7章 新入
余計な情報を排除する為に殊更場面転換を明示する事は致しません。会話の間の表現を重視し、詰まりの無い会話はそれに応じて発言が連続します。発話者が分かりにくい事も多々ありますがご容赦下さい。その代わりに「」の鍵括弧を一纏めとして同一人物の発話が描写を挟まずに連続する事はほぼ排除しております。
また、多少前後している事もありますが描写は時間順となっております。
1節 後押し
結婚式の第三部は基本的にはユッミルとネメッカが少し長めの愛の言葉を交わしさらに側近の二人も言葉を添えるという少しつまらない内容であり、その割にユッミルは少し面倒で小恥ずかしいスピーチをさせられるというユッミルへの愛をアピールしておかしな風評を何とかしようとしているネメッカ以外誰も得しない式次が展開されるのだがユッミルの幕間の悩みの種はそれですらない。問題はその後だ。普通の結婚式ならそれで司会が話を進めて抱き合ってほぼ終了なのだが今回はそうはいかない。
各団の使いは正式なものであり、全員女性なのも一応は形式に則ったものだ。一々言及はされないものの扱いはあくまで側室である。その側室が正室の成婚の儀式に無関係という訳にはいかず形式的な側室との成婚も行われる。ただ、かなり簡易的なものだしそこまで意味は無い。ただ、今回は団の中に三人以上揃えた団があって問題はそこである。簡易的な儀式とは夫への頬への口づけなのだが両頬は二つしかない。三人以上になると誰かは口同士になる。何か水や火が早々に三人を揃えた事もあって各団も何か謎の横並び意識で三人揃えた団も出てしまい、口同士がそこそこ発生するのが確定している状況だ。口同士に厳格な意味は無いものの事情を知らない一般冒険者には明らかに露骨な意味での側室と映ってしまう。感覚の麻痺したユッミルは火のシウや水のミーハについては実態通りだと割り切ってはいるし木や月は現状二人であり、氷は申し訳ないがオーネを犠牲にするつもりである。そして、一番の問題は土である。ユッミル的にメシャーナを目立たせる選択肢を取りたくはないが残り二人はほぼ初対面である。完全に悩んでいる。
「ユッミル、キスの事ですか?」
「そうですね、火はシウさんは嫌な役回りをそつなくこなしてくれそうですし木と月は二人ですから問題ありません。水に関してはミーハでしょうから大丈夫でしょう。後は氷と土ですね」
「まあ氷はオーネさんがやるしかないでしょう。たった二日ですが先に泊まり始めましたし。土はメシャちゃんなら問題無いと思いますけどユッミルは嫌そうですね」
「メシャーナはなるべくそういう立場には立たせたくない」
「実態は第一子の親ですけどね」
「分かってますよ」
「ごめんなさい」
「ですがメシャに気遣いを悟らせても問題ですから表立って頼めない」
「ユッミル様、流石に全く言葉を交わさないであの儀式に臨むのも問題ですから挨拶に向かいますよ」
「そうですね」
ユッミルはいつの間にか中央に席替えして口同士の位置を陣取るシウの前に立っている。
「ユッミルさん、楽しみね」
「そうですね、今日ばかりはあなたの存在をありがたく…いえ、あなたが帰れば両頬で済みますね」
「ユッミル、いくらシウさんが身勝手だからと言ってこういう時はきちんとうまくやってくれるんですから」
「あらっ。心配なら予行演習でもしましょうか?」
「遠慮します。あなたはその通りしないでしょう」
「まあ良いわ。きちんとしますよ」
ユッミルはさっさと木の列に移るが一番外側の席にはシーリュノがしっかり腰を据えている。
「シーリュノ様、どういうおつもりですか?」
「今日限定で私も側室ね。ユッミル様が望むなら明日以降もだけど」
「あの、シーリュノ様がそこに陣取ると頬の数が不足しますから困るのですが」
「ユッホじゃ不満?だってユッホ」
「いえ、そんな事は無いのですがやはり三人の中央というのは私の意思だけでは中々」
「私としてはシーリュノ様がいなくても頬でない方が良いと言いますか、そうしようとしたのですがシーリュノ様と相談してこの形に」
「そうですか、それが方便だとしてもついつい喜んでしまいますね」
「はい」
「ちょっと、ユッミル?何それ?」
「ネメッカ様、次に行きますよ。本当に挨拶すべきは初対面の多い後ろの方なのですから」
「あの、リッネ様。申し上げにくいのですがここは使いの席でして後ろの主導席に座って頂けると」
「ユッミル様の機嫌を損ねると怖いので強い要請とあらば退席するがシーリュノ様との違いは何だ?」
「側室としては全員平等です。三人での合意の結果の席配置なら良いのですがそうでなく合意を作れないならテーファ様が中央という事でお願いできないでしょうか?」
「では私が中央ならどうだ?」
「困ります。その申し出をお受けするにしても断るにしても決断するのに要する時間が掛かりすぎます。お願いですからこの場はテーファ様を中央にするかリッネ様が退席いただくかでお願いします。ネメッカ様も何とか」
「はい、これは私の意向です。少なくともこの場でリッネ様が中央というのは認めません」
「分かりました」
最終的にテーファが中央に収まった。ネメッカとユッミルは安堵して後ろの水の列に向かう。
「あの、現状はあくまでミーハが中央ですけどユッミル様次第ですよ」
「ありがとうございます。ですがそれよりもシャーネはどうしてここに?ここまで不機嫌だと困惑します」
「ふん。小さくてかわいい女の子とたくさん仲良いのね。しかもしっかり色々教えてるのね」
「うん、でもシャーネより優秀な子はいないよ」
「そんな事言っても私の扱いが雑な事に変わりは無いわ」
「シャーネ、いずれラーハ様の恐ろしさは分かるよ。だから今回は振りでも良いからキスしてくれないかな?」
「中央、それとも横?」
「シャーネ、僕はシャーネの事が好きだけど中々会えないしそれは悪いと思っているけどシャーネがそんな態度なのにいきなり中央ってのはミーハが余程嫌でない限り、難しいかな」
「分かりました、今回は横ね、横」
「オーネさん、申し訳ありません。氷の意向の確認がままならずこの様な事態ですがこれまでの経緯を考えるとオーネ様がどうしても中央になってしまいます。水等を用意させますので今回限りは辛抱いただくよう心よりお願いします」
「あの、別にそこまで嫌とは」
「ありがとうございます。お気遣い感謝します。フェノ、後で水を頼む」
「はい」
「あの」
「レミーカ様、私は一方的に存じ上げていましたが初対面ですね。初めまして光の主宰のユッミルと申します」
「私も一方的に存じ上げていたというべきだな。噂も姿も幾度も目にしたぞ。確かに初対面だがこれからはよろしく」
「ユッミルさん、まさか私に初めましてとは言いませんよね?」
「はい、フーニャさん。覚えてますよ」
「初めましてかな、ユッミルさん」
「メシャ、余計な事を話さなければ知り合いというのは問題無い。ネメッカ様に会う前に一緒に狩りをしていた関係を隠しても仕方ないだろう」
「じゃあ中央で良いよね?」
「それは駄目。隠さなくても良いが堂々とする必要もない」
「じゃあ私以外の二人のどちらかとやるんだね」
「それとも私を追い出す?」
「いえ、暫定的には最初にご挨拶頂いた方でお願いします。メシャーナさんに土の使いとして挨拶された事はありませんしこれからも無いでしょう」
しばらくすると第三部が始まる。司会が進行して最初はユッミルが短めのネメッカのご機嫌取りを終えるとネメッカの主張が始まる。
「ユッミルとの出会いは私が声を掛けたことから始まり」
「イーサさん、大変でしたね」
ユッミルは伝音でイーサにだけ声を掛ける。
「私が熱心に誘いましたが断られかけました」
「まあ一週間団に勧誘されると思って逃げていましたけどね」
「ですが私が少し大胆な行動に出てようやく一度きりの話の機会を得ました」
「イーサさん、この時魔族領の所まで追っかけられたんですがきちんと叱ってくれましたか?」
イーサの表情は怒りと笑いを同時に堪えている。
「そして、その場で押し切って交際が始まりました」
「嘘ではないですけど美化しすぎですよね」
「その後もユッミルさんは私に警戒を続けましたが徐々に打ち解けていきました」
「ああ、これは合ってますね」
「その後はお互い愛を囁きあっています」
「まあ結局はこれが言いたかったんでしょうね」
イーサはユッミルを睨む。
「普段も言っていますが改めて言います。私の愛はとても深くユッミルは全てを見れないかもしれませんが」
「イーサさんが色々するからこんな事を言い始めましたよ。どうするんですか?」
「ユッミルといると幸せですしこれからもずっとそうありたいと考えています」
「ですけど僕は左に見える地獄で集中できない。それにネメッカ様もちょっと作りすぎてて困りますね」
「ユッミル、末永く一緒に暮らしましょうね」
ユッミルは慌てて頷く。式自体は側近の演説会に移っていく。
「そうか、そろそろあれの時間だな」
「ああ、各団毎とはいえ格が付くんだな」
「まあ火はシウさんで決まりだろうな。木は二人」
「いや、主宰が座ってる?」
「おいおい、主宰が側近のユッホさんを推すのか。」
「ユッミルとやら羨ましいな」
「まあ水はどうでもいいが月はテーファなのか?」
「リッネ、どけよ。お前がいなければ頬で済む」
「えっ。でもあのリッネが側室を推すのか?」
「ああ、確かに意外だな」
「所で氷と土は知らない奴だな。レミーカは頬みたいだな」
「まああの人は強いし良い人らしいけどそういう方じゃないしな」
「やはりユッミルとやらは男として選んでるな」
イーサの後にフェノが少し長い演説をし、それを終えると司会に促され、ユッミルは壇上を下りていく。
「シウ様、苦労を掛けます」
手筈通りにシウが正面からマッラとエコが左右の頬にキスをする。
「あっ」
マッラとエコはしばらくして離れるがシウはそれを良い事に手を回してさらに続けてようやく離す。会場は完全に騒がしくなった。
「シウさん、困ります」
「何の事かしら?私はしたいようにしただけよ」
「ユッミル、次がありますから」
ユッミルはシーリュノの前を通り、ユッホの正面に立つ。
「あの、シーリュノ様のせいでユッホ様が霞みますよ」
「しないかもしれないわよ?」
「いえ、シーリュノ様はお優しいですから」
「それであなたにとってもユッホは霞むのかしら?」
「分かりませんが無いと思います」
「なら問題ないわね」
木の三人もユッミルに口づけするがやはり衆目の注目はほぼ口を着けた様に見えるシーリュノであった。しかし、その場ではユッホとユッミルが照れて互いに目線を逸らしている。
「ユッミル、次ですよ」
「私は振られたが取り合えずはこの地位に収まっておく」
「振ってません。その仮面がある限り、いかなる答えもできません」
「それはそうかもしれない」
ユッミルは安堵して待つ。大衆の一部はテーファの側室化の悲鳴を上げていく。が、リッネが仮面をずらした事でユッミルが少し体勢を崩したがリッネもテーファもユッミルの口を捉え、傾いたのがキッシャノ側であった為にキッシャノも口の近くで触れる。全員悉く開いた口が大きくなったのか糸を引いてしまう。しかし、テーファは素早く拭き取り、もう一度ユッミルに口づけする。一瞬、リッネの仮面ずらしでの口づけで騒がしくなるもテーファの二度目でさらにざわつく。ユッミルは作り笑いを咄嗟に浮かべて次の列に向かう。
「今日は本当にありがとうございました。お付き合い頂きありがとうございます。これでほぼ終わりなのでお願いします」
ミーハと両側の二人と口を交わす。シャーネもきちんと口を寄せた事にユッミルは安堵する。
「ミーハ、シャーネもありがとう。またね」
大衆はリッネの事で気にも留めない。
「あの、触れなくても良いですから。遠くからは見えませんし」
「分かりました」
氷の三人は丁寧に所定の場所に口を触れさせる。
最後の土の列でフーニャの正面に立つ。この三人はレミーカを除いて少し背が低いので少し屈む。
「やはり正面は私が請け負おう」
レミーカはフーニャを押しのけて力強い口づけをする。ただ、ユッミルには口で押されたという感覚が起きる。フーニャはレミーカに押されてしがみつきながら何とか口を当てる。メシャーナは特に動じず自然体で頬に口を触れさせる。ついでに体勢を崩しかけたユッミルを支える。三人の口が離れると思わずメシャーナを抱き込みかけたが堪えて壇上に戻っていく。最後にユッミルとネメッカの少し長い抱き合いながらの口付けで結婚式は無事終了する。幕は再び下り、それを確認したユッミルはメシャーナを抱き込む。
「偉いね、メシャ」
