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至上の無名光術師の苦難  作者: 八指犬
24/24

24章 引き留める娘達

余計な情報を排除する為に殊更場面転換を明示する事は致しません。会話の間の表現を重視し、詰まりの無い会話はそれに応じて発言が連続します。発話者が分かりにくい事も多々ありますがご容赦下さい。その代わりに「」の鍵括弧を一纏めとして同一人物の発話が描写を挟まずに連続する事はほぼ排除しております。

また、多少前後している事もありますが描写は時間順となっております。

 

 

 1節 消極的逆襲

 

 「なっ」

 ユッミルが光の塔に向かうとそこには各団の主宰級が勢揃いしている。

 「ユッミル、無事だったのね」

 「心配したのはこちらですよ」

 「それはそうだけど」

 「リッネさんもいますがそれだけでなく」

 「我々の不手際もあって術師協会の付近は少し冷静に話せる場所では無い」

 主宰級はぞろぞろと上階へ向かう。ユッミルはネメッカとシーリュノに体を寄せられている。エッヒネも近い。

 「シェンハ様は?」

 「バッソーさんは残党狩りと例のシステムの修復。シェンハさんは見回りね」

 「夜ですよ」

 「火の術師やシェンハさんなら大丈夫よ」

 「ラーハ様は余裕ですね」

 「うちは指揮所に人手をそこまで出していないし魔族の対処法も気を付けているから全員怪我で済んだわ。けど無傷でも無い。あなたの家は被害ゼロ。私もあなたの側室になろうかしら」

 「火の団は?」

 「ユッミルさん、それは後で報告しますが私の息子は無事ですよ。他のあなたの子もね。ですが指揮所組は…」

 主宰級は最上階の執務室に上がる。

 「ユッミルさん、魔族の残党は?」

 「少し待って下さいね。基本的には大丈夫そうです」

 「指揮所にも行ったそうだけど前線は?」

 「心持ち減った程度ですね。ただ、後方はそこそこ減っていますし撃ち漏らしはそこまで無いかと」

 「そう。ユッミルさん、今回きりですが魔族への反撃に水の団として賛同します。ご協力願いたい。水も戦力を提供します」

 「えっ?」

 「火は元々柔軟です。月と光と水に木までもが賛同するのであれば戦力は出します。私も動きます」

 「土も惜しまないです。氷の意向も確認済み。月は元々賛成派ですし失態の挽回の為に戦力は惜しまず出します」

 「光に至っては特性があるとはいえ普段から出せていません」

 「いえ、今回はユッミル様だけでなくフェノ様のお蔭で大損害を回避できました」

 「どういう事だ?」

 「ええ、フェノさんのお蔭で若干早く察知できて戦闘態勢に移れた様ですね。それでも増援を呼ぶ程の猶予は無く大きな被害だった様ですが」

 「ああ、イーサも無事だったのですね」

 「私が死ぬ訳がないでしょう」

 「光としてもユッミル様やフェノさん程度しか出せませんが協力します」

 「イーサさん?今だけ主導になっても良いですか?」

 「ユッミルさんはしないと?」

 「そうは言ってませんが勝算は必要でしょう」

 「作戦はありますが勝算と言われると困りますね」

 「勝算が無いのはまずいでしょう」

 「作戦に問題があればご指摘頂きたい」

 「その前にその作戦は他の団の了承は?」

 「何かしらの反撃の実行は総意ですが作戦内容はこれからです」

 「どういう事ですか?」

 「ユッミル様に反撃作戦への同意と参加の意思を尋ねています」

 「勝算があるなら参加しましょう」

 「それは同意とみなしますね。では作戦会議の前に休憩にしましょう」

 氷の幹部は急いで階段を下りる。月の幹部はゆっくり階段を下りる。ユッミルも降りようとする。

 「ユッミル、今は側近が居れば良い筈です」

 「分かりました」

 しばらくして食事が運ばれてくる。運んできたのは光のユッミルの側室もいるが月の幹部や水の幹部のイーナや土の幹部のポッフェ等である。そして、ミューレもやって来る。

 「土の最側近だったのですか」

 「いえ、二番手ですね。強さは二番手では無いですが。クルードさんと違って強さが基準では無いので」

 「知り合いが多いですね」

 「それは当然ね。水の側近は五人が交代だけどムヒューエもよ。そして、君が指揮所に行きそうな時にぶつけているわよ」

 「土もですね」

 「月は私自身が話したいからな」

 「木はユッホさんですか。それにミューレ」

 「光は私なのはご存知ですよね?そういう訳で半分の団の側近が側室でいくつかの団の主導は友人と言う訳です」

 「だからあなたが言えば計画は中止よ」

 「そういう形では中止しません」

 「そういう訳ですからユッミルの側室とそれ以外で固まるのが分かりやすいですね」

 「イーサ、冗談でもやめて下さい」

 「ですがもうそうなりつつありますが」

 「けど離れるのも変よ」

 「二分された派閥で作戦会議はダメでしょう」

 「今更ね」

 会議は少し時間が掛かったものの無事決着する。ユッミルの提案でラーハの作戦案である泉の方での強襲に森の側での陽動が加わる事になる。細かい立案や人員調達は土と氷に任せる事になったがその後、氷の幹部の一団と土の団はユッミルの想定とは程遠い計画を進めていく。細かい作戦をユッミルは知る事は無く数年後に集会所で今回の事とは知らずに何気ない会話として聞く事になる。

 主宰級をネメッカ達が見送る中、ユッミルはユーカ母子とチェーハ母子に促されて仮眠を取る。シーリュノが回復してから帰る。ユッミルの睡眠中に土の団は人員を募集する。リッネも隣の主導部屋で仮眠してユッミルより先に起きて作戦に加わる。土の団が場当たり的に立てた陽動計画は魔族に報復したい者を募り、先行突撃させて魔族を混乱させて土の団で追い打ちを掛け、エッヒネとリッネが後方から増援に駆け付けて氷や土の団に一部の木の団に怪我人を回収させるという粗暴なものであった。しかし、作戦は予定通り、実行され、多数の怪我人を出したが土の団や氷術師に魔力切れを厭わない数名の水術師の暴走によって死人は出ずに木の術師が多量の回復術を浪費し、怪我人の静養施設が増えてしまったが本人達は満足だったらしい。リッネとエッヒネは少し消耗し、エッヒネは本命の作戦は辞退した。

 本命の作戦もユッミルとシェンハの活躍とリッネの側面支援で成功した。水術師もユッミルに同伴したミーハ以外はかなり好戦的で魔族殲滅に貢献する。月や土の術師も積極的だったのは言うまでもない。ただ、ユッミルは優秀な土術師が少ないと感じていた。ユッミルはシウやターヒョにミーハ、テーファ、エコ、ベーニュ、シャーネ、フーニャにスーリ、チェーハ等の側室を引き連れてフェノ、ピュッチェやレミーカ、ディユ、ソヨッハ、シェンハ、シーリュノ、バッソーと連携して的確に魔族を仕留めて魔族の反撃を抑え込む。本命の作戦は陽動の方と違い、重傷者を出さずに数える程の軽傷者のみでかなりの戦果を上げた。ユッミルとシェンハにシウの部隊はかなり魔族を押し込んで中級魔族を十数体仕留める。ユッミルはその際にできる限り、魔族領の奥に目を向けるが最奥には届かない。更に中級魔族は百数十体は少なくとも存在する事を知る。ユッミルは遠方に雷撃を撃ち、魔石は回収できなかったものの多数の魔族に中級魔族も何体かは仕留めたが同時にキリが無さそうな事を知る。

 ユッミルは草原でネメッカの出迎えを受ける。ソヨッハやシーリュノにある程度回復は受けたがネメッカにくっつかれても拒む気力は無く、大通りに凱旋させられても前方が煽るままに手を振って追従する。ゆっくり大通りを南下すると集会所の前の広場は宴会場と化している。多数の食事が並んでいる。ユッミルも流石に空腹だったので好き放題に食べる。ユッミルの側室達はユッミルに抱き付いて少し我慢したもののそれでも大量に食べる。リュッサにケーシャ、レヒーハやマティッセに数人の光の側室、コッテを含めた店の面々が子供を連れて待っている。シャーユとユンルクにファッリーユとネミークはユッミルに歩いて寄って来る。エッヒネやシェンハ、リッネはユッミルの子供を抱いたり、遊んだりしている。歩ける子以外の光の子と面識があるシーリュノは普通に慣れた風にケーシャを手伝う。ただ、ユンルクとシャーユは基本的にユッミルにくっつく。夕方の少し前に始まった宴会は日が落ちてもしばらく続く。

ユッミル達がいたメイン会場の広場から少し離れた路地でもささやかな宴会はあった位大規模だったが流石に夜も更けるとメイン会場以外は撤収される。その撤収を終えるとメイン会場も片付けに入る。その頃にはフェノとメシャーナにレミーカを主要な腕力としてユッミルの息子はさっさと家に連れ帰る。ユッミルはユンルクとシャーユを両手に連れ回す。そして、リュッサとレヒーハに二人を抱かせて片付けを手伝ったり、二人を伴って会場警備を手伝う。

 そして、余った食事は静養施設に届けられる。ユッミルは多数の怪我人の一端を目にする。手足がもう駄目な人や体に目立った外傷が無いのに表情が暗い人を多数目にする。ユッミルは帰宅するとファッリーユに絡まれても意に介さず眠る。

 翌朝、目覚めるとゆっくり風呂を沸かしつつ朝食を食べ、風呂に入る。気づいたテーファが後から入る。

 「テーファさん、今は魅力的な女性は毒ですよ。休ませて下さい」

 「私、今だけ貧相だけど健気に甘えさせる単なる優しい妻ね」

 「無理ですけど甘えはします」

 ユッミルは迷いなく服を着ると人の少ない布団に横になる。テーファはくっつかずに横に寝る。朝遅い時間にユッミルは塔に向かう。

 「ああ、ユッミル。来てくれて嬉しいわ」

 「無理しなくて良いですよ」

 「無理でもしたいだけよ」

 「気づかないで居たかったですが重病人ですか。いえ、シーリュノ様が居ないという事は」

 「そうですね。どうやっても永遠には隠せないのは分かっているのですが」

 「大丈夫ですよ」

 「デーリャさんが魔族にやられました。一階の受付の番でして」

 「それで?魔族が階段を登れない等という事は無い。指揮所では…」

 「ルーエが駆け付けた頃にはデーリャさんは手遅れでしたが下級魔石も転がっていました。後はこの子なのですが」

 「赤子?生まれたばかり?かなり小さいですね」

 「イーサや木の術師が言うにはデーリャさんの長女です」

 「どういう?」

 「パータナさんが瀕死のデーリャからこの子を感じて強引に取り出したそうです。遺体の下半身を傷つける事にはなりましたが判断する時間が無かったのでやむを得なかったと思います」

 「ええ、それは仕方ないと思いますが」

 ユッミルはトキホを抱く。トキホはネメッカに掴まって立つ位は可能らしい。

 「部屋に行きます?」

 「そうですね。どうしようもないですよね」

 「もちろんです。私に至っては同じ建物に居ながら寝てましたから」

 「ネメッカ様や子供達に被害が無かった事を喜ぶべきですよね。後はとりあえず受付に雷打の魔石を配備して魔族を倒せるようにしましょう。こんな簡単な事を怠った僕らは本当に愚かですね。デーリャさんも逃げて良かったのに」

