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おっさんニートと最後の夜

  俺と親父でおばあちゃんを宥めていたら面会終了時間を知らせるチャイムが鳴った。この病院では面会終了時間の一時間後が消灯時間だ。


(あ~、結局元木と話すチャンスが無かったな。流石にもう遅いし、明日の朝お礼を言ってから移動の準備をしよう)


 ワ―――! ワ―――! 始まりました。世界陸上男子100メートル決勝、予選で自己最高の9秒77を叩き出したマンコールは、主要大会での初のメダル獲得となるでしょうか? おっと、観客席では父親のチンポール監督が…………。


(心愛ちゃん世界陸上見てるのか。テレビの音量下げてくれないかな)


 ぐぉー、ぐぉー、ぐおおおぉぉおおぎゅるるるる~……キュッ、キュッ、キュッ、カリッコリコリ…………うっ……ゴホゴホゲッホゲッホ………………。


(井上さんイビキと歯ぎしり凄いな~。これ絶対最後無呼吸になってるでしょ?)


「ナンミョウホウレンゲッキョ……ナンミョウホウレンゲッキョ……ゲッキョ、ゲッキョ……ハア、ハア、ハア、○○先生、○○先生……」


(うっわ~)


 ガチャ……ガサゴソガサゴソ……クッチャクチャクチャクチヤ……。


(大平大明神、また何か食べてる)


 クッチャクチャクチャクチヤクッチャクチャクチャクチヤ……ガリッ……オギャア、オギャア、オギャッ……バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ……クッチャクチャクチャクチヤクッチャクチャクチャクチヤ…………。


(ナンミョウホウレンゲッキョ、ナンミョウホウレンゲッキョ、鎮まりたまえ鎮まりたまえナムナム……)


 ピーピーピーピーピーピー。


(あっ、誰かの点滴が切れたんだ)


 ピッ、ピッ、ピッ、プルルルル、プルルルル、ガチャッ。


「すみません、点滴の交換お願いします」


(元木かあ。寝る時も点滴刺しっぱなしって辛そうだな。熟睡出来ないよね)


「お待たせしました。元木さん、点滴を換えるついでにドップラーで赤ちゃんの心音を聞かせてね」


「……はい」


(あれ? 元木ちょっと元気ないな。眠いんかな)


「あら、今少しお腹張ってますね。痛くないですか?」


「痛くは無いです」


「では、心音を聞いてみましょう」


「…………あれっ? おかしいなあ……」


「………………機械の故障かしら?」


「………………」


「ちょっと待っていてくださいね。別のドップラーを持ってきます」


(ちゃんとメンテナンスしてるんかいな? うぅ、眠たくなって来た。おやすみ元木いい夢見てね)

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