「な、なるほど我慢してたんですね。私含めて他の小さいのなんて実はどうでも良くて。そういう事ですか」
「でもシャーネちゃんは僕がいなくても強いしまだまだ可愛くなりそうだし心配ないよ」
「ユッミルさん、騙されませんから」
「まあそこのミーハお姉さんよりは強くなって自由をもらってくれないとどうしようもないしそうなったらネメッカ様やテーファ様にシウ様にまで目移りしてメシャーナやミーハにソヨッハを手元に置いて構ってくれない僕よりもシャーネ一人を真剣に相手してくれる男を好きになるよ、シャーネは」
「ユッミル、子供にその言い草は早いですよ」
「それに私も本当はそうですけど」
「テーファ様、今は困ります」
「ちょっとユッミル、どうして私が子供枠なの?」
「ミーハ、ラーハさんみたいになるのも問題だけどシウさんみたいになりたいの?」
「そうね、そうなる位ならメシャ扱いの方が良いわね」
「あらっ。照れ隠しね。一人を愛してはいけないのに私がいると手に負えなくなるのね」
「ってとにかく今日は帰るけど騙されないからね」
「まあ私達も今日は引き上げます」」
火の二人と水の二人は帰っていく。
「あの、オーネさんで不足なら遠慮せずお呼び下さい」
少し遅れて氷の二人も帰っていく。
「ユッミル、その皆帰りそうだなみたいな顔をしている所に悪いが私は同居するぞ。」
「それで早めに。」
「一応、了承は取っておきたかったのでな。今日は丁度いいから素泊まりする。荷物は少ないが明日取りに戻る」
「随分、人が増えたりして」
「ううん、私は月でも光に近い所に住んでるしいつでも待ってるね」
「あの、テーファ様それだとあまり行けないような」
「まあそうなったらまた考えるから」
「私もそこそこ近いので今度案内する」
「後はユッホ様ですが」
「そうだね。頻繁に木の団は開けれないから私が行くし夜も多いかもしれないけどその時はお願いします」
「こちらとしては構わないのですしとりあえずお任せします」
「それで何ですが今日は本来はネメッカ様と過ごす予定でしたが先にテーファ様の家にご案内頂こうかと思うのですがネメッカ様はどう思いますか?ネメッカ様の意向であればそちらを優先しますよ」
「いえ、でしたら私もテーファの家に泊まります。構いませんよね?側近の二人は留守番お願いしますね」
「分かりましたが一旦は塔に戻って月や木の団の警備協力に挨拶はして下さい。テーファ様はシウ様にでも一度ユッミル様の家を案内させればよい」
「分かりました」
「イーサさん、僕も行く必要は無い。いえ、主導のネメッカ様こそ不要で僕だけで事足りるのでは?」
「まあそうですが早速夫婦別行動を誇示する事もないでしょう」
「そうですね」
ユッミルとネメッカはユッホと塔に戻り、先に戻っていたデュフォーネとユッホに挨拶しようとするがそこにはリッネがいる。
「主導様、あなたがわざわざここまで来る事は無いしそれに結婚式にずっと参加して光の塔の警備には参加していないのですから私を立てて下さい」
「それは分かっているが光の上層部への挨拶は重要だ。」
「あの、この度は当方の結婚式にご協力頂いて感謝します。デュフォーネさん達の警備は感謝します。個人的にも心配事だったのでありがとうございます」
「いえ、術師全体として重要行事だったので当然の事、これ以上は邪魔になるので引き上げます」
「はい、ご苦労様でした」
「ユッミル、テーファの件だがこちらの団としては彼女を使いとして派遣する予定は無かったのだが。そうであるのはそもそも取次に彼女では適さないからでこちらとしてはキッシャノの派遣は継続したいのだが?」
「構いませんがキッシャノ様の意向も軽視しないで下さいね。あまり好意的に見られていない相手との同居は望ましくない」
「そうなると私が毎日出向くのが適切という事になるな。月の中でも私が最も光の主宰様との関係を重視している。それに形式上は今回の式で使いになってしまった訳だしな」
「いえいえ、それだと使いになりませんよ。直接会談です」
「いや、それもあるが側室でもある。同居も私としては構わない」
「リッネ様はそこまでお世辞を言わなくても月だけでなくあなたとの関係には十分に配慮していますよ」
「そうだな、流石にユッミルの家は問題だ。であればユッミルが月の塔の私の部屋に泊まっても良い」
「ネメッカ様、私では手に負えません。助けて下さい」
「分かりました。リッネ様、流石に他の団の塔に主宰が宿泊するのは余程の口実が無いと認められません」
「そうか、だがこちらとしては歓迎とだけは示しておく。そちらが断ったからと言って不服は無い。だが式を経た以上主導とはいえ側室扱いは可能。私はこういう事を重んじますので」
「リッネ様、私があなたを警戒している事を憂慮するのは理解しますが軽々にそういう事を言うのは控えた方が良いかと」
「軽々か、まあ勝手に付けた仮面を外しても重くはならないか、君には通用しないね。が、望んでいないのは君の方で私を軽視しているのは君だよ」
「リッネ様を軽視等しようもない」
「軽視しているからこそ私を軽いと断じる」
「私は理解できませんね。リッネ様がそこまでして私の助力を得ようとするのは不思議です」
「ああ、その事もあったか。だがそれは先の話だ。まずは交友」
「交友に使いという地位は不要です」
「であればユッミル、君は月の塔に通ってくれるのか?」
「忙しいので無理ですね。そもそもそれはリッネ様も同じ。どちらかが主導の地位を下りないとあり得ません」
「そんな事は無いが問題はそこでは無く私ともう少し気軽に接して欲しい」
「時間が掛かります」
「まあ良い。今日はこれ位にしておこう」
リッネも帰っていく。
「ユッミル、人気者ですね」
「だと良いのですが」
ユッミルとネメッカはしばらくすると月の方のテーファの家に向かおうとするが場所が分からずにユッミルの家に向かう。ネメッカは薄暗いのを良い事に抱きついていく。
「テーファさん、良かった」
「ええ、家が分からないと困ると思ったので待っていましたよ」
「ありがとうございます」
「ユッミル、行きますよ」
「テーファ、ネメッカはあれだけど立場は同じだからね。ちょっとユッミルに今は気に入られてるみたいだけどそんなのはユッミルの気まぐれ」
「ミーハさん、随分焦ってますね。私はユッミルが少々強引になると期待しるわよ」
「どういう理屈ですか?」
「それを言っても面白くないわよ。良いからテーファと楽しんできなさい」
「ネメッカ様もいますからご心配なく」
「ああ、そういう事にしておくのね。けど私は気にしないわよ」
「では行きます」
家を出るとネメッカはさっさと腕を組んで体を寄せる。
「あの、私はちょっと抱き寄せて欲しいです」
「ネメッカ様、構いませんか?」
「私の名前を間違えるのはいい加減にして下さい」
「ネメッカ、離れろ」
「はい」
ユッミルはネメッカを抱き寄せ、もう片方の手でテーファを抱き寄せる。
月の方に近づくとユッミルはテーファを離す。
「ユッミル様、どうされたのですか?」
「えっと、案内してもらいたいから」
「こちらですよ」
「ユッミル、テーファの手も取って下さい」
テーファは家に着くとユッミルを胸に抱き込んでベッドに寝かせる。
「ネメッカ様、片づけるのでユッミル様を抱いておいて下さい」
ネメッカはユッミルを胸に抱き込む。
「ユッミル、こういう偉そうな女は後ろに手を回して胸を荒っぽく掴んで舌打ちして『脱がないと話にならないな、色気の無い胸は出し惜しんでないでさっさと出せ』と言えばいいんですよ」
「ネメッカ様、テーファ様に興味があるので公平に脱いでくれますか?」
「ユッミル、それこそ正しい名前で呼ぶべきでは?」
「ネメッカ、お前はどうでもいいがついでだから脱がすぞ」
「別に良いですよ。ユッミルの事です。嫌がっても脱がすんですから早くして下さい」
「嫌なのか。ならやめようか?」
「いえ、実際には嫌がった事等無いのですから構いません」
「ユッミル様、私もいます」
テーファも転がり込む。
「あの、一応立場上ネメッカ様を先にしますけど本当はテーファさんの方が魅力的ですから」
「はい、待ちますね」
ユッミルはネメッカの服を脱がせていく。
「ネメッカ様は安く売るから悪いんです」
ユッミルはテーファの服にも手を掛けていく。
「シウ、あなたあっさり行かせたけど何?」
「流石にテーファさんには敵わないわ。無駄な抵抗はしなかっただけよ」
「あっさりね」
「止めれたとしたらメシャーナさんだけね」
「そんな事ないよ」
「そうかしら?私が甘えてもできない要求を通せそうだけど」
「ネメッカ、本当に君の一番が揺らいでいるから止めても構いませんよ」
「構わないけどテーファだとユッミルが引っ張る事になるわよ」
テーファはユッミルを引き込み直す。
「テーファ、もう諦めたよ。ネメッカ、すまない」
しばらくするとユッミルはネメッカを抱く。
「ネメッカ様、テーファさんは強敵ですよ」
「ユッミル、名前を間違えるなら触らないで下さい」
「そう思うなら払いのけて下さい」
「ユッミル、私の名前は?」
「ネメッカです」
「じゃあ、『ネメッカ、子供一人生みそうな位で調子に乗るな。まあ辛うじて女の体なんだから差し出せ』と言って色々触って下さい。色気が無いと思うならどうでもいい場所を触ればいいですよ」
「ネメッカ、子供を一人生みそうな位で調子に乗るな。辛うじて女の体だし差し出してもらうぞ。今更拒んでも遅いぞ」
ユッミルはネメッカの指示に従う。
「ユッミルはあまりかもしれませんが私は十分ですよ」
しばらくするとユッミルはネメッカを抱き寄せてそのまましばらく抱いていた。
「テーファさん、やはりまだ慣れないだけですから」
「分かっていますしその方が良いです。」
「ネメッカ様、申し訳ないです。慣れろと言われたのに元に戻ってしまいました」
「いえ、私こそユッミルに慣れさせるばかりだと失うものもあるんですね、反省です。ですが本当にいい加減に様はやめてくれませんか、そんな事だと主導を譲るだけでなく側近の地位に下りますよ。リッネ様が側室と言った理由が分かってきましたね」
「えっと?」
「とにかくネメッカと呼んで下さい」
「ですが慣れた呼び方ですよね?」
「いえ、女を口説くなら様は付けません」
「ネメッカ様を口説くなんてどの男にも無理ですよ」
「成功するのはユッミルだけですがやるだけなら誰でもできます」
「ネメッカ、美しいな。ってもう服を脱いでる相手をどう口説けと?」
「ああ、そうでしたね。今日はこれ位にしましょう。最初からでないと意味が無い」
「ネメッカ様、お風呂の用意をしますね」
ユッミルが目線を移すと確かに風呂がある。
「ネメッカ様、テーファさんに服を着せないと襲いたくなってしまいます」
「行けばいいんですよ」
「うーん、確かにそれはそうですがそうなるとあの姿を崩す事になるのでそれも違う様な」
「まさか、ユッミル。やはり私の考えは間違っていなかったようですね」
「何です?」
「いえ、早く入りますよ」
入浴後、三人共ベッドでいつの間にか寝てしまう。ユッミルはネメッカの体を触りながら起こす。
「ユッミル、もっと長く味わってから私を起こせばいいのに」
「起こす気は無かったですよ」
「だと良いんですけどね」
軽い朝食を終えるとユッミルは家にネメッカは塔に向かう。
2節 逃避
ユッミルが家に向かうとちょうどフーニャが通りかかる。
「ユッミルさん、荷物取って来ますね」
「そうでしたね」
ユッミルが家に帰ると珍しく家にはメシャーナしかいない。オーネは式の後に氷の塔に向かった様だ。
「お帰り。今日は休み?」
「そうだね」
ユッミルが腰を落ち着けるとメシャーナはやはり膝に座る。
「シウさんもいないのか」
「うん、塔に顔を出すって。けど昼を食べたらすぐ戻るらしいしフーニャちゃんも荷物を取ったらすぐ戻るからユッミルと二人なのはちょっとだけだよ。ミーハも早いと昼には帰るらしいし」
「まあメシャと仲良くしてても誰も邪魔しないから関係無いけどね」
「ユッミルは家にいる時間、減るの?」
「昼間は最近はいないけどね。夜は減るかもしれないけど人は増えてるからね。しかも塔の部屋の留守番は不要になりつつある。ただ、指揮所の当番の日は塔かな。早起きしないといけないしそこの辺りはイーサさんがしっかりしてるしね」
「けど指揮所の当番とかで早起きなら人数の多いこっちなら誰かは気づくと思うよ。私も気を付けるし」
「まあ考えておくよ」
ユッミルはしばらくして昼食を作る事にする。そうしていると外から雨音が聞こえてくる。
