046⚫️俺の右手が泣いてるぜ
ラグナ王は、北の大陸攻略に向けて、集まった情報を冷静に分析していた。
1.海路の安全確保
暗礁の位置が定まらず、まるで移動しているかのように航路を塞ぐ。
海中に魔獣’クラーケン’が潜む可能性も否定できない。
2.多方面からの飽和攻撃の限界
物量で押し切るにも、兵站が切れれば意味がない。
敵地住民からの強奪は抵抗を招き、どこから攻撃されるかわからなくなる。
線ではなく’面’で支配しなければ進軍は難しい。
3.長期戦の弊害
敵地での長期作戦は、補給も連絡も困難になる。
開戦前の立案どおり、急な変化が起きる前に叩きつぶす必要がある。
4.不可知な武器・兵器・魔獣への対応
あれほどの兵団を即時に戦闘不能にした兵器は、いまだ謎のままである。
空を舞う’巨竜’についても詳細不明。
対策なしで挑むのは危険すぎる。
5.王が不在の王国という危険性
王が親征する以上、留守を任せる忠臣が不可欠。
だが、先王からの叩き上げは戦力として随行させたい。
誰に任せるか、悩ましい問題である。
ラグナ王の出した結論は、
精鋭部隊による短期決戦。
狙うは北の大陸の力の根源とおぼしき、ラベンダー公国。
選りすぐりの艦艇に、選りすぐりの将軍と兵を乗せ、
暗礁かクラーケンかの判別を無用として、一気に攻め上る。
工廠の’対巨竜兵器’は最小限のみ搭載する。
立案を謀臣と固めたラグナ王は、直ちに臣下を呼び集めた。
電光石火、疾風迅雷。
ラグナは、ようやく傷の癒えた右の拳を、ゆっくりと擦っていた。




