重量オーバーです。
ただ今の時刻、深夜零時。
「わー待てよ。おっさん!!」
俺は、慌てて台座に飛びついて、支えた。
「だから、早まるなって。な?」
つうか、おっさん・・・重いんだけど。
何が悲しいかな。俺は、町の小さな工房の片隅で、俺の三人分くらいのオッサンを支える。
首には、天井の梁からぶら下げられた輪っか。
足元には、今にも壊れそうな(手造りらしい)椅子。
俺は、必死に椅子が倒れないように、オッサンの足に取り付いている。
黒子ーーー。手伝って?
ああ、解ったよ。ごめんなさい。
解ったから、オッサン突き抜けて腹から顔出すの止めて?
めっちゃ、怖いわ!!
グラグラグラ。
バキッ・・。
あ。椅子が壊れた。
「ぐふぅぅ・・」
もがき暴れるオッサン。
俺、蹴り倒される。
俺が蹴り倒したいわ(怒)。
「美樹ちゃん、大丈夫ですかぁ?」
だいじょばない!!
「ああ、首締まって、苦しそうですよ?」
そりゃまずい!!
俺は急いで起き上がって、オッサンを支えようと・・・。
ブチッ・・・。
ドサドサドサ。
「うっ」
腰を強打したオッサンが呻く。
わー切れたよ。ロープが。
「重すぎですねぇ。重量オーバーですぅ。」
感心してねーで、俺を助けろ。
オッサンに潰される!!!
ぐえっ。マジおもっ。
呻く、オッサン。
潰れる、俺。
恐るべし、脂肪。圧迫、ハンパねぇ。
「オッサン・・・ど・・どいて・・・」
のろのろと、俺の上から退くオッサン。
転がすぞ?坂の上から、コロコロコロコロ!!
「わたしは・・・うう・・うううう。
ロープにまで馬鹿にされた!!」
ちゃう。ロープは、頑張ってたと思うけど?
「あーもう。オッサン、泣くなよ。死神さん紹介しやるから。な?」
なんで、オッサン諭さにゃならんの?俺。
「おーい。死神さーん。」
さっそく現れたるは、新顔マッチョの・・・名前聞いてねぇや。
まあいいや。
後は頼んだよ。マッチョ。
オッサンは、悩んでいたらしい。
手造り工房で、主に家具を作ってたんだって。
本当は、椅子を作りたいんだって。
いちをう、作ってはいるらしいんだけど・・・。
完成すると座りごごちを確かめる。
・・・そん時、椅子が大破する(毎回)。
それに凹んで凹んで・・・。
いや、まずは自分の腹でもヘコませてみたら?
黒子、爆笑。
「や・・止めて下さい。お腹が捩れてしまいますぅ~。」
解らんもんだね。
他人からしたら、そんな事で!?が、その本人にしたら重要な事。
沢山あんだろなぁ。
あ、俺、成長してる?