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おっさんニートと3,4ヶ月健診_2

「谷く~ん、谷悠人くん!」


「はい、はい! 谷です!!」


 急いで中待合室へ向かう。健診の待ち時間は長い、後回しにされると後2時間は待つ事になるだろう。


 3,4ヶ月健診の内容は簡単な問診と、身長体重測定だ。生後5ヶ月になれば離乳食が始まるので、希望者は栄養指導が受けられる。


「すみません、看護師さん。栄養指導の申し込みって、まだ出来ますか?」


 本当は受付の段階で申し込まなくてはいけなかったのだが、駄目もとで聞いてみた。時間がかかれば心愛ちゃんも諦めるだろう。


「次の回の栄養指導なら定員割れしてますよ」


「それなら申し込みお願いします」


「谷悠人くん、診察室へどうぞ」


 栄養指導の申し込みを済ませるのと同時に健診の順番が回ってきた。


「身長も体重も順調に増えてますね」


「おかげさまで」


「ヨダレはどうです? いっぱい出てますか?」


「はい大量です」


「おや、可愛らしいスタイですね。手作りですか?」


 赤ん坊は、離乳食が始まる少し前から唾液の分泌が増える。この子も例外ではなく、1日に何回もスタイを取り換えていた。我が子のスタイは、全て叔母さんの手作りだ。スタイはヨダレや吐き戻しで直ぐに汚れる。洗っても中々臭いが取れないので、叔母さんは時間を見つけては新しいスタイを手作りしてくれていた。その分、俺の服が無くなるけど……。


「もう寝返りしますか?」


「いいえ、まだなんです」


「それじゃ、ちょっと引っ張り起こしてみようか」


 医者はそう言うと赤ん坊の両手を掴み、上半身を起き上がらせた。


「………………」


「……先生?」


「……ど、どうかな最近? 夜泣きとかする?」


 今までの和やかな雰囲気が一瞬で重くなる。


「今度はうつ伏せにしてみようかな。コロンっと」


 キャイッ!!


 うつ伏せにされた赤ん坊はびっくりしたようで、今までに聞いた事の無い声を出した。


「ちょっとだけなら持ち上げるんだね」


「あの……先生、もしかして首の座りが遅いんですか?」


「まあ、この位ならちょっと遅れてるくらいかな」


「それで、そんなに深刻なんですか?」


「看護師さ~ん! この子、頭位何cmだったの?」


 医者は、看護師から俺の母子手帳を受け取ると首を傾げた。


「お母さん、はっきり言っちゃいますけどね。この子、標準より頭が小さいんだよね」


「……障害があるって事ですか!? 産まれた時は、何も言われませんでしたよ」


「う~ん……グレーってとこかなぁ」


「先生!?」


「よし! お母さん、また来月再健診だわ。予約取っておいて」


 再健診と言われた瞬間、産婦人科の内診室の前でトップ○○卿に言われた言葉が頭をよぎった。


「ありがとうございました」


「あっ! ちょっとお母さん!! 予防接種を忘れてますよ」


 俺は一言礼を言うと、診察室を急いで後にした。


「思ったより早かったね」


 出入口の前で心愛ちゃんがニヤニヤしながら待っていた。


「さあ、行きましょう! トップ○○卿を成敗しに行きましょう!!」

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