愛されちゃってますね。
きゃーーーー。
大ピンチの俺の目の前には、ライオン(酔っ払い)。
大きく口を開けて・・・・。
ベロリン。
顔を嘗められましたぁ~。味見?
俺、たぶん、マズイと思うよ。自信ある!!
「く・・・・くく、黒子・・・」
視線で助けを求めるが、黒子、観察中。
コノヤロウ。
食われるぞ!俺、食われる!!
「美樹ちゃん、大丈夫みたいですよ?」
「何が、何処が、どーしてさ。」
俺、がっつりライオンに抱え込まれ中。
ベロベロ顔を嘗められ中。
ザラザラが痛いのよ。マジ。
「甘えられてるじゃないですかぁ~。」
はへ?
甘えてるの?こいつ、甘えてるの??
視線をライオンへ向けると・・。
うきゃ。巨大じゃらしに向けていた、あっつーーーい視線を俺に向けてる。
気持ち、デレってしてる気がする・・・。
しかし、重いんですけど?
どうにかライオンから逃れる術を考えていると、ポコンと上から落ちて来るものがあった。
「コ・・コン!!」
「我が話してしんぜよう。」
と、早速ライオンと何やら耳打ち。
・・・何語?
「こ奴、お主の命を待ておる。」
「え?命令すればいいのか?・・・どいて?」
グルグル(ハート)
のそりとライオンは、俺を解放してくれた。
恐る恐る・・・なでなで。
ゴーロゴ―ロ(ハート)
・・・かわいいじゃねーか。
「美樹ちゃん、猛獣使いですねぇ~。サーカス初めますか?」
そうね、なんか出来そうな気がする。
・・・いや、絆されるな、俺。
「あ、美樹ちゃん、えも・・おっと、お客さまを忘れてますよぉ~。」
は。そうでした。すっかり忘れてたよ。
「おーーい、起きろーーー」
ぐわさぐわさと、客を揺さぶる。
「は!!わ・・わわあわわ」
落ちつけよ。客。
「えーと、説明面倒、今からあんたに死神紹介するね。」
きょとーん顔だが、ね?と念を押すと、コックリと頷いたので・・・。
「おーい、死神さーん」
むきむき。猛獣と戦ってそうな、マサキさん登場。
わーなんか檻が似合うね。
「わたし・・・は、」
客が徐に口を開いた。
ん?なんでしょう?
「わたし、自身無くしてしまったんです。」
客曰く。
二週間ほど前、ライオンの子供が四匹生まれたらしい。
しかし、三匹が病気で直ぐに死んでしまったと。
ここ最近、動物たちの間で伝染病が流行ってたらしい。
(だから、ここ数カ月閉園してたのね。)
ちなみに、この客、動物のお医者様。
動物たちを治してやれずに、果てには子ライオンを死なせてしまった。
罪滅ぼしとばかりに、子ライオンのパパの餌になろうとしたらしい。
・・・お医者さまなのに、なんか残念。
「でもさ、あんた居なくなったら、生き残った子や他の動物たちは、どーすんのさ。」
「そ・・それは、他の獣医に・・・。」
ぷっちーーーん。
「はあ?あんた、なんで獣医になったんだよ!!救えるかもしれない命も放棄するのかよ。」
「!!!」
目を見開いた客。見る見るうちに顔を歪めて、わっと泣き出した。
・・・いい年したおっさん、泣くなよ。
「目が覚めた!!そうだ。私は、動物たちを救いたんだ。」
立ち直って、決意を新たにしたらしい。
「あらぁ。よかったですねぇ。きっと、もう大丈夫ですよ。」
何が、とは訊かない。大丈夫なのだ。だって、客の目が生き返ったから。キラキラしてる。
「マサキさん、後、よろしくね~。」
と、踵を返す。
・・・・が、進めない。
「あ・・あれ?進めない。」
「美樹ちゃん・・・・」
黒子の視線は、俺の後ろへ向けられた居た。
くるり振り向くと、ライオン(パパ)が大きな爪を俺のベルトにひっかけている。
「離して?」
ライオンに言うが、イヤイヤと首を振る。
「あらぁ。離れたくないみたいですね~。」
・・・かわいすぎるだろ、それ。
「でもね、帰らなきゃ。」
イヤイヤ。
「連れて帰れないよ。」
イヤイヤ。
うるうるうるうる。
そんな目で俺を見るな。
「う。また会いに来るから、な?」
黒子は、勿論ニヤニヤだ。
「愛されちゃってますね~。」
なんとかライオンに解ってもらって、帰途に就く。
あれ、ズボンがずり落ちそう。と、気が付いたのはマンションに着いてから。
「ベルトが切れちゃってますね~。」
俺の背後にいた黒子が言う。
・・・爪ね。鋭いもんね。生身に引っ掛けられなくて・・・よかった・・・けど。
俺のお気に入りのベルトぉぉぉ。
ガックシ。




