終的なカレーの仕上げを行う。

 時間的には、10分くらいだか、ご飯も炊きあがっている。ユウキが食べるだろうと思って、プレーンナンだけではなく、ガーリックナンも用意している。辛めになるので、ラッシーも用意した。味は、イチゴとマスカットとプレーンだ。あと、タンドリーチキンも仕込んでおいたので、満足してくれるだろう。


「そう言えば、先輩方は、なにかダメな食べ物ありますか?」

「大丈夫よ」「うん。大丈夫」


「シーフードと、チキンと、ビーフと、野菜では、どれがいいですか?」

「チキンとビーフ!」


 ユウキがリビングに入ってきて、叫んだ

「ユウキ。お前用に、野菜たっぷりカレーにするぞ。荷物は大丈夫だったのか?」

「えぇぇぇお肉だけでいいよ」

「はい。はい。それで?」

「うん。大丈夫。あっタクミ。あとで、洗濯物出しておいてね。お風呂のときに、洗っておくよ」

「あぁわかった。あっユウキの着替え袋、(ユウキの)部屋に置いてきちゃった」

「大丈夫。お風呂のときに持っていくよ」


「よし!できた!」


 4種類のカレーを作って、それぞれ小さい器に入れていく、ユウキのチキンとビーフは、倍の量で、シーフードと野菜はなし。俺が、シーフードと野菜が食べたいので、交換した形になる。


 ナンは、卓上プレートで焼き始める。篠崎家伝来(オヤジ謹製)??パーティーだ。

 ユウキは、ジャージ姿のまま汗を流しながら食べている。辛いのが苦手な癖に、カレーが好きなんだよな。


 先輩たちも、ラッシーで辛さを調和しながら食べてくれているので、大丈夫なのだろう。ユウキは、熱くなってきたのだろう、ジャージを”無い”胸元まで開けている。

「先輩。タクミ。ごめんなさい。ちょっと着替えてくる」

「あぁ」


 ユウキが着替えに出ていった

「それで、双子の件ですが」

「キミは・・・まぁいいよ。それで?」

「報告書にはやんわりと書いていたのですが、双子は、被害者で有りながら、加害者になってしまっています」

「そうか・・・それで?」

「俺からは、何もいいません。ただ、今後同じ事が起こらないようにしたほうがいいでしょうね」

「どうしたらいいと思う?」

「そうですね。元生徒会長と元副会長にお聞きしますが、この手の問題が多発した場合、学校が取る簡単な方法はなんですか?」

「そうだな・・・・スマホ禁止だな」

「えぇそうです。俺から言わせたら、愚劣で最低な対処ですが、学校での問題はなくなります」

「そうだな。でもできないだろうな。特に、工業高校なら」

「えぇそうです。でも、今の学校の授業や教育のやり方では、1,000年授業をしても、セキュリティ意識を持った一般人なんて生まれません」

「辛辣だな。でも、そうだな」

「俺は、オヤジや桜さんのような、”ダメな大人”が近くに居たので、ある程度の知識があります」

「”ダメな大人”って・・・キミのお父さんもユウキのご両親も立派な人だろう?」

「そうですね。仕事という面ではそう思いますが、家庭や親としては、本人たちも”ダメ”な事は認めていますし、”大人”としてもダメな面が多数ある事も認めていますよ。オヤジは、究極の趣味人ですし、桜さんは・・・簡単に言えば、悦楽主義者ですからね」

「え?」「は?」

「まぁオヤジたちの事はおいておきます。報告書を読んでもらえればわかる通り、相手(詐欺集団)の手口は巧妙です」


「そうだな。最初のメールの内容を無視できなかったら、どんどん罠にハマっていくのだろう」

「そうですね」


「ただいま。タクミ。シャツ借りたよ!」

「あぁ」

「丁度いいのがなかったから、昨日着ていたやつにした」


 薄手のパーカーだ。裾が長くて、風呂上がりに着るのに丁度いい。よく、ユウキも着ている。同じ物を、ユウキ様にも買ってあるが、どこに有るのか見つからなかったのだろう。どうせブラも外して来たのだろう、スッキリした表情をしている。両家の中で、以前はオフクロだけが注意していたが、最近では何も言わなくなっている。さすがに、ショーツが見える時には、見えないようにしなさいとは言っているので、それだけは守っているようだ。


 パーティーが再開された。

 話しは有耶無耶になってしまったが、先輩からは、旅行のときに詳しく聞かせてくれと言われた。


 今日は、俺が作ったカレーを楽しみたいと、嬉しいことを言ってくれた。


 作った物全部食べ終えて、デザートとチャイまで楽しんでから、先輩たちは帰っていった


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