おっさんニートと夜泣き_3
親父が服の間から手を入れて、体をまさぐってくる。おっさんがおっさんの体をまさぐる。
「ごめんなさい今日は疲れてるの」
「大丈夫、僕が元気を注入してあげるよ」
「ヒイイイイィッ――――!!」
とうとうブラの間から手を入れて、直に胸を揉んできた。おっさんがおっさんの胸を揉みしだく。
「やめてーー! イヤアアァアア!!」
親父から逃れようと、俺は体を思いっきり捻った。しかし、親父は両足を俺の腰に巻き付けて逃すまいと拘束する。おっさんがおっさんを抱きしめる。
「美保り~ん」
「ヒギイイイィィィィ!!」
背筋に悪寒が走る。親父はますます興奮して俺の耳たぶに吸い付いてきた。俺の脳内では、おっさんがおっさんの耳たぶに吸い付いている凄まじい光景が展開されている。
「親父やめてくれ! 俺はお前の息子なんだよ!!」
意を決して親父に告白した。俺の操さえ守れるなら後はもう、どうにでもなれ。
「うんうん僕の息子が欲しいんだね♪ 美保りーーーーん」
「ギャアアァアーーーーーー!!」
胃の中の物が逆流してくる。親父への怒りと憎しみが頂点に達し頭の中か真っ白になる。
「もう……やめ……うっぷ……」
ウギャアアアァァ、ウギャアアアァァ、ウギャアアアァァ
(助かった! ナイス俺!!)
「悠くん!」
親父は起き上がると一瞬俺の顔を見たが、小指をしゃぶりながらベビーベッドを覗きに行った。
「よちよちよち、どうちまちたか?」
ウギャアアアァァ、ウギャアアアァァ、ウギャアアアァァ
俺は暫くの間、放心状態で赤ん坊をあやす親父を見ていた。
「……あなたは明日、仕事なんだから先に寝て」
「でも……」
親父から赤ん坊を受け取ると、俺は1階の風呂場へ行き換気扇を回した。不思議な事に、この子は風呂場の換気扇を回すとぐずりはするがウギャー泣きは収まる。
「あら、こんな所に居たら風邪引くわよ」
換気扇の下で赤ん坊をあやしてたら、おばあちゃんに話し掛けられた。
「でも、ご迷惑になってしまうので……」
「何言ってるの? あなた達が風邪を引いてしまった方が迷惑よ」
(……おばあちゃん)
「ほら、このおんぶ紐とねんねこを使いなさい。冬の夜泣きにはこれよ」
「お義母さん……」
「懐かしいわね。私も修くんがこの位の時には、毎晩悩まされたわ。夏は私と修くん、2人っきりで真夜中にドライブ。冬はおんぶ紐とねんねこで家中を徘徊していたわ」
「このねんねこ、わざわざ買って来てくれたんですか?」
「悠人ちゃんと私のためよ。これ以上、寝不足が続いたらたまらないわ」
渡してくれたおんぶ紐で赤ん坊を背負うと、おばあちゃんがねんねこを着せてくれた。とてもあたたかい。
(おばあちゃん……やっぱり優しい……)
「さっ、おんぶだから両手が空いたわね。明日は廃品回収の日だから新聞と雑誌をまとめておいて。あと、こんな時間に起こされて小腹が空いたから、ホットケーキとレモネードを作ってちょうだい」