おまちどおさまです。
ふらり・・。
「あ!!」
ぐんっ。と、間一髪!!
彼女の腕を掴んで、引き戻した。
ごぉぉおおおおお・・・
電車が凄い勢いで、目の前スレスレを通り過ぎて行く。
ドッキドキ。
俺の心臓が、マンガみたいに飛び出しそうだよ。
「ま、間に合った・・・。」
あう。足がブルって立ってられんね。
そんな事は、お構いなし社長。黒子。
「美樹ちゃん、良かったですねぇ。
電車に撥ねられると、ぐちゃぐちゃになっちゃいますからね~。」
って、想像しちゃったじゃねーか!!
ギロリと睨むが、まったくもって意に介さない。
「ところで、綺麗な子ですねぇ。」
そう言われて、初めて客(強引に!)の顔を見た。
あれ?この人確か・・・。
見覚えのある綺麗なこの顔は、隣の町にあるお嬢様学校の生徒だ。
うちの学校にも彼女に懸想している輩が結構いる。早川さんだっけな?
確かに、綺麗な人だけどな。
まあ、清楚な感じだし、俺には縁がないと思ってたよ。
「接客中に、恋が芽生えたりしちゃうかもですよぉ~?どーしますぅ?」
KY社長、空気読め?
結構、シリアスよ?今の状況。
思いつめた顔の早川さん。
えーと、俺のお話聞いてます?
紹介しちゃうよ?いいかい?いくよ?
「おーい、死神さーーん!!」
やって来たるは、ユウさんでした〜。
って、大丈夫かなぁ?(ヤンチャだし。この前、盃受けてたし?)
俺の心配なのその、ユウさんの軽ーい口調に早川さんが話し出した。
聞こえてしまった、衝撃の事実。
なななななんですと!?子供が出来ましたぁ??
早川さん、あんた高校三年生。
吃驚。清楚なお嬢様って感じなのに。
早川さんは、親にもお相手にも相談しないで、ひとりで悩んでたらしい。
「ん〜、彼氏に相談した方がいいんじゃない?」
うん。俺もそう思う。
「彼は・・・。」
言い渋る、早川さん。
「まだ、大学に入ったばかりだし・・・・、その、出会ってから・・。」
はい?出会って3か月!?早くね?なんか、色々・・・その・・。
おこちゃまな俺には、これ以上言えません!!
と、俺がドギマギしていると、さっきから見当たらなかった黒子がいつの間にか戻って来てた。
「おまちどおさまですぅ〜。」
ん?黒子、ソレ誰?
黒子の傍らには、サイ・・・フーガ。その上に人が(荷物のように)乗っていた。
「社長権限で、寝ているところを連れてきましたぁ。お相手です〜。」
出ました!!社長権限(社外も有効)。
つか、誘拐じゃね?
「?」
目を覚ましたらしい、誘拐被害者。
・・・遅くね?サイの背中は、寝心地いいの?
「・・・あれ?ユリ?」
早川さんに気づいた彼は、彼女に近づいた。
早川さんは泣きながら、真実を話した。
「なんでもっと早く言わないんだ。・・・・ごめんな、気づいてやれなくて。」
あ、見た目チャラいけど、いい人そうじゃん。
後日、彼らの顛末を見届けたユウさんが、教えに来てくれた。
二人揃って、両方の家に行ったそうだ。ひと悶着はあったけど、彼氏が大学辞めて働くと言ったそうだ。
しかし、話し合いの結果、将来を考えて、彼氏は大学を辞めずに学生結婚。
早川さんは、学校を辞める事になったが、二人は幸せそうだとか。
幸せなら、いいか。
「美樹ちゃんも幸せじゃないですかぁ〜。」
ナニゆえに?
「私が憑いてますからねぇ〜。」ああ、黒子。
あんたの頭は、いつでも幸せだろうよ。




