おっさんニート初授乳_3
「あら威勢がいいわね。高血圧気味だから手加減してあげるつもりだったけど」
構いません。好きなようにしてください。
「それじゃいくわよ」
グッ! グッ!
助産師は親指に力を入れて乳房をグッ、グッと押し始めた。
な~にまだ全然余裕♪ あはぁ~ん
グッ! ギュー! ギュー!
今度は力を入れた親指を、押したまま乳首に向かって滑らせる。
な~にこのくらいの痛みならまだまだ余裕♪ あははぁ~ん
ギュッ! ギュギュー、ギュギュギュー!
んっ?
ギュギュギュギュー! ギュギュギュギュー!
んんっ!?
ギュッギュッギュギュー! ギュギュギュギュッギュー!
「ギャアアアアアァアアァア!! 止めて、止めて! 止めてください!! 痛いです、痛いです!!」
「何言ってるの? 陣痛と比べれば屁みたいなもんでしょ。我慢なさい!」
ギュギュギュッギュギュー! ギュギュギュッギュギュギュー!
「止めて、止めて、乳もげる! 乳もげますったらギャアアアアアァアアァア!!」
ギュー! ギュー! ギュギュギュギュギュギュギュッギュー!
「あっ! ほら母乳出てきたわよ」
痛みで朦朧としながらも自分の乳首を見ると、黄色いクリームがかった液体が滴りでていた。
「良かったね、これで赤ちゃんに初乳あげられるわね」
「はぁ……もう勘弁してください…………」
その日の夜、俺はアザだらけの乳房をアイスノンで冷やしながら眠りについた。
まともに眠れる最後の夜になるとは露知らず。
「おはようございます! 朝の血圧測定の時間です!」
朝の7時、看護士の田中が血圧を測りにやって来た。赤ん坊入りのコットも一緒だ。
シュッコ、シュッコ、シュッコ、ピー
「上が140、下が70。谷さん血圧もだいぶ下がったし、おっぱいも出るようになってきたんでしょ? それなら赤ちゃんと終日同室で大丈夫ね」
終日同室だと!?
「それじゃあ赤ちゃん置いていくわ。授乳の間隔は4時間以上あけちゃダメよ。オムツも今日から自分で取り換えてね。昨日教えたからできるでしょ?」
ちょっと待って、待ってください! いたいけな赤ん坊を45歳きもオタおっさんニートと二人きりにしないでください!
「赤ちゃんの沐浴は9時よ。忘れないで新生児室に連れて来てね。その時間にママもシャワーを浴びて来ればいいわ」
「それって、沐浴の時間以外は赤ちゃんと一緒と言う事ですか? 夜もずっと?」
「そうよ。頑張ってママ」
ブビッ! ブビビッ!
「ほら、早速やったみたい。オムツ交換してあげてね」