 「確かにデーリャさんも抵抗した様ですが逃げる間もなくやられてしまったようです」

 「近接術ですか?」

 「いえ、ルーエは強い魔力を感じたと。しかも魔族とは別。他にも私かフェノが行使したと勘違いする程の強い魔力を感じた者が複数います」

 「まさかこの子ですか?」

 「それしかないと思っています。ただ、この子は現状脆弱で木の団に頂いた下級術を定期的に使わないと危ないのですが」

 「信じ難いですがそれは置いておいてどうにかしないといけません。木の団には相当負担を掛けますけどお願いするしかないですね」

 ユッミルはいつも通り子供の世話をする。その後、イーサと軽く話す。イーサの娘を抱きながら考え事をしている。昼食を終えると魔石を仕込む業務をこなす。妊婦を見舞うと夕方に帰る。家の扉の所でネメッカが追いつく。

 「トキホを忘れてますよ」

 「いえ、その、ネメッカ様は泊まるのでしたら任せます」

 「はい」

 ユッミルはネメッカがしっかりくっつくが特に何も反応しない。逆側にはテーファがくっつく。夕食もそのままファッリーユを膝に置かれて適当に食べる。風呂はネメッカとリュッサが入れ替わるが特に何も無い。その後はネメッカが戻って来てテーファ母子とネメッカ母子に挟まれる。ユッミルの希望でシャーユを抱いて寝る。

 翌日は店に向かう。ナーレの子供に会う。ここでやっとナーレの子が娘であると認識する。名付けは保留にしたが世話はしていく。ナーレ母子はユッミルと帰宅する事にする。ナーレはユッミルに少し歩きたいと言って娘を抱かせたまま遠回りさせる。

 「ユッミルさん、討伐ご苦労様でしたが疲れてますか?だとしたらそろそろ帰っても良いですよ?」

 「そういう訳では無いよ。まあ隠す気も無いのだが光の側室の子が今回の一件の中で亡くなってしまってね。三か所に子供と妻を抱えてるから元から全てを守るのは無理だったのだけど。それにずっと一緒に居させる訳にもいかないし。それでも現にこういう事になってしまった。一人にはなれないし戦後処理等仕事はするけど流石に女の子とどうこうは当面は控えたい」

 「困りますか?くっつかれたら?」

 「それは大丈夫だよ。子供の世話は気が紛れるしそういうのが嫌と言う話じゃない。けど抱かれても抱き返すとか本当の意味で相手はできないかもしれない」

 「なら好きにします。私はその話を聞いたので何も反応しなくて良いです。ただ、くっつかれても乱暴に振り払わないで下さいね。他の人もですよ?」

 「そんな気は無いよ。駄目だと言ってもしつこいならゆっくり力づくで引き剥がすけど」

 昼過ぎに帰宅するとナーレはそのままくっつく。ファッリーユが突進してくる。

 「パパ、はなそ」

 「何を?」

 「うー。ファーのどこが好き?」

 「うーん、元気な所だね」

 「ママは?」

 「優しい所だよ」

 「ファー、優しくなる」

 ネメッカはトキホを置く。ユッミルはユンルクを呼ぶ。ユッミルはユンルクとトキホを抱きながらユンルクに話しかける。しばらくして騒がしくなり、レヒーハに呼ばれる。

 「ユッミルさん」

 「どうしました?」

 「ユンルクちゃん達を膝から下ろしてからで良いですがセテューカさんが産みそうです」

 「ああ、そうでした」

 ユッミルはユンルクを立たせて手を繋いでトキホを抱えてセテューカの元へ向かう。ネメッカがトキホを預かるとユッミルは取り上げる。

 「女ですね」

 レヒーハに娘を預けるとくっついてきたシャーユやファッリーユと撤収する。元気なファッリーユにつられて少し活発に動く。夕食前にチェーハ母子が戻る。結局、リュッサ、ユンルク、ユッミル、シャーユ、メシャーナで並ぶ。ネメッカはトキホをユッミルに預けるのを控えた。ユッミルはユンルクとシャーユに話しかける。外では雨が降り始める。

 「雨季ですね」

 「そうですね。移動が自由では無いのですからネメッカ様は安易に塔を空けないで下さいよ」

 「ユッミル、塔に近い子がいますがどうします?」

 「行きますよ」

 「嫌なら構いません。ユンルクとシャーユと過ごしたいなら無理はしなくて良い」

 「行きますよ。シャーユやユンルクは光の塔に連れて行けばいい」

 「そっか」

 シャーネは席を外すと服を脱いで戻ってくる。脱いだ事を言わないのでユッミルは気づかない。両隣のシウやテーファは指摘する理由も無いので無視している。ファッリーユがまた突進してきたのでユッミルは膝に乗せる。その際に視界がずれて上半身を着ていないシャーネを目にする。一度目は確証が無かったが二度目で確認する。

 「シャーネ、食事中は脱がないで下さい」

 「今日は風呂はやめておくからこのまま張り付けて」

 「脱ぐならだ…」

 「抱かないのね」

 「かもしれませんが着て頂きたい」

 「遠慮するわ。理由が無いもの」

 食事を終えるとシャーネが突進してくる。ユッミルは仕方なく無造作に抱く。

 「張り合いが無い。張り付けて」

 「シャーネがそれで良いなら。けどお腹は出てるし免除でも良いと思うよ」

 「そうね、けど風呂は入ってね。ユッミルがいないと母親が困るわ」

 ユッミルはレヒーハと六人の子供を風呂に入れるとシャーネを抱いてネメッカ母子とシウ母子と寝る。朝起きるとシャーネだけでなくシウもネメッカも脱いでいる。

 「どうしました?」

 「ユッミル、ちゃんと説得して服を着せて下さい。そうしないとこの太った醜い体二つとお相手頂きます。脱がせますから覚悟して下さい」

 「ネメッカ様、醜くは無いですよ。ただ、ちょっと無理ですよ」

 ユッミルはネメッカを抱き込む。

 「次はシウさんですね。シウさんは辛うじて可能ですがしますか?我慢が少し難しいのでシウさんが一押しすれば脱ぎますよ」

 「はあ。負けね。服を着るわ」

 「残念ですね」

 ユッミルはシャーユとユンルクと両手を繋いでリュッサ母子とネメッカ母子とゆっくり光の塔に向かう。テーファ母子を家に送る。ファッリーユは家でしばらく預かる事にした。ユッミルは塔に着くと主宰部屋でシャーユとユンルクと話す。ネメッカは今度はネミークを送る。イーサもカノールを連れて来る。イーサとユッミルで子供達の話を聞いて過ごす。夕食中も4人の子供と二人の大人の会話は続く。リュッサの手助けでイーサとユッミルは2人ずつしゃ4人を風呂に入れる。それを終えるとやっと本題である妊婦の見舞いをする。

 「ああ、次はユーカさんでしたか」

 「ユッミルさん、まだ大丈夫ですから明日の式は気にせず出席して下さいね」

 「式?」

 「はい、明日は先日の魔族襲撃時の犠牲者を弔う式を開催予定です。挨拶等は主導であるネメッカ様が担いますのでユッミル様はエッヒネ様やシェンハ様と適当に話していれば良いです」

 「シェンハ様には会いたくないですね」

 「欠席ですか?」

 「いえ、行きますよ。ただ、いつ決まったのですか?正式には昨日ですね。もしかして私が塔を出る前?」

 「まさか、こういう連絡は昼までには届きます」

 「ネメッカ様?」

 「良いでしょ?どうせ今のユッミルはいつ知っても関係が無い。罰として服を脱がせて尻を叩きます?構いませんよ、怒って元気になるならそれも構いません」

 「今の私では罰になりそうに無いですね。ネメッカ様が逆らっても何もできません」

 「もちろん、普段もなってはいませんが。ですけど今のユッミルにも良い所はあります。くっついても抵抗されません。後は子供を排するだけです」

 「ネメッカ様、ネミーク以外はあなたの子では無いですよ」

 結局、ユッミルがトキホを膝に乗せて、イーサもリュッサも末子を膝に乗せてシャーユとユンルクにカノールにネミークとネメッカを加えて話をしていく。ユッミルは朧げに光の団の後継者をこの中の子に任せる予感を感じる。

 翌日、ユッミルはネメッカと合同送別会に出席する為に森を挟んで反対側の会場に向かう。ユッミルは気が抜けてネメッカに言われるがままに集会所の方を通る。ネメッカはしっかり腕を抱いているがユッミルは窘める言葉が紡げない。姿を隠したチェーハが反対側にはくっついている。ちなみにフェノは指揮所だ。式の最中は各団の幹部五人が見張りをする。フェノの他にはシウもいる。パータナに月と水の幹部だ。土は犠牲者が最大であった事もあり、幹部より上は全員出席するらしい。フーニャは幹部では無いが方々からの要請で出席に追い込まれた。

 「なっ。ユッミル、遂に堂々と。今日は送別会だと言うのに」

 「光も珍しく数人死んだって聞いたぞ」

 「ユッミル自体は活躍したみたいだしな」

 「私はあれ位、良いと思うわ。実際、私の友達、助けてもらったし。怪我では済まなかったって言ってた」

 「そうそう、ちゃんと主宰の仕事してくれるなら気にならない」

 「むしろ浮ついてるのはネメッカさんじゃないかしら?」

 「そうね。そこまで活躍したとは聞いてない。なのにユッミル様に便乗して」

 「うーん、言われてみればそんな気もする様な?」

 「ユッミルさん、よく見たら特に反応してないわよ?」

 「そうよね。送別会だし。ネメッカさん、普段相手されてないのかしら?」

 「えっ、まさか」

 「だって子供はいるらしいけど夫婦がどうかって実際、分からなくない。男なんて美人でも飽きるでしょ」

 「なっ、贅沢な。それで側室が多いか」

 「けどネメッカ様はそれなのにくっついててどういう事なのって感じよね?」

 「ネメッカ様?」

 「ああ、分かってないって事でしょ。可哀想」

 「自分を残念に演出して何がしたいのですか」

 「そうすれば浮気は疑われない。ついでにユッミルが嫉妬されないから堂々と甘えられる」

 「団の評判は落ちますけどね」

 「じゃあ抱き返せばいい」

 「分かりましたよ」

 ユッミルは抱き返す。

 「家でもこうならいいのに」

 「とにかく行きますよ」

 「ユッミルさん、疲れてる筈なのに気遣いもできるのね」

 「そうね。あれだけの活躍、少し奥さんに任せてただけみたいね」

 「居てくれて良かったわ」

 集会所から離れるとラーハとイーナに出くわしたので同行する事になる。ミーハは子供と共に塔に居るらしい。ユッミルの側室もマティッセやレヒーハはミリットやファッリーユの子守で欠席である。ちなみにカノールとユンルクは母親とユッミル夫妻の後ろを歩いている。シャーユもいる。シャーユは最早、大人にも劣らぬ速度だ。ユッミルはやんわりシャーユの姿を暈している。しばらくするとエッヒネがシェヒユスを抱いて駆け寄ってくる。ユッミルに挨拶するとシェヒユスを下ろす。後から追いついたミューレがシェヒユスの隣を歩く。しばらくするとシェヒユスはユッミルの足を突く。シャーユが割って入る。