「雨か。皆遅くなるかもしれないね」
「うん、手伝うよ」
メシャーナは少しだけ昼食作りを手伝う。雨で誰も帰らないと思ったユッミルはさっさと食べてしまう。しかし、昼食を食べてそこまで間を置かずに扉を叩く音とぼやけた声がする。
「えっと、はい」
「ユッミルさん、取って来たよ」
「あの、この時期の雨はそんなに長くないんですから夕方頃まで待てば止みましたよ」
「知っている。けど荷物を抱えて戻りたくは無かったの」
「はあ。ですけど荷物、濡れてますよ」
「悪いな。湿気を持ち込んで」
「服も濡れてますし」
「おお、私に服を脱がせる筋書きが出来たという訳か。早速か。だがいずれはやむを得ない、好きにすると良い」
「はあ?いやいやまあ風呂は入ればいいですけど」
「まずは私の体を品定めか」
「他に人もいますし昼間ですよ」
「私の服を回収して洗濯して私を半日裸で過ごさせることも可能だ」
「あの荷物に服はあるでしょう。中までは濡れてないでしょう」
「そうだな。機会はいくらでもあるから急がないのか」
「はあ、好きにして下さい」
ユッミルは湯を沸かしていく。
「ユッミルさん、濡れた服を着たままは良くないのか?」
「それはそうですが」
「やはりか。それであえて湯をゆっくり沸かし裸の私が泣きついて来るのを待ってるのか」
「だから替えの服は荷物にあるでしょう」
「つまらないね。夜にならないと盛らない感じか?」
「あの、襲って欲しいんですか?」
「野暮だな、筋書きは大事だぞ」
「分かっていますがそれはそれで問題でしょう」
「なるほど、その返答は面白い。なら身を任せよう」
フーニャは服を脱ぐ。そのまま寄ってくる。ユッミルに抱きつく。
「えっと、どうしたのですか?」
「寒い。もう少し早くなりませんか?」
「荷物に替えの服は無いんですか?」
「あるが着ても意味は無い」
「意味が無いとは?」
「すぐ脱がせられる服なので君の前では着てないのと同じだ」
「急いでますが少しかかるので着て下さい」
「無駄な手間だな」
「とりあえず離れて下さい」
「すまない。くっついたままだと品定めが出来ないな」
「されたいのですか?」
「まあやむを得ないね。まあ身長は少し低いが胸は小さくは無い。その気になって来たんじゃないかね?」
「えっと、子供とは明らかに違いますけどそこにあなたより遥かに大きい子がいるんですよね」
「そこってメシャ君かい?冗談を…よく見ると大きいかもしれない」
フーニャは大袈裟に手を床について顔を下げる。
「ユッミルよ、私は狼狽しているチャンスだよ」
「そんな言い方をされた時点で駄目でしょう」
「ああ、そうだ。結構待ったが何もしないから言ったのだ。だがこうやって口が軽いのはユッミルに襲われるのが怖くてやってる虚勢かもしれないぞ」
「だったら何なのですか?」
「いや、そっちの方が好みなのかと思ってね」
「そろそろ湧くんじゃないですか?入れていきますね」
ユッミルはお湯を桶に注ぎ始める。
「おい、そこは時間を稼いで早く入りたければ自ら体を捧げる様に要求する所だろう」
フーニャはユッミルの後ろで騒いでいる。そこへミーハが帰宅する。
「ユッミル、私を差し置いて何その子…に襲われてるの?」
「いや、雨の中やって来たので服が濡れてしまったからユッミルに脱ぐ様にそそのかされたが風呂が沸かない。服を着ようとするとすぐ沸くと止めて来るから服を着る事も出来ない」
「嘘をつかないで下さい」
「急ぐと言ったではないか。」
「なるほど濡れてくる手があった」
「ミーハ、術で水を被るのはやめようね。今、風邪を引きに行くのは軽く見ているのかな?」
「そうね。でももうちょっと構って欲しいかも」
「こらっ。裸の女を無視して別の話を進めるな」
「ああ、取りあえず急いでお湯を注ぎ…」
「ユッミルもそこの女もどいて」
ミーハは術で水を桶に投入する。
「まあ今回は急ぐし良いけどやっぱり零れるね」
「ミーハよ、ありがとう。もう少しでユッミルに体中をなめ回される所だった」
「はあ、ごゆっくり」
「ユッミル、せっかく沸かしたしそいつの後に二人…メシャとも入ろうよ」
「雨止んでた?」
「まだ降ってたけどそろそろ止むかも」
「この状況で風呂に入っててシウさんが帰ってきたら悲惨だぞ」
「シウこそ縛って襲って大人しくさせればいい」
「馬鹿か、あんなのにそんな事をしたら仕返しが怖すぎる」
「シウはそんなに力強くないよ」
「とにかくそんな気は無い」
「分かった。時間無いしそこの土の女も一緒で良いわ」
「いや、変な事を吹聴しそうだしやめておく」
「心配するな、何もしなくても吹聴するから来ればいい」
「フーニャさん、土に送り返して良いですか?」
「いや、それは困る。せっかく…」
「ああ、そういう事ですか。では品定めとして胸がじっくり見える様に手を上げろ。足も一応閉じるなよ。後、目も瞑ってろ」
ユッミルはフーニャの鞄から服を取り出してさっさと着せる。
「ん?こらっ。期待させておいて服を着せるとはなんて残酷な男だ」
「じゃあ暖かくして寝ましょうか」
ユッミルはフーニャを担いで布団に入れる。
「ん?暗い?どうなってる?」
ユッミル達三人は風呂に入る。フーニャは寝てしまった様だ。ユッミルはしばらくすると上がろうとする。
「けどシウさんがそろそろ帰ってくる」
ユッミルが服を着ようとすると扉が開く。シウの姿だったのでユッミルは幻術で姿を消して服を着ようとする。シウは服を脱ぎながら向かってくる。
「この辺りに裸の男がいる気がするわね。大人しく出てこないと襲うわよ?」
ユッミルは姿を現す。
「お願いですから許して下さい」
「許すも何も一緒にお風呂に誘おうとしただけよ」
「もう入り終えましたよ」
「あなたを愛する女の為に少し入浴時間を増やしてくれないの?」
「いえ、狭いですから」
「なら密着すればいい」
ユッミルはシウに連れられて風呂に戻る。
「ユッミルさん、そんな所は」
「自分からじゃないですか」
「ユッミル、ちょっと…いや、これで良いのよね」
「ユッミル、そんなに触りたいならいつでも良いのに」
「メシャ、やめなさい」
「ユッミルが触ってるだけなのに何をやめるの?」
「そうだな。僕は結婚してる癖に小さな女の子でも遊ぼうとしてしまう男だよ。シウ、自分から触らせるのはやめろ」
「ユッミルは遠慮するもの。それとも後ろから触りたいとか何かあるの?」
「いえいえ、使いとしてそういう事を強要するのは良くないかと」
「ユッミル、あの日の私の行動を忘れたの?失礼ね」
「そうですね。僕がシウさんに惑わされたくないだけですね」
「惑わされても気分は悪くないと思うのに贅沢ね」
「いえいえ、シウさんが魅力的なので飽きられたくないだけですよ。完全に掌握した相手に対してはシウさんは飽きて相手にしなさそうですから」
「それは否定できないわね」
「ですからシウさんの事を気に入っていない訳ではないですよ」
「それは分かりますよ。そうでなければここまではしませんよ」
「ユッミル、私達を無視するな」
「ミーハ、流石に出よう」
「分かったわよ」
ユッミル達が風呂から上がってメシャーナ達が膝に座って話していると扉を叩く音がする。ユッミルが術で声を拾うとテーファらしい声であった。
「テーファさん、どうぞ」
テーファは扉を開けて入ってくる。
「あの、特に用という話ではないですけど今日はお休みなので」
「ユッミル、君は力をあんな風に使って酷い…もしかして私を眠らせてその間に体で遊んだのか?」
「あの、メシャもいるんですからそんな事はしません」
「そうか、君と二人にならないと駄目…じゃなくてそうならない様にしないといけないな」
テーファは静かに座っている。ミーハはフーニャが騒ごうが気にせずユッミルの近くにいて時折話しかけている。シウも静かに座っているが様子見しているだけで大人しくなったわけでは無さそうだ。ただ、フーニャが本を読み始めて部屋全体は静かになる。シウもきっかけが無いのか基本的には大人しい。ただ、ユッミルが少し眠そうにうとうとし始めた事で静けさは終わりを告げる。
「ユッミルさん、せっかくですし私に寄りかかって寝ませんか?」
「そうですね。せっかくですし」
「ユッミル殿、どうしてテーファさんなのか、女は他に4人もいるのに。少なくとも私も立候補するぞ」
「いえ、フーニャさんはどちらかというと膝に座る側でしょう」
「くっ。確かに肉付きはともかく若干の低身長は問題か。だがシウはどうなんだ?」
「シウさんはそういう事に興味は無いと思いますよ」
「そんな事は無いけれど私ばかりユッミルが魅力を感じたら問題だし今回は譲るわ」
「ではそういう事なので」
ユッミルはテーファに寄りかかる。
ユッミルが目を覚ますとテーファはしっかりとユッミルを抱きかかえている。
「あの、気持ちは良いですけど疲れませんか?」
「いえ、その、こうしないとフーニャさんが手を出そうとしたので」
「そんな事は無い。ただ、ユッミルを至近距離で見ていただけだ」
「テーファさん、ありがとうございます」
「ユッミル、他の女から身を守るなら私を抱けばいいよ」
「メシャ、それはそうかもしれないけど言っちゃ駄目だよ。それにシウさんは大丈夫だよ。テーファさんに関しては危ないのは向こうだし」
「ユッミルさん、ネメッカ様にも似た事を言ってるんですか?」
「それはそうですが。嫌なら気を付けます」
「大丈夫ですよ、私は」
「テーファさんがいると甘えたくなりますがそういう事ばかりでもしょうがないのでそろそろ夕食を作りたいので手伝って頂けますか?」
二人は作り始める。テーファは手際が良く、ユッミルも獣を捌いている位には経験が豊富でミーハは出る幕が無い。シウはその気がなく、残りの二人は戦力にすらならない。いつの間にか夕食の下ごしらえは終わってしまう。
「少し早く終わってしまいましたね。まだ誰か帰ってきますよね?」
「ええ、ソヨッハもロコッサも帰ってくると思いますよ」
「でしたら一緒にお風呂に先に入りませんか?今日の夜は向こうに帰るのでユッミルさんとご一緒できればと」
「あの、暇だったので昼間に入ってしまって」
「ああ、あの水…仕方ないですね。でしたら私が入るので体を洗うのを少しだけお手伝い頂ければ」
「そうですね。湯にゆっくり浸かるには早く洗った方が良いですしね。早速沸かしますね」
ユッミルは水を沸かし始めると桶の水を捨てようとする。
「ああ、ユッミル、それはどういう事?」
「ん?」
「なるほど煮え湯に放り込んでのぼせ上がった無防備な女をゆっくり冷ましながら頂くのか」
「フーニャさん、少し黙ってて下さい。テーファさんはお客様なんですから新しい水というだけです」
「言い訳が苦しいな」
「そうよ、ネメッカの時もそんな事はしなかったわよね?」
「いや、冷え切った水なんてのは今回が初めてだよ」
「ふーん、水置いて扉を開けて」
ユッミルが指示に従うと少し濁った水が外に出ていく。
「流石、水系だね」
「まあそんなには綺麗にならないけどね」
「分かった、使うよ。けど多いから少し減らすけど」
風呂が沸くとテーファは服を脱いでいく
「おいおい、私の時は何か手の掛かる子供の行動を急かすかの様な反応なのに今回は随分盛っているではないか」
「フーニャさん、そういう事を言うから魅力が無いんですよ。テーファさんは黙ってますよ」
「ユッミルさん、抱いてくれても嬉しいですよ」
「いえ、その今は温まって下さい」
「君が抱いても温まるんじゃないか」
「フーニャさん、また眠りにつきたいんですか?」
「それだけはやめて下さい。言う事を聞きますから裸で床に縛り付けられて目隠しに耳を塞がれて色々されても誰にも言いませんから」
「やはり言う事を聞きませんね。まだ無駄に喋る」
ユッミルは姿を消す。フーニャはいつの間にか手足をゆったり絡みとられて胸を揉まれる。ユッミルが離すとへたり込む。
「ユッミルさん?」
「あの、テーファさんにはあんな事絶対しませんからね」
「ええ。でも私も洗ってもらう時にああしても良いですよ」
「そうですね、そうします」
ユッミルはテーファの体を洗うのを手伝う。
「ユッミルさん、しっかり洗って下さいね」
テーファは入浴を終える。
「なるほどユッミル殿、それが男の武器という事か」
「は?」
「私は攻撃を受けて動きが鈍った。君の完全勝利だ、素直に称えよう」
「フーニャ、ごめんなさい。君がやられないと分かって好き放題だと思ったから」
「何、私の気分は変わっていない。むしろ高まった。来い、ユッミル」
「えっ?」
「だからその私の弱い所を突く攻撃をして来いと言っている。克服して見せる」
「嫌ですよ」
「何故だ?」
