一章 1
不定期、見きり発車、というなんともお粗末なものですが、頑張って面白い作品にしていきたいと思います。
「人生、何が起こる変わらない。」
どこかの偉人が言ってそうなセリフ。意外と偉人といった大層な人物ではなく、そこら辺にいるホームレスのじいさんが何日も洗っていないだろう頭をポリポリかきながら、ふと空に向かって呟いた言葉が広まっただけなのかもしれない。昔と今を比べながら。
偉大なセリフを言い残すのは、意外となんでもない人だったりするし。
今では日本の人口並の人達が使っているだろう、このセリフ。
しかし、このセリフを使ったことのある人、偉人、一番最初に使用した人ですら、今の私の様な体験は考えていなかっただろう。考えていたわけがない。おおよそ、このセリフは波乱万丈な人生を送った老人が呟いて絵になるもの。自分でもこのセリフを使うのは定年退職したあたりだろうと思っていたわけだ。
下校中、携帯電話で大学時代の友人にそう愚痴ると「ドンマイ」の一言で片付けられた。オプションでケラケラと笑いながら。しかも「ドン」が低く「マイ」で上がるような相手を敬うものではなく、「ドン」で上がり「マイ」が疑問系のようなイントネーションになるタイプである。
慰めの言葉はなしである。リア充め。終いには、彼女が来たからと言って電話を切りやがった。
ツーツーと携帯に残る音を聞きながら、後できわどい写メールを送りつけて修羅場にしてやろうと決意する。
パタンと携帯電話を閉じ、首筋をかく。寮に帰ったら復習、予習、宿題の三連星が待ち構える。手抜きでやるのだが、まぁいいことよ。
しかしながら、まさか二度目の高校生活を送るはめになろうとは思うはずもなかった。
しかも姿形を入れ換えて。
何故こうなったのか。
私が聞きたい。
これでも20歳になるまでお酒タバコはやらなかったし、不純異性交友もしなかった。彼女もいなかったし、友達だってそれなりにいた。反社会的な行動もしなかった。なのに、どうしてこうなった。
いつもの生活リズムだったはずだ。友達と遊んで、夜に帰ってきて、シャワーを浴びて、明日の講義を確認して、そして寝る。このどこに悪い要素があったのだろうか、いや、あるはずがない。
髪を乾かさなかったからか?歯を磨き忘れたからか?携帯を充電しわすれたからか?
いや、関係ないだろ。
だが悲しいことに、事は生じてしまった。
まず、気がついたら変な場所にいた。
真っ白な空間が一面に広がる、宙に浮いている感覚が絶えず俺を支えている。
夢?
夢以外の何者でも無いだろう。今現在、少なくとも俺の生きる今この時代でこんな場所は存在しない。
そもそも、地平線自体俺は見たことがない。夢で見た地平線が人生初だなんてと悲観することもない、まぁ地平線だしいっか。
地平線は今現在の日本においては、海以外では見ることはまずない。噂では東北の田舎の稲畑等では条件次第で見れたりするとか。秋の金々しく光る稲の色を地平線に当てはめてみたが、やはりピンと来ない。そもそもそれほど広大な稲畑は、日本にあるかどうか。じいちゃんの稲畑も広いが、ここには遠く及ばない。
いっそテレビの企画か何かでやって欲しいものだが、やったからといって視聴率が取れるとも思わん。深夜番組辺りならやってくれそうなので、ダメ元で今度投稿してみよう、覚えていたら。
白い空間に見えるは地平線のみ。殺風景な空間でも、もう少し何らかしらのアクセントがあるだろう。サボテンとか綺麗な女性パートナーとか。日の出とか日没とかなら、地平線の美化も数段上がるだろうに。この空間でそんな期待は微塵も持てないのだが。
無意味なくらい地平線について考えていた俺に影が覆い被さる。そうなれば、上を見上げるは自然の摂理。条件反射、オペラント反応だ。
つまり、この行動は防ぎようが無かった。うん、他に選択肢がないのだもの。
見上げると、そこには、なんと表現すると伝わるものか悩んでしまうが
半裸の巨人が座禅をしながら浮いていた。