 「ダーメ」

 「そくしつぅ、じゃま」

 「はっ」

 「えっ、シェヒユス君、何か用事?」

 「ママから離れろ」

 「ラーハさん、子供が疲れたみたいなので先にどうぞ」

 「そうするわ」

 ユッミルはシャーユの手を引いてエッヒネから離れる。

 「ママを泣かすな」

 「泣いてないわよ。少し残念だけど。ユッミルさん、失礼なので戻って下さい。シェヒユス、ママ、ユッミルと仲良くするけど良いわよね?」

 「ママと仲良しはシェヒ」

 「シェヒユス、ユッミルと仲良くして」

 「うー」

 「無理強いはダメですよ」

 「似た者同士って難しいのかどうなのでしょうね」

 「大好きなママの言う通り、手位繋ごうか」

 ユッミルはシェヒユスと手を繋ぐ。シャーユは器用にユッミルの真後ろにくっつく。会場に着くと真っ先にフーニャ母子とソヨッハにユッホ母子がやってくる。

 「ユッホさんの子供も随分と育ったのに軽々ですね」

 「ユッミル、あなたの子でもあるのよ?忘れないでね」

 「それに引き換えフーニャさんはしんどそうですね」

 「子供よりこれへの出席がしんどいのだよ」

 「無理に出る必要も子連れである必要も無いでしょう」

 「土の幹部就任の打診を断りに来たのだ。君からも言ってくれ」

 「嬉しくは無いですが流石にそれに口出すのは無理ですよ。他にもなった子はいますし」

 「だから子育てを理由にする為に抱えているのだ。今日は同行してもらうぞ」

 「お好きにどうぞ」

 しばらくするとシェンハにシーリュノ、ターヒョにスーリ、レミーカ、キッシャノ母子もやってくる。

 「ユッミル様、ご無沙汰です。先日は相当の活躍だったと聞きます。月として光の被害を防げず申し訳ない」

 「月も無傷では無いのですから仕方ない」

 「我々の団の死者は指揮所で戦った結果です。分かった上で前線に居たのです。そして、多数の魔族には抗えず守り切れず、自分すら守れなかった。それでも少なからぬ団員が救われた。感謝する。それとユッミル様は女より子供が好きと聞いたのでうちの子をしばらく抱かないか?」

 「子供は好きですよ。ですが世の子供は多いですから自分の子限定にしていますよ。大きくなったね」

 ユッミルはウメックを抱く。

 「そして、増えたな。どう考えてもまだいますよね?」

 「はい、そちらのエッヒネ様のお子さんは違いますが」

 「ならどうしてさっき手を繋いで」

 「シェヒユスの父であればエッヒネ様がという事ですから狙いたくなるのも当然。しかし、エッヒネ様の意中はきっとその子の真の父親、残念ですが姿が見えないので希望を持ってしまうという訳です」

 「それは求婚ですか?」

 「まさか。ネメッカ様と言う美しい妻が居ながらエッヒネ様までと世間に知れれば大ヒンシュクでしょうしエッヒネ様もそれを忘れない限り、その気にはならないでしょう」

 「それでもユッミル様を求める人は余程魅力を感じているという事ですね」

 「ユッミル、私が口説いたらそう感じるの?」

 「シェ」

 「シェンハ様は側室等は無理でしょう。冗談はおやめ下さい。正妻は私です。どんな手を使ってでも止めます。もちろん、ユッミルの意思なら受け入れますが側室に落ちるなら別れます」

 「大丈夫ですから」

 「つまり、私が形式上側室なら良いのね」

 「形式ではありません」

 「優先順位は守ると言ったら?」

 「僕に意思はありません」

 「私、お断りされたのね」

 「それでも良いですが節操のないネメッカ様の動揺を誘う冗談だと解釈しています」

 「ネメッカは面白いわね。ユッミルが気に入るのも納得だわ」

 「それよりそろそろ着席した方が良いでしょう」

 「ああ、席順的にユッミルは目の前にシーリュノの尻が来るのね。良かったわね」

 「良くないですよ。エッヒネ様や若かりしネメッカ様なら嬉しいですけど」

 「それは口説いてるのかしら?」

 「聞こえる前提ではありません。むしろ咎めるべきです」

 「そうね。勝手に見ればいいのに。その気が無いのに誘惑してはいけません」

 「ユッミル、もしかして若かりしネメッカ様は三人目の出産後にも戻らないと言いたいの?」

 「戻るから軽口を言っただけですよ。戻らないと思ったら言えません」

 送別会は主導が順に挨拶していく。シェンハだけは決意表明だったが追加で挨拶した土の主宰も含めて死者を弔い、怪我人を気遣う言葉を述べる。ユッミルは仄かに自分が何も言わない違和感を覚えたが黙っていた。それは会場も同じだったが光の主導のネメッカの登場で辛うじて拭い去られた。

昼食は当然の様にユッミルは側室だけでなく主宰級のほぼ全員に普段話さない幹部級とも多数言葉を交わす。ユッミルも心配だったのでそれとなく聞き出す。はっきり言ってこの送別会の目的は方々利害は違えどこれであり、情報交換と危機管理上の協力関係の模索が展開される。

 昼の後は建前上の本題として土の主宰や幹部数名が司会として慰霊の言葉を重ねていく。幹部だけは部下や友人が犠牲になった者ばかりであり、個人的な思いを重ねて慰霊の言葉を紡ぐ。その後は少し長い儀式があり、しばらくして火が灯される。大きな火が燃え盛るが燃えている途中で式は終了する。

 少し早めだが夕食会の様だ。ただ、こちらはそこそこ欠席が出る。主宰級は全員残ったが持ち場がある者は戻る事になっている。ユッミルも子供を言い訳にフーニャ母子を引き連れて撤収する。ただ、スーリやターヒョ、ネメッカ、テーファだけでなくイーサ、シェンハ、エッヒネ、ユッホ、キッシャノ、シーリュノまで付いてくる。主宰級には宿泊しない事を呑ませた上で受け付ける。式の途中でリッネは抜け出しており、代わりに幹部が戻った様でフェノも合流する。ユッミルはフェノにユンルクを抱かせてフェノに寄る。自分はカノールを抱いてイーサと話す。シャーユに裾を掴ませてついて来させる。

 「で、シウさんは?」

 「家ですね」

 「ユッミルは母親しか眼中に無いから子育てすると言ってましたね」

 「あの人は」

 「最近、私と接しているのは母親としては良いからですか?」

 「イーサさん、答えに困ります。違いますよ。イーサさんは誘惑が下手、ああ、合ってましたね。ネメッカ様とかは存在自体が誘惑なので子供が増えた状況だとイーサさんの方が過ごしやすい」

 「あまり褒められている気はしませんが」

 「ユッミル、それは正妻降格や離婚という事ですか?」

 「しばらく子育てと仕事に専念ですね。いずれ戻ります。もちろん、ネメッカ様は僕に気を取られなければ子育ても上手なので大丈夫ですよ」

 「ユッミル、それは私がユッミルに夢中で傍にいると他が手に付かないと思ってる訳ですね?」

 「いえ、ネメッカ様は勝手に僕が放っておくと浮気すると思って不必要に誘惑していると思っていますよ」

 「はいはい、帰りますよ」

 

 

 

 

 

 2節 戻されていく日常

 

 大所帯が家に帰還する。明らかに狭い。シーリュノは挨拶代わりに放出系木の術を使う。オーネやセテューカも起きて来るがセテューカは面倒なので大人しくしてもらう事にする。マティッセとセチューカ母子やメシャーナ母子以外は床に座る子供の世話組も含めて机の周りに集まる。ファッリーユやシャーユにユンルク、ニーフェの子供とチェーハやシャーネがユッミルの周りを固める。

