表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/50

三章 7

おかしい。

倒れないのもそうだけど、貫かれる瞬間、貫かれた後も一切動揺や動きに変化が表れていない。

痛感が無いにしても、避けようとしたり、反撃に出たりといった行動が全くない。

ただ、此方に向かって歩いて来るばかり。それも、一歩一歩ゆっくりと。

回避も、痛感も、反撃もない。

では、こいつの初手は一体何だったのか?


確かに夢麻に斬りつけて来た。私も危なかったが、思い出してみれば、私からはギリギリ当たるか当たらないかの間合いではなかっただろうか。

そもそも、夢麻を狙っていると考えていたあの一撃は、違ったのではないか?

その一つの疑念は、水滴が水辺に垂れる波紋の様に思考に広がった。



「夢麻ッ!ちょっと待ってッ!」




声を張った。

その声に、夢麻は追撃を構えて止める。

これまでの目撃証言、体験談、そして今の出来事。

少し危険かもしれないけど、大丈夫。多分、いやきっと。

網に手を掛ける。しっかりと両手で握りしめる。呼吸も覚束ないけど、大丈夫、大丈夫と自分に言い聞かせ、網を構える。

ゆっくり、一歩一歩歩み寄る音は、次第に大きくなっていく。

網の間合いは覚えてる。目測は、十分。

呼吸も落ち着いた。足の震えは武者震い。私の思考が導いた解は、合っている。そう、だから大丈夫。



ニヤけていた。


無意識、というやつだろうか。それとも、脳がなにかを分泌した影響なのか。はたまた、身体が自分の支配下を脱し起こしたのか。


それとも、この解で正しいという証拠なのか。




入った。


振りかざした網を脳天目掛けて思いっきり振り下ろした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