1話
「今日も疲れた。」
俺の名は黒川翼。高校1年生だ。
「何よ、翼。あんたほとんど寝てたじゃない。」
こいつは永田美波。幼馴染ってやつだ。
小中高とずっと同じで、家は隣じゃないが近くだ。
「んな事言ってもさ、美波。俺の心を踊らせるような事が起きてくれたら良いんだけどね?無いんだよ、これが。」
「え?あんたあれ好きじゃない。ええと、マスク‥?」
「マスクドヒーローシリーズね。」
「あれでいいじゃない。毎週日曜日のその楽しみの為に授業頑張って受けたらいいじゃん。」
「違うんだよねー いや今のやつを否定するわけじゃないんだよね。でもさ、いつになったら俺の案は採用されるんだよ。」
「え!?まだ送ってたの?」
「送ってるよ。6歳から見始めて10年経った。でも未だにだよ?同じやつ送り続けて。」
そして話している内にいつもの分かれ道に来た。
また明日。と別れる。
家までの道を歩いていると、何かを見つけた。
うん?人?
近寄ってみるとやっぱり人だった。
黒く長い髪で全身真っ黒い服。
黒ずくめやん。
俺は女の子一人ここに置いとくのも危ないと思ったので、家に抱えて帰った。
おんぶしたまま家のドアを開け、とりあえずそのまま布団に寝かせておいた。
さて、どうしよっか。
?side start
「‥う‥うーん‥」
ここはどこだ?見知らぬ天井か。確か私は人間界に着いて倒れて‥
ぐっ‥頭が痛い。くそっ、魔物達め。派手にやってくれたな。
こちとら女の子なんだぞ。もうちょい労ってくれてもいいじゃない。
そう考えていると部屋のドアが開き男が入ってきた。
?side end
「お!気がついたようだね。」
「ここはどこですか?」
「ここ?俺ん家だけど。」
「助けてもらって申し訳ない。ありがとう、そして失礼する。」と立ち上がろうとしたため、座らせる。
「待って待って!さっきまで気絶してたのに。」
「問題ない。」とそれでも立ち上がろうとしたため、もう一度座らせる。
「むー!私は人を探しているのだ。」と少し不機嫌になりながらいう。
ちょっと可愛いと思ってしまったのは内緒だ。
「人?もし良かったら手伝うよ?」
「なんで助けてくれるんだ?私のことなど知らないだろう?」
「それでもだ。俺が好きなヒーローは知らない人の為でも力を惜しまないんだ。」
「ふん、お前のそのヒーローとやらがなんなのか知らんが、黒川翼。この男を探している。ちょうど君みたいな顔をしていて、君みたいな体型で、君みたいな‥」と言ったところで固まった。
まるで時間が止まったかの如く、固まった為心配する。
「もしかして‥君が‥黒川翼か?」
「そうだけど。」
「そうだよな。そんな簡単に見つかる訳‥ええええええええええ!!!!!」
「嘘っ!嘘や!絶対嘘や!」
なんか一人で取り乱し出したんだが‥頭の打ち所でも悪かったのか?
「コホン。申し遅れました。私は八咫烏のレイ。神界からあなたを探してまいりました。」
「実は魔界から人間界を侵略するための魔物が送られて‥」
「ちょっとまって!」
可哀想に。頭がおかしくなったのか。
「さっきから何を言ってるんだ?神界?八咫烏?頭がおかしいのか?」
「失礼な!私はおかしくなどない!今証拠を見せてやる!」と言うと立ち上がり、その場で一回転した。
すると体から光が溢れて八咫烏の姿になった。
「どうよ?これが私の真の姿だ!」