 「あら?ユッミルさんの周りは子供に加えて幼い、いえ、若い子ばかり。もしかして冗談でしか私を口説いてくれないのは年下好みだからかしら?」

 「まさか、シウさんが代表格ですがシウさんが甘えたらどうなります?混乱ですよ。上手く男を甘えさせる事が出来るなら甘えなくて良い。甘えるだけなら赤子にもできる」

 「ユッミル、脱いでいいかしら?」

 「シャーネは可愛いなあ」

 ユッミルはシャーネを掴む。

 「冗談よ。ここで脱いだら追い出されかねないし」

 ユッミルは離す。

 「そうね。一応は私を正妻にしてるのだし」

 「ネメッカ様は甘える事も甘えさせる事もできて女としてはかなり魅力的ですよね」

 「そうね。術師としては力不足だけど」

 「否定しないのね」

 「けどユッミルはそう言っても強い子を優遇しますし」

 「それは否定しませんが側室だけですよ」

 「なら何故、私はダメなの?」

 「シェンハさんは仕事があるでしょう」

 「ここの側室は無職なの?」

 「仕事はしていますがあなたほど忙しくは無い。忙しい時期は会えない人もいます」

 「じゃあ私も大丈夫ね」

 「あなたは年中忙しいでしょうが」

 「あなたも忙しいでしょ?立場に大差は無い訳だし」

 「夜はいますからね」

 「それは私も同じ」

 「違います。あなたの出産時期に魔族襲撃があったら恨まれますよ」

 「じゃあ私は子供を作れないのね」

 「いえ、側室を多く抱えていない好きな男がいれば問題無いです。リッネさん共々不在を支えます」

 「あなた、自分の言ってる事、分かってる?」

 「変な男とは付き合いませんよね?」

 「今日は退くわ」

 食事が一段落する。

 「お風呂、借りるわね?」

 「ええ、えっ?脱がないで下さい」

 「抱き締めてるけど襲うの?そんな事をしなくても放っておいたら脱ぐわよ」

 「何を言ってるのですか。泊まらないのですから帰って入ればいい」

 「風呂が待てないなら一緒に入っても良いわよ」

 「凍らせて運んだのか。魔石二回分、無駄ですね」

 「それは悪かったけど私が入れない理由はある?」

 「無いですね」

 「ユッミル?」

 「残念ですけど今回は理由が無い」

 シェンハは脱いでいく。

 「ユッミル、気が変われば入って良いのよ?」

 「そうしたいのはやまやまですが間違っても子供ができる事を考えると無理ですね」

 「できない様にするしできたとしても隠して子供はあなたに譲るわ」

 「シェンハ様、随分と学習なされた様ですね。ですがであればこそ風呂の理由が分かりませんね」

「ユッミルと風呂に入りたいだけよ。ユッミルが女性にだらしないなら来るわよね?けど来ないなら誠実で良い男ね」

 「だらしないけど誤魔化してるだけですね」

 「これができるなら泊まれないかしら」

 「それはそこが問題では無い」

 「目立たない時期にまた来ようかしら?」

 「私は認めません」

 ネメッカはユッミルを抱く。

 「困った人ですね。早く帰って下さい」

 「急ぐ理由は無いわね」

 「さて僕も入りますか」

 「ユッミル?」

 「確かに女性ですし子供さえできなければ触れ合うのも良いかもしれませんね。それ以上は無い様にすれば」

 「耐えるのね」

 「ええ、シェンハ様との子供は不要です。ただ、親睦を深めるだけ」

 「そ、子供はダメだけど上半身なら良いわよね」

 「ああ」

 「勝手ですよ。子供っぽくて可愛いですね」

 「ふーん、でも、やはり嬉しくないわね。抱くだけ抱いて責任を取らないのは許さない。責任を取る気になってから来なさい」

 シェンハはさっさと服を着ると帰っていく。

 「恥ずかしくなったみたいですね。流石、ユッミル」

 「ネメッカさん、そんな顔じゃなかったわ」

 「ですが当面は大人しくする筈です」

 「私が風呂に入ると言ったらどうします?」

 「良いですよ。ネメッカ様次第ですが」

 「私は構わない気もしますがユッミルに勘違いされない為に許可しません」

 「ではご一緒しますね」

 「ん?エッヒネ様?」

 「はい、主宰同士、深い付き合いをしましょう」

 「お待ち下さい」

 「何故ですか?」

 「狙ってくる相手の前で服を脱ぐ愚かなユッミル様が悪いです」

 「子供は無理ですよ。適当に触れ合うだけなら構いませんが」

 「私はそれでも構いません。合意成立ですね」

 「ネメッカ様」

 「ああ、私は許可しません」

 「ネメッカ様、これ位は構わないでしょう。ユッミル様が許可しない限り、子供は作りませんし。ユッミル様の意向でもあります」

 「そうね、ユッミルが望むなら拒みません。良いですよ」

 「もう問題無いですね。遊びましょう」

 ユッミルは一頻り触れ合うと浴槽からエッヒネの帰宅を見送る。横にはシャーネとシャーユとネメッカがいる。

 「良かったですね」

 「その、それはそうですが新鮮だっただけというか、ネメッカ様もたまにしか会えない貴重な人なら魅力が膨れ上がりますよ?気軽に抱き締めない方が良い」

 「そうかもしれませんが我慢は無理ですね」

 「操ろうってのは無理よ」

 シャーユも真似て抱きつく。

 「離れて下さい。子供の教育に悪い」

 「娘が父親に抱きつくのは何も問題無い」

 「もう良いですよ。好きにして下さい」

 ユッミルは翌朝、ネメッカとリュッサを伴って塔に向かう。ユーカや何人かの側室の時期が近づいてるらしい。ついでにデーリャの遺児を見舞う。ユッホは昨日のユッミルの食事会を終えて塔に向かったらしい。

 「この子を保護するのはユッミルの家で私が見ても良い気がする」

 「ダメですよ。シーリュノ様がよく来るこちらです」

 ユッミルは主導部屋に向かう。

 「ユッミルさん、ありがとう」

 「いえ、調子はどうですか?」

 「少し疲れてるけど問題は無いわ」

 「ユッミル様、かなり近いので今日は」

 「ええ、泊まりますよ」

 ユッミルはズード等の何人かの赤子を連れてケーシャと主宰部屋に移動する。いつもながら出産時期を把握する為に妊婦は主にイーサが世話をする。部屋にはニーフェにミヨーナもいる。

 「ユッミルさん、本当に子供、増えましたね」

 「そうだね」

 「私はまだですか?」

 「えっと、同世代の子は?」

 「勉強は学校でなくてもできます」

 「そっか、今はミヨーナ以前に子供が増えすぎて新しい子は無理だから諦めて」

 「誰かと離婚すれば良い。減ったら良いでしょ?」

 「そういう問題では無いししばらくは誰とも子供を作らないかもしれない」

 「ユッミルさん」

 「チェーハ、やはり居たんだね」

 「私を炙り出す為の冗談ですか」

 「いや、チェーハには関係無いよ」

 「もしかして別れ話?困ります」

 「ありがとう、でも違うよ。チェーハは多分だけど二人目いるよ。しばらく控えるだけだから」

 「それなら良いですけど皆さん納得しますかね?」

 「妊娠中の方が大半になったので当面は問題ありません。それも問題ではありますが」

 「そううまく行きますかね?」

 「永遠に断ると言う話では無いので大丈夫ですよ。問題はネメッカ様だけです。誘惑が上手ければ頓挫しますね」

 ユッミルは夕食後に八人の赤子を風呂に入れる。前半はリュッサ、後半はケーシャと子供の世話をする。服を着る前にリュッサに誘われたのでそのまま寝る。

 翌朝、リュッサとしばらく触れ合ってようやく服を着るとトキホやニーフェを連れて朝食に向かう。ただ、一度に階段を降りられる子供の数の制約から大人が多い。フェノの手伝いは前提となっている。

 「ユンルク、階段どうします?」

 「前にも言いましたがユッミルさんが教える気なら構いません」

 「ではそうしますね」

 ユッミルは朝食後、ユンルクに階段を上らせてみる。手を引くと上がれるが自力はすぐに無理そうだ。しばらくすると一人の女性が下りてくる。ユッミルは時間帯が悪いと思い、引き上げる。階段を上がった所ではリュッサが待っていてユンルクを引き渡す。部屋に戻るとニーフェに話しかけるが反応は薄い。他の子はそれなりに返ってくる。

 「ズードも大分と話せる様になって来ましたね」

 「ゆっみう、てぇー」

 ユーカの息子のズードは大人の手を触る事が多い。

 「パパの方がいい気もしますけどね。ユッミルでも良いけど一応、パパの方が良いかなと」

 「私達はついついユッミルさんと呼んでしまいますからね」

 「それは構いませんよ。僕もケーシャさんと呼んでますし」

 「私はどちらでも良いですよ。ユッミルさんにはママがたくさんですね」

 「そうですよね。誰を呼んでるか分かりませんよね」

 「じゃあママが一人の時はママで良いと思いますけど」

 「子供に話しかける時はそうしても良いですけど皆、母親の事はママと呼んでますからね」

 「そうですね。お任せします」

 ユッミルは五人程の子供と遊んでいく。母親達は忙しい様だ。ネメッカがトキホとネミークを連れてやってくる。ケーシャは交代して言ってしまったので主宰部屋で七人の子供の世話をする。ユッミルは主にニーフェとトキホにユンルク、ズードにノシャフスを世話する。しばらくすると二人の女性が二人の子供を連れてきて一人はすぐ出る。結局、昼前までユッミル夫妻ともう一人の母親の三人で九人の世話をする。ネミークは少し放置されていたがユッミルとユンルクと遊ぶ。

 昼食はユッミルを含めてルーエも動員して五人程で子供を運んで昼食を食べる。最近はフェノかルーエに食事の際の赤子の運搬を手伝わせているらしい。昼食後しばらくしてユッミルは赤子に囲まれて昼寝をしてしまう。その最中にユーカは少し苦しんでいたらしくかなり近いらしい。ユッミルの周りには子供が十人以上いる。リュッサを含めた母親は三人である。

 「やはり多いですね」

 「でもユッミルさんがいると助かります。普段はここまで大人しくないですけどユッミルさんの真似をするのは皆、好きみたいで」

 「えっと、それは困りましたね。ママに甘えるのはそういう事ですか?」

 「ユッミルさん、赤ちゃんがいると私達なんてどうでもよく遊んでますし何を言ってるんですか?」

 「リュッサさん、少なくともユンルクは見てますよ」

 「でもそんな事を気にして良い子にはならなくていいですよ。寝た後は関係無いですし」

 ユッミルは夕食も風呂もたくさんの子供と共にする。翌朝の朝食を終えるとユーカが力みだした様でユッミルも待つ。程なく女児が生まれる。産着を着せるがユーカはしんどそうなのでしばらくユッミルが抱く。座っているとユンルクが赤子をそっと撫でる。とりあえずユンルクやネミークにニーフェとトキホと遮音しつつ話をしながら赤子を抱く。しばらくするとユーカが元気に戻ってきて共に世話をする。

 「ユッミルさん、私は良いですよ?」

 「えっ。ああ、ですが流石に今日はやめましょう。まだ太ったままですよ」

 「そうですか」

 ユッミルはユーカと六人程の子供と寝る。

 翌朝、家に帰ろうとするも雨が降っている。昼食後、雨が止み、ズードを抱いてユンルクと歩いてゆっくり帰宅する。しばらくするとチェーハ母子も帰ってくる。ユッミルはシャーユの膝にカッサを乗せてみる。ユッミルはズードとユンルクの世話をしている。

 「ユッミル、シャーユは確かにお姉さんだけど同じ子供よ」

 「もちろん、カッサの世話を短時間でも任せられるのはありがたいですけど」

 「無理はさせないから」

 「そうね。私はユッミルに居させてもらってるしね」

 「メシャ、シャーユの事は一番…」

 「そうです。居させてもらってるのですから遠慮せず私で遊んで下さい」

 「そうね。存分に体を使うべきよ」

 「シャーネ、子供の世話で忙しい。むしろそっちを手伝ってくれ」

「良いけどモティアはレヒーハに懐いてるわよ。他は母親いるし」

 「じゃあユンルクの世話をしてみよう」

 「まあ良いけど。私もそろそろ母親な訳だしね」

 ユッミルはユンルクをシャーネの膝に乗せる。

 「ユッミル以外の男に体を触らせるのはユッミルが嫉妬しそうで嫌ね」

 「しませんよ。それにまだ赤子です」

 「けどまあやはり自分の子だけにしたいわね」

 「ですけど助け合いですよ」

 「分かってるわよ」

 ユッミルはチェーハ母子とターヒョ母子を両脇にズードを膝に乗せて夕食を食べる。風呂はレヒーハとシウと入り、三人三組の九人の世話をする。ユッミルはメシャーナを抱きつつ四人の子供に囲まれて寝る。

 翌朝、朝食後しばらくして扉を叩く音がする。扉を開けるとシーリュノがいる。隣には土の主宰もいる。

 「どうしました?主宰だけの会議でも開催するのですか?」

 「ああ、用件ね。少し見て欲しい場所があるの?」

 「場所?」

 「来てくれないかしら?」

 「分かりましたよ」

 シーリュノは子供達を回復してユッミルを連れ出す。三人は水の塔の方向へ歩く。

 「どこへ行くのです?水の塔?」

 「いえ、少し説明が難しいのでついてからで願えますか」

 途中で南に曲がって木の塔の方へ向かう。

 「ここね」

 「家、まあ町外れはまばらにありますしここも特に変哲もない家」

 「入りましょうか。来たわ」

 扉が開く。火の術師らしき女性が扉を開ける。そこには五人程の女性が見える。だが冒険者というよりは病人の様な服装の女性がいる。扉付近には術師らしい女性がいるが他は病人である。

 「ここは療養施設ですか?」

 「そうね」

 「外傷は比較的浅い人が多いですけど。ああ、魔力はまあまあですね」

 「ここの子は怪我ではなく魔族に怯えてしまった子達よ。実力の無い子は無性の町に帰ってしまったけどこの子達は実力者。あなたに預けるわ」

 「えっと、側室ではないですよね?」

 「それでも良いけどユッミルさんが望まないなら手は出さなくていいわ」

 「それで何をしろと?」

 「あなたは魔族を軽く退けると話題だしこの中にもあなたに助けられた子もいる。そんなあなたの庇護下なら獣の狩りの復帰を経て戦線復帰も可能。もちろん、魔族討伐に積極的に借り出す気は無いし指揮所配備をするかは別として魔族との遭遇ゼロは団に残る限り、不可能。ユッミルさんの下でも人が減った現状では人員回復は有難い」

