淋しかったんですね。
今日も学校生活は、平和に眠かった。
でも、なんか以前よりも充実した気分だった。
・・・癪だけど。
茜の空を見上げながら、マンションまで帰って来た。
まぁ、黒子はいつもどおり、ぺちゃくちゃとうるさい。
更には、死神さんまで遊びに来る始末。
そんな馴れつつあった、異常日常に、普通の事が起きた。
遠くに離れている両親から、久しぶりに電話が来たのだ。
ん、普通、毎日会話するのって、親だよな?
吃驚、俺。普通が、普通でなくなってた。
「元気にしてる?」
元気か?
学校はどうだ?
生活はどうだ?
大丈夫か?
なんやかんやと、矢継ぎ早の質問攻めにあった。
極めつけ、何か、変わったことはないか?とな。
ええ、ええ。ありました。
俺の人生、最大限に変わりましたとも。
なんせ、神様、死神様、黒子様、俺、平社員一号様ですから!!
なんて、言えないんだけどね・・・。
「うん・・。変わりないよ。大丈夫。」
俺、健気。
両親に心配かけまいと、気丈に振舞う。
うん。俺、健気。
言っちゃうよ?
誰も言ってくれないから、自分で言っちゃう。
ピッ。
と、電子音とともに、通話を終了する。
文明の利器って、便利よね。
だって、離れていたって、会話できちゃうんだよ?
とか、意味不明な事を考えてると、黒子がじっと見つめてた。
「なんだよ?何か、ヘンな会話してた?俺。」
じーっと、ニヤケた顔でない黒子に見つめられて、たじろぐ。
「美樹ちゃんは、淋しかったんですね。」
・・・え?
黒子に指摘されて、初めて自覚した。
ソレは、ストンと(黒子が言ったのに)俺の心に落ちた。
・・・そうか。
俺は、淋しかったのか。