取り戻せ、世界を……!!
500年
この年月が意味するのは、人類の苦難の歴史
遠い祖先は、自らが作り出した機械によって、愛しき故郷を追放された
ここは、地球の衛星軌道上を周回する宇宙ステーション「揺籃」
宇宙に追放された人類が、明日の希望を夢見て微睡む、文字通りの揺り籠だ
「だが、その眠りもこれまで」
「我ら人類解放の為、地球を占拠する機械共を一掃し、故郷を取り戻す!!」
リーダ-が鬨の声を上げる
我らは、人類解放を目指す組織「暁光」
強いられた眠りに微睡む眼を開かせる、夜明けの光
「各員、武器は手にしたな!?」
追放された時に、一切の科学技術は失われた
この宇宙ステーションの運営も、フルオートメーションで行われており、人の手が入る余地は無い
だが、それももう限界に来ているのだろう
最近では、一部機能がダウンし、人々の間に不安の声が渦巻いている
そんな中、解放を叫ぶ声が上がるのは自明の理
若者が中心に、人類解放の機運は高まりを見せた
その流れは、やがて一人の男に収束する
「では、最終点検を行い、後に帰還船に搭乗!我らは、愛しき青い地球に帰還する!!」
「暁光」のリーダー
失われた科学技術を再興した天才
リーダーの出自はよく判っていない
誰もがこの宇宙ステーションで生まれ育った筈なのに、誰一人としてリーダーの事を知らないのだ
だが、それも些細な事
彼が齎した科学技術は、多くの武器を我らに与えてくれた
理不尽に抗う力がある
ただそれだけで、今までの無気力さが嘘の様に、活力が湧いてくる
「……点検は済んだな?では総員!事前の取り決めに従って、帰還船に搭乗!!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「人類に未来を!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
意気高揚の為の、組織のスローガンを、一糸乱れぬ統率で宣誓する
その意味するところは「先の見えない人類に確かに見える未来を取り戻せ」
今の人類の総意であり、戦う理由でもある
よく訓練された足並みで、滞りなく帰還船に乗り込む
目指すは、唯一、機械による支配が届かぬ極北の氷海「北極」
リーダーに付き従って、ここまで来た
後は、ただ命を賭して戦うのみ
さあ、行くぞ!!!
アカルイミライヲー