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波乱








 1






 人里に続く道。


 そこを歩く二つの影。


 「飛んでいけば直ぐじゃないですか」


 「久しぶりに外に出たんだろ?なら景色を楽しみながら行けばいいさ」


 一人は名も無き妖怪、何でも屋の花火。


 もう一人は地底の嫌われ者妖怪の古明地さとりだ。


 「ほら、見てみろよ。この素晴らしい自然をさ」


 「そうですね、木ですね」


 花火は大袈裟に両腕を広げながらさとりに自然の素晴らしさを主張するが、さとりはそれをどうでもよさげに受け流す。


 「そういうことじゃないっつの」


 「分かってますよ、読んでますし」


 さとりは第三の目を花火に向けながら言う。


 花火は少し不貞腐れた様にさとりの横に戻り、並んで道を歩き始める。


 「いいんですか?本当に私を連れて行って」


 さとりが少し困ったように花火に話を振る。


 「いいんだよ、俺も俺がすべき事のためなら手段を選んでられないしな」


 その答えを聞いてさとりは感心する。


 少し前…昨日までは甘い考えだった花火が今までの自分を否定するような事をさらりと言ったのだ。

 

 さとりは花火の商人として足りない物が多すぎると思っていたが、昨日の晩からまるで別人のような考えになっていることに驚きながらも嬉しく思っていた。


 花火は考え方こそは変わったが、心の中までは変わってはいない。

 その事を考慮すると九商会の千雪という人物から何かを学んだのかもしれない。


 「おーい、花火。待ってたよ」


 遠巻きから大声で自らを呼ぶ声に花火は手を上げて応える。


 人里の入口で数人の屈強な男を連れた肌の白い茶髪の少年。

 イチジク商会の会長、九千雪だ。


 「悪いな、待たせたか」


 「いいのいいの、僕も今来たところだから」


 屈強な男達を後ろに下がらせてから千雪が花火とさとりに近づく。


 「さとり、昨日も話した千雪だ」


 「……初めまして、古明地さとりです」


 さとりはすごく嫌そうな顔をしながらも礼儀として挨拶をする。


 「ああ!君が噂のさとりさんか!初めまして、花火の大親友である九千雪です」


 「誰が大親友だ」


 軽口を叩きながらも互いに挨拶を済ませたところでさとりが花火の後ろに隠れようとする。


 「そういやさ、他者の心を読めるって本当?」


 それを千雪が持ち前の馴れ馴れしさで邪魔をする。


 「……ええ、例えば貴方が花火さんを本当に好いている事とか、あとは―」


 「だー!待った!読めるのは分かったからもう口に出さないで!」


 「お前……」


 さとりが花火の後ろから言うと、千雪は焦ったようにさとりを止める。

 

 そして仕切り直しだと言わんばかりに真面目な表情を作る。


 「そんなことよりももう命蓮寺に向かいけどいいかい?」


 「顔が赤い、隠しきれてないぞ」


 「『恥ずかしくてたまらないけど花火に蔑まれるのも悪くない』と言っています」


 「やめて!泣くよ!?本当に泣くよ!?」


 だがそれも花火とさとりによって更なる墓穴となる。


 「な?俺は変態じゃないって分かったろ?」


 「ええ、世の中には上には上がいるものですね。地上は広いです」


 「もう泣こう、うん。泣いて今日は家に帰ろう」


 ヒソヒソと千雪に聞こえるようにわざとらしく変態と罵るさとりと花火に千雪は涙目で下を向きながら人里に帰ろうとする。


 「デートしなくていいのか?」


 花火がそうと呟くと千雪はピタリと足を止める。


 「そうだよ!僕は花火とデートするんだ!それを考えたらこんなこと試練にもならないね!」


 「本気でそう思っているところが凄いです」


 急に明るい表情で振り返る千雪にさとりが呆れたように溜息を付く。


 良くも悪くも千雪の図々しさが他者との接触を嫌うさとりにまで影響していた。


 「話は戻るけどそろそろ命蓮寺に向かうけど…いいね?」


 千雪の問いに花火は頷く。


 今日は九商会、博麗、命蓮寺での会合の日だ。


 昨日、花火が千雪に持ちかけた頼みごとというのはその会合に参加させて欲しいという事だった。


 そして花火がこの会合に参加するのは九商会でもない、博麗の協力者でもない、命蓮寺との協力者でもない。

 『花火』という一つの組織として参加するというものだった。


 今回の会合の面子から言って間違いなく、花火についてのモノだと千雪は考えていて、花火もそれを理解していた。


 花火の予測だと命蓮寺も博麗もそれぞれの理由で花火を取り込もうとしていると予測している。

 これには千雪も賛同しているためほぼ間違い無いだろう。


 そして今回の会合で優勢な立場に立っているのは間違いなく命蓮寺と博麗だ。

 

