04話 王の頼み (改)
本来、3話の内容にする筈でしたが、長くなりすぎたので分割しました。
ー大きい。とにかく大きい。ナドニウス国王の城、城というかアメリカのホワイトハウスに似ている。
ナドニウス国王って、俺が思っていたよりも、結構すごい人かもな。
俺が王城に見入っていると、案内してきた兵士とは違う兵士が話しかけてきた。
「勇者様、お名前をお聞かせ願えますか?」
「名前?カズヤです。」
「ありがとうございます。それでは、この廊下を真っ直ぐお進みください。」
兵士が指差した方には、先の見えないような廊下が続いていた。
これを歩けってか?そんな無茶な。どんだけ広いんだ、この城。
≪これは、幻覚魔法の一種です。抵抗できない者に、王に会う資格はないということでしょう。抵抗しますか?≫
なるほど、そういうことだったのか。というか、それぐらい勝手にやっといてくれた方が有難いんだが…
≪…了解。≫
あ、拗ねた。こういうとこ可愛いよな、この子。
≪………≫
照れてるし。まぁいいや。
目の前に永遠と続いていた廊下は消え去り、二人の兵士と、大きな扉が現れた。
「勇者カズヤ様の、おなりでございます!!」
兵士の一人がそう叫び、礼をして俺の後ろに回る。実に面倒くさい。俺はこういう儀式が大嫌いなのだ。なんというか…むず痒いのだ。早くしろとか、じれったく思ってしまう。
そんなことを考えていた内に、目の前の扉は開き切っていた。
「よくぞ参ったな、勇者殿よ。」
玉座に座る〝威厳の塊〟といったような筋骨隆々な人物が、俺に話しかけていた。
ーこの人が、ナドニウス国王かー
「-よくぞ参ったな、勇者殿よ。そちらの椅子に座るがよい。存分に語り合おうぞ!」
俺はどうやら、話し合いの為に呼ばれたようだ。でも国王に呼んで頂けるとは、光栄なことだ。一応お礼を述べておこう。
「こんな豪華なお城に呼んで頂き、ありがとうございます。」
「おう、構わぬぞ。それで、突然ですまんのだが、お主はもしや〝異世界人〟か?」
バレてる。なんでだ?
「いや、その通りですけど…僕の他にも〝異世界人〟っているんですか?」
「そうじゃな。現に、〝勇者〟のほとんどが異世界人だぞ?例外は、勝手に勇者を名乗る不届き者を指すので実際は全員が〝異世界人〟だな。」
やっぱりいるんだ。探してみるのもいいかもな。
「そうなんですか…。それで、何を話し合うんです?」
「よくぞ聞いてくれた。自慢ではないが、我がナドニウス王国は、膨大な土地と最新の技術を備えた、先進国の一つだ。だが、周囲は森に囲まれており、魔物の発生率は高い。そこで、勇者であるお主に我が国に在駐してもらい、魔物の討伐をお願いしたいのだ。もちろん、タダでとは言わん。日当も支払うし、住居も準備する。検討してもらえるか?」
と、ナドニウス国王は言った。
悪い話ではない……か。魔物を倒すだけで、お金と家が貰えるなら、むしろありがたいくらいだ。
「…分かりました。そのご提案、お受けいたします!」
「おぉ、まことか!感謝するぞ!これで、お主も王族の仲間入りだな。」
国王は玉座から立ち上がり、礼を述べた。
王族か……嬉しいな。そんな事を考えていた俺に、国王が再び口を開いた。
「早速だが、お主に任務を与える。この街に度々現れる、炎の上位竜を倒してくれ。それ程強いわけではないので、焦らんでもよい。出発はいつでも良い。準備ができたら儂の所まで来てくれ。装備はこちらで用意しておく。」
早いな…もう任務か。それ程強くないと言っていることだし、俺への試験みたいなものだろう。
-この時の俺の甘い考えは、別の案件で後に後悔を招く事となる。
5話は、来月までに。