転生そして家族
目を開けるとそこには白い天井があった。
ああ、やはりあれは夢で本当は生きてたんだな、と思って誰かを呼ぼうと悠馬は声を発した。
「あうあー(だれかー)」
その口から出てきたのは到底理解できない言語だった。
(って、やっぱり転生してんじゃねえか!)
悠馬は心の中でそうツッコミやはり俺は死んだんだ、と自覚した。みんなともう会えない、そう考えると悠馬は泣きそうになった。そこは男の意地だ、我慢しようとするが、赤ちゃんの体だと到底堪えることができず泣いてしまう。
「うわーん!」
すると鳴き声を聞いて駆けつけてきたのかいくつかの足音が聞こえる。
「ユーマ!」
ドアを勢いよく開けて中に入ってきたのは銀髪を腰まで伸ばした二十代半ばであろう美しい美しい女性であった。
「どうしたの!何があったの!」
「落ち着いてください奥様!」
パニックに陥っているのか、必死に聞いてくる女性を止めたのは、金髪をポニーテールに束ねたこれまた美女だ。ユーマはこの2人を見て安心したのか泣き止み、同時に眠気が襲ってきて抵抗することもできずに眠りについた。
次にユーマが起きたのは次の日の朝だった。ユーマが目を覚ますと、目の前には昨日の金髪の美女がいた。この美女はユーリという、この家に仕えているメイドだ。
「おはようございます、ぼっちゃま。朝食のお時間です」
そう言って美女は胸をさらけ出した。この女性はユーマの年齢を考えると、乳母の役目を担っているのは明白なのだが、前世でも女性経験のなかったユーマにとって、初めて見る女性、しかも美女の胸に動揺を隠せなかった。
「あうーあうあうあー(な、なにしてるんだ⁉︎)」
「あらあら、ぼっちゃま。そんなにお腹が減っていたのですね」
そう言いユーリはユーマを抱き上げ、胸に近づけていった。
時は変わり朝食を終えたユーマは赤ちゃんらしからぬ考えをしていた。
「うーあうーうああー?(どうやって魔法を使うんだ?)」
ユーマが、どうにかならないものかと考えていると、前世の小説では体の中に流れていると書かれていたのを思い出し、まずは、試してみようと考えた。実はユーマの祖父は古武術をやっており、ユーマも祖父に古武術を習っていた。武術において、精神統一とは、基本である。であるからして、ユーマは自身の体に今までとは違う何かがないかを確認していた。
(………
……………
…………………
………………………ハッ⁉︎
これか、これが魔力なんだな?)
通常、人は誰かから自身に魔力を流してもらい、それと似たようなものを探し魔力を理解する。
だが、ユーマは普通ではない。女神すら認める『100年に一度の天才』なのだ。
実を言うとあの女神は地球ではなく異世界の神である。つまり、地球では発揮できなかったユーマの才能もこの世界なら!十全に発揮できるようになった。
ユーマは魔力を発見して早速、魔力を操作できないかを考えていた。だが、天才でも今はまだ赤子。考え込んでいるうちに、逆らうことのできない眠気に襲われそのまま眠りにつくのだった。
次からは、主人公の一人称視点で書きたいと思います。
理由としては、三人称で書いてたら何度か、一人称か三人称かよく分からなくなったからです!
それでは、また是非読んでください!