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やりこみ好きによる領地経営~俺だけ見える『開拓度』を上げて最強領地に~  作者: 空野進
2.1.腹ぺこ聖女と元聖女見習い

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17.Bランク毒草

「あーっ……、その辺りを言っておくべきだったな。アルバン、エーファは一応ドラゴンだからこれからは肉をメインにしてやってくれ」


 苦笑を浮かべながらアルバンに伝える。


「このトカゲにはもったいないと思いますが、わかりました」

「誰がトカゲだ! 筋肉ダルマ、やるの?」

「おう、望むところだ!」

「ちょっと待って……。喧嘩をするなら後にしてくれ。お前達が行っている間にも色々と領地が変わったんだ……」

「そういえば何やら騒がしい様子ですね。問題でも発生しましたか?」


 アルバが不思議そうに聞いてくる。


「問題といえば問題だな……。むしろ大問題か……。だからアルバンに聞きたい。王都で何かトラブルがあったか?」

「トラブル……ですね。この領地には関係ないと思いますけど、聖女様が何も言わずどこかへ出かけられたそうです。まぁ、よくあることみたいなので、それほど気にも止めてないみたいですけど、あまり長期間になると捜索隊を派遣するみたいですね。そして、聖女様を誘拐しようものなら全力を挙げて殲滅するとおっしゃってましたよ。まぁ、この領地には関係ないですもんね、あははっ」


 アルバンは高笑いをする。

 しかし、俺の心の中は汗が止まらなかった。


「ゆ、誘拐じゃなくて、聖女が勝手にも来た場合はどうなるんだ?」

「さすがに聖女様もそんなことをしないと思いますけど、それでもやっぱ誘拐したと思われるんじゃないですか?」

「やっぱりそうか……」

「――どうしましたか? まさかここに聖女様が!?」

「ソーマさーん、そろそろお昼の時間だよー!?」


 アルバンが不思議そうに聞いてきたタイミングで、シロがやってくる。

 その声を聞いたアルバンは驚きのあまり目を点にしていた。


「ま、まさか本当に聖女様!?」

「まあ見ての通りだ……。突然この領地にやってきてな」

「はぁ……、なるほどそういうことですか……。まあ向こうから来たのなら問題はないでしょう。それでいつお戻りになられるんですか?」

「それが神聖武器を見た瞬間に、この領地に住むと言っていて……」

「なるほど、それなら仕方ないですね。何か文句を言ってきたら、神聖武器を突きつけてやりましょうか?」

「それで納得してもらえるのか ?」

「納得するよりほかはないですよ。神が授けた神聖武器を前にしたら……。むしろ、刃向かう人がいたらそれは神には向かう反逆の徒ですからね? 討伐されるのは向こうになります」


 アドバンがそういうのなら、本当に大丈夫なのだろう。

 俺は少しだけ安心することができた。


「主様、誰ですか、そのチビは?」


 突然エーファがとんでもないことを言い出す。

 相手がシロだから良いものの、相手を考えないと危険かもしれないな。


「えっと、君の方が小さいけど?」

「このエーファとやる気なの?」


 エーファが鋭い目つきをシロに向ける。

 しかし、凄んで見せてもエーファの今の姿は幼女。

 その姿はただただかわいいだけだった。

 しかし、危険なドラゴンであることには違いない。

 だからこそ、俺はエーファを注意する。


「待て待て、エーファ。シロを襲ったら駄目だぞ? ドラゴンであるお前が小さいはずないもんな」

「はーい、主様のご命令でしたら」


 なんとかエーファが思いとどまってくれる。

 しかし、今度はシロの方が涎を垂らしながらエーファを見ていた。


「……ドラゴンステーキ。じゅるり」

「シロもエーファは食べ物じゃないぞ?」

「た、食べるはずないよ? そ、そのちょっとだけ……、ちょこっとだけ美味しそうに見えただけだよ!? さきっちょだけ。そのほんの少しだけかじっても良いかな?」

「十分食べる気だろう……。はぁ……」


 シロの対応に思わずため息が出てしまう。


「まあそういうわけだ。この領地に聖女が来た……。それだけ覚えておいてくれ」

「かしこまりました。ではこの領地に教会を建てましょうか?」

「いや、もうそれは建てた」


 そう言いながら後ろにある教会を指差していた。

 しかし、それを見て、再度アルバンが聞いてくる。


「えっと、教会……はどこですか? いつの間にか禍々しい邪神の教会ができあがってますね。あれは壊しておきましょうか?」

「あ、あれが教会だぞ!?」

「えっ? だ、誰があんな禍々しいものを……?」

「もちろん俺たちが作ったのだが――」

「よ、よく見るとそこはかとなく趣あるたたずまいの芸術性が高い建築物ですね。これはソーマ様にしかできない建物です……」

「いや、そんな変わったものじゃなくて、普通の建物のつもりだが……?」


「それであの犯罪者渡した後はどうしたんだ?」

「特に何もしてないですね。あと、あの犯罪者は懸賞金がかけられていたみたいでそのぶんのお金をもらってきました 。このお金はいかがしましょうか?」

「うーん、そうだな……。アルバンたちで分けてくれ。この領地で色々と働いてくれているわけだから、その分の給金を払う必要が必要だと思っていたところだ」

「い、いいんですか? 結構な額ですよ?」

「もちろんだ。むしろまだまだ足りないと思ってるほどだぞ?」


 これで当面はこの領地の問題が解決しただろう。

 そうなるとやっぱり、次にやるべきはラーレの万能薬を作っていくことだな。

 Sランク万能薬。いったいどれほどの素材が必要になるのかわからない。

 とりあえず、まずは以前に採ったB ランク 毒草で何が作れるのかを調べてみた。


【名前】 毒草

【品質】 B[雑草]

【損傷度】 0/100

【必要素材】 A級魔石(0/10)

【錬金】 B級毒草(1/50)→万能薬(B級)


 やはり、毒草のランクで作れる万能薬のランクも上がるようだった。

 問題は必要な個数が増えていることだった。

 Bランクで五十個ならSランクを作るとなれば、百個くらいの個数を要求されてもおかしくない。

 ただでさえほとんど見つからないSランク素材を百個も……。

 先は長そう……。

 とりあえず、まずはSランク毒草を探すところからだけどね。

 


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『滅びの魔女の謀(はかりごと)』

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