 花火と口約束だが『仲間』と明言した命蓮寺。


 そして情報提供者として博麗も優位な立場なのも事実。


 それならばと花火は唯一関わりのなかった九商会の招待の下、会合に参加するという事だ。


 そうすれば実質、花火は九商会に貸しを作ることになり、三者の立場はほぼ同じになる。


 そこに花火が誰の協力者でもなく、一つの組織として参加し、今回の事態の収集を図るというものだ。


 花火としては何処に属する気もなければ潰される気もない。

 それならば自分で解決してしまわなければならない。


 「それじゃあ行こうか」


 千雪が歩き始めるその後ろを、さとりと花火は並んで付いていった。














 2





 今日の会合が行われる舞台は命蓮寺の大広間だ。


 この部屋は、花火が初めて命蓮寺に来た時に使われた部屋である。


 「じゃあ入ろうか。わかってると思うけど僕は花火を潰すか取り込むかの二択しか考えてないからね」


 「分かってる」


 大広間の麩の前で千雪が、昨日見せた狂気じみた笑顔を見せながら敵対意思を向け、花火はそれを受け止める。


 「遅くなって申し訳ない。九商会、現会長の九千雪です」


 千雪が麩の前で声を張り、中から返事が帰ってきた事を確認してから麩を開ける。


 「花火!?」


 「花火さん!?」


 麩を開けて千雪の後ろから当たり前のように中に入る花火に聖と霊夢は驚愕の声を上げる。


 「なんであんたがここにいるのよ!」


 霊夢が立ち上がりながら花火に激しく当たる。


 「九商会の招待でこの会合に出席させてもらうことになった」


 花火は簡潔に理由を話し、長テーブルの千雪の対面に腰掛ける。花火にさとりも続く。


 位置的には右に霊夢、左に聖、正面に千雪となっている。


 「九商会の招待でって…。あんた本当に自分の立場がわかってるの?」


 それでも納得しない霊夢に花火は無表情のままそれを受け止め、聖にちらりと視線を向ける。


 言葉こそ発してはいないが聖もまた、納得がいっていない様子だ。


 「僕が招待したのに何か問題でも?もしかして今回の会合は花火に聞かれたらまずい内容だとか?」

 

 千雪の言葉に霊夢と聖が驚愕の表情を浮かべる。


 「ああ、大丈夫ですよ。僕は花火を取り込むか潰すかしか考えていないので。貴方たちが持っている情報と変わりませんから」


 更に続く千雪の言葉に霊夢と聖が焦りの表情すら見せる。


 敵対していると思っていた九商会と『花火』が親密になっていると思ったら潰すと明言したのだ。


 更に諜報員がいることもバレている。


 「それにしても貴方達もタチが悪いですね。僕が『花火』を潰すことしか考えていないみたいな情報を花火に流して」


 「っく…」


 霊夢が悔しそうな声を漏らす。

 聖も表情を閉ざしてはいるが動揺の色が隠しきれていない。


 「それは分かったけど何でさとりがここにいるのよ」


 霊夢は花火を追い出すことは不可能だと判断し、話の矛先をさとりに向ける。


 それをさとりは無表情で受け流す。


 「さとりは花火(うち)の従業員だ」


 「「!!?」」


 さらりと花火がさとりを守る。


 「そんなこと、聞いてないわよ!」


 「そうだろうな。言ってないし」


 「開き直るわけ!?」


 「いつ俺がお前に全ての『花火』の情報を流したって言った?それにお前だって命蓮寺だって俺を誤認させるような情報の提供をしたんだ、人のこと言えるのか?」


 「な、なっ…」


 「ッ!!」


 「…へぇ」


 花火の容赦ない牽制に霊夢はあっけにとられ、聖は目を見開き、千雪は感心した。


 「お前たちは嘘は言っていない。それで俺が九商会の認識を誤ったんだ、これは俺の自業自得だ。だが俺も嘘は言っていない。だからこれはお前たちの自業自得だ」


 少し前とは違う花火の様子に霊夢と聖は息を飲む。


 少し前までは言葉の裏も表も分からないほどに人の言うことを全て信じきっていた花火に自分たちが手玉に取られているのだ。

 

 唯一の武器であった『花火』を失った霊夢と聖は完全に余裕を失う。


 「最初に言っておくが俺は今回の騒動を収めに来た。俺はどこにも取り込まれず、どこにも潰されないようにな」


 更に追い討ちをかけるように花火は霊夢と聖を突き放す。


 「じゃあ状況も整理できたところで会合を始めようか。天狗さん、入ってきていいよ」


 花火は千雪の場の仕切り直しのタイミングに素直に感心する。

 花火が崩した霊夢と聖が立て直す前に次の話題に移した。


 今の状況は聖と霊夢は完全に花火に釘付けとなっていて、水面下で好きなように動けるのは千雪だけだ。


 (全く食えない奴だ。本当に敵には回したくはないな)