「言葉では説明できませんが無理ですし後悔してます。別の人に変えたいですね」
「ほう、誰に変えるのだ。そいつがユッミルのお気に入りなのか?」
「では単にあなたにおかえり頂こうかと」
「レミーカが良いんだな?私は水の程小さくは無い。手頃な相手だと思うが?」
「いずれにしてもすぐではありません。まあお姿はそこまで悪い訳ではないのにそのおしゃべりで台無しですね」
「分かればよい。まあ私も悪かった」
ロコッサとソヨッハも帰宅し、夕食を食べる。ユッミルはテーファを送ると塔に向かう。階段を上ると主宰部屋でくつろぐ。
「ユッミル、いますよね?」
ユッミルは姿を消してネメッカに忍び寄って体を触っていく。
「ネメッカ、男の部屋に気軽に来るとこういう目にあうぞ」
「ユッミル、こういう事をしたという事は服を脱いで直接触ったらもっと喜ぶという事ですか?」
「いえ、すいません。主導部屋で傍にいて下さい。ネメッカ様と安らかに寝たいです」
「仕方ないですね」
翌朝、ネメッカと朝食を終えて一階の応接室でイーサと直近の方針を三人で協議しようとしているとロコッサが駆け込んでくる。
「ユッミルさん、メシャちゃんが」
「分かった」
ユッミルは急いで塔を出て家に向かう。
「ネメッカ様、例の事でしょうからあなたも行ってきて下さい」
ユッミルが家に戻るとメシャーナはシウとミーハにソヨッハに介抱されている。フーニャは出かけた様だ。
「メシャ、大丈夫?」
「ちょっと痛かっただけ。でももうすぐかな」
扉の音がする。ユッミルが振り返るとネメッカがいる。
「メシャちゃん、大丈夫そうですね。やはり近い様ですね」
「そろそろだと思う」
「ネメッカ様はまだなんですよね?」
「ええ、まあユッミルの最初の子供を逃したのは残念ですがメシャちゃんは仕方ないですよ」
「メシャ、ネメッカ様の二人目の先を越すのは絶対に駄目だからな」
「ユッミル、それはあなたが気を付ければいい」
「いえ、それだけでは無理です」
「分かってるから。それに次はユッミルからしてもらいたいし」
「メシャ、またそういう事を。ただ、それなら構わないが」
「ユッミル、私のも様子を見てみて下さい」
「ああ、そうですね。まあもう少しかかりそうですね」
「ユッミル、服の上からだと分かりにくいでしょう」
「そんな事は無いかと」
「ユッミル、服の中をやらしい眼で見て安心させて下さい」
「それは無理です」
「やはりそういう事ですか」
「それは仕方ないでしょう。ですけどその胸は僕が吸いたくなる位魅力的ですよ。昨日も時折我慢できなくなりそうでした」
「なら吸えばいいんじゃないですか?」
「あの、いくらネメッカ様には幾多の恥を晒しているとはいえそれは無理です」
「やはり嘘ですか?」
「いえ、赤子に見える様な男はネメッカ様は愛せないかと」
「はあ分かりました」
「じゃあユッミル、私のおっぱいを吸って赤ちゃんになれば私に襲われずに済むね」
「メシャ、そんな事をしなくても襲うなよ」
「でも念には念を入れた方が良いと思うけど」
「ユッミル、胸をなめ回して私を攻めた後なら赤子感は出ませんからそれで行きましょう」
「ネメッカ様、そう言われましても」
「やはりですか」
「いえ、本当はしたいですけどそこまでだと不快な思いをさせるかもしれませんよ」
「ユッミル、皆には見えない様にしますから」
「宣言してやる時点でそれは意味が無いような、けど分かりました。ネメッカ様は少々不快でも受け入れていただけるとあなたの優しさを感じる為に行きますね」
ユッミルはネメッカを抱きながらベッドに連れ込む。姿も消してしまう。
「あれ?私は挑発されたのかしら?」
「私はされたくないかも。まあ小さいから上手く行かないだろうし」
「私はいずれ受け付けるかもしれないな」
「えっ、最初に頼んだのは私なのに」
「ネメッカ様、申し訳無いですが流石に抑えられずに汚してしまいました。お許し下さい」
「それは構わないのですが想像以上に苦しいですね」
「やはり、ですが申し出たのは」
「いえ、その」
ネメッカはユッミルに口づけをする。
「ネメッカ…」
「はい、ユッミル以外の男にやられたら屈辱でしかないのに不思議ですね。ユッミルが悪いのですからシウさんと同類とはみなさないで下さいね」
「ちょっと、ユッミル。ネメッカ、何してくれるの?」
「ユッミルは私をより魅力的に感じたでしょうから構わないのですよ。では私は帰ります」
ネメッカは塔に戻っていく。
「ユッミル。ミーハは嫌みたいだけど私はやられたいかも」
「メシャ、そんなにいいものじゃないよ」
「私、駄目だね。ユッミルが自然とやりたくなる様にしないと駄目なのに。けどユッミルは私から抱かせてくれないし」
「そんな事は無いだろう」
「駄目だよ。ユッミルを警戒させるから」
「分かった。とにかく勝手に色々しないで欲しいだけだから良いよ。けどメシャが頼んだのだからそういう事を許す訳じゃないからね?」
「それは分かってるよ」
メシャーナはさっさと服を着崩してユッミルを強く抱いていく。
「ユッミル、たくさんの女の子にしてきたから上手だね」
「メシャ、こんな事はたくさんの女の子にしていないよ」
「ユッミル、熱でもあるの?」
「ミーハ、こんなものだよ」
「ユッミル、思ったよりできるのね。今日のあなたは私の興味を誘う」
「シウさんは流石ですが本当にそう思ってるんですかね?」
「ならやりますか?」
「いえ、折角シウさんの様な魅惑的な女性が相手をしてくれるのですから挑戦的な事で逃げられたら残念ですから」
「口が上手いのね」
「ユッミル殿は結構大胆だな。面白いぞ」
「ありがとうございます。メシャ、これからはいつも通りだぞ」
「分かってるよ。私がお願いした事を聞いてくれて嬉しいよ」
メシャは既に服を着てユッミルの膝で甘えている。昼食を食べるとユッミルはメシャーナと買い物に出かける。メシャーナは終始上機嫌でゆっくり買い物を済ませて戻るとキッシャノが帰っている。
「お帰りなさい。リッネ様からの伝達事項は特にありませんやはり調査の進捗は中々良くないようですね」
「まあ雨季ですから」
「ユッミル、私はネメッカみたいに魅力が無いから服なんて着ていたら相手にされないみたいだから脱いでいい?」
「分かりました。今日はあなたと寝ますよ。気が変わって嫌になったらはっきり言って下さいね。あなたに飽きられないうちに楽しませてもらいますよ」
「ありがとう」
その後、ソヨッハが帰宅する。夕食の準備を終え、食べようとしていると扉を叩く音がする。扉を開けるとそこにはリュッサがいる。
「話がありますがとりあえず夕食をご一緒して良いですか?」
「それは構いませんよ」
夕食を終える。
「ユッミル様、お話があります」
「はい」
「メシャーナ様の出産が近いという事なので雨季という事情もありましてそろそろ一度塔にお二人共ご滞在頂くのはどうかと」
「ですが出産日は分からないのですから長期に及びます。あまり良い事ではないかと」
「ですがこの家は人が不在になる事も多い。私とロコッサは動けますからユッミル様と交代なら見れなくはないですが心許ない」
「数日ならその点は問題無い。ただ、産む場所はイーサ様は何処が望ましいとお考えなのですか?」
「特には聞いておりませんがネメッカ様が心配との事ですね。ネメッカ様はあまり塔から出かけるという訳にも行きませんから」
「少し考えたいですね」
「ですが雨季です。例年通りなら一度数日降り続く雨があった後に一日程度の晴れをおいて五日以上雨が降り続く雨季の最盛期となります。その晴れの日が最後の機会かもしれません」
「私は雨季の真ん中は塔に戻らせて頂くよ」
「私はユッミルがいないなら戻る。まあメシャの面倒は考えなくもない」
「私はいますわよ。火では肩身が狭い」
「私も残る、土では肩身が狭い」
「シウさん、ご冗談で場を和ませて頂きありがとうございます」
「私はユッミルさんがいないなら塔に戻ります」
「ユッミル殿、私も冗談を言ったのだぞ」
「そうは聞こえませんが。あまり決めないのも良くないようですね。ソヨッハもミーハも戻って構いませんよ。まあメシャ次第ですが」
「私は構わないよ。ネメッカの化けの皮が剥がれるかもしれないし私が大変でもユッミルの体を追っかけそうだし」
「メシャ、そんな事は…そういう事は本人には言わない方が良いよ」
翌日は未明から雨が降り続く。
「リュッサさん、どうします?」
「いずれにしてもここに残る気でしたので問題ありません。私は既にそういう女なのでついでに抱いてくれても構わないのですよ」
「ではお言葉に甘えて」
ユッミルは少しだけリュッサを抱いてみる。その後、朝食を口実に有耶無耶にする。メシャーナは特に異変も無い。ソヨッハもキッシャノも今日は居残る事にしたらしい。
「あの、私も覚悟しております。結婚式にああいう形で出席した以上当面はそういう立場と私は捉えます」
「ユッミルさんは子供としてあまり相手にしてくれませんしユッホ様の方が良いのかもしれませんが私も待ってますよ」
「これは私もそう言わないといけない流れか」
「フーニャさんにはしばらくしませんからご心配なく」
「ほう、それ以外にはすると」
「キッシャノさんに関しては悩んでますね。一応はシウ様の様に激しく望んでからしたいのですが月の体面等お互いの立場を考えるとした方が良い訳で難しいですね」
「あの、別に私はユッミル様を嫌いという訳ではありません。多数の女性を相手にするこの状況が中々慣れないだけです」
「確かに強く望んではいるけどあなたに言われると違和感があるわね。本気で思ってないでしょう?」
「さてそれはどうでしょうね」
ユッミルはミーハと適当に話している。メシャーナは休ませる事にして寝かせている。昼食前になるとリュッサが昼食の相談を持ち掛けたのでそれに応対していく。キッシャノやソヨッハと共にリュッサとユッミルは昼食を用意していく。
「ユッミル様、夜は他の団の使い様との遊びがありますので私は昼間にお相手頂く事にします」
「そうだね。けど夜が良いなら夜で良かったんだよ?」
「いえ、私は時を選ばなくて大丈夫だと思います」
ユッミルとリュッサは触れ合った。
夕食を食べる。
「ユッミル、今日は誰の相手をするんだ?」
「決めてませんよ。誰もいらないなら一人で寝ます」
「では夜は私でお願いします」
3節 雨降り
「それでは行きますよ」
「はい、構いません」
「ユッミルさん、手伝いましょうか?」
「言いたい事は分かりますがまだです」
「そこの小さい子を使ってしまえばいい。小さい子の機嫌も良くなるでしょうし」
「なんてことを言うんですか。大丈夫ですよ」
ユッミルとキッシャノは事を終える。
「すいません。手こずってしまって」
「問題無い。無理を言ったのは私だ」
「あなたは普通だと思いますよ。シウさんは魅力的ですが使いとしてはあなたの方が優秀です」
「今はそう言われても嬉しくないですね」
「それもそうですね。ソヨッハ、一人で寂しいから横で寝てくれないか?」
「構いませんけど」
「ならもう片方は私ね」
「シウさん、服を脱ぐのは駄目ですよ」
「ユッミルさん、そこは服を着ている女性を求めているふりをしないと」
「シウさんは服を着ている方が素敵ですよ」
「まあ良いわ」
ユッミルはソヨッハの方を向いて肩を控えめに抱いている。シウは寄ってくる。やがてシウはユッミルの背中にくっ付いて寝る。ユッミルもいつの間にか眠っていく。
朝、ユッミルが起きるとやはり雨音は静まっていない。しばらくしてシウは目を覚ますとユッミルを抱き込む。
「おはよう、ユッミルさん」
「おはよう、シウさん」
「ユッミル、前みたいに好きに触って良いのよ。」
「あの、まだ眠いんですけど」
「でもあなたが服を着てるうちに先手を打って触れば私は動けないかもしれないわね」
「ですが今度はこちらが止まらなくなります」
「けどそうしたら今後は私もおとなしくなるかもしれないわよ」
「それは無いと思います」
「分かったわ。今は人が多いしやめます」
シウはユッミルを抱いていた手を緩める。ユッミルは体を起こしてメシャーナの枕元で寝顔を見ている。メシャーナは起きていたのでユッミルを抱き込む。
「ユッミル、私は大丈夫だよ」
ユッミルはメシャーナから抜け出す。
「分かったから。それでどうする?」
「ユッミルは塔の方が仕事しやすいよね?」
「まあそれはそうだけどそこまで仕事はしてないし雨季は暇だよ。多分、塔に行くとネメッカ様が相手してくれるからメシャの世話がしにくくなるかも」
「ユッミル、さっきは強く抱きすぎたけど程々にするから抱いていい?」
