ひとごろし
第58話
叴人は額に手を当てて、思わず溜息を吐きだした。目の前にはぐちゃぐちゃになった頭部と首のなくなった身体。少女と少年の一連のやり取りを見ていたわけではない。叴人が辿りついた時にはその頭は高く跳ねていた。
“ゾンビ”であることは間違いない。けれど、彼女の言う通り二人は友達だったのだろう。あの涙を思い出して、少年の死を悼み目を閉じた。
「見逃すのか? はっ、情でも湧いたかよ」
先ほど少女の背を追おうとしたところ叴人に制された四代は嘲笑うかのように、何やら考え込んでいる上司に言い放った。ゆるりと顔を上げたその表情はいつも飄々としている叴人には珍しく、僅かばかり憔悴しているようにも見える。鬱陶しそうに髪を払えば倦怠感を隠しもしなかった。
「まさか。―――十三、いるんだろ?」
これまた珍しく吐き捨てるような答えの後に出てきた名前に四代が目を見開けば、後ろでがさがさと草木を踏み分ける音がした。振り返れば相変わらずの青白い顔に口の端を歪に持ち上げた男が出てくる。
「き、気づいていましたか。あ、ああ、あの、その、隠れていたとか、そ、そういうわけではなくてですね……。そ、その、出るタイミングがわからなくて、えへ、えへ」
「別に咎めようだなんて思っちゃいないさ。ただ、お前にやってほしいことがあってね」
「や、やってほしいこと? えへ、ぼ、僕なんかに、で、できるのかな……」
忙しなく視線と指を動かす十三を気にすることもなく、叴人は七絆の去った方へと指を向ける。
「先ほどの少女を追ってくれないか。できれば、こちらで『保護』したいんだが、そう容易く頷いてはくれないだろうからね。家まで送ってやるか、せめて衣服の提供くらいは行ってあげて欲しい。あと、“ゾンビ”の血も浴びていたからね、検査もよろしく。十三にはできるだろ?」
「え、えへ、えへへへ」
目を見て優しい声音で促されれば、十三は照れたように気味の悪い笑い声をあげるとぎこちなく頷いた。そして、叴人がそれ以上何かを言う前に少女が向かったであろう方向へと、猫背のままひょこひょこと走り始める。その後ろ姿に叴人は「頼んだよ」とだけ声を掛けた。
「……随分甘いんじゃねぇのか、対応がよぉ」
十三の背が見えなくなってから、叴人の指示を聞いていた四代は低く唸った。明らかにあの少女は『タカ』に反抗していたのだ。たかが小娘程度が歯向かったところで四代たちにとっては赤子の手を捻るよりも容易いことである。けれど、『タカ』に敵意を見せた人間をそのまま見逃すということが問題なのだ。
“悪意”を持って“ゾンビ”を匿ってでもいない限り、『タカ』が一般人に手出しすることは実のところあまりなかったりする。“ゾンビ”に情を移した者をいちいち殺していたら、それこそ人権だとかを声高に叫ぶ団体が増えて『タカ』の行動が妨げられるからだ。四代としては皆殺しにして黙らせた方がいいと思っているが、恐怖政治はいつの時代も手痛い反撃と共に終幕を迎えるものだった。
だが、一線を超えた者にはそれ相応の罰が必要である。『タカ』が連行した人間にどのような措置が取られているかを末端とされる四代たちは知らない。叴人辺りならば知っているだろうかと、叴人の横顔を見るがその瞳は深海のように物静かだった。聞くのも癪に障る話であるし、その後罰を受けた者たちを表舞台で見たことがないので四代は考えるのをやめた。
とどのつまり、この世で『タカ』が下に見られるようなことがあってはならないのだ。庇護下にいたい者は『タカ』に頭を垂れ、敵意を抱く者は粛清される、そういう世界でなければならない。己の崇高な理念が邪魔されるようなことは避けねばなるまい。
ならば、あの少女はどうだろうか。明らかに“ゾンビ”とわかっていながら、その背にあれを隠していた。そもそも最初の通報と場所がこんなにも離れていたのだ。四代も目撃情報がなければ場所が特定できなかっただろう。つまり、七絆と呼ばれた少女は“ゾンビ”の逃亡を幇助していたという証左である。
