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アースフロンティア  作者: 藤井 月
2/4

2 俺はハゲルドだ、ハゲマスではない

俺達はポイントゲートを使い自分達のギルドスベースに戻った。

大至急運営に連絡をしたかったからだ。

ギルドスベースにあるメニューでエマージェンシーを押す。

「・・・・・・・・」

「ねえ、対応しなくね?」

マナトスが声をかける。

「そうだな、システムトラブルかもしれんな」

俺も運営がトラブルでパンクしてると思った。

「しかしゲームで地震ってあったけ?」

ミナオがみんなに聞いてきた。

「ありますよ、地属性のモンスターが地面から出る時とかでしょ」

「いや、高階さん今回の状態は単なる地震だから違うんじゃないかな」

「そうだよね、いきなりVRの画面が歪んだし」

ミナオも見えたのか。

「そうそう、あたしも見えたー」

「どちらにせよ復旧するまでこの状態だな」

俺は3人を見ながらウンザリした、最悪会社に行けないぞ。

「なあなあ、ハゲマス。チョビンさんを高階さんて呼んでるけど、知り合いでっか」

「いや、知り合いではないな。それとハゲマス言うな、俺はハゲルドだ、マナトス」

「だってさあ、美波。ハゲマスのチョビンへの態度、あやしくね?」

「うん、あたしも思ったよ、愛美。ハゲマスの目がいやらしい」

2人は俺を見てニヤニヤ笑ってる。

「えー、君らミナミとマナミか?ゲーム上、本名とか言わない方がいいぞ」

「あ、やべー、ハゲマスにバレた。脅迫されて犯される」

「お前ら見たいチビガキなぞいらんわ、ボケマナトス」

「えー、あたし達、美少女で有名なのにー」

とマナトスとミナオが泣き真似を始める。

「うっさい、俺はオッサンじゃ、チビガキなぞ興味ないわ」

「そうか、じゃあしゃあないな、それよりハゲマス、あたしら3人の名前聞いたんじゃ、自分も名乗れや

ああん」

マナトスがエセ関西弁で俺を脅す。

いや、全然怖くないですよ。

俺は答える気は無かったが、3人はジッと見ている。

「いや、言わねーよ」

「なら調べるからいいや、ね、美波」

「わかった、お姉ちゃん」

なるほど、姉妹か。

しかし調べるって・・・

「言っとくけど美波はネットで簡単に調べるからな、今のままやでー喋るの、喋らんかったら貯金額や口座番号まで調べるで」

ははは、バカな事をこんなチビガキが出来る訳ないだろ。

ん、チョビンが俺に近づく、あーやはりいい女だよなー。

「ハゲルドさん、喋った方がいいですよ、あの世代だと出来る子もいますし」

あ、チョビンが俺の耳元で囁く、これはたまらんな。

「えー、ミナオ、お前ハッカーレベルか?」

おい、楽しそうに俺を微笑むな、褒めてないぞ。

「わかった、名前だけでいいな」

「ええよー」

マナトスのエセ関西弁がイライラするわ。

まあ俺も時たま使うけど。

「・・・・・だよ」

「あー、聞こえんなあー」

由比古よしひこだよ」

「普通過ぎてつまんないしー」

「うるせー、マナトス。名前なんてつまんなくていいんだよ」

「で、由比古ちゃんは何歳でちゅかー」

「・・・・41だよ」

「うそ?、意外と若く見える」

「そ、そうかな」

俺は喜んでしまった、会社では35歳ぐらいに見れるなんて言われたし。

「うっそー」

・・・・・・・・

マナトスは絶対泣かす。

「で、君らは?」

「あたしは16、美波は15だよ」

高校生か、こいつら。

「俺のギルドは25歳以上なんだが」

「そんなのゲーム上じゃん」

「まあ、そうだな。しかしこんな小さい「ハゲ頭の脳筋」なんてギルドに入ったな、大手の方が楽だぞ」

「だって大手だと中二病みたいな名前だし、頭の悪そうな「ハゲ頭の脳筋」の方が笑えるじゃん」

「ハゲマスは呑気」

マナトスはムカつくけどミナオは・・・まあいいか。

「え、物凄く真面目に遊んでますが?」

だからね、姉妹揃ってクスクス喜ぶなよ。

「で、高階さんだっけ、何歳?」

あ、マナトスに聞かれて困ってるな。

「おい、俺はいいけど、そういう事聞くのやめとけ」

「いえ、いいんです。28です」

え、20歳前後にしか見えないのに。

チビガキ達も驚いてんな。

「チョビン、ちょっと聞いていいかな。俺のギルド、男性でスキンヘッドが条件だったけど、なんでネナベだったの?」

「女性キャラだと質の悪い男が多かったんです、だからネナベでした。それにスキンヘッドってセクシーじゃないですか」

はい?そうですか?

