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山のトロルとギザギザのお星さま

作者: もんた君
掲載日:2026/01/22

遠い昔、遠い場所の

ずっと 山 おくに

山のトロル が 暮らしていました。


山のトロルは、

山の土や石や木と同じところから生まれた

山そのもののような不思議な 生き物でした。


トロルの体はとても大きくて

力は強いけど

動きはゆっくりです。


トロルが体を動かすと、地面が揺れて

あたりに風が生まれます。

トロルがお話しをすると

その声の大きさで、山全体がざわざわしました。

だから、トロルはみんなの迷惑にならないよう

ゆっくりと動くし、小さな声で話します。


昼間、トロルは 外に 出ません。

それは、太陽の光を浴びてしまうと岩に なってしまうから。

だから、夜になると ときどき、山の 中を そっと 見まわりに でます。

なぜかって?

動物たちが 困っていないか、

木が 倒れていないか、

山が 元気かを 確かめるためです。

山の土や石、川の流れや、風の音、木のささやきも、動物たちも、ぜ~んぶ 大切な 友達だからです。


山の見まわりが終わるころ、トロルは家に 帰ります。

そのときに頼りにしていたのが、

北の空で、一番、きらきらと明るく輝くお星さま でした。

東の空が、少しずつ白んできても

そのお星さまを目印にして歩いていくと

かならずお家に着くのです。


ところが ある晩、

いつもの 場所に お星さまが いません。

お家に戻れないで困ったトロルは、

山の洞窟の奥にもぐりこみました。


次の 夜も、次の夜も、

お星さまは いませんでした。

トロルの心のなかに寂しさが生まれたころ、そのとき、山の 遠くで光る ものが 見えました。


トロルが近づくと、

そこには、 ギザギザの 形をした お星さま がいました。

お星さまの体からたくさんトゲが出ています。

ギザギザお星さまは、声を出さずにシクシク 泣いていました。


「お星さま、どうしたの?」

「ぼくね、この前、北の空から 落ちてきたの……」

お星さまは 言いました。

ギザギザのこの子は、トロルの探してたお星さまでした。


「空はね、きれいな形をしたお星さまばかりなんだ」

ギザギザお星さまは、他のお星さまからからかわれていたそうです。

そして、ついに大きなケンカになり言い合いをしてる間にギザギザお星さまのトゲが他のお星さまの体に当たってしまいました。

友達の星の形がかけてしまいました。

ギザギザのお星さまは、言いました。

「もう 空にはいたくないよ……。」

お星さまの 光は 弱くゆれていました。


トロルは ギザギザお星さまを

そっと 手のひらに のせました。


「君のきらきらかがやく光は、いつも ぼくが

家に かえるときの大切な 道しるべ だったよ。」


お星さまははっとしました。

「トロル、きみはぼくの光を目印にしてたの?」

「そうだよ。いちばん明るく光る君はぼくを助けてくれたよ」

お星さまの 光が ほんの少しあたたかく ゆれました。


「世界は 広いよ。自分の見たこと聞いたことが 全てじゃない。君の光は助けになったよ。お星さまの仲間たちも、きゅうに君がいなくなって心配しているんじゃないかな」

お星さまの胸に、あたたかい 光が

ゆっくり 広がりました。

お星さまは、しばらく 空を 見あげていました。


そこは悲しい気持ちにもなったけど、自分が生まれた大切な場所です。

「僕、何も言わずに逃げてきちゃったんだよ。あやまらないと。

それと、ぼくの光が誰かのためになれるなら、またがんばれるかな」

トロルは優しくうなずきました。

「君は君のままでいいんだよ、その気持ちがあれば大丈夫だよ。」

トロルは 、お星さまをそっと手にのせて

山の いちばん 高い てっぺんを

目指してゆっくり 歩きはじめました。


空が 朝の色に なりはじめたころ、

トロルは てっぺんに つきました。


「行っておいで。」

トロルは お星さまを 空に かかげました。


お星さまは ぱっと 明るく かがやき、

空へ とびたちました。

「君は君のままでいいんだよ

ぼくはずっと見てるよ」

お星さまはしっかりうなずきました。

「ありがとう。ぼくはぼくのことを少し好きになったよ」


ちょうど そのとき、

うっすら明るくなった東の空から、太陽の光が 山のてっぺんに とどきました。

トロルは ゆっくり 岩に なっていきました。


でも トロルの顔は とても 満足そうでした。

トロルは、この日、山の一部になったのです。


その夜、ギザギザの お星さまは、

山の てっぺんの トロルの 岩に光をそそぎました。

すると、ギザギザお星さまのとなりの星が いいました。

「おかえり。きょうの光……なんだか あたたかいね。」

ギザギザお星さまは少しだまってから

「…ケガをさせてしまって、ごめんね」

と伝えました。

空は、すぐには 変わらないかもしれないけど、

少しずつ、少しずつ、

優しさの形が 増えていくようでした。


ギザギザお星さまのその光は、

今日も空を 山を、そしてトロルを 、

優しく てらしつづけています。

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