これは『タカ』の規律への明確な背反行為に他ならない。全て皆殺し派の四代から見れば、叴人の対応は手ぬるいものにしか見えなかった。そもそも十三に追跡を任せることが気に食わない。おそらく四代を差し向ければ殺すとわかっているための判断であろうが、あの『タカ』の中でも無能と名高い男に獲物を掻っ攫われたようで腹が立った。
何より、その判断をした目の前の男に。
「生方執行官」
叴人が口を開きかけた時、その背にぞっとするほど温度のない女の声が掛けられる。気配を感じ取れなかった四代は一瞬だけ肩を揺らしたが、叴人は慣れたものでにこやかに振り返った。
「毎度申し訳ないね、『カラス』のきみたちにも」
「そんな言葉を聞きたいわけではありません。今回の件、予め『Schisma<シスマ>』の使用許可申請が政府に提出されていませんが、何か申し開きはありますか。また、発見時の報告が行われておりませんが、それらを含めて今回の処理に関しての簡単な報告をお願いします」
叴人の穏やかな対応を切って捨て、黒いフードを目深に被りペストマスクをした女は懐から聴取書を取り出した。その背後では他の『カラス』が散らばった死体を掃除していく。
「『Schisma<シスマ>』の使用に関しては緊急性が高いものだったからね、申請をしている暇がなかったんだ。今回の件は市民からの通報によるもので、生田執行官とともに現場へ急行し、潜在型の有疵性無死症候群患者を処理した。その他、特に変わりはないよ。より詳しいものは後で報告書を提出するから、この程度でいいかい?」
「……承知しました。無貌長官にはそのようにお伝えいたします」
「よろしく頼むよ」
肩に伸ばされた叴人の手をひらりと躱すと、女は一礼して去って行った。早々に掃除が終わったのか、他の『カラス』たちもそれぞれ荷物を持って女の後に続いていく。残されたのは元通りに広がる大地だけだ。そこには先ほどまで横たわっていた死の存在すらなかった。
ふと、叴人は目を細める。何とも呆気ないものだと思うのだ。あれほど人類に恐れられている異形は引き金を引くだけで肉塊へと変わる。為す術もなく狩られるばかり。否、これはもはや狩りとも言えないだろう。
一方的な暴力であり、ただの虐殺だ。人の形をしたナニカを殺すばかりだった。
そして、それは執行官である生方叴人の仕事でもあるのだ。彼の家族である、『タカ』たちの仕事でも。
感慨に耽っていた叴人の思考を引き上げたのは、唐突に胸倉を掴み上げた手だった。叴人より少しばかり背が低い四代は下から睨みつけている。その眼光の鋭さは野生の狼の如きもので、そんなことを叴人は能天気に考えていた。
「なんでまた俺を庇った。あの聴取にどれだけの真実があった? ……発見時に報告しなかったのは俺だ。『Schisma<シスマ>』の事前申請もわざと行わなかった。そんなまだるっこしいことに時間を割きたくなかったからな」
「申請なんて音声入力だけだろ? 形だけのものなのにせっかちさんだなぁ、よよちゃんは」
「『カラス』の連中に言えばよかっただろ。『俺は関係ありません。生田執行官の独断専行によるものです』とでもよ」
「そんなこと言ったとしても、お前の上司は俺だよ。結局は回り回って監督不行き届きとして俺が責任を取ることになるさ。それだったら最初から自分のせいにした方が楽だろう? まーったく、よよちゃんには本当に困らされるよ。そんなんだからチームに入れてもらえなくて、俺とバディを組む羽目になるんだぞ。俺のことを少しだけでも思ってくれるんなら、もうちょっと大人しくなってくれませんかねぇ。流石に始末書を書くのも飽きてきたぜ」
