ちゅうよう -グレーゾーン-
-まえがき-
指針の狂ったような世界の中で
おもうみちをゆきたいとかんじながら
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中庸
偏らず過不足なく調和できていること
グレーゾーン
白黒決めかねる曖昧な領域のこと
どちらも
極端に偏っていない意味のはずなのに
言葉の選び方で変わる
その場所は不確かなものへと
ときに不安さえおぼえるところになる
そう感じ、そう思える
極端過ぎるよりも
中庸であることが望ましい
そう思う自分がいる
中正であり穏当であることは
極端へと走るよりもずっといい
できるのならばそうしたい
そのままずっと
物事の正道をあゆんでゆけるのならば
けれども、それでも
悪に対する正義のように
その極端に立つことが尊ばれ
主張に支持共感を求められることもある
正しいとされる結果さえ出せればいい
正しくないことは目に止まらなければいい
極端に目立つ色彩と存在
隠される目立たない曖昧なもの
調和がとれており
極端には至らない
まったきものは目立たず
世に尖ったことばかりが目立つ
見渡す目へと飛び込んでくる
沈黙は金、雄弁は銀と言いながら
声高な言葉ばかりが目に付き知られている
声を上げることは正義で
黙することは悪なのか
凪のような調和は
静かに揺蕩うような心は
世のなかでは正しくはないのだろうか
ゼロと一の分かたれた世界のような
輝きと闇ばかりのいま
明暗のはっきりと分かれている
ゆとりも隙間も埋められた世界
僅かなひび割れのような
微かな境界のか細い場所で
夕暮れに飛翔する蝙蝠の如く
光を避け、ときに光を求め
今も宵闇の中を進んでいる
光と影の中
黒白のどっちつかずしかできない自分
灰色の世界
その境界の中でしか生きられない自分
この黄昏に立ちすくむようにも思える
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