 「うーん、それで夜はここに居なくても?」

 「疑いすぎよ。夜は木の団が警備します」

 「ああ、木の塔に近いですしね」

 「もちろん、あなたの判断で泊まっても構いません。ユッミルさんがここを管理する事を了承した上での療養施設への入所なので好きにしてもらって構わないわ。流石に狩りにすぐに連れて行くのはどうかと思うけど判断自体はあなたに任せるわ。むしろ警備担当の子を我慢できずに襲う事を期待しているわ」

 「あの、ユッホさんはやめて下さいね。私が子持ち女性を連れ込んで子供を手懐けてやってしまう男にみられますし」

 「子供は連れてこないわよ」

 「良いですよ。やります。報酬はある程度頂ますからね」

 「ええ、食事は火の団や西の方にある配達もしてくれる料理店にお願いしますしあなた個人にも支払いますよ」

 「そういえばこの話はネメッカ様には?」

 「患者が全員女性で警備員も全員女性である事以外は全て伝えてあります」

 「そういう事ですか。仕方ないですね」

 「ではお願いしますね。私は別の療養所を担当していますから私の所は普通の怪我人ばかりですけどね」

 「主宰の監督担当施設ですか。そんな事だろうとは思いました」

 二人の主宰は施設の家を後にする。

 「さて、患者さんと仲良くなるには先に私達と先にどうです?」

 「君らは交代で来る警備だよね?」

 「ですけど定期的に来ますよ。ベッドはあなたの仮眠用の予備があります」

 「昼間は忙しいのですよ。今日も昼食後は別の場所に行きます」

 「服脱がされるつもりだったのですが断られましたね」

 「今日は様子を見たら戻ります。明日以降ですね」

 ユッミルは二人の主宰が取り次がずに帰ってしまったので困っている様だ。

 「あの、療養してる人はここを管理するのが誰か知っているのですか?」

 「ええ、知っていると思いますよ」

 「あの、ユッミル様?」

 「はい」

 「私は木の術師でヤーチェと言いますがユッミル様に世話を頂けるというのは本当ですか?」

 「ん?ああ、はい。こちらを担当します」

 「でしたらよろしくお願いします」

 「それで怪我等は?」

 「怪我は治しました。少し痛む時もありますが」

 「そうですか、しばらくよろしくお願いします」

 しばらく間がある。

 「しばらく居ますので用があれば気軽に」

 ユッミル用として患者から少し離れた場所にあるベッドの横には一対の机と椅子があり、横にはソファがある。しばらくして別の女性が寄って来る。

 「初めましてウッダと申します」

 「元気そうですね。怪我も見えませんが」

 「見ますか?」

 「ん?ああ、治っているならそれで良いですよ」

 「治ってはいません。走る事はしばらくできません」

 「私は重病の治療はできませんので別の場所の方が良いのでは?」

 「見てから言って下さい」

 「すいません。治療ができないのを承知で居るなら構いません」

 「いえ、今も歩けますしいずれましになります」

 「分かっていますよ」

 ユッミルは歪曲視野でしばらく様子を伺うと店の様子を見てから帰宅する。

 「おかえり」

 出迎えたのはシャーユである。

 「シャーちゃん、ただいま」

 「うー」

 ユッミルはニーフェに寄っていく。シャーユも付いて来てユンルクもやって来る。

 夕方、イーサがカノールを連れてやってくる。

 「ユッミルさん、明日朝は塔に来てもらえますか?一人、近い方がいるので」

 「分かりました」

 「後、ユッミル様が増えすぎた子供を懸念して子供を作るのを少し控えるという事ですので責任を取って私の体をお使い下さい。粗末かもしれませんがないよりはいいです。私は布団での相手が無くても触ってくれて構いません。遠慮はいりません。ユッミル様の言う通り、悪いのは私です」

 「良いですよ。ですがカノールや子供の世話もお願いします」

 「もちろんです」

 ユッミルはニーフェにシャーユにユンルクを世話し、イーサはズードとカノールを世話する。夕食前にはカッサを預けられる。ユッミルは子供と話しながらイーサに触っていく。イーサは少し反応するが子供の世話を続ける。カノールはユッミルとイーサの間に入ろうとする。イーサはユッミルの手を無視してユッミルを抱く。結局、カノールやズードはユッミルに遊びをせがむ。

 夕食はニーフェを膝に乗せてシャーユとユンルクを両脇に座らせて食べる。風呂はイーサと入り、メシャーナの協力で六人の子供を交代で世話する。しばらくしてチェーハが帰宅する。シャーネとシウにフーニャが部屋の奥で妊婦として寝ており、かなり静かになっている。同時に二人の子を別の母親が見る事になっており、遂にはマティッセだけでなくセテューカも手伝っている。レヒーハの負担がかなり重くなっている。森が泥濘の時期なのでスーリは不在の事が多くオーネは子供と眠っている。メシャーナも特に未明から早朝に積極的に手伝っている。ユッミルはメシャーナ母子とチェーハ母子を両脇にシャーユを抱いてシャーネ達の近くで寝る。

 ユッミルはチェーハ母子とイーサとヌーグにズードと歩いて塔に向かう。ユッミルは女性を見舞ってから昼食を食べる。主宰部屋でしばらく子供達と待機していると踏ん張り始めたとの報で隣の主導部屋に向かう。程なく女の子が生まれ、ユッミルが抱き上げる。ヌーグに階段を上らせてみたりして夕方まで過ごす。夕方、軽く夕食を食べるとヌーグとチェーハ母子と帰宅する。

 翌朝、小雨の中、指揮所に向かう。何事もなく終えると昼食後に再度療養所に向かう。何故か八人掛けの机が増えており、ユッミルが入ってくると椅子に着席する。

 「えっと、こんにちは」

 疎らな返事が返ってくる。

 「とりあえずここにいる理由、困っている事を教えてくれますか?それとどんな術を使うかも教えて下さい」

 「じゃあ私から、私が得意なのは複数方向からの同時放水ですね。ですけど攻撃中に横からやられてしまいました。指揮所待機はあまりしたくないですね」

 その後も自己紹介が続く、全員怪我の程度は軽いが怪我が治った後にどうするかは迷っているらしい。

 「六人は全員別の団、光以外を揃えたのですか」

 「まあそういう事よね」

 「怪我の治療自体は木の術師が派遣されたり、魔石が届く。食事も用意されてる。つまり、気が向いたら…」

 「はい、お願いします」

 「一度に全員は無理なので三人ずつですね」

 「一度に三人…」

 「ん?向こうだと大人数なので八人位もありますけど。必要なら呼ぶ事も考えますが」

 「そっか、そうなりますよね」

 「もちろん、いきなりではないですよ。話を聞いてからです。先に怪我もある程度治さないといけませんしね」

 「そうですねよね。怪我したままだとダメですよね」

 「ん?万全を期す為ですよ。無理はダメですし」

 「えっと、ありがとうございます」

 「しかし、こういうのは初めてですし今からどうしましょうか。元気に起きてくるとは思ってませんでしたし」

 「布団で待ってた方が良かったですか?」

 「いえいえ、元気ならそれ良いです。まあ適当に雑談でもしましょうか。興味無い人は戻ってくれて構いませんよ。とりあえずは一人一人の様子を見て割り振りを決めます」

 「それはどういう意味ですか?人が多いからと言ってその言い方は何か嫌です」

 「ん?時間が掛かるのですが一人ずつでも構いませんよ?」

 「時間の話はしていません。当たり前にする言い方は困ります。しろと言われればしますが」

 「強要する気はありません。あんな事があったばかりですから」

 「えっと?別にユッミルさんの事…その」

 「ユッミルさん、三人ずつ同時に寝るってことで良いのね?私は構わないわよ」

 「えっと、え?違いますよ。森で術を使う訓練に行く話ですよ。三人同時に寝るって何を言ってるんですか」

 「そういう事でしたか。流石のユッミルさんも三人同時はないですよね」

 「家ではありますよ。女性側が数の圧力でお願いしてきたら断れませんし」

 「わ、私達も軽く回されちゃうのですね」

 「あの、家に帰ると五人の子供を世話する事もあります。子供が多いので無暗に女性と寝たい訳ではありません」

 「五人、少ないですね」

 「話、聞いてました?私が五人世話してます。他にも子供はいますよ。家には最大で十人以上が同時にいる事があります。子供は合わせて二十人を超えます。だから心配しなくても手軽にという事はありません。子育ての手は足りませんし」

 「そうですか。そうですよね」

 「でもお手伝いは欲しいって事ですよね?」

 「それはそうですが子供は活発なので怪我人に世話はさせられません」

 「ですけど軽いですし治ったら」

 「療養所で知り合って事情を知ったから手伝えなんて言いませんよ」

 「その、子育てを手伝えるなら子供を産んでも大丈夫だと思います」

 「ずっと手伝える訳ではないですしね。子育ては大変ですし」

 「それは他の方も同じですよね」

 「それはそうなのですけど二人目の子育てが大変そうなのですよ。それを主に私が手伝ってます」

 「けど私達は一人にすれば良いのでは?」

 「気に入ったら一人では済まなくなりますし気に入らない人になってしまうと申し訳ない」

 「つまり、怪我が治っても遊んでくれないの?」

 「分かりませんよ。そもそも療養所でそんな事をして良いのですか?」

 「ユッミルさん、さっき私達は遊ぶ話だと思って話してたのですよ。聞くまでもないと思いますが」

 「分かりましたよ。怪我が治ってからですけど」

 「でしたら怪我の様子を確認した方が良いですよね?」

 「それはそうですけど気が向いたらで構いませんよ」

 「でしたらお願いします」

 「そういう流れにすると気が向かない子も合わせてしまいますのでとりあえず保留にします」

 「私も良いです。さっさと済ませましょう」

 「私も構わないわ。元よりそのつもりだったし」

 「いつでも良いですよ」

 「早く知って欲しいですしそうしましょう」

 「お願いします」

 「分かりました。これが流れなのでやはりやめておきます」

 「そう、でも面倒だからさっさと脱ぐわね」

 「今、脱いだ子とは遊びません」

 「けどいずれはしてもらうわ」

 「今日、しますよ。もちろん、気が向かなくなったら別の日で構いません。自分の寝床に一度戻って下さい。現時点で今日は気が向かない人はここに残って下さい」

 「ああ、この方が良いわね」

 「戻ります」

 「まずはあなたですね。腰の辺りですか」

 「好きに触って良いですよ」

 「そう言われましても」

 「基本的には治っているので体を触ってそういう気分になったらそのまま一緒に寝ても良いですよ」

 「それはいい提案ですが傷口が塞がるまでは遠慮します」

 「それは激しいのを期待して良いと?」

 「激しくなくても万全を期す為ですよ」

 「残念ね」

 「次はあなたですけど傷口らしいのは見えませんね」

 「その、後ろです」

 「ああ、あっ。尻ですか。治ってはいますが酷い傷口」

 「はい、魔族が来た際慌てて逃げてしまって惨めでした。魔族から見れば少し魔力が多いだけの格好の的、この傷を受けた攻撃で倒れ込んでしまいました。そこにあなたが来てくれました。すぐに去ってしまわれましたが感謝しています。所詮、魔族に無防備を晒した体ですからユッミル様が好きにお使い下さい」