そう言って叴人はからからと明るく笑った。深海のように沈んでいた瞳は翳りもなく、いつも通りの色合いだ。いつもどおり、何を考えているかわからない、薄っぺらな笑顔を張り付けて。
四代はその軽薄な態度にいつだって苛立つのだ。何を考えているかわからない、この男が吐き気がするほどに嫌いだった。
「ぺらぺらとよく回る舌だな。そのふざけた喋り方をやめろ。腹が立って殺したくなってくる。……あんな(、、、)のの死を悼んだって意味ないだろ。俺たちが何のためにここに立ってんのか忘れたのかよ」
「……忘れちゃいないさ。でもね、よよちゃん。ただ憎しみだけで殺したところで何も解決はしないんだぜ。上から命令があったからって、ワンワンと大人しく付き従う気にはなれないよ」
「俺はあんたが理解できない。俺たちみたいなのがこうやって真っ当に生きられるのは、あの人が面倒を見てくれたからだ。あんたはそれに背くのかよ。これまでのことだって、あんたはいつだって俺たちの真逆を行く」
「わかった。わかったから、この話はここまでにしよう。俺とお前じゃ考え方が違うからね。こんなところで線のない話をしたって、それこそ意味がないだろ。お前が俺のことを気に食わないのはずっと前から重々承知のことさ」
話を大げさに遮った叴人に四代は舌打ちをもって返すが、彼は気にした素振りもなく飄々と躱した。四代はもう一つ舌打ちを残して、叴人の胸元から手を離した。叴人は胸元に寄った皺を軽く伸ばすと、懐から煙草を取り出して流れるように火をつける。ふぅっと白煙を吐き出すその表情に憂いなど見えそうにない。
けれど、その頭の中では様々な考えが巡っていることを四代は知っている。それが四代に吐き出されることは恐らくないだろう。これまで一度も誰も頼らずふらりふらりとしている彼のことだ。『タカ』の誰も使わずに自分だけで調べ上げて、ひとりで納得して行動するのだろう。
昔からこの男はそうだった。四代が『ヒナ』に引き取られてからずっとこの男は四代の兄であったが、一度も自分たちを頼ったことがない。それはどんな些細なことであっても、だ。
「俺はあんたが嫌いだ」
「そりゃ手厳しい。まぁ、俺もお前に好かれているとは微塵も思っていないけどね」
「あんたのその態度が気に食わない。はっきり言って、なんで俺が手前なんかと組まなきゃなんねーんだって思う。1班は無理でも、2班辺りにゃ入れただろ」
「さっきも言ったろ。お前の独断専行が目に余るんだよ。俺が大ベテランでお前の手綱を握れってこと」
「1班なんて独断専行の奴しかいねぇだろ。『ヒナ』での仲良し集団を集めて何がしたいんだか」
「それでも彼らは優秀だよ。いつだって最上の結果をもたらしてくれるからね。兄としても鼻が高いぜ」
「それは手前の『不殺』を上回るほどのものなのか? ……俺と組んでからとあんたは一度も銃を抜いていない。そろそろお咎めもらってもいいころじゃねぇのかよ」
「……さあね」
「チッ。その態度が気に入らねぇんだよ。『ヒナ』の奴らが家族に固執して、あんたが上辺だけ家族面をしているのが何よりも反吐が出る。あいつらの前じゃにこにこ笑って甘い言葉で唆して。一番家族なんてものを信じてないのはあんたの癖に」
吐き捨てるようにそう口にすると四代は叴人に背を向けた。彼がどんな顔をしているかも知らないで、少しでも早くこの場を去りたいとでも言うかのように足を動かす。そのまま一度も叴人を顧みずに森から去って行った。
取り残された叴人は耳が痛いくらいの静寂の中で一人立っていた。ただ煙草を咥えて、白い煙が空に溶けていくのを眺めている。
四代の言った言葉は真理だろうと思う。結局のところ、叴人はだれも信用していないのかもしれない。信用だとか、信頼だとかいう言葉は遠い昔に置いてきた。懐古の念が湧かないほど奥深くに。
