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おっさんニートの心の変化

 その日の夕方、赤ん坊がNICUからGCUに移ったと連絡が入った。


 赤ん坊との面会を果たした親父とおばあちゃんは今後の治療方針の説明を病院側に求めた。病院の応接室ではおばあちゃんとトップ○○卿の攻防戦が繰り広げられていたそうだ。


「昨日の今日の出来事なのに、もう集中治療室を出るんですの?」


「んっん~♪ 回復室に移れたと言うことはそれだけお孫さんは安定していると言う事です。喜ばしい事ですなぁ」


「まさかNICUのベッドに空きが無いから回復室に追いやったとかじゃないでしょうね?」


「かつて同じ症状で緊急外来で来た患者は5日で退院してましたなぁ・・・。お子さんにとって一番の環境は家庭であります。小児科の方針では、容体が安定しだい出来るだけ早くご家族の元へ帰す事にしております」


「んっまぁ―――! もっともな事を言っているつもりでしょうけど(ワタクシ)は騙されませんわよ。あなた、某顔の付いた機関車のアニメに出てくる商売人の顔をしていますわ」


「小児病棟と我々では同じ系列とは言え経営方針は異なります。私が小児科の方針に口を出す事はできません」


「ならば小児科の責任者を出しなさいよ」


「赤ちゃんは恐らく数日で小児科からコチラヘ移動して来るでしょう。その後は私が全責任を負います」


「あなた私の要求をのらりくらりとかわしてますわ。じゃあ退院後に何かあったら全責任を取ってくださいますのね」


「退院後の責任は保護者が負うものです。しかし、こちらでは保護者様の不安を解消するためにベビーセンスやベビーモニターの貸し出しをしております」


「それがお宅でできる精一杯ですか?」


「レンタル料、月2万円です」


「んっまぁ――――――――!!やっぱり悪どい商ばいにくぁwせdrftgyふじこlp・・・」


「ママ――――――――――――――ん!?」


 ところで、結局俺は親父とおばあちゃんに説得されて病室を移る事になったんだ。2人がちゃんと母親の事を心配してくれていた事が嬉しかった。


 今夜が大部屋で過ごす最後の夜になる。明日の夕方には別のフロアに移動するので、その前に元木にお礼を言いたかったのだか中々チャンスが掴めぬまま夕方になってしまった。


「元木さん、夕食前のNSTです」


「は~い」


 ドッドッドッドッドッドッ、ドックン、ドックン、ドックン・・・


「はい、赤ちゃん元気です。でも、ちょっとお腹の張りが多いかな」


「後1週間で正期産に入るはずですが・・・」


「そうね、なら前駆陣痛が始まってもおかしくないわね。ウテメリンこのままの量で大丈夫かしら? 先生に相談するわ」


 今日も元木の赤ちゃんが元気そうで良かった。もう直ぐ出産なんだ。今度は元気な赤ちゃんが産まれますように・・・。

 その頃の俺は自分でもビックリする程、他人の幸せを願えるようになっていた。


「美保り~ん」


「あれ? おやっ、あなたまだ居たの?」


「ビックニュースだよ。僕、家を買ったんだ」


「えぇっ!? 相談も無しに」


「だって10月になったら消費税が上がっちゃうだろ? 中古だけど保育園も小学校も徒歩圏内で子育てには最適な場所だよ。月々の支払いは7万弱、アパートの家賃と駐車場代を支払うより安いじゃない」


 バカ野郎! お前はローンを払い終える前に死ぬんだよ!


「あなた、それなら団体信用生命保険に入ったらどうかしら?」


「んっまぁ――――――! それってうちの修くんが早死にするって言ってるの!!」


 あっ、おばあちゃんも居たんだ・・・。


「お義母さん、これは万が一の事を考えてですね・・・」


「んっまぁ――――――! んっまぁ―――――――!! だまらっしゃい! この田舎者の高血圧薄情くそよめくぁwせdrftgyふじこlp・・・」


「ママ――――――――――――――ん!?」

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