2.店の確保
騒がしい二人がいなくなると、急に領内は静かになっていた。
そういった意味合いでは二人の存在はとても大きかったのだろう、と再認識させられた。
ただ、まだまだこの領内に必要な物は多い。
【領地レベル】 4(16/32)[村レベル]
『戦力』 12(15/75)[人口](17/21)
『農業』 8(34/45)[畑](8/8)
『商業』 9(41/50)[商店](1/9)
『工業』 15(0/90)[鍛冶場](1/1)
ようやく村レベルに達したところ。
人もポツポツと増え、今では十七人に及んでいる。
建物もアルバンの協力の下、人数分以上の建物が建ち並んでいる。
畑も飢えないほどの野菜が育っているので、暮らしていく分には何不自由ない領地にはなった。
ただ、町の中にある商店はバルク商店のみ。
基本的には領の外へ出て、狩りや採取をして生計を立てている人がほとんどだ。
この、のんびりした空気がいいという人もいるだろうが、もっと領地を大きくして行くにはまだまだ足りないものがある。
「そろそろ、料理屋が欲しいところだな」
肉、野菜、魚……。
素材はだいぶ集まるようになってきた。
調味料の類いも、バルクの商店のおかげで少しずつ集まってきている。
そうなってくると、色んな料理が食べたくなる。
「ソーマ様は何が食べたいのですか? 腕によりを掛けて作りますよ」
クルシュが腕まくりをしてくる。
確かに俺一人なら、何も食べるものには困らない。
困らないのだけど――。
「私は魚――」
「大丈夫ですよ。いつも通り、ラーレちゃんには捕ってきた魚で何か作ってあげますから」
「べ、別になんでも良かったのよ。私は」
「あははっ……、ラーレは相変わらずだな。俺も同じもので良いぞ。クルシュの料理はうまいからな」
「そ、ソーマ様……。あ、ありがとうございます」
クルシュが頭を下げてくる。
「いや、俺たちの方が助かっているぞ。なぁ、ラーレ」
「えぇ、そうね。少なくともさっき出て行った二人より役に立ってるわよ」
「あ、アルバンたちも力仕事で頑張ってくれてるぞ。たまに二人で喧嘩してるけど――」
「……たまに?」
「しょっちゅうの間違いだな」
「あ、あははっ……。それじゃあ、私は料理の準備をしてきますね。またできましたらお呼びします」
「あっ、私も手伝うー!」
クルシュの後をラーレが追いかけていく。
残った俺は先ほど思いついた料理屋のことを相談しようと、バルクの商店へと向かった。
◇◇◇
バルクの店は相変わらずの品揃えで、俺の領地にはもったいないくらいだった。
ただ、まぁ……、店に入った瞬間の威圧がなければ――だけど。
「……っす。何……買う?」
強面のバルクが何か小声で言ってくる。
近づかないとその声がまともに聞こえないのに、近づくと巨大な体のバルクに圧倒されてしまう。
実際は声の小さい小心者……なんだけどな。
【名前】 バルク
【年齢】 26
【職業】 商人
【レベル】 3(3/4)[ランクE]
『筋力』 6(98/350)
『魔力』 1(0/100)
『敏捷』 1(49/100)
『体力』 7(64/400)
【スキル】 『馬術』3(74/2000)『商才』1(0/1000)『怪力』2(67/1500)
せっかくの商才が全く生かされていない商人。
それなのに人が良いので、力になりたい……と思えてくる不思議な人物だった。
「いや、今日は買い物に来たわけじゃないんだ。この領地も少しずつ発展してきたから、この辺りでもっと色んな店を増やしたいと思うんだ。バルクの伝手で何か良い人は知らないか?」
「……るす」
「――それならボクの出番だね」
店の奥から小柄な女性が姿を見せる。
バルクの奥さんであるユリだった。
「……かに」
バルクが小声で呟いて頷く。
ただ、今回ばかりは聞き取れなかったので、思わず首を傾げてしまう
「かに?」
「えぇ、ボクなら確かに向いてるって言ってくれたんだよ」
ユリは照れながら教えてくれると、バルクの方もぶっきらぼうに答えていた。
「ユリ、……うまい」
「もう、バルクったら……」
俺は目の前で何を見せられてるんだろうな……。
ラブラブの二人を眺めつつ、呆れ顔になる。
「それより、向いてるってどんな店だ?」
「料理屋だよ」
そういえば、ユリさんって、料理スキルを持っていたんだよな?
水晶を見て確かめると、確かに料理スキルの文字を発見する。
【名前】 ユリ
【年齢】 24
【職業】 主婦
【レベル】 1(1/4)[ランクE]
『筋力』 2(17/150)
『魔力』 1(65/100)
『敏捷』 1(16/100)
『体力』 1(29/100)
【スキル】 『料理』5(317/3000)『鼓舞』1(12/1000)『商才』4(684/2500)
商才もバルクさんより高いところは苦笑しか浮かばないが。
「なるほどな。確かにそれはいいな。でも、この商店は大丈夫か?」
「――っす」
「大丈夫みたいだよ。この領地にいる人だったら、もう慣れてるでしょ?」
確かにバルクがこの領地に来て、それなりに経っている。
この領地の人間ならバルクを避ける人物はいないか。
「まぁ、すぐ助けに入れるように、ここの隣に料理屋を作るか。……アルバンが帰ってきてからになりそうだけど」
「うんっ、わかったよ。それならボクもそのタイミングに合わせて、出す料理とかを考えておくね」
これで一つ、お店を確保だな。
ただ、根本的な解決にはなっていない。
もっと人を集めないとダメだな。そのためにはもっと領地レベルの数字を上げないとな。