 今の千雪が敵だと認識している花火はしみじみそう思う。


 「はーい。じゃあ失礼します」


 ガラリと麩を開けて入って来たのは幻想郷でトップの発行部数を誇る文々。新聞(ブンブンマルシンブン)のジャーナリスト、天狗の射命丸文(しゃめいまるあや)だった。


 突然の文の登場に霊夢と聖は苦虫を噛み締めたような表情になる。


 「ブン屋さんは僕が呼んだんだ。招待状を受け取っているところを見られちゃってね」


 笑顔で言う千雪の言葉の裏は逃げ場を潰しだと花火は予測する。


 文々。新聞は人里はもちろんの事、その他の場所でも広く読まれている。

 勿論その影響力は絶大で、文々。新聞が記事を出せばあっという間にこの会合の情報は広まるだろう。


 それを理解した霊夢と聖はこの会合での発言権は無いと理解したのだろう。


 「ではでは。私はいないと思ってじゃんじゃん激論を交わしちゃって下さい!」


 文が文花帖というネタ帳を広げながら目をキラキラとさせている。


 「文さん、約束通り今回の会合には口出ししないで下さいね」


 「分かってますって」


 千雪がこの会合の情報を文にチラつかせ、それに食いついてきた文を条件付きで見学させた、といったところだろうと花火は推測する。


 千雪は渋々といった雰囲気を出しているが、邪魔な要素を潰した見事な作戦だ。


 花火は再び千雪の商人としての才覚に素直に感心する。


 だがこのままだと千雪に全部持っていかれる。


 そう判断した花火は会合を始めようとする千雪が口を開いた瞬間を見計らって大きめの声で千雪の言葉を遮る。


 「文、悪いけど今回の会合は激論なんて無い」


 「!!?」


 花火のはっきりとした宣言に目を見開いたのは千雪だ。


 (間の取り方、声の大きさ、相手に失礼のない程度の態度。どれをとっても昨日までの花火さんとは別物ですね)


 さとりは花火の駆け引きを黙って見守りながらも観察する。

 

 その成長とも言える変貌ぶりに少々の嬉しさも感じていた。

 

 「そうだな…、正直俺は腹の探り合いは嫌いだ。だから全員で自らの目的を露見するか」


 「あんた何を言ってるの!」


 花火の言葉に霊夢が立ち上がる。


 「花火さん、私もそれには賛同できません」


 「いいですねー、早速美味しい写真ゲットです!」


 聖も即座に反対をしてくる。

 

 そして文はまるで極上の肉を目の前にしたライオンの如く目を輝かせながらシャッターを切っている。


 「……悪いが拒否権はない。お前たちが言わないと言うならばさとりに代弁させるだけだ」


 肩を怒らせながら花火を睨みつける霊夢を軽く受け流しながら拒否権はないことを霊夢だけでなく、この場の全員に言う。


 「…っぷ。あははは!」


 そして花火に今まで言葉を邪魔され続けた千雪が突然に吹き出し始める。

 

 それを怪訝な表情で霊夢と聖は見つめる。


 「あはは…。いやぁ、ごめんごめん。あまりに完璧に邪魔されるものだからさ、可笑しくてつい…くくっ」


 笑いすぎて涙すら浮かべている千雪は涙を拭いながら花火を見る。


 「本当に邪魔で邪魔でしょうがないね、花火は」


 「お陰様でな」


 「いいですねー、いいですねー。」


 睨み合う二人に文はシャッターを切りまくっている。この場で一番得しているのはある意味で文だろう。


 「じゃあ話を戻す。礼儀として俺から初めに言ったほうがいいだろうな」


 「ちょっと!なんで勝手に話を進めようとしてるわけ!?」


 ここまで来てなおも食い下がる霊夢に花火は無表情で向き直る。


 「さっきも言ったが拒否権はない。それとも露見したらまずい事でも企ててるのか?」


 花火の完全な意見に霊夢は口を閉ざさざるを得なくなる。


 場が完全に収まった事を確認して花火は自らの『野望』を初めて口にする。


 「俺の目的は地底の妖怪に対する偏見を無くすことだ」


 花火がその野望を言い切ると同時に空気が凍りつく。

 

