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二章 5

『へんたい』



夢麻からのメールの内容です。起きてたのね、この子。

まずへんたいって失礼でしょ。いやいや、あの行動は変態行為なんかじゃないし。

昼休み後の授業中に、必死に言い訳メールを打っている最中に先生に見つかり、登校初日に携帯没収。初日にしていきなりクラスの話題となってしまう。

おかげで先生には目を付けられるわ、クラスではヒソヒソと笑われるわ、最悪。

いやいや、こんな時こそポジティブに捉えようじゃないか。生徒に比べれば、教師の方が『幽霊』騒動について何か知ってるだろうし。

放課後、高坂さんに部活見学に誘われたが職員室に用があるからといって断った。時間があれば寄ってみるとは言ったけど、余裕があったらでいっか。



「なに?幽霊騒動について知りたいだ?」



私の携帯は没収後、生活指導の先生の手に渡っていた。登校初日ということもあり、緊張していたとの言い訳の甲斐あって説教は少し短くすんだ。反省文も無し。取りあえず、安心。

年齢のいった熟練教師から携帯を受け取ると、早速例の幽霊騒動について聞いてみた。

一旦考え込むように顎に手を当て、こちらに顔をむき直して呆れたように答えてくれた。

とは言っても、一介の生徒に情報すべてを教えてくれる訳でもない。解ったことは二つ。一つは、教師の中で見た者はおらず、噂の一人歩きであるという結論が職員会議でまとまったこと。そして、警備員をつけてもまだ夜中に学校に侵入しようとする生徒がいるので、その処分に困っているということ。

当然ではあるけど、警備員に見つかった生徒の名前は教えてもらえなかった。プライバシーの厳しい世の中だもんね。




「転校して来たばかりで、そんな噂話を鵜呑みにして夜中に学校に侵入、なんて馬鹿げたことはやめなさいよ。学生の本分は規則正しく日々勉学、わかったね」



所々に牽制をかけられてる。完璧にマークされちゃったかなぁ。愛想笑いに空返事を供えてその場を後にした。説教に情報収集で軽く30分強、か。流石に今から部室に行くのは、気まずいし、明日一緒について行こう、と帰宅に向かうべく職員室を出ると、両腕を掴まれた。



「捕まえたよみっちゃん!」



「合点さ〜、さっちゃん!」



捕まえられたら腕はそのまま相手の肩へと担がれ、宙に浮きそうな態勢になっていた。因みにこの間数秒。職人技の滑らかな運びでこの態勢まで持っていかれ、次の瞬間。




「用意はいいかい、みっちゃん」



「何時でもいけるぜ、さっちゃん」



息のぴったり合った二人に担がれて、そのまま連行されました。

取りあえず、うん、一回深呼吸。

肺全体に空気を溜め込むようにゆっくり吸ってぇ。

吸い終わったら一旦止めて。

最後にゆっくり残さず吐くぅ。

うん、よし。


何なのこの状況。何で私担がれてるの? 綺麗なまでの笑顔でえっさっ、ほいさっと掛け声掛け合いながら走ってるからちょっと恐いんだけど!

しかも廊下を堂々と走るもんだから滅茶苦茶注目されてますよ!笑われたり呆れられたり見て見ぬ振りされたりパレードも真っ青な反応だよ!なんでこの子たちこんな中平気にご機嫌に揚々に走ってるわけ?

あ、やばい。滅茶苦茶恥ずかしい。顔赤くなるかも。いや、多分赤い。窓に写る私の顔鮮明になってるもん。

こうなると、人はただただ笑うしかなくなる。



最近の高校って、怖いやぁ。


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