1.私は国の武器で、僕は国の王子で、
初めて書いた小説で、大変読みにくいと思います。
ですが優しい目で呼んでくださいませ。
メイン主人公とサブ主人公の心情とか書きたかったのでコロコロと視点が変わってます。
周りは鉄の匂いが充満していた。
ここは死体がごろごろ転がっている戦場であり、1人の少女の生きるための場所である。
「シェルベール王国の勝利だ!! 国王陛下、ばんざーい!! ばんざーい!!」
勝利に浸る兵士達は丘の上にいるシェルベール国王に祝福の意を示す。
国王は誇らし気に笑う。
そして、彼は少し後ろにいる少女に視線を移す。黒髪に月を思わせる瞳の少女は、どこかシェルベール王国の神話に登場する戦の女神に似ている。
「……もっと近くに来い。お前の姿を見せると、戦の女神の加護がこの国にあると兵士達が錯覚してくれる」
「……はい、国王陛下」
少女は国王の隣まで静かに歩く。彼女の姿がはっきりすると、さらに兵士の気力が上がった。
⌘⌘⌘⌘⌘
ピピピッと北東から鳥の声がする。
朝の空気は澄んでいて、気温はとても気持ち良い。少女は王城の中にある大きな木の幹に体を預けて、目を瞑ってリラックスしている。
ザワザワと風で踊る木の葉。
漂ってくる爽やかな花の香り。
少し遠くにある水の流れる音。
お日様の心地いい光。
戦場にいると全神経を研ぎ澄ますが、お休みをもらっている今日は出来るだけ神経を休ませたい。しかし、癖なのか自然に気配を探ってしまう。
(この時間が…….続けばいいのに)
9歳の頃に、戦孤児の少女はこの容姿がきっかけで国王に買われた。
「お前は、我が国の兵士達の気力を上げるために女神になりなさい」
そう命令され、買われた翌日から戦場で生き抜く術を体に叩き込まれた。
12歳で初めての戦場。
初めての肉を貫く感覚。
そして、全体に湧き出る、いけないことをした時に感じる得体の知れない何かを問答無用で受ける。
「…………」
鼓動が早くなり、身体中の血がすごい速さで流れ、少女は思考を停止した。
そんな感じで戦場デビューして5年が経つ。
今は何もかもが普通になり、彼女は徐々に女神に近づく。
ふと、近くで土を踏む音が聞こえた。
⌘⌘⌘⌘⌘
いつも通りの朝。
いつも部屋に来る分厚いメガネをかけている医者から、いかにも苦そうな匂いと色のお湯が入った器を渡される。
(……気持ち悪い)
白を基調としたベットの上で、眉間に皺を寄せる少年はゴクリと唾を飲み込んだ。
そんな険しい顔でも、ホワイトブロンドと透明なアメジストのような瞳をもつ彼は誰をも魅了する。
「王子、今日も絶対に飲んでください。体調が日に日に悪くなられて……」
うるさい。そう思いながら少年は近くの植木にそれを流す。
「ああ、数十年かけて探した貴重な薬草がぁ」と隣で医者が泣いているが、構わず布団の中に潜り込む。
彼は2年前に原因不明の病で倒れた。シェルベール王国の第二王子という立場だから生かされているが、正直にいうともう生きたくない。
清潔という意味で、白い壁紙、白い床、白い家具。ここはまるで白い檻だった。扉の外では近衛兵2人が彼を部屋の外に出さまいと立っている。
孤独だ。
(息がつまるな……)
そう思って窓の外を何気なく見つめた。
ふと、庭にある大きな木下にひとりの黒づくめの少女が木にもたれかかっているのが見えた。木漏れ日が彼女を神々しくしていて、とても神秘的だ。
しばらく眺めてると、少女がずっと目を瞑っていて微動だにしないことに気がつく。
(えっ、死んでる…………?)
生きているかどうか、何故か確認がしたくなった。だけど、病気で窓からそこまで届くような大声が出せない。
どうしよう。近衛兵に出してって言っても出してもらえない。 代わりに見てくるようにと言っても聞いてもらえないだろう。
少年は閃く。椅子に引っ掛けてあった白いガーディガンを着ると、窓から小さな突起を伝い下まで降りた。
二階からだったが、いつ落ちて死ぬかの恐怖から心臓がバクバクした。生きたくないと思っていても、こんな死に方は嫌だ。
フラフラとしながら少女に近づく。
すると、パッと彼女の瞼が開き、金色の瞳が彼を捉えた。