拾い食いはダメですよ。
「美樹ちゃーん。お仕事ですよぉ。」
と、言う理由で、やって来たのは深夜の病院。
う・・・不気味だ。
神社も雰囲気あったけど、病院も満更じゃないよ?
「あら、新顔さんですねぇ。迷子にならないで下さいね。」
黒子が話しかけてるのは、俺ではない。
深夜の病院。静かな廊下。と、来れば?
そう!ナリたてほやほや。新米幽霊でしたー。
見えちゃってるよ。俺・・・。
「気をつけて、逝ってらっしゃい~。」
新米幽霊にひらひらと手を振る黒子。
何を気をつけるのさ。
止めてください、不安になるから。色んな意味で、死ぬの怖い。
ビビりながら、一人部屋の病室にそっと手を掛ける。
そろりと覗くと、タオルを首に巻いたおっさんが・・。
・・・えーと、コント?
自分の首に巻いたタオルの両端を持ち、力いっぱい引っ張る。うぅとなって、力抜く。
また引っ張る。うぅ。引っ張る。うぅ。以下、ループ。
「自分を絞殺してるみたいですねぇ。」
出来てねぇけどな?
いつまで続けるのか、ちょっと気になったので放置してみた。
引っ張る。うぅ。引っ張る。うぅ。引っ張る。うぅ。無限ループに陥ったみたいだ。
・・・バグったな。あのおっさん。
「そろそろ飽きたので、ちゃちゃと片づけちゃいましょう。」
飽きたって、うん、まあ、そうだね。
「おっさん、諦めたら?」
ちゃっちゃか説明。ちゃっちゃか紹介!
客をとっ捕まえたら、紹介までは一気に!!スピード勝負です!
って、ことで死神さんの出番だよ!
「おーい、死神さーーーーん。」
・・・ショーさん?薔薇止めたの?
で?一体どうしたその格好。
一昔前のアイドルみた・・い・・って、あ、あれか。
一昨日見てた『なつかしアイドル。今はいづこ?』の影響か!
しっかし、なんでソコ選ぶ?ミニの短パン、キラキラジャケット(しかも裸。)鉢巻プラス。
挙句の果てには、ローラースケート(よくあったな。そんなの。)。
「素敵なセンスですねぇ~。」
感心してるのか、バカにしてるのか。黒子がぽそり。
「似合う?ねえ、ねぇ。似合ってる?」
意見を俺に求めないで下さい!!
そんなん、いいから仕事しろ?
まあ、とにかくおっさん説得に乗り出した。
おっさんは、不治の病に侵されてるらしい。医者も匙を投げたそうだ。
おいおい泣く、おっさん。
同情するけど、直してやれないしな。
とか思ってると、かつーん、かつーんと足音が近づいてきた。
やば。隠れなきゃ。
ガラッとドアを開けたのは、看護師さん。
「何してるんですか。遅いんですから、早く寝てください。」
おっさんは、看護師さんに向かって、濡れた頬をそのままに口を開いた。
「お・・俺は、もう治らないんだろ?もう、死ぬしかないんだろ?さっき聞こえたんだからな・うううう。」
呆れた看護師さんが言う。
「何言ってるんですか。あなたは、タダの食中りですよ。
明日、退院出来るんですから、大人しくして下さい。」
・・・はあ?
「治らないって・・・ああ、ステーションのパソコンが壊れたんですよ。」
勘違いでしたー。
危うく、勘違いで死ぬところでしたぁ。
・・・って、はあ!?
シャレになんねーよ?マジで。
ちなみに、おっさんは腹減り過ぎて、道祖神のお供えを戴いちゃった。
給料前に飲み過ぎて、すっからかんになってたらしい。
「たたりだ~」とか、言ってたけど。
普通に腐ってたんじゃないの?
「美樹ちゃん、拾い食いはダメですよ?」
うん。しない。
アホくさっ!!
「黒子、とっとと帰ろう。」




