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三章 3

それから、文芸部までの短い道のり。それが異様に長く感じた。一歩一歩が、地平線に向かってただただ歩を進めるかの如く、進行した実感が湧かなかった。

なぜならば、恥ずかしさに加え、隣で先程の体験を事細かに、ジェスチャーを踏まえて感想を述べる高坂さんのせいである。女子高生が両手をわしわししない!


さらに付け加えると、その隣で真顔で真剣に聞いている夢麻の痛い視線も拍車をかける。

私は悪くない。うん、悪くない。

美月さんの、胸周辺に向けられる指先をいなしながら、文芸部へ到着するまで続いた。




門脇先生は、階段から落ちて骨折したらしい。状況だけ聞くと、河原先輩の彼氏さんと似ている。時期は、ちょうど幽霊の噂が立ち始めた頃。その後に一気に被害者が増えたらしい。

で、だ。


ここが解らないところである。

最初に幽霊を広めた人、もしくはきっかけとなった出来事。

それがまるっきり出てこない。誰に聞いても知らない。まるで噂だけが一人歩き。



そういえば、と思いついた事を聞いてみた。



「幽霊騒動の噂、どこで聞いたんですか?」



最初に答えたのは高坂さん。あやめちゃんから、と春日さんの方を指差す。その春日さんは河原先輩に視線を送り、河原先輩は魅月さんにパスを出す。



「さっちゃんと一緒にバスに乗ってるとき見つけましたよ」


「見つけた?」


「うん。この非公認の学校サイトで」



自分が、大変大きなカギを見落としていた事に今更気付いた。

学校サイト。

裏サイトなど、前に騒がれたこともあるが、大体は同じ様な仕様だ。学生が使用している匿名の掲示板。

携帯電話が学生にこれほど普及した現在、大抵の学校には存在しているだろう。すっかり見落としていた。自分の時は無かったからなぁ。


「まぁ、これは数あるサイトの一つだけどね」


魅月さんが見せてくれたサイトは、掲示板の匿名で書き込むシンプルなものだった。



「その掲示板にある日書き込みがあったんだよね。『真実:学校の深夜、幽霊が人を襲う』。丁度風邪か何かで休んでる人もいたし、悪ノリする人もでて盛り上がったんだ」


「多分みんなそこから知ったりしたんじゃないのかな?最初はただの悪ふざけだと思ってたけど、その後噂が本当になるんだもんね」


「そのサイト、教えて貰ってもいい?」


「いいよん。じゃあメールに添付するからメアド教えて」



赤外線でメアドを送り、帰ってきたメールに添付されたアドレスに行ってみる。

話していた通り、掲示板サイトが表れた。スレット毎に話題が書かれており、その大半は、やはり幽霊騒動についてだった。



「裏サイトなんて、あったのねやっぱり」


「副部長、知らなかったんですか?」


「興味ないからね。携帯なんて電話が出来てればいいタイプなの」


「現役女子高生あるまじき答えでっせ副部長」


「不必要とまでは言わないけど、気にするほどでもないのよ。ところで魅月、紗月は?」


「用事あるからって今日は帰りました」


「彼氏でもできたんじゃない?」


高坂さんの言葉に、ありえないと手を翻し否定。色恋沙汰には縁がないらしい。



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