バニーちゃんに迫られるなんて。
名月や・・・。
危ない、思わず言いそうになるよね。あの芭蕉もじり松島系。
それよりさ、今日の客、変なんです。
「私は月に帰るのです。」
ほらね。
「私の前世は、兎なのです。」
へー。かぐや姫じゃなくて?
「だから、自らを供物に捧げます。」
って、おいおい焚火に突っ込もうとするなよ!
ギリちょんセーフで、自称前世兎さんの腕を掴んだ。
「止めないで下さい。焼き兎になるしかないんです。」
焼き兎って・・・。つうか、あんたが飛び込んでも普通の焼き人間だし。
「兎、美味しいって言いますもんねぇ~。」
いや、美味しいでなくて、追いし、だし。
黒子、兎を追い掛けたまま行方不明になってくれ。(願望・・・いや、切望。)
「ていうか、今、前世が兎って、言ったよね?」
は。となる客(自称前世兎)。
「じゃあ、今の私は・・・」
ぐいんと顔を持ちあげて、俺に迫って来た。
「今の私は何なのですか!!!」
普通に”人”じゃね?
どっから、どう見ても”人”じゃね?
「私はどうすれば、いいんですか!!」
俺に迫ってくるなよ。顔がマジだし。
引き攣る、俺。
黒子は楽しそうに見学中。
「美樹ちゃん、女の子に迫られてますねぇ~。」
ニヤニヤすんな。迫られてるって、なんか違くね?嬉しくねーし。
「羨ましいですねぇ。バニーちゃんに迫られるなんて~。」
ヘンな言い方すんな。羨ましいなら代わってくれ。
黒子を睨みつつも、なんとかいなして、死神さん紹介。
「おーい。死神さーん。」
呼ばれて飛び出たのは、兎のキグルミ。
・・・ショーさんね。
今日は、キグルミですか。つうか、待機してたろ。
キグルミ見た、自称前世兎は大喜び。
喜ぶのかよ。
「美樹ちゃんもバニーちゃんになりますか?」
ならねーし。どっから持って来たんだ、そのバニーちゃんのミミカチューシャ。
嬉しそうに着けるな。キモイわ、黒子。
「美樹ちゃん、一緒に着けて下さい!!社長命令ですぅ~」
アホ社長。おまえは、人から見えんからいいが、俺は見えるんだ。
とはいえ、拒否権なしの社長命令によって、俺はバニーちゃんミミカチューシャを付けられた状態で、帰途に就いたのだった。
夏の暑さにヤラれたイタイのが跋扈する秋。
怖いぞ。秋。




