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おっさんニートとお買い物

 急いでリビングに戻ると、赤ん坊が母乳を吐いて泣いていた。俺は、赤ん坊の顔を横向きにして背中をさすってやった。


 プルルルル、プルルルル……


「はい、もしもし」


「もしもし美保さん。悪いんだけど、近所のドラッグストアでオムツを買って来てくれる? 後1日分位しか無いと思うの。ポイントカードと、健やかパスポートはエコバッグの中に入れておいたから」


「嫌です。まだラッパ教徒とモグルトさんが近くに居るかもしれません」


「何言ってるの? 悠人ちゃんの外気浴がてら、少しくらい外に出なさい!」


 ベビーベッドの下にあるオムツボックスを確認すると、1日分どころか3枚しか残ってなかった。未開封のストックも無いので結局買いに行かなくてはいけない。


(そう言えば休日だ。お菓子も沢山買ったろ)


【健やかパスポート】とは、市が妊婦及び中学生以下の子供が居る保護者に発行している子育て支援カードだ。このカードを持っていると、協賛企業で買い物やサービスを受けた時に割引されたり粗品が貰えたりする。今から行く亀首ドラッグでは、休日と祝日のみ5%引きとなる。


 2階の窓からラッパ教徒とモグルトさんが玄関付近に居ない事を確認すると、赤ん坊をスリングに入れて意気揚々と外出する。そう言えば、外に出たのは退院した日以来だ。


(はー……。そういやもう1ヶ月半か……)


 9月の初旬に赤ん坊を産み、色々あって退院が10月初め。それから新居に移って、早いもので半月が過ぎようとしている。

 小さめに産まれたこの赤ん坊も最近むっちりしてきた。


(よし! 今日からオムツをSサイズにするぞ)


 ベビー用品売り場でオムツをゲットした俺は、目についたお菓子を次々と買い物カゴに入れていく。


(そういや漫画やエロ本も割引の対象になるんかな?)


 雑誌コーナーの前で少し悩んだが、取り敢えず買い物カゴの中に入れてレジへ向かう。

 健やかパスポートは素晴らしい。このカードは一度発行されたら期限内まで家族皆が使える。それどころか、確認しようがないので他人さえ使えるだろう。勿論、不正はいけない。


 お目当ての物を全てゲットした俺は1番空いている左端のレジに並んだ。


(あっ! 元木だ!!)


 偶然にも俺の前に並んでいたのは元木だった。赤ん坊は旦那と留守番でもしているのだろうか? 1人で大量の養○酒とチョコレートを買い込んでいる。


(食べ合わせ悪っ! 授乳中だろうに養○酒飲んで大丈夫なのかな? 完ミ派か?)


「元木、久しぶり元気にしてた?」


「あら、誰かと思ったらアンタか」


「赤ちゃんは旦那さんと留守番かな? 元気?」


「…………」


 元木は健やかパスポートを提示しないまま会計をしようとしている。


「あれ? 元木、健やかパスポート提示しないの? 養○酒は対象か知らんけど今日は5%引きになるよ」


「…………」


「んっ? どうした?」


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