 ユッミルは少女の背中をさする。

 「んーんっ」

 「ああ、すいません」

 「分かりましたから。ここまでしたからにはしてもらいます。嫌なら怪我が治ったらすぐに別の療養所に移らないと逃げられませんよ」

 「ええ、大丈夫です」

 ユッミルは四人の体も見ていく。

 「よくもまあ揃いも揃って。もしかしてそういう場所の傷の女性を集めてたり」

 「魔族は腹を狙うので必然かと」

 「ユッミルさん、療養所の管理人として私たちの怪我は定期的に確認して下さいね」

 「そうですね。けどこれで怪我の場所が分かったので全て脱いでもらう必要は無さそうですね」

 「ですけど腰を怪我している私はともかく他の人は遊ぶのに支障はない気もするわね」

 「とりあえず今日は各団の話でもしてくれたら良いです」

 ユッミルは帰宅する。やはりシャーユが出迎える。

 「今日はママも呼んできて」

 メシャーナは赤子を抱えてやってくる。ユッミルはメシャーナと弟と触れ合う。ユッミルはレヒーハ母子とフーニャ母子を両脇にシャーユの弟を抱えて夕食を食べる。

 ユッミルはマティッセとオーネと入浴して子供を世話していく。

 「チェーハ、一緒に寝てくれません?」

 「もちろんですよ」

 翌日、ユッミルは光の塔、店、療養所を順に回る。特段の変わりはない。ただ、塔でトキホを預かって店に向かう前に家に預けており、帰宅後はトキホとニーフェにユンルクの話し相手になって遊ぶ。次の日はトキホを連れてチェーハ母子やメシャーナ母子にフーニャ、オーネ、シャーネを連れて森を見回る。そこそこぬかるんでいる。術で少し整地して進むが特に何もなく撤収する。昼食後に再度療養所に向かう。

 ユッミルは様子を見て入所者と話す。

 「最近は痛みもないのですよ。完治したかもしれません」

 「ここから早く出たいのですか?」

 「ユッミルさんの許可がないと出れませんよ」

 「望むなら出しますよ」

 「全てが治ってないのに放り出したら戻ってくるだけですけどね」

 「私は急がないですよ。そろそろ森に行きますかね。ただ、雨季なので晴れを見計らった散歩になりますが」

 「気が早いですよ。今回の雨季は諦めましょう。もちろん、ユッミルさんが側室にしてしまうなら解決ですけどね」

 「それは困りますね。ゆっくり行きましょう」

 「困るとはどういう事でしょう?私に女性としての価値がないという事でしょうか?」

 「えっと、ここには六人いますよね?流石に六人受け入れたら色々と問題でしょう」

 「ああ、そういう事ですか。ですけどここでなら問題無いですよね?」

 「問題が無い訳ではない。子供が増えすぎると父親として世話する時間が減るのでね」

 「いきなり全員という訳ではないですよ」

 「あなたは女性としての価値を気にしましたよね?他の人もそうだと思います。でしたら誰かだけだと他の人の機嫌を損ねます」

 「私達が良いといえば良いのですか?」

 「いえ、前にも言いましたが怪我が治るまでは考えに入れませんし森での状況を見てからだと思ってます」

 「なるほど私達は当面放置されるのですね」

 「森にはそろそろ連れて行っても良いですよ?」

 「流石に怪我の事もありますので早いです。私は良くなってますが」

 「でしたらしばらくはお互い気にしない事にしましょう」

 「でしたら今日は私の怪我を確認して下さい。脱ぎますので」

 「怪我の確認は私が定期的に言った時で結構ですよ」

 「それだと把握が遅れます」

 「仕方ないですね。早く後ろを向いて下さい」

 「ユッミルさんが回り込んでくれるかと思いまして」

 「ごめんなさい。私が戻りますので動かないで下さい。確かに改善してますがまだまだですね」

 「そうですか。それでは脱いだついでに風呂に入れてくれませんか?」

 「えっ、いや、そんな仕事はありません」

 「ええ、私が入りたいだけです」

 「遠慮します」

 「せめて私の入浴を手伝ってくれるだけでも」

 「普段は一人ですよね?」

 「あっ、今日は体が」

 「じゃあ寝てて下さい」

 「そうですね。病状が悪いので一緒に寝ましょう。ユッミルさんが手を出しても問題ありません」

 「今は無いので帰ります」

 「分かりました」

 ユッミルは帰宅すると夕食後にチェーハ母子を抱いてシャーユやカッサ、ユンルクにミリットをチェーハと風呂に入れる。ユッミルはそのままチェーハを抱いて寝る。

 翌朝は早朝から指揮所に向かう。最近は特に女性が多いという事も無く、幹部は珍しく二人共男性である。もちろん、周囲には女性もいるが。任を終えると珍しく外食を食べて直接療養所に向かう。療養所に着くと軽く会話して体を見ると店に向かう。店ではナーレの子と触れ合って店を手伝うと塔に向かう。塔の近くで雨が降ってきたので急いで塔に駆け込む。イーサはカノールと先日生まれた女児を抱いて降りて来る。カノールはもう階段を下りられるらしい。イーサは元気そうだ。ユッミルは女児を受け取って階段を上がり、食堂に案内される。そこには見た事がある気もするが母親では無い女性が息子を世話している。

 「ユッミルさん、こんにちは」

 「ではこの子は私が」

 「ユッミウ、遊ぼ」

 「パパとは認識されていないが人気と思っておきます」

 「カノール、パパは分かるよね?」

 「うん、ユッミルパパだよ」

 「イーサさんは抜かりないですね」

 「パパ、ママはパパ居ないと寂しそうだから抱っこしてあげて」

 「そうなのですか?」

 「もちろんです。触れ合いは大歓迎です」

 「それは良いのですが」

 「そうですね。ユッミル様、母親志願者が二人いますのでお願いします。こちらとしましても妊婦が多いと子供の世話が回らないのです」

 「でしたら心配ありません。私が控えれば良い」

 「ユッミルさん、いずれリュッサを引き取るしケーシャもですよね?ユーカも狙っている」

 「ユッミル、来てたのですね。寂しかったので抱いて下さい」

 「私もですよ、ネメッカ様」

 「そこは呼び捨てて下さいよ」

 「じゃあ部屋に戻りましょうか」

 「ユッミル様、息子の世話が途中ですし話は終わっていません」

 「ネメッカ様、母親を増やす話ですが」

 「ええ、デーリャさんが抜けたのは痛手です。夜に強い方でしたから」

 「そう言えばそんな気もします。ですがやはり警備の問題上、受付は実力者であるべきです」

 「今回の一件は私の指揮の不徹底にあります。見回り一人は問題でした」

 「どういう事ですか?」

 「当日の魔族出現もありまして外の警戒にルーエを置きました。ですが当のルーエは近くに出現した魔族を討伐しに行ってしまいましてすぐに戻ったものの先に駆け付けたのは木の術師や強い魔力放出に気づいた幹部やユーカ達でした」

 「そういう事ですか。光術師としては大きな失態ですね。

 「二人体制にしなかった私の不手際です」

 「ですが人数不足でしょう。そもそもルーエさんを受付にすれば良かったのです」

 「ただ、デーリャさんは特に嫌がらず受付に立ちましたし倒れてたのは階段近くでは無く受付の前でした」

 「戦おうとしたと?」

 「そう思ってます。苦戦したら助けを呼んだでしょうけどその間は無かったと思います」

 「僕なら倒せば良いですが光術師は身を隠すではダメなのですか?」

 「場所が広ければ話は変わりますがある程度近づかれると難しいでしょうね。実力のある幹部であれば近接術で緩和して即死は無いでしょう。しかも緩和の為の近接術で魔族にも打撃が入りますので幹部級の死者は少ない」

 「ネメッカ様は大丈夫ですか?」

 「もちろんですがユッミルが傍に居たら弱くなるのでしっかり抱いて下さいね」

 「もちろんですよ。それで今回の反省を受けて母親を鍛える話は合意頂けますか?加えて新規加入者は最低限の実力者が望ましいです」

 「ユッミルさん、ユンルクは元気?」

 「もちろんです。手が足りない中で手の掛からないユンルクはありがたいです。むしろ僕が遊び相手をしてもらってます」

 「良かったわ」

 「それで今回の話ですがユッミル様が見極めるではダメですか?」

 「少し待って下さい。子供の世話は母親でないと無理なのは分かりますが他の任務は」

 「一つは子供のうろつきを見回る人員が欲しい。後は子育てばかりを担当させたくない、子育てにしても分業できる事は分業したいというのが理由ですね。食事担当は分けたいと思いまして」

 「その一人の食事担当に全てさせるのですか?」

 「まさか準備と補助ですよ。前後の時間に休む担当ですね」

 「分かりますけどそんな理由ではできません」

 「間違っても無理に連れて来ては居ません。希望者です。ネメッカ様同様、抱いたら喜ぶ筈です」

 「何を言ってるんですか。演技も可能でしょう」

 イーサはユッミルを抱く。

 「ユッミル様、可愛いです」

 「どうしました?」

 「その演技を見せて下さい」

「イーサ様、凛々しいですね」

 ユッミルは抱き返す。

 「ユッミル様、それを演技って厳しくないですか」

 「そうかしら?ユッミルを抱く理由なんて特に無い。ただ、私が抱きたいから抱いてるだけだし」

 「ネメッカ様はそれで良いですが他の方は厳しいでしょうね。諦めて下さい」

 「ユッミル様、訳のわからない事を言ってごまかさないで下さい」

 「とにかくこの話は今度でお願いします」

 ユッミルは夕食を終えると主宰部屋に向かう。子供の世話を手伝う。リュッサと子供を風呂に入れる。ネメッカ母子とリュッサ母子を両脇にして寝る。翌朝、子供の朝食を手伝うとエルネを見舞う。店の様子を見てから家に昼前に帰る。ニーフェ達と昼食を食べる。昼からはシャーネ達を見舞うとユンルク、シャーユ、ニーフェ、トキホと遊ぶ。トキホは這っている。ニーフェやトキホが途中で昼寝を始めたのでメシャーナの息子の世話を手伝う。後からカッサ達の世話を頼まれてユッミルは忙しく首を動かす。翌日は朝に療養所の様子を見て昼からは指揮所の任に就く。任を終えると店に向かい、コッテやナーレ母子と風呂に入る。他の女性とも軽く触れ合う。その後、ナーレ母子やターヒョ母子と寝る。翌朝、家に寄ってトキホとユンルクを塔に連れて行こうとするとチェーハ母子が付いてくる。塔に着いて昼食を食べていると雨音が聞こえてくる。本格的な雨季の様だ。

 

 

 

 

 

 

 

 3節 度重なる女児の名付け

 