「良いよ」
しばらくするとメシャーナは寝てしまう。ユッミルは朝食の用意をする事にした。リュッサはいつの間にか起きてシウも手伝って作り始める。ソヨッハも起きてくる。ユッミルは朝食ができるとメシャーナとミーハを起こして六人で食べる。食べ終えるとメシャーナは自分から眠りに行く。ユッミルはミーハとリュッサと話をしている。シウは暇そうにし、ソヨッハは外を気にしている。やがてキッシャノとフーニャも目を覚ましたのでリュッサとユッミルで朝食を用意する。ユッミルはその流れでリュッサと触れ合っている。ユッミルは昼からは指揮所である。遅く起きたフーニャ達と眠ったメシャーナ以外は早めの昼食を取る。そうしているとフェノが来て指揮所に向かう。ミーハの希望で途中までミーハが雨避けをする。指揮所への道は疎らかつ脇道にそれるものはいない。しかも雨季は普通の冒険者は減るので幹部率が高い。
「ユッミル様、ご無沙汰だな。いつでも来てくれて良いのだぞ」
「レミーカさんですか、雨季ですからどうしても足は鈍ります」
「こちらの方は?」
「私の側近でフェノです」
「フェノさんか、土の幹部のレミーカです。よろしく」
「ユッミル様の側近のフェノです。レミーカ様、こちらこそよろしくお願いします」
指揮所に向かうと交代相手は珍しくラーハであった。
「ああ、ユッミルさん。ご苦労様」
「珍しいですね」
「ええ、水は少しですけど雨季に担当を増やす事でそれ以外の時期の負担を減らしていますから」
「そうですか、お疲れ様です」
ラーハは帰る気配が無い。ユッミルは少し訝っている。しばらくするとムヒューエが来る。ユッミルは納得する。
「ユッミル、私の言葉足らずで悪かったのだけどこの子も使いですのでよろしくね。今日も担当ですから。では私は帰ります」
「ユッミル様、こんにちは」
「ああ、こんにちは」
ユッミルは指揮所の下を眺めて冒険者の少なさを確認し、魔族領の状況も確認していく。
「雨季に停滞するのは魔族側も同じなんですかね?」
「いえ、むしろ森の獣の動きが悪くなるのでそこの迂回はむしろ簡単になる」
「魔族は泥濘で移動しにくくなるとかは無いのですか?」
「それは無いがこの時期は霊族が活発になる。もちろん、水系術師も強力になる」
「来ないんですか?」
「あるにはあるが最近は大規模なのは無いな。今年の場合はあなたの攻撃による損害の回復が優先だろう。水の幹部が一人に数人の水系術師がいれば問題無い」
「ですけど私としては最低限は戦えるとユッミル様にお見せしたいので残念です」
「ムヒューエさんが強いのは分かります」
「我々土はこの時期は少々苦手だが私も優秀ではある。雨季が明け、泥濘が解消し次第森へ同行も可能だ」
「私も同行できるようにしますのでお願いします」
「二人共、分かっていますよ。それにしても幹部の知り合いが増えてしまったので無駄話に興じてしまいますね」
「ご心配には及びません。私がいれば草原の端まで見渡せます。ユッミル様は休むなり話すなりご自由にどうぞ」
「それはありがたいが」
「気にしないで下さい。ユッミル様が多少は気を抜いてくれないと私の仕事が無くなります」
「そうね。私もユッミル様がいると戦わずに済む気がするわ」
「雨季は大規模では無いらしいですがそれ以外の時期は少人数では無理ですよ」
「分かっていますがユッミル様がいれば事前に察知できるのでしょう?」
「まあそうですね」
「であれば待ち伏せが出来ます。それは重要ですよ」
「そうですね」
魔族の襲来は無く、レミーカは帰宅するがムヒューエはユッミルの家で夕食だけ食べていく。フェノもそのままユッミルの家に泊まる事になる。
「ユッミル様、ネメッカ様からの伝言です。雨が止み次第塔に来て欲しいとの事。雨季の盛りは塔にいて欲しいとも申しています。ユッミル様の指示に従うので来て下さいとの事です」
「留守番はリュッサという事か?」
「はい、私もユッミル様を連れて戻るように言われています」
「メシャ、光の塔に来てくれないか?」
「良いけど風呂はユッミルと二人だけね」
「分かったよ」
翌朝、朝食を終えた頃雨は止んだ。ユッミルは最低限のメシャーナの荷物と共に塔へ向かう。
「ユッミル、待ってましたよ」
「そうですね、行きましょう」
ユッミルの目に入る光景は目に見えて人が少ない。
「ユッミル様、おはようございます。わざわざご足労頂きありがとうございます」
「イーサさん、どうしたんですか?」
「いえ、ユッミル様に出勤要請をするのは初めてなので怒らせた場合にはご機嫌を取る為に無謀な要請も受け入れる所存でしたから」
「そうですよ。私も腹いせに一方的に体を攻められるかと思っていましたよ」
「ネメッカ様、変な事は言わないで下さい」
「ねえユッミル、やはりユッミルが私をネメッカと呼べないのは遠慮からだと思うの。だから私を縛って好き放題体を触って自分のだと実感すれば呼んでくれると思うからやって」
「それよりもメシャをどうするかが先です」
「それに関してはロコッサさんとフェノと私が交代で面倒を見ますのでユッミル様はネメッカ様とお楽しみ下さい」
「ではメシャーナは主宰部屋へ。ああ、私が運びます」
ユッミルはメシャーナを主宰部屋に送って戻るとネメッカを押し倒して抱き込む。
「ユッミル、まさかこのままでいるつもりですか?」
「ネメッカ様を縛ってしまいましたね」
「あの、そういうお預けはやめて欲しいです」
「そうですね、私が一方的にネメッカ様の触られたく無さそうな所を無造作に掴んでますね」
「ユッミル、服が無い方が掴みやすいですよ」
「遠慮します。服を着ている方が幻術で逃げられずに済みます」
「ユッミル、私があなたに幻術で勝てる訳無いでしょう。あなたは私が唯一幻術で逃げきれない相手。力づくで襲っても構わないんですよ」
「今も力づくで抑えてます」
「私は逃げませんよ」
「服は脱ぎますよね?」
「いえ、ユッミルに脱がせてもらいます」
「分かりました。脱がせたくなったら脱がせますので自分では脱がないで下さいね」
「分かりました、私の服装はあなたの支配下ですね。破ったらユッミルに私自身で私の体を触らせます」
「それは楽しみですね」
「関係無くやりましょうか?」
「いえ」
「まあ良いです」
ユッミルとネメッカは横で寝ている。ユッミルはネメッカが手を絡めて来たのでそれは受け入れた。昼食を終えるとユッミルはメシャーナの様子を見た後、魔石製作の進捗を確認し、少しだけ魔石製作をしていく。するとまた主宰部屋に戻り、イーサを主導部屋に戻らせる。するとネメッカがやってくる。
「ユッミル、まさかとは思いますが私を避けてませんか?」
「いえ、こちらが心配なのですよ」
「なら良いです。私も心配ですし少し様子を見ます」
ユッミルはメシャーナを起こして体調に大きな問題は無さそうだったので食堂で夕食を食べさせる。その後、ユッミルは約束通り、メシャーナと二人で風呂に入り、特にメシャーナの体調は悪くなかったが体を洗うのを全面的に手伝う。しばらく添い寝してメシャーナを寝かしつけるとフェノに任せて主導部屋に向かう。
「ネメッカ様、では」
「ユッミル」
「分かっていますよ。入りますよ」
ネメッカは服を脱いでいく。ユッミルも服を脱ぐと体を寄せていく。
「ネメッカ、そういうのは困ります。あなたは魅力的ですから気を抜くと乱暴してしまいます」
「少々荒い扱いでも…」
「いえ、駄目です。あなたはそういうかもしれませんが本当に全く気遣わなければ不快にしてしまいます。それ位にあなたは魅力的ですよ。ですから大事にゆったり抱いてしまいますがそれは魅力を感じていないからでは無いのですよ」
「まあそう考えておきます」
ネメッカはユッミルと風呂に入りながら体を寄せていく。お互いにそれなりに触れ合っていく。その後、入浴を終えるとユッミルは主宰部屋に戻る。ロコッサとフェノもいたのでロコッサを抱いてメシャーナの横に寝る。フェノとは交代でメシャーナを見守る。ユッミルは朝食後も眠かったのでメシャーナの横で寝る事にする。昼前に目を覚ますとネメッカが膝に手を掛けている。
「あっ、そのついつい。ユッミルがあまりに無防備なので」
「別に構いませんが返礼はしますよ」
ユッミルはネメッカと体を少し触りあってから昼食に向かう。
「やはり雨季は人が少ないですね」
「ええ、全員の動向を簡単に把握できる程度しかいませんね」
「いつもこの程度ですか?」
「例年よりは減っていますが基本的には変わりません」
「そうですか」
「はい、お二人の邪魔をしないように少し減らしました」
「そんな必要は無い」
「冗談ですよ。本当はメシャーナ様の為です。先程の仲の良さを見て軽口を飛ばしてしまいましたね」
「ちょっと、ユッミル」
「メシャ、落ち着いて。そもそも僕はネメッカを気に入ってはいるから本当は触れ合いたいからね。それを不満に思われても困る」
「そうね、ごめんなさい」
「うん。今は食事中だから全く興味無いけどね」
「ユッミル」
「ネメッカ、食事中は駄目だよ。僕も気にしないようにしてるからきちんと食べよう」
「分かりました、ああやってもらったのに悪い癖ですね」
昼食を終えるとユッミルはメシャーナを抱きかかえて主宰部屋に戻る。ネメッカもついてきて手を握りながらメシャーナを見守る。するといつの間にかフェノやイーサも主宰部屋に来てお菓子を持ち込んでお茶の用意を整えている。メシャーナを少し起こして五人はお茶をする事にする。
「メシャ、大丈夫か?」
「うん、少し眠いけど大丈夫」
「イーサさん、ありがとうございます」
「いえ、二人を招待したのは私ですからこの程度は気にしないで下さい」
「では厚意に甘えます」
「ユッミル、多くは求めないので少し身を寄せてくれるだけでも私は嬉しいですよ」
ユッミルとネメッカは体を寄せ合う。メシャもユッミルに体を預けていく。
「私も参加したいな」
「フェノ?」
「気にするな。流石にネメッカ様がいる時は控える。しかし、私もユッミル様が求めればそれ位はするしそれは私も求めている事だ。この中でユッミルに抱かれる事をそこまで願っていないのはイーサ位だよ」
「私は立場上できないだけです。まるでユッミル様の良さを理解できない冷徹な女の様に言うのはおやめ下さい」
「そんなつもりは無い。そうだな、イーサは私より側近歴が長いし職務に誠実なのだな。だがユッミル様が求めたら構わないだろう」
「求めませんよ。お互いに困りますから」
「そうです、お互い様です」
「何か嫌な言い方ですが私は気にしません」
「いえ、私の願望としては気にして欲しいかと」
「それは私も同意見です」
「分かりましたよ」
ユッミルはネメッカとメシャーナと触れ合いながら午後を過ごしていく。ユッミルは明日午前の指揮所を言い訳にメシャーナと風呂に入ると主導部屋には行かずにそのまま寝る。早朝、フェノを押し留めて指揮所に向かう。途中で後ろから抱きつかれる。抱きついてきたのはシウでその後は横並びで歩いていく。もう一人の幹部はユッホであり、ユッミルは警戒しながらも会話に巻き込まれていく。
「ユッミルさん、調子はどうです。と言っても雨季ですから狩りには行けないでしょうけど」
「そうですね。忙しいですよ」
「私は流石に暇ですね。ユッミルさんの家に泊まっても問題無いですね」
「いえ、私は塔にいます。今回の長雨が明ければ戻るとは思いますが」
「そうですか、その時期に行くかもしれません」
「良いのかしら?ユッミルさんが私に夢中という現実を見るだけだけど」
「そんな事はありません。シウさんかユッホさんならユッホさん…」
「悲しいわね」
「ごめんなさい」
「ユッミルは本当に酷いわ。ユッミル様の警戒心を解く為に下半身を無防備に曝け出して気が済むまで触らせてあげたのに」
「シウさんは男を操縦するのが得意らしいですけどそれだけですから」
「ユッミル、私は甘い女だから甘い言葉で誤魔化さてあげるわ」
「シウさんの事は丁重に扱おうとしてるのに好き放題ですから知りません」
「つまり私の体に夢中という事ね」
「はい、まあそれで良いです」
「そんな事よりも家にいてくれてるんですよね?」
「ええ」
「ありがとうございます。今回はリュッサがいますけどそういう事は中々頼めないので助かってるんですよ」
「安い事に感謝されてもね。まあ良いわ」
「そう言えば急に行っても布団の数は足りるんですか?」
「まあ人数が多い時は一緒の布団で寝てもらう事も多い。シウさんも寝てる時は大人しいですから。ネメッカ様に関しては来てもらったら一緒に寝るのを断る理由も無いですし数人増えても問題は無いです。」
