おっさんニート血圧200
オンギャア! オンギャア! オンギャア!
い、いったい俺の身に何が起きているんだ……うっ頭が痛い……意識が朦朧とする…………
「おめでとうございます!! 元気な男の子ですよ」
えっ……俺は元々男の子ですが……?
「はーい胎盤出るよ~」
何?、何?……彼等は何を言っているんだ…………
「悪露の始末を少ししたら終わりだからね」
ダメだ……頭が割れるように痛い……たす……け……
「あっ!! ちょっと谷さん! 谷さーん!?」
「先生大変です!! 血圧、上200です!!」
俺は死ぬのか? 目の前が真っ暗だ。
せめて最後に肉じゃが食べたかった……
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ああ、俺の人生ろくなもんじゃなかったな。生まれた家は貧乏オンボロ田舎の一軒家、風呂は未だにガス釜で、俺は45歳のきもオタニートで童貞。
糞っ、みんな、みんなあの糞ババアのせいだ……
「おはようございます谷さん。朝の血圧測定の時間です。今日から担当になります田中です。宜しくお願いします」
んっ、朝か? でも薄暗いぞ。それよりも俺はまだ生きているのか!?
「……あの。俺ってどうなったんですか?ここは病院ですよね?」
「えっ、えっと谷さんは先週の検診で尿淡白と血圧で引っかかって管理入院したんですよね?」
うむ、確かにあんな生活してたら尿淡白も出るし血圧も高かろう。つまり今までのは夢で、俺は自宅で倒れて入院していると言う事か。でも検診て何だ?
「それで予定より早く促進剤を使って出産なされたんですよね?」
促進剤、出産!? 俺はいったい何を産み出したというんだ!!それともやはりここは夢の世界か!? それなら……
「分かった! 分かったぞ! とうとう俺は生み出したのだ。異世界の王となる不死の子を!! 俺は最上位の魔法使いとなったのだああぁああアアアアアァアァァァァァァァアァァ」
「ちょ、ちょっと谷さんどうしたの!? 誰か、誰かああぁ!!」
「んっん~♪ どうしたね? 他の患者さんも居るんだから静かにしなさい」
「先生! 谷さんが変なんです」