 「あの、リュッサさん、家に手が足りないので応援願えますか?」

 「ユッミルさんはどうするのですか?」

 「エルネさん、もうすぐですよね?」

 「それもありますが雨の中行かせるのですか?」

 「僕が行くしかなさそうですね」

 「フェノさんに頼むのはどうです?」

 「そうですね。ただ、最近は単独行動をさせてばかり。反省ですね。チェーハは自分から来てくれて助かるよ」

 「私がユッミルと居たいだけ」

 「ユッミル、私も自分から行きますが」

 「そうですね。ですがどちらかと言うと受け入れてくれる方で助かってますが」

 ユッミルはしばらく子守をしている。

 「そういう事でしたらテーファさんを呼ぶのはどうでしょう?ユッミルさんが留守番要員を家まで送ってテーファさん達を家に送って帰ってくる」

 「そうしたら僕が家に残りたくなりますけどね」

 「そうですね。私が手を回します」

 「ミューレさんとか店の人を家に上げる前例はやめて下さいよ?」

 「大丈夫です。フェノさん、下に行きましょうか」

 ユッミルは気になりつつもニーフェやトキホの世話をしている。後からネミークとカノールもやってくる。ネメッカがやってきて横で寝る。寝ながらトキホを抱く。

 「ユッミル、子供も良いですけど私とも遊んで下さい。軽く抱いてくれるだけでも」

 「疲れてますよね?」

 「だからこそです。ユッミルは気が利きません」

 「分かりましたよ」

 ユッミルは添い寝しつつ手を回す。そうしているとネミークが背中に乗る。

 「ネミーク、降りよっか?」

 「ネミ君」

 ネメッカはネミークと手を繋ぐ。

 「ネメッカ様、僕も手を繋ぎたいです」

 「嬉しいわね」

 「ネメッカ様、両手です」

 「それはダメ」

 「夕食までですよ」

 夕食にはフェノも帰ってくる。やはりチェーハとネメッカが両脇に陣取る。膝にはネミークがいる。

 「フェノ、何を頼まれたの?」

 「それはミーハさんに応援を要請しました」

 「そういう事か。それなら問題は無い。フェノ、もう家に連れて行ったのか?」

 「いえ、明日朝に動くらしいです」

 「家の様子は?」

 「見ていませんが」

 「そうか。まあオーネが起きるだろう」

 ユッミルはリュッサと子供を風呂に入れる。チェーハは出かけたのでニーフェとトキホにネミークを中心に世話する。後からユーカもやってくる。ユッミルはユーカにいろいろ聞く。

 翌朝も雨が降っている。朝食後、ネメッカは甘えて膝に頭を乗せてくる。帰ってきたチェーハもユッミルのもう片方の膝で寝る。二人の娘は母親の上に乗る。リュッサとユーカはユッミルの腰に背中を預けて子供の世話をする。

 「ネメッカ様の髪を踏める赤子が羨ましい」

 「ユッミルも枕にする事はあるでしょう。頭を撫でるふりをして触って良いのですよ」

 「いえ、深い意味はないです。勝手にしますよ」

 「ほぼ十人ね」

 「ええ、でもリュッサさんとユーカさんと触れ合うにはこれだけ世話しないといけない」

 「相手できなくてごめんね」

 「それは構わないのですが。こうやって大人しいネメッカ様はそれはそれで可愛いですし」

 「それは良かったですけど普段の私は何か可愛くない様な言い方ですね」

 「普段のネメッカ様はもう少し慣れましたけどその体を押してきますから余裕がないのですよ」

 「ユッミルはそういう割に拒みますよね?」

 「早く決めないといけないですし」

 「そうなりますか。少し考えます」

 昼食後、エルネを見舞う。外は雨が降り続いている。ユッミルは漠然と心配しつつも主催部屋に戻る。ネメッカは程なく寝る。ネミークとユンルクを中心に遊ぶ。ユーカは息子と娘と眠りに行ったらしい。相変わらずユッミルとリュッサとイーサ等五人で十数人の世話をする。

 翌朝、エルネが苦しそうだという事で何人かが向かうがしばらくして収まる。夕食前にも似た様な事が起きる。実際には更に翌日の未明に赤子が出始めたのでユッミルが起こされる。ユッミルは急いで向かう。頭が見えている。

 「間に合ったようですね」

 「ありがとうございます」

 「エルネさん、今はそんな事は気にしなくて良いですよ」

 しばらくして無事に生まれる。

 「ああ、また女の子ですか。最近は多いですね」

 「ユッミル様、偶然ですよ」

 「分かってますよ」

 朝食中にイーサに促されて昼前に木の塔に向かう。貴重な止み間であり、家には少し顔を出すだけであった。ただ、レヒーハにカッサを託される。やはり木の塔に着く前に降り出したので急いで木の塔に向かう。

 「ああ、ようこそ」

 「シーリュノ様が態々出迎えをすることは無いのですが」

 「呼んだのは私みたいなものだし」

 シーリュノと宿舎へ向かう。

 「ああ、ユッミル。来てくれたのね」

 「パパ?」

 「そうだね。元気だった?」

 「うん、元気。遊んできていい?」

 「えっと」

 「少し時間はあるわ。後で良いわよ」

 「この子は?」

 「知らなかったか。カッサちゃんだよ」

 「こんにちは、カッサ」

 「こーちは」

 「えっと、行くかな」

 ユッミルはカッサを抱いてノウォックの手を引く。ノウォックは階段も降りられるらしい。下の階の食堂でノウォックと話をする。ユッミルはノウォックがかなり話せることに驚く。同世代の中で話ができると思っていたユンルクやヌーグと大差は無く、ミリットの遅れを感じる。後はカッサがつられていつもより話している事にも少し驚いている。

 ユッミルは宿舎に戻る。

 「私の番ね」

 「ユッホさん、元気ですね」

 「でも近いのは本当よ」

 「確かにお腹がそうなので分かりますがであれば大人しくしましょうよ」

 「最近、会ってなかったからね。少し抱く位良いでしょ」

 「私は構いませんが子供は驚くかもしれません」

 「そうね。一度きりにするわ」

 ユッミルは夕食を食べる。

 「ユッミルさん、今日も風呂を用意していますよ。一緒に入りましょうね」

 「どうしてですか?大丈夫ですよ」

 「カッサちゃんは風呂に入らせない気ですか?」

 「風呂には入りますよ」

 「イーサさんに聞きましたよ。自分だけ体を出し惜しむ権力者を信用しないとか」

 「いえ、そういいましたがあなたは出し惜しんではいません」

 「さあ入りますよ」

 「聞いてます?」

 「でしたら私の胸を軽く揉んで追い返せばいいですね」

 「分かりましたよ」

 ユッミルは風呂場に着く。そこにはソヨッハがいる。服を着ている。

 「では私達の服を脱がせて下さい。聞く所によるとそういう世話をしてくれるそうですし」

 「分かりました。主宰様の要請なら断りません」

 ユッミルはカッサを下すとシーリュノの服を脱がせる。

 「ユッミルさんはこんな年寄りの体もうまく扱ってくれて嬉しいわ」

 「そこまで年寄りではないですよ」

 ソヨッハも脱がせていく。

 「申し訳ないです。付きあわせて」

 「良いよ」

 「カッサも脱がせて。ユッミウ、好きにしていーよ」

 「ん?カッサ、自分で脱いでみる?」

 「私だけダメ。やって」

 「じゃあ脱ごうね」

 ユッミルはカッサをゆっくり脱がせつつ自分も脱ぐ。ノウォックはソヨッハが脱がせており、浴場に向かう。

 「ソヨッハ?」

 「ユッミルさんにくっつく事に深い意味はありません。ユッミルさんが戻れというなら側室に戻りますし」

 「困るからそういう事は言わないでくれ」

 「私程は困らないわよね?」

 「そう言いつつくっつくのはやめて下さい。カッサが可哀そうです」

 「ユッミウ、行くよ」

 「そうだね」

 風呂場に入ると洗い場に人影が見える。

 「先客がいますね。出直しますか」

 「ユッミル、まずは聞いてきますよ。ソヨッハ、ユッミルの足止めは任せましたよ」

 「分かりました」

 「えっと、ソヨッハ。行かないからしなくて良い」

 「こんなのは大した事ではないですよ」

 「じゃあカッサを下すから待って」

 ユッミルはカッサを下すと片手で抱く。

 「逃げないなら良いです」

 いつの間にか人影が近くにいる。

 「ユッミルさん、体を洗ってくれませんか?」

 「えっと、子供から目が離せないので無理です」

 「子供の世話は手伝いますよ」

 「風呂に一緒に入る以上の事はできませんよ」

 「私は構いませんが気が変わるかもしれませんよ?」

 「あの、側室も子供ももう多すぎるので余程でない限り、受け入れません。ですが断るのは心苦しいのですよ」

 「けど確か、レヒーハちゃんに負担が行ってて困ってると聞いたけど」

 「それはそうですが。そういう事ですか。あの、この三人は一度断ってますし二度は失礼ですよ」

 「覚えてたのですね」

 「ええ、ミーセさん。それにです、今回の事情が事情である以上、ある程度の実力が欲しいのですが木の戦力を引き抜くのは気が引けます」

 「ですがこの二人もそこまで弱くは無いので三人体制なら五人の妊婦の体力回復位は可能です。レヒーハ一人よりはましでしょう。そもそもソヨッハを受け入れたとしてももう娘がいますから抜けるという事はありませんし」

 「ソヨッハは貴重ではないのですか?」

 「いえ、ですけど指揮所に出向いてさえくれれば十分です」

 「そうですか。ところで療養所にヤーチェさんという実力者がいましたが何か言ってるのですか?」

 「ソヨッハ、ここでも良いわよ」

 「ユッミルさん、大人になったので相手をして下さい」

 「シーリュノさん、ヤーチェさんと両方を引き入れたらどうします?」

 「構わないわよ」

 「分かりました。正直言って現状でソヨッハの助けはありがたいですし。ただ、すぐにするという話は困ります。急に気は乗りません」

 「今のでもダメ?」

 「少しは動きましたけど。とりあえずカッサを預かってくれます?」

 「いえ、あなたは今から二人を洗ってあげるのよ?」

 「流石にもう無理ですよ?」

 「木の団としてレヒーハをユッミルさんの家から引き離す気は無いですが本人の希望までは止められませんしユッミル様の側室は店にも拡大していると聞きます。ソヨッハが一カ所を世話できても同時に二カ所は無理ですから今後を考えて判断材料を持っておいても良いでしょう」

 「あまり術要員と言い過ぎるのは」

 「そうですね。ですがそういう事です」

 「分かりましたよ」

 ユッミルは二人の体を洗っていく。

 「ユッミルさん、手つきが慣れてますね」

 「そんなつもりはないですが。ん?」

 「ですがまあいい体ではあります。それだけでは選んだりはしませんが。無暗に増やすと今いる人に怒られます」

 「でしたら頑張らないといけませんね。今回は仲良くなるだけにしますけど」

 「そろそろですかね」

 「洗い忘れがありますよ」

 「だからその、シーリュノさんですね」

 「促したけど一から作っては無いわ」

 「悪いのは私だし引き受けても良いわよ?」

 「ソヨッハ、お願いできる?」

 「むしろお願いします。私はこういうのが無いと踏み出せません。ユッミルさんがきつけをして欲しいならしますけど」

 「ソヨッハが良いならしようか。少し行き過ぎるかもだけどその場合はさっさときつけしていいから」

 「はあまた増えてるかもしれないのね。確かにユッミルの世話が子供の世話と出産で回らなくなってるのは現実だし仕方ないけどキリがないわよ?」

 「ネメッカ様、流石に限度はありますから大丈夫ですよ」

 「イーサ、私もまったく限度に達してないわよ?まだまだユッミルの世話をできるわ。世話というか触れ合いが足りないわ」

 「分かってますよ」

 ユッミルは風呂から出るとユッミルはソヨッハと寝る。ユッホはその様子を密かに満面の笑みで見守っている。

 翌朝、朝食後、カッサとノウォックを世話しているが外は雨が降っている。ユッホを気にしているがそこそこ元気なので何もする事が無い。結局、ユッホと子供達と昼寝をする。

 夕食にはシーリュノだけなくツーシュンも同席して色々話す。ツーシュンは早々と席を立つがユッミルはパータナにも絡まれる。結局、パータナとシーリュノにミーセ、メーニュと風呂に入る事になる。パータナが近距離で話しかけてきて対応に疲れた様子だが特に何もなく宿舎に戻ってくる。

