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死神紹介屋  作者: 鷹真
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あ、はじめまして。

「私、こういう者です。」

そう言いながら、愛想笑いの張り付いたソレは、名刺を差し出した。

俺は、固まってしまった。

・・いや、無理もないだろう。

ここは、屋上。フェンスを乗り越えた際ギリギリ。

学校には、誰もいない。

当たり前だ、今は深夜なのだから。


差し出された黒い怪しい名刺には、やはり怪しい文字が並ぶ。

『あなたにピッタリの死神を紹介します。

死神紹介屋 

代表取締役 黒子』

怪しすぎるが、否定できない。

なぜならば、俺は外向きに立っている。

ソレは、俺の目の前にいる。

・・・つうか、何もない空間にう・・浮いている。

しかも、黒ずくめの格好なのに良く見える。

黒ずくめの愛想笑いが、闇にくっきりと認識できる。

街灯はない。校舎の灯りはきっちりと落ちていて、非常灯は割れていた。

つまり、見えるわけない。普通。


「そんな胡乱げな顔しないで下さいよ。

私ね、こう見えて結構繊細なんですから。」

そう言いながら、俺に名刺を握らせる。

そして、一瞬眼が光ったかと思うと、こう言った。

「貴方、自殺したいんでしょ?」


思い出しながら、隣にいる(他の人には見えないらしい)黒子を睨む。

黒子が見えていない隣の奴は、ビクリと肩を震わせた。

・・・しまった。

ヘラっ。と愛想笑いで誤魔化してみた。

・・・ビクビクと震えながら、引きつって無理やり作った顔をされた。

くそぅ・・。

なんなんだ。なんなんだコイツ。

ニヤニヤしながら、黒子は俺を見下ろす。


あの日、俺が屋上にいたあの日から黒子は、俺についてくる。

・・・憑いてくる。が、正しいのか?

ああ、そのニヤけた面をぶん殴りたい。

・・・触れるのだろうか?

普通に考えて(既に普通ではないが)、触れなそうだよな。試したことないけど。

など思っていたら、黒子が俺の肩に肘をついて言い放つ。

「触れますよ。ほら、肘まで置けちゃう。」

・・・。

我慢だ。いま、ここで、反応したら、変な眼で見られるのは俺だ。

黒子は、見えてないのだから。

我慢。我慢。我慢。・・・ぷちっ。

グァタンッ

思い切り立ち上がってしまった。

教室内は、静まり返りかえる。

唖然とした先生が、

「ど・・どうしたんだね。時津くん。」

は。やってしまった。

「あ・・・た、体調悪いので、帰ります!!」

有無を言わせず、鞄に適当に詰めて逃げる様に教室を出る。

ぷぷぷ・・ぷっくくくく。

浮遊しながら、黒子は腹を抱える。

殺意を覚えた。

どうしたら、こいつを抹消出来るだろうか。

はぁ・・・。

俺は深く、深ーーく溜息をついたのだった。

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