「まあそうなりますよね」
「ですけどそんな日は多くは無いですよ」
ユッミルは森や魔族領に視線を移すが特に問題は無い。
「シウさんはここまでどうやって?」
「火の団の使いが今日の担当である事を告げるついでに魔石を渡してくれたわ」
「なるほど」
「水の団はこうやって稼ぐのねと思ったわ」
「まあ火の団にもそういう面はあるでしょう。土もです。しかし、光と月にはそういう面はありません。氷もほぼそうですが」
「ただ、私は火力制御とかは苦手だから金稼ぎには使えないわね。けどあなたは優秀な詐欺師になれそうね」
「反応に困る事は言わないで下さい。シウさんも今度雨季が明けたら試しに狩りに参加してもらいますよ」
「良いけど足手纏いというか獣を燃やしてしまうだけよ」
「ええ、それも含めて一度見ておきたい」
「ユッミルさん、結構高頻度で狩りをするんですか?」
「そうですね、ソヨッハから聞いていないんですか?」
「ええ、私はソヨッハを担当する幹部ではないし報告は主にシーリュノ様相手」
「木の団は内部交流が少ないのですか?」
「いえ、木の団は私が担当する訓練を重視する人と純粋に術を扱う人で何となく派閥が出来てるんですよね。シーリュノ様やソヨッハは術のみの方で私やツーシュン様は併用する方。ただ、私はシーリュノ様に仕えてますしツーシュン様も意外と術師を重宝しているのですがそこ以外は基本的に真っ二つですね。ただ、月と違って術師側が肩身が狭いはそこまでじゃない。私もソヨッハでは無いですけど術師側の子にもよく話す子はいますし」
「木の場合は月ほど少数では無いですから分散して纏まる方がうまく行くかもしれませんね」
「火の場合は集団戦闘派と個人戦闘派で割れてるわね。まあ私とエッヒネもそうだけど個人戦闘側に纏まりは無いわね」
「まあ二人共誰かの指示に従いそうには無いですしね」
「けどあなたの指示には従うわよ」
「つまり、エッヒネ様との集団戦闘もやるんですね」
「ユッミルに戦闘の協力を求められたら余程でないと断らないしエッヒネとはそれには当たらない。けどまああまり嬉しくは無いしユッミルも気まずいでしょう」
「積極的には頼みませんしまずはシウさんの術を知ってからですね」
「まあ良いけどあなたに比べれば弱いわよ」
「よく分かりませんがエッヒネ様より強いなら単独で魔族でも狩ればいい。ネメッカ様にはそれはできませんがそれでもネメッカ様の術は狩りにおいてかなり有能ですよ。私には不要ですが」
「そうよね。あなたの術、全てネメッカ様より強いでしょう。ネメッカ様があなたを気に入るのは分かるわ」
「あなたはそんな女ではないでしょう」
「失礼ね、私もあなたに全てを委ねているでしょう」
「私を分かりやすい行動に誘導しているだけでしょう」
「ならそうではない行動を取れば?」
「そうすればあなたの機嫌を損ねるので面倒です」
「ユッミルは良い子ね」
「かもしれませんね。ですからネメッカ様の方が好きなんですよ」
「そんな事を言っても私は機嫌を損ねませんよ」
シウは腕を組んで寄っていく。
「シウさん」
「ユッミルが拒否するならやめますけど」
指揮所での任務を終えるとシェンハと交代する。ユッミルはシウをユッホと家まで送り、ユッホを途中まで送る。ちなみに木の団は簡易的な傘を持っている。但し、骨は木組みであり、開閉には時間が掛かる。ユッミルは雷盾で傘を作って見せたが魔力の消耗量の多さを指摘されて使い過ぎないように釘を刺される。ユッミルは一度家に寄る。家にはシウの他にはフーニャとリュッサとオーネだけで適当に声を掛けて塔に戻る。塔に戻るとネメッカやフェノだけでなくイーサも待っていて遅めの昼食を食べる。
「イーサさんも待って下さってありがとうございます」
「ユッミル、どうしてイーサにだけお礼なのですか?」
「ネメッカ様に付き合わされたでしょうから。ネメッカ様と違ってイーサさんには私の機嫌を取る必要はありません」
「まあ良いです。それよりもどうしてもネメッカ様なんですね」
「はい、中々」
ユッミルはメシャーナの様子を見ると主導部屋でネメッカに抱きついて触れ合う。夕食はメシャーナを膝に置いて食べる。メシャーナは少し疲れているが大きな変化は無い。
「少し気が早かったのでは?」
「いえ、今回は少々予定外なので念入りにしておきたいのですよ」
「ですが次に雨が止んだらどうします?」
「こちらとしては滞在して頂きたいですけど」
「家を長く開けたくは無いのですが」
「そうですね、その場合は一度お帰り頂きますがネメッカ様にもついて行ってもらいます」
「あの、イーサさん。別にネメッカ様が来るのは嫌では無いですからね?塔を開けるのが少々懸念材料なだけですよ」
「それは心配には及びません。昔はネメッカ様だけで指揮所の担当もありましたし」
「ですけど真夜中は必ずいましたよね?」
「いえ、最近はユッミル様が気まぐれに来る可能性を見越して塔に残っているだけで昔は度々家に帰っていましたよ」
「それもそうだけど実際は塔にいないとユッミルに怠けていると思われる事と朝は主導と主宰が言葉を交わしておくに越した事は無いし夫婦でもあるし。だからユッミルの家に泊まりたいけどユッミルが止めるし。とにかく理由は一つではないわよ」
「いえ、そもそもネメッカ様が家に来てしまうと主導部屋や主宰部屋の意味が無くなります」
「なら私が急にユッミルと寝たくなった場合はどうすれば良いの?」
「引き留めれば良いかと」
「いえ、それだとメシャちゃん達を心配させますから」
「ネメッカ様はお優しいですね」
「ですからネメッカでお願いします」
「はい、ネメッカはお優しいですね」
「ネメッカは優しいねでお願いします」
「分かったよ、ネメッカ。でも偉そうじゃないかな?」
「えっ、私が頼み込んでこの団に入ったのですからユッミルの方が偉いですよ。私の日々の服装を指定していい位には偉いですよ」
「ネメッカ、そういう冗談はやめて下さい」
「逆に聞きますがユッミルが着て欲しいと言った服を拒否する理由が何処にありますか?」
「そうですね、面倒なのでしませんけど」
「いえ、着て欲しい服を買って来てくれて良いですし私と買いに行っても良いですよ。一人で着れない服でもユッミルが着せてくれれば良いですし」
「そうですね、一度位は良いかもしれません」
「本当ですか?でしたらイーサに子守を任せて行きましょう」
「そうでした。メシャーナもネメッカも子供まで作ってしまって良かったんでしょうか?」
「ユッミル、あの日の夜はほとんど私から誘いましたしユッミルの優しさに付け込んで強引でしたし私の気持ちばかりなのですから」
「ですからその気持ちが良かったのかなと」
「ユッミル、私がユッミルが好きかはユッミルには決められませんよ」
「それはその、そうですけどね」
「ユッミルは嫌ですか?」
「いえ、そうであれば結婚はしませんよ」
「なら良いんですよ。メシャちゃんには似た様な事言わない方が良いですよ」
「ううん、気にしないよ。ユッミルはそういう男だし」
「メシャ、起きてたのか」
「うん、私は二番手以下の女だし、一番のネメッカと話してる時は遠慮した方が良いかなって」
「そんな必要は無いよ。ネメッカがメシャに酷い事をしたらネメッカとは別れるかもしれないけどメシャがネメッカに酷い事をしても結果的にメシャと元の暮らしに戻るし僕からメシャを離す事は無いよ。そこまで遠慮はいらない。ただ、あまりにネメッカ様を手荒に扱うとネメッカとは一緒に入れなくなって悲しいからやめて欲しいけど」
「それは暗にメシャちゃんに男を宛がえと?」
「いえ、メシャの意思が大事ですから」
「ユッミルが寝てる間に子供が出来たのに私の意思が分からないの?」
「そうだね。今の意思は分かるよ。だからこうやって今のうちにたくさん抱いてる訳だし」
「最近はシウさんを抱く日も多いけど」
「横で寝てもらってるだけでしょ」
「私は寝てるから知らないよ」
「ユッミルの家は毎夜賑やかで羨ましいです」
「まあそれは否定しません。特に深刻な喧嘩も無いですしその点はこのユッミルに女を狂わせる程の魅力が無くて良かったですね」
「ユッミル、人によって好きな男は違いますよ。その点で言えばメシャちゃんと私は狂いかねないですよ。ですから最後まで面倒を見て下さいね」
「熱狂というものは冷めるのも早い。そうでなくても恋と言うものは簡単に覚める。そうなった時にネメッカ様には過去の縁で見捨てないで頂きたいですね」
「ユッミルもそうしてくれるなら構いませんよ。ただ、他の女を望むなら相談して下さいね」
「そうですね」
主導部屋ではメシャーナとユッミルとネメッカがベッドで寝てしまったのでイーサは主宰部屋でフェノと寝る。翌日もやはり雨が止む気配は無くフェノにメシャーナを預けてユッミルは魔石製作を行って暇を潰す。
「ユッミル様」
主導部屋に戻ろうとする宿舎の前で二人の術師に声を掛けられる。当然、両方イーサに紹介された女性だ。今、塔にユッミルとネメッカとその側近以外で塔にいるのは十人以下で半数近くがユッミルと寝た女性達になっている。
「どうしました?」
「一緒に昼寝でもしませんか?」
「イーサさんの差し金ですか?」
「いえ」
「だとすればやめておきます」
「単に寝ながら一緒に休憩するだけですよ。まあユッミル様が手を出せば受け入れますけど」
「そうしたいのはやまやまですが多分隠せない気がしてきましたのでやめておきますね」
「えー、私達に強引に引き込まれたと言い訳すれば良い」
「そんな事を言ってあなた方がイーサさんの機嫌を損ねると団に居づらくなりますよ。やめておきましょう」
「分かりました。少し計画性が足りませんでしたね。それかユッミル様がいつでも相手できる様に交代で待機とかでも良いですね。とにかく今回は諦めますね」
ユッミルは主導部屋に戻る。
「イーサさん、若い女性ばかりいる状況で暇を持て余すとどうにも困ります。しかも求めてしまえば応じられそうなので余計に困ります」
「多少は分かりますが」
「光の術師は単調な白の服で体つきが出やすい」
「それが仕方ないのはお分かりでしょう。また、機会を設ける事は可能ですが」
「ユッミル」
「それは大丈夫ですがあまり暇な状況で塔にいるのは良くないですね」
「ユッミル、私で解消すればいいんですよ」
「それは無理ですね」
「私もそう思います」
「どうしてですか?」
「まず、ネメッカ様は常に間近にいますのでその美しい顔にばかり目が行って体は目にしません」
「抱いて感じてるじゃないですか」
「ネメッカ様、私があまりにあなたに魅了されてしまうとあなたの体を思う通りに扱おうとして結果的に乱暴になるかもしれません」
「大丈夫です。抱きしめて止めます」
「それなら最初から抱き合えばいい。それにネメッカ様の事は気に入っているのでそういう事以外でも一緒にしたいのですからそういう事ばかりである必要は無い」
「ユッミル、私は不安なんですよ」
「はあ、羨ましいですね。不安だけど実際はユッミル様は抱き返してくれます。その時の事を考えても何か不満ですか?」
「イーサ、あなたも原因なんですからね」
「ネメッカ様、そこまでユッミル様にお相手して欲しければ他人に成りすませばいい」
「イーサさん?」
「私も協力しますよ」
「分かりました。我慢します」
4節 調子
イーサは夕方頃にメシャーナの様子を見に行くと部屋を後にする。
「ユッミル、このままだと私の評価が下がるので言ってしまいますが私がユッミルとの触れ合いを求めるのはユッミルがしたそうだからですよ。私もですけど少し違うものだと思いますよ」
「ですからそちらを今は優先してますよ。そちらはそちらで良い事ですから」
「ですがユッミルだけ我慢は嫌ですし現に他の方でやってしまってます」
「今はその方が良いでしょう」
「そんな事は良いのですが私ともしたいんですよね?」
「それはそうですが」
「できたら嬉しいですよね?」
「えっと、そう言われても困ります」
「嬉しくないなら永遠にやめますか?」
「ネメッカ様、分かりました。認めますよ。ただ、僕の欲望を暴き立ててどうするんですか?」
「ですから私ばかり一方的に要求して受け入れられて私はどうユッミルに優しくすれば良いんですか?」
「今でも十分ですよ」
「そういう遠慮を夫婦間でするのが嬉しくありませんね」
「ネメッカ様、そんな事を言ってますが出産後もその調子で気を許せばほんの一時でネメッカ様に興奮した私からの色々なものがネメッカ様の体に纏わりついて半日間風呂から出たくなくなるかもしれませんね。そうした苦痛を与えたくは無いのですよ」
