はじめてのお仕事です。
うーーん。
俺は、寝苦しくて目を覚ました。
ドキドキドキドキ・・・。
魘され・・・・ぎゃーーー。
いつかもあった、黒子がベットの傍らから俺をじーーっと、覗き込んでた。
「だから、怖っ!!」
そりゃ、魘されるわ。
「お仕事ですぅ。はじめてのお仕事ですねぇ~。
張り切って行きましょう!!」
・・・・ただ今の時間、深夜1時を回ったばかり。
俺は、無言で目を閉じた。
「駄目ですー。行きますよ。」
強引、傲慢、独断社長、黒子。今日も健在。
ズルズルと俺は引きずり出された。
以外に力強いのね・・・。黒子。
はじめてのお仕事は、マンションから歩いて15分ほどのアパート。
「こっちですよ。美樹ちゃん」
呼ぶな。美樹ちゃんと呼ぶな。そう叫んでやりたいのに、近所迷惑を考慮してしまった。
するすると滑るように黒子が向かった先は、2階の奥の角部屋。
「どうすんの?」
誰の家か解らないし、深夜の訪問もどうかと、しかも見ず知らずの高校男子!!
「あ、大丈夫ですよ。中から鍵開けますね~。」
と言って、ドアをなんなくすり抜ける。
色々、言いたい。
不法侵入じゃね?とか
ドア抜けできるんだ、とか。
お前ひとりでいいんじゃね?とか。
って、思っているうちにガチャリと鍵が開く音がした。
ドアを開けて、黒子が頭を出す。
「どうぞ~。」
お前の家じゃねーだろが。
「不法侵入なんじゃね?違法なんじゃね?」
この若さで、犯罪者にはなりたくない。
「だから、お仕事ですから、大丈夫ですって。」
お前の大丈夫は、信用できん。
とは、言うものの、そろりと中に入る。
夜中に玄関先で、独り言(黒子は他人には、見えません)言ってる変態さんで、通報のが悲しい。
ちっさい声で、お邪魔します。
中に入ると、水の音がする。
水?何処だ?
水の音を辿って、バスルームに至った。ま、玄関入ってすぐだけどな。
カチャリ・・・。
恐る恐る開けると、水の音が大きくなった。
そして、変な匂い・・・鉄くさい?
血??血!!
内ドアを急いで開けると、ぐったりとバスタブに凭れ掛かる女の人が。
蛇口からは水が流れ、バスタブにつっこんだ腕から出ている、血が水に赤く広がっていた。
俺は、パニックになって、どうしていいか判らない。
「あ・・あ・・血・が」
黒子は、平然とした顔で言った。
「自殺願望者ですよ。ほら、しっかり仕事してくださいよぉ。」
え。え。この状況で?
未だにワタワタするだけで、何も出来ない俺に、黒子は尚も言う。
「この方が、お客様ですよ。
手首切った位じゃ、なかなか死にませんよ。」
んなこと、言ったって冷静に対処できるか!!
「あ、気がついたみたいですねぇ。ほら、仕事!」
黒子が言った通り、女の人は俺たちに気がついたみたいで、驚愕に目を見開いていた。
「何?あなたたちは・・・」
俺は、慌てて名刺を見せつつ、無理やり説明しはじめた。
黒手帳なら、カッコ良かったのにな。