 「ス、ス、スクープです!」


 その凍った沈黙を破ったのは文だった


 そのれにより霊夢と聖も我に帰る。


 「そんなの―「お前の意見は聞いていない、俺はこれを達成するためにこんなところで潰されるわけにはいかない」


 霊夢が否定しようとするのを花火が潰す。


 完全にペースを持って行かれている霊夢と聖は口を閉じるしかなかった。


 「じゃあ今度は僕の番ね。僕は花火を取り込みたい、それが無理なら潰す」


 千雪がさりげなく言う。


 文は花火の宣言に対してのメモで夢中になっているために耳に入っていない。

 場の空気を完全に読んだ上の完璧なタイミングだ。


 それを霊夢は指摘しようとするが、文はあくまで見学者であって記録員ではないことに気がつく。


 「それじゃあお次は博麗さん?命蓮寺さん?どうぞ」


 完全に逃げ場を失った霊夢と聖にいやらしい笑を浮かべながら千雪が促す。


 腹を括るしかない。そう思った聖と霊夢は同時に口を開いた。


 「花火を博麗神社(うち)に取り込むことよ」

 「花火さんを命蓮寺(うち)に取り込むことです」


 予想が的中した花火と千雪は別に驚くことなくそれを受け止める。


 「うひゃー!今日は怖いくらいの大量です!」


 文は興奮した様子で文花帖に凄まじい勢いで書き込んでいる。


 (ここまで証拠が出揃えばあとは千雪をどうにかするだけだ)


 完全にこの場での権力を失った霊夢と聖を視界から外す。


 そして千雪はニヤニヤと花火を見つめ返す。


 「さて、全員の野望を聞いたところで僕から提案があるんだけどいいかな?」


 (ッ!!やばい!)

 

 狂気じみた笑を貼り付ける千雪を見て花火は直感的に危険だと悟る。


 「今回の騒動、見事にそれぞれが野望を抱えてる」


 (何を言い出すつもりだ…)

 

 花火は冷や汗を流しながら千雪の次なる言葉を待つ。


 「それなら勝負しない?勝った人がその野望を叶えるってことで」


 花火は頭を抱えたい気持ちを必死に抑えて平静を保つ。


 「勝負?」


 霊夢が千雪の話に食いつく。


 千雪の出した提案は霊夢と聖にとっては起死回生の手段となり、花火にとっては折角脱落してもらった二人がまた蘇るということだ。


 そして花火と博麗、命蓮寺、九商会の中で一番組織的な力が無いのは花火だ。


 花火が使えそうな人員は花火、燐、空、そしてさとりだけだ。


 強力な力を持つさとりの妹は、気分屋でいつ帰ってくるかも何処にいるかも分からないので戦力にはカウントできない。


 「そう、勝負。大会制にして九商会、命蓮寺、博麗、花火で勝負する。それで勝った『組織』が自らの野望を叶えるんだ」


 「ちょっと待て、俺の目的はそんなモノで達成できるような代物じゃない」


 花火は最後の望みをかけてこの提案を潰しにかかる。


 「それなら何か一つずつ願いを聞いてあげるよ、花火の目的達成の手助けでも何でも。それならいいだろ?」


 最後の望みも千雪によって絶たれる。


 これ以上の反対要素は無いし、無理に反対しようならば自らがこの『勝負』に勝ち目がないと言っているようなものだ。


 「でも流石に僕と命蓮寺、博麗の野望を民衆に晒すのはまずいからね。表向きは祭り事の催しとしてやらせてもらおうか」


 「では私が記事にするのもまずいですか?」


 「そうだね、悪いけど聞かなかったことにしてくれる?」


 「いえ、花火さんの事が書ければ十分ですので」


 文と千雪が短い会話をしてからこちらに向き直る。


 「じゃあ『大会』の競技は後に決めるということで今日は解散でいいかな?」


 千雪の言葉に霊夢と聖は頷いてしまう。


 完全に場を掌握された花火はそれに賛同するしか出来なかった。


 「じゃあ僕はこれで」


 そそくさと千雪がその場を後にする。


 何から何まで隙のない奴だと花火は内心で舌打ちをする。


 「花火、あんたが言った事は下手をすれば幻想郷の平和が乱れるものだわ」


 霊夢が落ち着いた声で花火に言う。


 「じゃあお前は秩序のためなら地底の妖怪に対する偏見に目を瞑るのか?」


 「私はあくまで妖怪退治が家業の巫女よ、それを忘れないで」


 霊夢はそれだけ言い残して広間から立ち去る。


 「聖さん、貴方はどう思ってるんですか?」


 「花火さん、申し訳ありませんが博麗と私は同意見です」


 聖の言葉に花火は一つ溜息を付く。


 「その人が言っている事は真実です」


 そこにさとりが割って入る。


 意外な事に花火と聖は驚愕の表情を見せる。


 「命蓮寺の住職さんは確かに心から博麗に同意しています。ですが―」


 「以前花火さんに言ったことも本心からです。理想と現実は違うもの、それをこの人は理解しているのです」


 「さとりさん…」


 さとりが指に毛先をくるくると巻きつけながら言う。


 それに聖が顔を伏せる。


 「話が過ぎました、帰りますよ」


 そそくさ外に出るさとりに引っ張られながら花火もその場を後にする。





 聖はその後ろ姿を見送りなが静かな決意を新たにした。

 

















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