「ユッミル、大丈夫ですよ」
「分かりました、分かりましたから。ですがとにかく産後までは待って下さい」
「ですけどユッミル、そこまで不快とは思わないと思いますよ。好きな男を惹きつけられる事が苦痛になったりはしませんよ」
「お願いですからこの話はここまでで」
「仕方ないですね」
ユッミルはネメッカやイーサと夕食を食べるがネメッカとの会話を避けている。ネメッカは終始微笑んでいる。
夕食を終えるとユッミルはメシャーナと主宰部屋に戻っていく。フェノも慌てて少し遅れたがユッミル同様に急いで夕食を終え、主宰部屋に戻る。
「ユッミル様、どうかされたのですか?」
「いや」
「ネメッカ様と揉めたとか?」
「それは無いから安心しろ」
「そうですか、なら良いのですが」
「それよりフェノ、好きな相手でも体を手荒に触られたら嫌だよな?」
「前にも言いましたがユッミル様に関しては抱いても構いません」
「フェノに聞いたのが間違いだったね」
ユッミルはメシャーナの横に寝る。
「ユッミル様、私も寝たいので私を抱いてくれませんか?そうしないと狭いので」
「まあ構わないよ」
ユッミルはフェノを抱き寄せる。
「もっと手荒でも構わないのにユッミル様はお優しいですね」
「まあフェノは女々しい感じが無いから抱きやすい」
「私も女ですからユッミル様が望むならお相手にもなれます」
「まあシウさんに言い訳が立たないからそんな心配はいらないよ」
ユッミルはフェノを抱いたまま眠りにつく。
翌朝、メシャーナはユッミルと朝食を取るがユッミルの膝では無く一人で座る。ネメッカも口数は少ない。宿舎を経て主宰部屋や主導部屋の階に上がり、ユッミルが主宰部屋に引き上げようとするとネメッカがユッミルの体を引き寄せる。
「少し私の部屋に来てくれますか?」
ユッミルは黙って従う。ネメッカはイーサの存在を無視してユッミルを押し倒して強く抱きながら口づけをする。その後もユッミルの頭を抱き寄せていく。
「その、ネメッカ様?」
「ユッミル、昨日は申し訳ないです。私もこうやってユッミルと触れ合いたいのにそう言えませんでした」
「どういう事です?」
「ユッミルは昨日私に恥をかかされてフェノさんを抱いて寝たのでしょう?ごめんなさい」
「いえ、フェノもベッドで寝たがったので。軽く寝たら離すつもりでしたがそのまま寝てしまいました」
「は?そうですか、なんと羨ましい。私もユッミルに甘えながら寝たいので今晩は来てくれますか?」
「まあメシャーナの体調が極端に悪化しなければ構いません」
ユッミルは午前中、イーサと団について話したり、イーサを連れて塔の施設を見回る。ネメッカやメシャーナを呼んで昼食に向かう。隣に居ながらもいつもよりユッミルと接しようとしないメシャーナとは対照的にネメッカはユッミルの横に陣取り、ユッミルの口に食事を運ぶ等甘やかしていく。
午後からはネメッカとイーサはユッミルと執務室で雑談を交えながら団について話し合う。夕食を終えるとユッミルはメシャーナに体調の異変を感じなかったので主導部屋に向かう。
「ユッミル、今日は私を抱いて寝て下さいね」
「それは構いませんけど寝れますかね?」
「それはどういう意味ですか?」
「ネメッカ様を抱くのは未だに平穏というより高揚ですから寝るには向きません」
「分かりましたけどやってみましょう」
ユッミルはネメッカに促され、ネメッカを抱きながら寝ようとする。
「ユッミル、今日はただただ一緒に寝ましょう。襲ったりしませんから安心ですよ」
「あの、そんな事を言われても困ります」
「困る?襲った方が良いんですか?」
「いえ、そんな事で寝れない訳ではありません。やはりネメッカ様への不安ですよ。あなたがどう思うか気にしてしまいます」
「それは私もですが気にしすぎても仕方ないです。ユッミル、私はユッミルが安らかに私を抱きながら寝て欲しいだけです。焦って急かしてごめんなさい。今日はただ夫婦として一緒に寝ましょう」
翌朝、ユッミルは外を気にするが未だに雨は降り続く。
「ユッミル、そんなに家が恋しいですか?」
「いえ、まあとりあえず一度戻りたいと言いますか」
「シウさん達も雨季ですから仕方ないと分かっていますよ。私としては雨がもう少し長引いてくれたらユッミルがいてくれるので嬉しいんですけどね」
「そうですか?けど雨さえ降ってなければすぐ戻りますよ。まあメシャの事がありますからしばらくは来にくくなりますけどね」
「そうですね、一時は我慢しないといけませんね。ただ、今年は雨季であってもゆっくりできそうに無いですね」
ユッミルはフェノが連れてきたメシャーナやイーサと朝食をとる。
「ユッミル様、今日の夜は宿舎で寝ますか?」
「随分、直球ですね。ネメッカ様はどういうお考えなのですか?」
「構わないですよ」
「流石にやめておきます。家にいる人達にも配慮しないといけませんから」
「そう言われると私としては余計に企画したくなりますね」
「ネメッカ様、この人はあなたの側近なんですからどうにかして下さい」
「ユッミルが断ればいいだけです」
「ですけどこの機会を逃すとしばらく先ですけど寒季の塔の様子はどうなるんですか?」
「雨季と似ていますけど昼間に若干人が少ないですし雨季よりは人が流動的ですね。ですがユッミル様がいる寒季は初めてですから何とも言えませんね」
「そうですか。最大限狩りには行きたいので私は本当に一番寒い時期以外は出かけますけどね」
「ユッミル、あなたは良いかもしれませんが女性をあまり寒い所に連れて行っては駄目ですよ」
「そうですね。そろそろ団員の教育も半端になってしまいますね。防寒具が欲しいですね」
「まあ高いですけどね、防寒具。あるにはありますけど基本的に皆さん家に籠るので」
「そうでしょうね。冬は冒険者の小屋に人が多かったです」
メシャーナとユッミルにフェノは主宰部屋に帰る。
「ユッミル、私は良いからネメッカとか他の女と遊んで来れば?」
「メシャ、そんな必要は無いよ」
「そうです、ちょっと遊ぶ位なら私で良い」
「フェノ、君は側近だろう」
「ですが女ですよ。そもそも夜に一緒に寝るのですからそれも構いません」
「いや、我慢はしていない。家に帰ればシウさんが嫌でも相手をしてくれるしね。」
「それなら良いですが私は構いませんので機会がございましたら」
昼前、ユッミルはメシャーナを促して昼食に向かう。メシャーナは元気そうにユッミルの腕を抱き留める。
「ああ、ユッミル。私も行きますよ」
「はい」
ネメッカは慌てて出てきてユッミルのもう片方の腕を抱き留める。
「ネメッカ様、危ないので離れて下さいますか?」
「どうして私なのですか?」
「先にメシャがいたからですよ」
「そうですか。でしたら宿舎で先に私と遊んでいれば横槍は拒否するんですね?」
「えっと、ネメッカ様が拒むなら横槍でなくてもやめますよ」
「すいません、意地になってしまいました。ですがメシャーナ様も女性ですしね。気持ち良いんでしょうね」
「ネメッカ、あなたに比べれば大した事は無いですよ。ですがメシャには安心してもらいたいだけです」
「私は違うと?」
「そこまでは言いませんが他の形で触れ合ってますよね?」
「まあ良いです。行きますよ」
昼食は比較的会話は少なく進む。夕食はイーサの差し金なのかほぼ全ての団員が同じ時間帯に食べ、メシャーナは隣にネメッカが座って夕食を取る。団員はユッミルと軽く会話を交わすが特に何事も無く夕食を終え、ユッミルはフェノとメシャーナと風呂に入り、眠りにつく。
翌日、雨は昼前に止み、ユッミルは急いでメシャと荷物を持って部屋を後にする。ネメッカとの会話も最小限で塔を後にする。荷物はフェノに持たせてついでに家に泊める事にした。道中、案の定リュッサと会い、少し言葉を交わして互いに急いだ。
ユッミルが家に帰るとそこにはシウとオーネとフーニャの三人だった。
「オーネさん?」
「お帰り、ユッミル」
「シウさん、ただいまです。それよりオーネさんがいるとは驚きです。」
「ええ、昨日の夕方帰って来たんですよ。それで少し濡れてたので風呂に入れてその後寝て以来ずっと寝てるわね」
「まあ起きてからでいいか。フェノ、メシャの相手を頼む。」
「ユッミル、私は子守される子供じゃないよ」
「そうだな、妊娠直前の妊婦だ」
「ああ、まだ生まれて無かったの?てっきり塔に子供を産んできたのかと思ったわ」
「シウさん、それは私が子供を産んでおいて両親とも放っておくと言いたいのですか?」
「そうね、それは困るしユッミルはしないわよね」
「とりあえず昼食を食べます」
「ユッミル殿、待ち構えていたが私は無視か。五日も会えなかった寂寞の言葉の一つでも掛けてはくれないのか?」
「えっと、あなたはクーノさんでしたっけ?フミーユ?」
「意地悪な男だ。私はフーニャだよ。この程度の事を覚えられない馬鹿が主宰とは光は駄目だな」
「フーニャさん、馬鹿が嫌なら土の塔や家にお帰り頂いて結構ですよ」
「分かっているではないか、ならその弱みを使ってさっさと私に体を捧げる様に強要すればいい」
「しませんよ、今は」
「何?いつされるか分からない恐怖を私に与えて楽しむのか」
「恐怖なんですか?」
「うーん、ユッミル殿が恐怖に震える私に意欲が湧くならその方向でも構わない」
「それは無いですね」
「なら何が良いのだ?」
「ですから今は無いです。考え中です」
「少し進んだのか」
「また戻るかもしれませんが」
「ユッミル、この小さい子はともかくあなたは数日間私から逃げられない。観念して自分から来た方が楽よ」
「ですがミーハは戻ると思いますよ。フェノもいますし邪魔者はたくさんいますのでシウさんの思惑は上手く行かないかと」
「そうね、我慢は必要ないわよとだけ言っておくわ」
ユッミル達が昼食を食べた後、しばらくして扉を叩く音がする。少し不審に思って警戒して開ける。
「ユッホさん」
「うん、休みをもらってきた。今度の雨の間は一緒だよ」
ユッホはユッミルに抱きつく。
「それは良かった。ゆっくりしてくれていいよ」
「うん、そうする」
「ユッホ殿ですね。ユッミル様が魅力的なのは分かりますが随分緩んでおいでの様で」
「フェノ、やめてくれ」
「良いよ。どうしたの?」
「まだ雨は止んでますから軽く手合わせ願いたい、勝った方がユッミル様の隣で寝るという事で」
「フェノ、どういうつもりだ?」
「お互いが本気になれるものを掛けただけですよ」
「分かった、審判は僕がするし雨が降ったら中止。ただ、引き分けならユッホと寝るしユッホさん有利の判定をするからね」
「ユッミル君、ありがとう。けど判定はきちんとして。それでも勝つから」
勝負はあっさり着いた。ユッホの圧勝であった。
「フェノ、君はまだ経験が浅い。そもそも僕にすら勝てない状況でユッホさんには勝てないよ」
「ユッミルさん、勝負で隣を争うのは認めていませんよ」
「シウさんが少し意地になってくれて嬉しいですが片方はユッホさんで決定ですよ。もう片方はメシャーナをそばに置いておきたいのです」
夕食前にミーハも帰ってくる。オーネはようやく目を覚ます。
「ああ、オーネさん。体調は大丈夫ですか?」
「はい、元気です。準備はできています」
「いえ、それはまだ大丈夫です」
「私では不足なのでしょうか。不安です」
「えっと、そういう事は必須では無いですよ」
「しかし、氷と光は疎遠。連絡なんてほぼ無い。そうなればできる事はそれしかありません」
「分かりましたから急ぐのは駄目ですよ」
全員で夕食を食べるとユッミルは風呂を沸かす。風呂にはシウとミーハとメシャーナも入ったがユッミルは終始ユッホと触れ合っていた。ユッミルは風呂から上がると少しだけメシャーナに言葉を掛けるとその隣に居るシウは無視してユッホと触れ合っていく。ユッホの隣ではフェノが必死に寝ようとしている。
翌日、ユッミルとユッホは抱き合ったまま朝になっても眠っている。
「ユッミルさんは結構ユッホが気に入ってる様ね」
「ぐっ、何故だ。小さいだけで私の方が魅力的な体の筈だ」
「いや、それを言えばメシャちゃんに行く筈でしょう。私にも来てはくれるしその辺はあまり関係無さそうね」
「ええ、私にも来てくれる位だし」
「何?もうやったのか?」
「まあ少し経ってからだけど」
「私は会った日にしてもらったわね」
「なっ。会った日だと」
「ネメッカもそうらしいわね」
「やはり年上なのか」
「いや、小さい子を大人認定するまで時間が掛かるって事じゃない?」
「なるほど。だが不服だな。ユッホとは少ししか差が無いのに」
「いや、多分だけどユッホとは私より前から知り合いの可能性あるわよ?光と木は交流が多いし」
