幼女魔王
「そ、そんな!!」
周りが騒ぎ始めた時、パンッと手を叩く音で静寂する。
「さっきから黙って聞いておれば!ガキどもが!!お主らはワシ、リースホルン国王に従っていればよいのだ!!」
「お、お父様!!お待ちを!!」
「ふん、とうとう本性現したわね」
「ち、違うのです!勇者様!」
ただでさえ、ボロボロだった信用を王の横暴かつ理不尽な発言で完全に断ち切られる。
「王であるワシの言うこのとを聞けぬのなら処刑だ!!それが嫌なら言うことを聞け!!」
「… …脅し」
小鳥遊 ミノが言う。
「こんな屑が治める国誰も助けたいと思わないわね」
「国…国です!勇者様!リースホルン国は豊かで活気が溢れ民はいい人ばかりです!1度見回ってみれば、気持ちも落ち着きます!」
「しらないんだけど、そんなの」
姫さん、しれっと王を侮辱したな。
そして姫さんの最後の説得を遠坂美由の一言で完全に終わる。
「そうだぜ!こんな奴ら助けるなんてごめんだな!」
「ということです、僕らみんな満場一致です、そこのお兄さんはわかりませんが。」
ん、俺に振るか。
「たしかに、こんな横暴な王に従いたくはないな。」
「ブハッ。」
「どうした!?ミノ!?」
「横暴な王…ブハッ」
「ミノ!?」
なにやってんだ、こいつら。
「だが、お前ら。このままじゃ処刑されるぞ?それなら強くなるまでここにいた方が得策だと思うが。」
「お断りね、こんなところにいるくらいなら死んだ方がましよ。
でも死ぬ気なんてさらさらないわよ?私たちは5人で一つ。みんなでやれば必ずなんとかなるから。」
5人を見ると、目からでもわかる、こいつらに諦めるという感情が入る余地なんてどこにもない。
なにを言っても気持ちは変わらないだろう。
「ガキどもが!!ならば処刑だ!!こいつらを殺せ!!」
王が言うと、周りにいた黒ローブ達が剣を構える。
これはなかなかにやばくないか?解決策が全く見つからないんだが。
「お待ちください!お父様!せめて追放にしてください!勇者様方は私たちが勝手にお呼びしたのです!それで処刑なんて!」
「うるさい!たとえ娘だろうがこれ以上ワシに逆らうのなら、侮辱とみなすぞ!!」
さっき、限りなく侮辱に近いこと言ってたぞ。
「ねぇ、あんた」
「ん?」
「あんただけでも謝って許してもらったら?私たちがあいつら勝手に怒らせただけだし、あなたまで巻き込まれることないんだけど?」
いつのまにか手を繋いでいた5人。
しかし、諦めた様子はない。
しっかりと目には希望に溢れている。
「すごいな、お前たち。こんな状況でも諦めてないだろ?」
こいつらの相反する姿が眩しく、すこし微笑む。
「当然なんだけど?だってみんな一緒だから!」
5人が頷く。
「しょけっ」
ドゴオオオオンンン
一瞬で部屋一面が砂埃に飲まれる。
「なにごとだ!?」
なにも見えない状況で周りが騒ぎ始めた。
その時、誰がから腕を掴まれ連れて行かれる。
「これこれ、そう逃げるでわないよ。勇者。」
晴れてきた砂埃に微かだが扉が目の前まで来ていた。
こいつら、俺を助けようとしたのか?
数秒で砂埃が完全に晴れる。
声のする方向に視線を向けると壁には大きな穴が空き、そこに立っている金髪紅眼の幼女だった。
なんだ?子供?
一点を除いては普通人間にみえる、がその一点は幼女の背中から漆黒の翼が生えている。
「ま、魔王だ!!!」
「な、なぜ!?魔王が我が国に!?」
全員呆気に取られていたが、黒ローブの1人の発言により目が覚める。
「喚くな、小物どもが。わらわが興味あるのはそこの勇者5人…ん?」
魔王はひとりひとり目を合わせたあと、指を指し数える。
「3…4…5…6?ん?6人?」
俺を最後に数えると頭の上にいくつかのクエッションマークがみえる。
何度数えても一緒なんだがな…
俺、巻き込まれただけなんだよなぁ。
「勇者は5人のはずじゃ、なぜ6人いるのじゃ?」
「あ、巻き込まれただけなんです。」