おっさんニートと人生リベンジ
あれ? 俺は悠の字は母親の好きな俳優から取ったと聞いてますが……確かにおばあちゃんの一字でもあるけど……。
2人が帰った後、おばあちゃんの意外な一面を見て少しショックを受けた俺は取り敢えず1階のキッズコーナーに行った。積み木を積んでいる幼女の近くにあるソファーに座り色々な事を考えた。
俺はこのまま母親として生きて行くのか? 自分に子育てなんか出来るのか? 目の前にいる幼女は何歳か? 親父と祖母が別人に見えるのは何故か? 目の前の幼女のパンツは何色か? 45歳の俺の体は無事なのか? 目の前の幼女の頭を撫でたい……。
そして、俺はある重大な決心をしたんだ。
自分を医者か弁護士に育てて人生リベンジしたろ!
俺はそう心の中で叫ぶと目の前の幼女の頭を撫でてその場を後にした。まずは、赤ん坊にとって最高の環境を整えるのだ。
病室に戻ると直ぐに田中が血圧を測りにやって来た。
「昼食前の血圧測定の時間です」
シュッコ、シュッコ、シュッコ、シュー、ピーピー
「上が160、下が90!? 高い! 谷さん、何か興奮するような事でもしました?」
「全く記憶にございません」
「どうしたものかしら、血圧は降圧剤で何とかなるけど尿淡白がまだ1000台なのよ。赤ちゃんと一緒に退院できるといいけど」
えっ? 母親が赤ちゃんと一緒に退院できないなんて事もあるの?
まあいいや、今日の昼食なんだろ? 昼食食べたらまたキッズコーナー行ったろ。
俺は昼食が運ばれて来るまでの間母親のスマホで育児に関する記事やエッセイを読み漁った。勿論、子供の知能を高める方法が書いてあるモノを中心にだ。
兄弟全員を難関大に入れた母親のブログ、母乳育児による知能発達の研究、世界幼女大全集、子供の睡眠時間と知能指数についての統計、無料エロ動画、天才をつくる知育玩具、大人の玩具……。
45年間の人生でここまで必死に調べものをした事なんてあっただろうか? 必ず人生リベンジしてやる!
「昼食お運びしました~」
よし! 腹ごしらえだ!
オギャア、オギャア、オギャア
あっ! 忘れてた。 おっぱいかな?
「よーし、よーし。たんと飲めよ」