俺はチビガキを見る。

あれ、頷くのかよ。

なんか疲れた、俺はコーヒーを入れようと立つと。

「由比古ちゃん、あたしもコーヒー」

「あたしもー」

はあ、面倒くさいなあ、チビガキども。

「私やります」

ああ、チョビンはいい子だ。

「自分で淹れないと嫌なんです」

おい。


ボケらーとコーヒーを啜っている俺。

女3人は楽しそうにだべってる。

え、仲間に入らないのかって、ヤダよ、鬱陶しいし。

由比古ちゃんがどーのこーの聞こえるし、ガン無視だな。


1時間たったが復旧されていない。

深夜だしな、良くて今日の午前中だろう。

メニューを開いても運営からのメールもないしな。

ギルドメンバーをチェックしたらツネゾー以外はログインしていた。

アマルド、半蔵、肉マシマシの3人はまだギルドスベースに戻ってない。

どうせ復旧出来ないから、モンスターを狩ってるんだろう。

フレンドリストをチェックしたが、ギルドメンバー以外はログインしてなかった。

毎晩のように来ている +たすひこやジェントルマンもいなかった、ログインする前にシステムトラブルになったのかもしれないな。


俺はそのまま寝ていたようだが寝落ちにはなっていなかった。

ログアウト出来ないからな。

時計を見ると6時間経過していた。

3人もソファーで寝ていた。

11時を過ぎていたのでメニューを見ても運営からのメールは未だ来ていない。

こんなに時間がかかるなら強制解除も出来ないほどトラブってるのかな。


俺は取り敢えずギルドスベースから外に出る事にした。

大通りの両側にはいつもの様に露店が出て、NPCがいっぱいいた。

システムトラブルしているはずなのに不思議だった。

さすがに腹が減っているので露店で4人分適当に買って、知り合いのプレイヤーを探したが全然いなかった。

散歩したつもりで外に出たが、俺は何故か違和感があったのですぐにギルドスベースに戻ることにした。


中に入ると、既に3人とも起きていた。

俺はテーブルに買ってきたパンや料理を置いた。

「2人はまだ親に起こされていないのか?」

「不思議なんだけど、この時間だとVRシステム電源落とされるんだよね」

「そうそう」

チビガキどもは不思議に思っている。

「そうだよな、俺は1人暮らしだから今日は最悪無断欠勤だけど、君らは遅刻になるもんな」

「うん、8時前には起こされるよ」

時計を見ると11時半を過ぎていた。

「チョビンは?」

「私も1人暮らしです、今は無職なのでこのままだと心配です」

そうか、俺も上司に怒られるのは嫌だな、ゲームで無断欠勤だしな。

「まあ、最悪システムダウンからの強制解除になるだろう、ログアウト出来なくなってから24時間でやるはずだし」

「あ、そうなの?」

「君らは遊ぶ時読まないタイプだな」

「当たり前やん」

いや、偉そうな態度はやめてくれ、マナトス。

「取り敢えず腹減ったから食うか」

俺はコーヒーを入れながら食う事にした。

「ハゲマス、オゴリでしょ」

「いいから食いなさい、君たち」

食べ始めるとみんな気が付いた。

「不味いぞ」

「美味しくなーい」

「うえ」

「・・・・」

串焼きの肉が臭い。

味も塩が薄くて、香辛料など使ってない。

パンは食えるがフワフワ感がない。

「おい、ハゲマス。どこで買ったのよ」

「マズくて吐きそう」

やめたくれ、チビガキども。

「いや、いつもの露店だけど」

「マルおばさんやジミーおじさんですか?」

「そうだけど」

俺はチョビンに答えた。

みんな食欲がなくなり、俺達は黙ってコーヒーを飲んでいた。

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