「そうか、この男は面白いな」
「ちょっと、私はネメッカとかミーハは認めてるけどあなたは大人しくしててね」
「しないぞ。だがユッミルが求めない限りは何もしない。嫌ならユッミルに求めておけばいい」
「諦めた方が良いのにね」
「けどユッホへの態度は明らかに良いのは良いのよね」
「ユッミル、術が優秀だと甘くなるし」
「でもここにいる人達はそこまで実力差は無いわよ。しかもユッミルにとって一番使えないネメッカが結局一番だしそれは違う気がするわね」
「まあやっぱり子供は駄目なんじゃない?体形じゃなくて振る舞いとか実際の年齢」
「私はもう20を超えてるんだが?」
「そっか、だったらしばらくしてそれが分かったらいけるかもね。もちろん、シウみたいに上すぎても駄目だと思うけど」
「まあでも実際に食いついてるのは私なのだから負け惜しみね」
「テーファとネメッカは少し上だしやっぱり私は駄目かもしれない」
「そう?でもユッミルの第一子を勝ち取ったのはあなたでしょ、それだけは羨ましいわね。それに一緒に居るだけならあなたが一番よ。まあ全く別物だしあなたと競う気は無いけれど」
「そうそう、メシャちゃんは純粋にユッミルの意思で一緒に居る。駄目なんて事は無いしそれは譲るしかないけどユッホはそこまで盤石じゃない」
しばらくしてユッミルは目を覚ます。ユッミルはユッホと抱き合った経緯を思い出してから布団を出ようとする。しかし、ユッホも目を覚まし抱き留められたのでまた抱き合う。
「ユッミル、もう昼よ」
「ユッホ、どうする?」
「また後で」
ユッミルとユッホはそれぞれ布団の下に入り込んだ服を探して着なおす。ユッミルは昼食の用意に取り掛かる。
「手伝うわ」
「ありがとうございます、シウさん」
ユッミルとシウは昼食を作っていく。ユッミルはシウの隣に座ってもう一方の隣にメシャーナを呼び寄せる。
「メシャちゃん、私とユッミルの間に座りなさい。ユッミル、素直にユッホを横に呼べば良いわ」
メシャーナがユッミルの懐に入るとユッホも隣に入ってくる。ユッミルはミーハとも話しつつも三人と会話を進めていく。
「シウさんは人気者ですから気まぐれで相手をしてくれますけどいつでも好きにしてくれて良いですからね。僕はユッホさんの方が好きですけど街ではあなたの方が人気なんですから」
「ユッミル、エッヒネにはそんな事言ってないでしょうね?それにネメッカには言わないでしょ?」
「ネメッカ様には熱心に口説かれましたから言えませんよ。エッヒネさんはやんわり流してお世辞に変えてくれましたよ」
「そうね、私はエッヒネほどの優しさは無いわ」
「その言い方は困ります。あなたは口説かれても困るでしょ?」
「卑怯ね。お互い様だけど」
昼食を終えると相変わらずユッミルはユッホと触れ合っている。ただ、時折メシャーナやシウを気にしている。しばらくするとユッミルはフェノに手伝わせて簡単なお菓子を作ってお茶をする事にした。
「オーネさん、フーニャさん。流石にあまり関わらないまま同居は気まずいので嫌かもしれませんが少し話し相手をしてくれませんか?」
「ふん、最初からそうすればいいものを。私はむしろ歓迎していたというのに」
「えっ。フーニャさんは私を服を脱がせて片手で手の自由を奪ってそのまま襲う怪物かの様に扱って周囲にそう思われるのを嫌がった私があなたに手を出せない状況を作りつつ自分は拒んでいないという体裁を作る狡猾な人だと思っていたので相手をしていなかっただけですよ」
「なっ。酷い、なんて言い掛かりをつけるんだ」
「ええ、今は違いますしあくまで少し疑っていただけですよ」
「よく分からないが私はどんどん追い詰められていまいか?」
「そんな事は無いでしょう」
「いや、確かにそうだが逃げ場がある気がしない」
「ただ、話すだけですから逃げる必要も無い」
「お願いだ。早く襲って私を解放してくれ」
「しませんよ、まずはゆっくり話しましょう、オーネさんも」
「はい、特に気の利いた会話はできませんけど」
「フーニャさんはどんな本が好きなんですか?」
「空想的紀行文だな。この世界のものではないが様々な文化の地域をめぐる話だ」
「そうですか。僕は暇ではないので読めそうには無いですけど面白そうですね」
「まあ私は面白いと思うから読んでいる」
「他には?」
「まあ恋愛小説も読まない訳ではないぞ」
「そうですか、分かりました。オーネさんは体が弱いのですか?」
「いえ、体力が無いだけです。魔石製作で細々と稼ぎつつ、節約してますから」
「家は無いんですか?」
「ありますが粗悪なので塔に泊まる率が高いです」
「男性とも泊まる事はありますよね?」
「暑い時期は家に泊まりますしそれ以外は男性と会う日は安い服を五枚位重ね着してますからね。服の順番が変わっていた事は無いので多分大丈夫です。シウさんに貸してもらってここでは髪を整えてますけど向こうでは整えませんし女扱いはされてないと思いますよ」
「えっと、そんな事は無いですよと言いたいですがまだ知り合って十日程なので言葉が軽いですね。五日以上家を空けましたし過ごしたのは数日ですし」
「いえ、それはお互い様ですから」
「まあ急に関係を深めようとするのは賢明ではないですね。焦ってしまいました。お話をしたくなったら遠慮なくお願いします」
「急ぐなら襲えばいい。私は歓迎だぞ」
「でしたらもう服を脱いで目隠しでもすれば良いんじゃないですか?」
「何だ。その適当な言い方は」
「それでも僕が何もしなければ当面は諦めてくれますか?」
「なっ。君が襲わなくても襲っても屈辱を与えようと言うのか」
「そうかもしれませんね、しつこいのは好きではありませんから。ネメッカ様ならそれでも受け入れてしまいますが」
「そこまでしてはいい。いや、そうではない。屈辱等では無い、君さえ求めてくれればそうはならないのに君が中々承諾しないから君に肌を晒す事すら屈辱とまでは言わないが恥ずかしい事に思えて来たぞ。この私を変質させるとはかなりの男だ。あのネメッカを籠絡した男は侮れない」
「何を言っているんですか?不本意ですが何か事情があるなら構いませんよ」
「それでは意味が無い。私が悪かった、大人しくするので抱いてはくれないか?」
「分かりました。まずは短い時間にしましょう」
ユッミルはお菓子を食べ終えると宣言通り夕食前の短時間フーニャを軽く抱きながら昼寝をする。ユッミルはその後、シウとミーハの時間とメシャーナとユッホの時間に分けて風呂に入るとユッホとメシャーナを両隣にして寝る。翌朝、シウがいつの間にかメシャーナとの間に入り込んでいる。
「シウさん、起きてますよね?」
「はあ、どうして?寝てる隙に好きな事をさせようと思ったのに」
「シウさんは起きててもやらせてくれる優しい方ですから」
「つまり、それでもやるのね?」
「はい」
ユッミルはしばらくシウを抱きながらその体に手を滑らせていく。
「シウさん、ありがとうございました。ですけど最近は前より懐を許してくれている気がしますけど」
「まあそれはそうよね。経緯は経緯とはいえ君の子供が出来そうだしね」
「ああ、そういう事ですか。それにしても火の団はそんな事を幇助してどうしようと」
「知らないの?優秀な術師からは優秀な術師が生まれるけど属性については両親両方の属性がそれなりに高くなるの。もちろん、光の方が若干高いみたいだし他の属性も生まれるけど火の可能性は低くない」
「そうですよね、シウさんみたいな人が何も無しにというのは無い話ですよね」
「そうね。けど私は特に優秀な子供が欲しかったとかではなく君がそう思って私に深入りしてくれると思っただけよ。大体、子供は可愛いけれど光や火の才能はその子にとって重要なだけ」
「騙されておきますね」
「ユッミル、私はいつも遠巻きから見られて多少褒められてるだけよ。けどまああなたの立場があるのだから楽しみましょうよ」
「そうですね、今はそうしておきましょう」
ユッミルはシウとユッホと適当に触れ合って昼以降も過ごしていたが夕方頃に雨は止んだ。
「ユッホさん、残念ですけど雨が止んだみたいですね」
「そう言えば雨音が止んでますね」
「黙って引き留めようかとも思いましたがユッホさんとシーリュノ様の関係を悪化させるのは本意ではない」
「はい、私も名残惜しいですが帰りますね。また来て下さいね」
ユッホは夕暮れが近い時間だったので慌てて荷物を纏めて帰る。しばらくするとテーファがやってくる。そこまで間を置かずにキッシャノもやってくる。
「キッシャノさん、ご苦労様です。リッネ様は別の事で忙しそうですしそもそもリッネ様はユッミル様へ直接会いたがっておいでですからわざわざ雨季に出向く必要は無いでしょう」
「いえ、ユッミル様との交友を深めるのも大事ですから」
「それはそうですがあなたはそれに否定的だった様に思いますが?」
「多少は考えを改めたという事です。元々リッネ様から要請されていた事ですし」
「それは幸いですね」
テーファはユッミルを抱いて小声で話し始める。
「ユッミル君、やはり私の家に来てくれないと存分には触れ合えないわね。遠慮はいらないから来てね。私も我慢してるだけだから待ってる」
しばらくして帰宅したソヨッハも交えてユッミルは夕食を終えるとシウに誘われてメシャーナと風呂に入る。テーファやオーネは一人ずつ入浴する。シウはメシャーナを抱きながらユッミルの横に居て反対の隣にはテーファがいる。
ユッミルは少し寝たが起きてしまう。テーファの様子を見ると寝つきが悪そうだったので思わず抱き寄せる。するとテーファは目を覚ます。
「ユッミル君、手をひっこめなくて良いのに」
「いや、一応ね。テーファの言った事を気にして我慢するだけですから」
「うん、でも軽く触れ合うのは大丈夫だよ」
「そうだね」
ユッミルとテーファは服を脱がないだけで軽くは無い触れ合いに興じていく。
「ユッミル様、そろそろ指揮所ですよね?」
「フェノか。少し早くないか?」
「早い時間ですが朝食をしっかり食べてからが宜しいかと」
「分かった。テーファさん、楽しかったですよ」
「私もです。朝になっても雨が止んでいたら帰りますので今度はユッミル様から来訪頂けると嬉しいです」
「あの、しばらくは行けませんがけして忘れているとかは無いですから」
ユッミルは指揮所に向かう。魔族軍は少し態勢が回復してはいるが動きは鈍い。しかも何やら霊族との境界の防備を高めている。ちなみに今日の幹部は氷と木だがいずれもユッミルの知り合いでは無い。夜明け前に雨が降り始める。昼過ぎに交代の時間になると幹部はまたもや水でムヒューエであり、挨拶を交わす。ちなみに担当主導はツーシュンでツーシュンとも言葉を交わして指揮所を後にする。フェノと共に帰宅するとネメッカやリュッサもいる。キッシャノは帰っていたがテーファは残っている。ユッミルは頭を抱える。いよいよ家は混雑していた。11人も家にいる。
「ネメッカ様、どうしたんですか?塔をあまり空けない様に願います」
「ユッミル、どうしたんですか?塔は少し手薄ですがメシャちゃんの事もありますし」
「いえ、ネメッカがいるとせっかくテーファさんがいても触れ合えないね」
「ユッミル、メシャちゃんが元気なうちに優しくしてくれませんか?」
「テーファさんのついでで構いませんか?」
「もちろん」
ユッミルはテーファとネメッカを抱き寄せる。
「はあ、ですけどこれはしばらくお預けですね」
「ユッミル君、今は気にしないようにしよう」
ユッミルは夕食を挟んでもテーファとネメッカと触れ合っている。
「ユッミル、そろそろ風呂に入りませんか?」
「テーファ様もですよね?」
「まあユッミルの相手は自由ですけどそう考えてますよ」
ユッミルは入浴中は終始ネメッカに抱きついていく。
「ユッミル、私はそんなに気楽な相手ですか?」
「テーファさんの姿は直視するのが憚られます。ネメッカ様は魅力的で快適ですよ。安心感と魅力ある女性らしさが上手く共存しています」
「ユッミル君、私も抱いてくれていいのよ」
「あの、嫌ではないので抱いてくれますか?」
テーファはユッミルを抱く。ユッミルは反射的に抱き返す。風呂から出ても相変わらずテーファに甘えていく。ただ、ユッミルがそうやてネメッカ達と寝ている時、メシャーナはうなされる様な声を上げる。
しばらくは書けますが次の忙しい時期の前に次章が仕上がる可能性は低い。次章は9月以降になりますが今後は忙しい時期を織り込んで定期的に投稿できるよう前倒しで書く事を考慮します。
次章は執筆が一旦中断して間が空くので質が落ちるかもしれませんのでご容赦下さい。