信じたくないわけではない。信じられないわけでもない。けれど、彼らは信じるに値しないのだ。愛してはいるけれど、庇護下に置きたいけれど、それだけだ。叴人と彼らの思考には大きな差があり、叴人は彼らを裏切り続けている。いつかこの秘密が露呈した時にはきっと生きてはいけない。
ふうと息を吐けば、煙なのかそれとも白い息なのかわからないものが出ていく。肺が膨らんで萎んで、心臓が脈を打つ。人はそれを生きているというのだろうか。心音がなくて、体温がなくて、けれど人であるという意識を持った化け物はどうすればいいのだろう。意志の疎通ができて、こちらに向かって白旗を振ったまま微笑むような生物をどう思えばいいのだろう。
それを“人間”と呼んではいけないのか。
その手を握り、その体躯を抱きしめて、友と呼んではいけないのか。
もし、目の前で最愛の人が怪物になったら、もう“人間”と思ってはいけないのか。
叴人にはそれがわからない。
だから、その太腿のホルスターに刺さったままの銃を抜けないでいるのだ。四代が言ったとおり、叴人はただの一度を除いてそれを使ったことがない。『不殺』とは名ばかりで、ただ殺せないでいるだけだ。上層部には大目に見てもらっているが、他の執行官であれば大目玉を喰らうだろう。
そんなことは知っているし、自身の立場が常に悪い理由の一つがそれであることもわかっている。それでも抜けないのだ。
生方叴人にとって、その最初で最後の一撃は身を切るほどの苦痛に満ちたものだった。今でも鮮明に思い出せる。肉の焼ける臭いと噎せ返るほどの熱さ。震えた銃口の先には叴人が討つべきものがいる。けれど、涙でぼやけて標準が定まらなかった。それでも、その人の為だけを想って引いた引き金は呆気ないほどに軽かった。その先で飛び散る命だって。
撃てと言われれば撃てる。家族を、否、彼を守るためならば、引き金はいとも容易く引けるだろう。叴人は引き金を引けないのではなく、引かないだけで、それは単なる我儘なのだから。
実際にあの時、少女に得体も知れない恐怖を感じた時には、実際ホルスターから銃を抜いていた。ただ、あれ以上動いたら殺されるかもしれないという緊張感から動けなかっただけだ。その時に一瞬だけ、四代が彼女を殺してくれていればよかったのにとどす黒い感情に浸った。“人間”を自分が撃つくらいなら、撃てる人間が撃ってくれればいいのにと、そう思った。あの恐怖が一体何だったかは未だにわからないが、そう思ったのだけは確かなことだった。
はっと思わず自嘲の笑みが漏れる。何が可愛い家族だ。何が愛だ。ずっと昔に彼らを兵器に仕立て上げたのは己自身であるのに。決定権がなかったとしても、叴人がいなければ今の組織は成り立たなかった。いつだって誰かの可能性を奪ってばかりの人生だ。
そこまで考えて、叴人は頭を振った。過去のことを考えたところで何かが変わるわけではない。変えられるとしたらそれは未来だけだ。それすらも不確定ではあるが。
赤く染まった彼女を思い出す。友を想って泣いた彼女はまるで人間のようだった。いや、きっと人なのだろう。正しく、間違いようのないくらい優しいヒトなのだろう。
髪を掻き上げて、瞳を閉じた。冷たいくらいの空気がいやに心地よい。気づけば咥えていた煙草の先端は唇の方へと迫ってきていた。それを携帯用の灰皿に突っ込むと、叴人は深く息を吐いた。
「ひとごろし」
自分の口から音にしてみせると、存外それは軽く聞こえた。
あの時、泣きながら返り血に濡れた少女はそう言った。となれば、彼女が抱えていた頭の主は人であったことになる。世間では違ったとしても、彼女にとってはそうだったのだ。
ふと先ほどまで少年の死体があった場所に目をやれば、何かが落ちていることに気がついた。完璧主義者の『カラス』にしては珍しいこともあるものだ。叴人は木の根元に落ちていたそれを拾い上げた。
