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死神紹介屋  作者: 鷹真
33/66

私の胸に飛び込んで下さい。

「うああああああああ」

叫び声が響く深夜の学校の屋上。

うは。アレに近づきたくねぇ。

ちょっと引き気味な俺に、黒子は言った。

「さあ、雄叫び返しですよ!!」

しねーから。

アホな黒子はほっといて、俺は、叫び声の主に恐る恐ると近付いて行く。

あれ、この顔に見覚えがある・・・。

うーん。

考える事、数秒・・・、答えが出てこない俺の代わりに黒子が答えを出した。

「生徒会長さんじゃ、ないですか?朝礼で、挨拶とかしてましたよ。」

・・・ああ、成程。

言われてみれば、そーかもしんない。

「あのぅ・・、ちょっといいですかね?」

くるりと向き直った生徒会長。

顔は虚ろで、焦点の合わない目がコワい。

たしか、噂で聞き齧った話、会長の両親ともに医者。

優秀なが兄二人で、当然、医者と医学生。

会長やってるだけあって、当人も成績は常にトップ3だったはず。

うは。

俺の成績は、教えねーよ?

ああ、ほら。人間って、学校の成績だけじゃないだろ?(たぶん)

「し・・設楽会長?

えーと、俺じゃ、役不足かも知れないですけど・・・。」

言い淀む俺の肩をがっしり掴んだ会長。

だから、コワいって!!

ビビる俺に構わず、会長はその胸の内を吐き出した。

曰く、両親や兄たちは、一切、自分に期待していない、と。

自分は、駄目な落ちこぼれなのだ、と。

・・・俺、どーすんの?

会長が落ちこぼれなら、俺、ミジンコよ?

ミジンコな俺には縁のない話だが、会長は、勉強をすればするほど焦燥感が募た。

そして、夏休み最後の夜、遂に耐えきれなくなったらしいのだ。

そんな会長を諭しつつ、お仕事を進める。

「おーい、死神さーん!」

呼ばれて飛び出て、アキラです。

ああ、アキラさんなら大丈夫そうだ。(他のは、ちょっと・・・)

死神さんと話終わる頃、会長を呼ぶ声が聞こえて来た。

「兄さん・・・。」

正門の方に見えたのは、会長のお兄さんたちだった。

俺たちを見つけると、すっごい勢いで屋上に駆け上がって来た。

(この学校のセキュリティーは、どうなってんのさ。)

部屋を覗いて、姿が見えなかったから、心配になって探しに来たらしい。

「期待していないんじゃ、ないんだ。」

会長は、絵を描く事が好きな子供だったらしい。

中学に上がる頃、兄たちを見ていた会長は、絵を描くのを止めて勉強をするようになったのだとか。

兄たちは、楽しそうに絵を描いていた弟が、好ましくもありまた、羨ましくもあった。

だから、本当に好きな道を選んで欲しかったのだ、と会長をぎゅっと抱き締めながら言った。

会長は、兄の胸に頭を押し付け、泣きじゃくるのだった。

「兄弟愛ですねぇ。ウルウルですぅ〜。」

黒子は涙を拭う真似をした。

黒子、目元が濡れてねぇよ?

アキラさんは・・・・うん。予想通り、号泣だよね。

俺も少しばっかしウルッときた。

羨ましかった。俺、一人っ子だし。

ちょっぴりセンチになった。俺。

そんな俺に、黒子は両手を広げて、こう言った。

「さぁ、どうぞ!!私の胸に飛び込んで下さい!」

・・いや。結構です。

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