青い色の液体が入ったアンプルだ。それは叴人もよく知っているもので、潜在型が人に溶け込むためには必要なものだった。少年がこの偽造薬を買っていたということは、彼自身が使うか、もしくは誰かに渡していたのだろう。けれど、それは結局誰の手に届かないまま、叴人の手の中を転がっている。
「これは、届けられなければ意味がないだろ」
ぽつりと落ちた叴人の声にはどこまでも悲哀が含まれていた。まるで自身のことのような響きだった。遺された誰かがいるという事実が胸を抉るようだ。
これを放っておくわけにもいかず、叴人はポケットに偽造薬をねじ込んだ。そろそろ本部にどやされそうだと歩き始めれば狙いすましたかのように端末が鳴る。てっきり十三からの報告かと思ったが、その画面に映った名前は彼ではなかった。
『叴にぃ! 聞こえてますか! にこですよ!』
鳴らしっぱなしもよくないので、叴人が早々に電話に出れば明るい声が耳に飛び込んでくる。思わず端末を耳から離し、端末の向こう側―――桐生にこに苦言を呈した。
「あのねぇ、にこ。俺もお前も仕事中なの、わかる? お前今本部にいるだろ。その呼び方は今はだめだぞ。上層部の誰かに聞かれてみろ、また俺が叩かれちゃうよ」
『そんなこと言いながら、自ら率先して四にぃのことよよちゃんって呼んで問題起こしてるの、にこ知ってるんですからね。それっぽく叱られても何にも響きませんよ……って、そうじゃなくて! 大変です! 緊急事態です!』
「わかった! わかったから、もう少しマイクから離れなさい。俺の耳を潰すつもりなのかなぁ? ―――で、緊急事態って? 用件を早く伝えなさい。俺から離れてる間によよちゃんがまた何かやった?」
『そうじゃないです! 今追っている白い髪の男が発見されたんです! いつもみたいな偽物じゃないと思います。4班が追跡中ですけど、数名怪我を負っていて。叴にぃと四にぃにも応援をお願いします! ……って、四にぃいないんですよね?』
「いない。四代はこっちで回収していくから、場所だけでも教えてくれ」
『お、早速お仕事モードですね! 座標は端末に転送しておきますので、アシ、すぐに回しますね!』
「よろしく頼む」
叴人が通話を切れば、すぐに端末へと座標が送られてくる。確認すればここからそう遠くない。片手で端末を操作しながら、耳元のインカムで四代を呼び出せば、不機嫌そうな声が聞こえてきた。先ほどまでの出来事が尾を引いているのだろうが、こちらはそんなことに構ってはいられない。
「『目標』を4班が補足した。俺が合流するがその場を動くなよ」
手短にそう告げれば、やけに好戦的な声が聞こえてくる。待てができるかはわからないが、迎えに行くほかない。四代の位置を確認しながら走り出そうとして、―――やめた。やめたというよりは急に足が動かなくなった気がした。気がしただけで、叴人の足は普通に動いている。今もゆっくりと前に進んでいる。
けれど、四代の声を聞いて、その途端に罪悪感が湧いた。結局のところ、『タカ』は“ゾンビ”への憎悪を燃料として、殺戮を行うだけの兵器だ。そして、それをさせているのは叴人に他ならない。そういう風に作ったのは自身以外に誰がいるというのだろう。
今更罪悪感を抱くような自身に嫌気が差す。どうせ未来なんてものも変えられやしないのだから、他者に願いをかけるようなことは非生産的だ。今までもそうやって生きてきたのに、あの少女と出会ってから感情がよく揺れ動いてしまう。諦めたものが息を吹き返そうとしているのを妨げるように、叴人は無理矢理足を動かした。
きっとこの先には何もないのだと思えれば、走り出せた。
どうせこの身は作りものの命でしかないのだから。
仕事が忙しいッッッ!!!!!!!!!!
のんびり書いていきますとも……。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。