 「あの、一応客人なのに二つのベッドの繋ぎ目で寝ろと?」

 「三人で一つは狭すぎる」

 「ユッホさんは良いでしょう。休まないと」

 「嫌なの?」

 「分かりましたよ」

 ユッミルはユッホに抱き寄せられ、ソヨッハに寄り添われて寝る。

 翌日は昼前に雨が止んだので店に寄る。昼食後に療養所に向かう。

 「随分、空きましたね」

 「そうですね。忙しいので先日も出産を見届けたばかり。赤子の散歩として連れて来ましょうか?」

 「それは気にしませんけど」

 「雨、また降りますし泊まるのはどうです?」

 「あの、まだ控えてるのですけど」

 「まさか、生まれると?」

 「ヤーチェさんはユッホさんの状況は知らないのですか?」

 「ノウォック君の事は知ってますが。ああ、お腹は膨れていた気はします」

 「雨季、そろそろ終わるのだけど一泊もなし?」

 「そうですね。ユッホさんどころか肝心のネメッカ様の子供も後に控えてます」

 「えっ、本当に凄いのですね。このペースだと何人に?もう五十では済まない気も…」

 「ですからそろそろまずいので頑張って控えてます」

 「そもそも全容を本当に把握している人が少ないので中々難しい所もあります」

 「そう言えば私の団も…」

 「ですけどこの事態はそもそも水と火と木と光の綱引きの結果でもあるのでいずれ収まる筈」

 「けど今日は泊まらないのですね」

 「ユッホさんにどう言い訳すればいいです?まあ無理ですね」

 「ユッミルさん、今日は木の塔ですか?」

 「そうですね。雨が降る前に帰りたい」

 「でしたら私も帰ります」

 「木の塔に泊まる?女の子をユッホさんの前に連れ帰れと?」

 「勝手について行きます」

 「泊まるにしても伝達手段がないですし今日、連れ帰るのは無理ですね」

 「私、木の団ですよ。伝えましょうか?」

 「えっ、もし何かあるなら戻ってきてくれます?そういうの嫌なら良いですよ」

 「大丈夫ですね」

 「後で行きます」

 「ユッミルさん、今日は楽しそうですね」

 「まだ分かりませんけど」

 しばらくして木の術師は帰る。交代できた火の術師が料理を作る。

 「ユッミルさん、もしや泊まりですか?」

 「そうしようかと思ってますよ」

 「私は警備も兼ねてますから襲ったらダメですよ。大人しく口説いてくれれば断ります」

 「ミューレさん、火の女に手を出すと利用されるのでやめておきます」

 「どういう事?」

 「火の女性が子供を産むと私が子供の世話の為に店に居つきます。そして、母親も居ますから出産を終えてしばらくすると誘惑してくれます。私も無下にはできないのでいつかは折れます。そうなって来るとその中にミューレさんが入ります。ミューレさんは私と安定した関係を築きたいだけなのですけどそうなったらネメッカ様の機嫌を損ねますから困ります」

 「ああ、ミューレさんはそういう…断るなんて失礼なことを言ってごめんね。私には荷が重そうね。けどユッミルさんが手当たり次第に口説く男と知ってここに来てるし口説かれる覚悟はあるわ。子供できても塔や家で大人しくするわ」

 「手当たり次第には口説きません」

 「そうよね。私は役不足」

 「もうそれで良いです」

 「残念ね」

 しばらくして夕食ができる。

 夕食は進むがどうも帰ってくる気配は無いらしい。

 「全員と入りますから順に呼んで下さい」

 「一人ずつは無理です。というか風呂を共にする流れは言いましたっけ?」

 「入ってるそうと聞いたので」

 「二人ずつですね」

 火の術師が沸かし始める。ユッミルは先にウッダを脱がせる。傷跡はまだまだ残っている。

 「風呂は大丈夫なのですか?」

 「ええ、昨日も入ったしね」

 「ユッミルさんが脱がせるといよいよって感じで身構えるわ」

 「この爪痕が落ち着くまでは手を出しませんけど治ってもこんな事をしてればやりますのでそういうつもりで居て下さい」

 ユッミルは両腕で二人を抱きつつ風呂に入る。ユッミルは残りの四人にも二人ずつ一緒に風呂に入る。

 「まあ今回は大人しく服を着ますけど傷が治った後は寝床に抱きかかえていきますから泊まりを提案するのは程々にした方が良い」

 「それで一緒に寝る子は二人が限度なのでユッミルさんが決めて下さい」

 「えっと、まあそうなりますよね。ですが今回寝ても別に狙ってるとか深い意味は無いですけどね。全員に興味ある可能性も無い可能性もありますし敢えて魅力の無い子を選ぶかもしれませんけど良いですか?」

 「ユッミルさん、好きにお願いします」

 「でしたらヤーチェさんとフューリケさんでお願いします。ただ、寝るだけですよ。話の続きもしましょう」

 ユッミルは二人と一頻り話すと眠っていく。

 翌朝、ユッミルは小雨の中、まず家に戻る。家にはミーハだけでなくソヨッハにテーファもいる。当然、ミーハとテーファの所の姉弟もいる。ユッホの見守り中である事を告げ、木の塔へ向かう。

 「ユッミルさん、昨日は療養所に泊まったそうですね」

 「はい、泊まっただけですよ」

 「そうですか。でももし子供ができる可能性のある事をしたならお腹の子が生まれた後に私ともしてくれれば許します」

 「大丈夫ですよ。子供の増えすぎが問題なので」

 「それなら良いですが次は私ですからね」

 「あの、ネメッカ様最優先ですし他の団でも何人か出来てる可能性も…」

 「木の団の話です。ユッミルと長くいるレヒーハは構いません。それに今回のソヨッハは許しますが他はダメです」

 「ヤーチェさんの話ですね」

 「そう、私の三人目が先でお願いします」

 「そうですね。大丈夫だと思います。ただ、ユッホさんに限らず全般的に子供がこれ以上増える行為は自粛していますので問題ありません」

 「それでも構いません。とにかく先程の約束を守って下さい」

 「分かりました」

 しばらくしてユッホは寝てしまったのでカッサとノウォックと食堂で話をする。夕食後、すり抜けて風呂に向かうが女性がいたので引き上げる。

 「ユッミルさんの風呂はちゃんと時間を空けてありますよ。一人で使うのは時間の無駄なので私達と入ってもらいますが」

 「シーリュノさん、もっと遅い時間で良いのですが」

 「二人の世話、できます?私と二人でも構いませんけど」

 「分かりました」

 結局、シーリュノ、パータナ、ミーセ、メーニュとユッミル、カッサ、ノウォックで昨日と同じく風呂に入る。今日は赤子の世話をパータナ達がして主宰同士は情報交換をしていく。

 翌日の昼前、ユッミルと話しているとユッホは冷静に断りを入れてから踏ん張り始める。しばらくして比較的手早く出てくる。

 「女の子でしたね」

 「そうね。元気そうで良かったわ」

 「お昼はどうします?」

 「ゆっくり行くわ」

 食堂に向かう。昼食が出てくるとユッホは娘をパータナに預ける。その際に騒ぎになり、数人にパータナは囲まれる。

 「ユッミル、名前どうするの?」

 「やはり僕が決めるのですか」

 「そうね」

 「でしたらテルモでお願いします」

 「分かったわ。それで戻るのね?」

 「はい、家の方にも何人か近い人がいますし何よりネメッカ様も近い」

 ユッミルは少し赤子を抱いてから運よく雨が止んだのでカッサを抱いて家に急ぐ。ユッミルが帰宅するといよいよシウが苦しそうだ。ソヨッハは出かけており、レヒーハもしんどそうで寝ている。シャーネも最早お腹は膨れているが元気そうである。シャーネとミーハとメシャーナが寄ってくる。

 「さて、ネメッカ様を逃すと怒られそうなのですよね」

 「私は構わないわよ」

 「そういう意味で言ってません」

 「ユッミルさん、もうイーサさんは元気なのでネメッカ様が近いと来るので大丈夫ですよ」

 「とりあえず今日は泊まります」

 ユッミルはリュッサとシャーユとミーハと子供の世話をする。オーネの娘、モティアは母と寝ている。ただ、母と違い、食欲は旺盛だそうで心配は無いらしい。

 「ユッミル」

 「パパ」

 「パアパ」

 シャーユとユンルクは比較的大人しいが母親が寝込みがちなミリットとヌーグを中心にファッリーユも加わっていよいよ多重音声化している。最早、シャーユに至っては赤子を膝に乗せて世話をする側に回っている。ユッミルは子供の世話の傍らソヨッハからもらった放出系木術を妊婦の所で使う。介抱をしていたテーファにも当たってしまったのでしばらく抱いて落ち着かせる。そうするとファッリーユとカッサにも抱く事を要求される。ユッミルは膝立ちでしんどかったが二人は短時間で満足して事なきを得る。しばらくして妊婦達は一時的に元気を取り戻し夕食の卓に着く。ソヨッハも帰宅する。

 夕食にはオーネも起きてきてユッミル、セテューカ母子、オーネ母子、フーニャ母子、シウ母子、レヒーハ母子、ユンルク、シャーユ、サーナ、ファッリーユ、シャーネ、ソヨッハ、マティッセ、テーファ母子、リュッサ母子、メシャーナ母子、ミーハ母子の大人と子供十数人ずつの総勢三十人近くの食卓となる。小さな二つ目の卓が投入されているが一つ目の卓同様にもう一杯である。この夕食は子供とソヨッハとミーハとシャーネにオーネ等の例外を除いてかなりの食事量になってしまう。食材はある程度はあるものの残りが心許なくなっている。ユッミルは途中から食事を少し控えていく。ユッミルは放出系木術の使用を反省した。シャーネ以外の妊婦やマティッセにテーファが寝てしまったのでミーハとリュッサにメシャーナとシャーネで風呂も含めて子供の世話をする。妊婦はソヨッハに任せるが気持ちよさそうに寝ている。シャーユは一人で寝床で寝転がっている。ユンルクとカッサも真似てファッリーユも加わる。ユッミルはシャーユ達を横目にヌーグと話をする。ヌーグはフーニャが読んでくれている本の事を聞いてくる。ユッミルは知らないので分からないと言うと楽しそうに説明しようとする。ミリットには軽く声を掛けながら撫でていく。

 翌朝、ユッミルは早朝の内にフェノ、ターヒョを呼び寄せてピュッチェ等を誘って森での狩りを依頼する。ユッミルは指揮所に向かう。任を終えると狩りに合流する。フェノとターヒョの指揮でメシャーナ、ミーハとピュッチェが主力でオーネとテーファ、チェーハが補助に回っている。家ではソヨッハとリュッサにセテューカ、マティッセが子供の世話をしている。ユッミルがいなくても最低限の量を確保したがユッミルが追加でそこそこの量を確保した。ターヒョは生き血を持ち帰り、フェノとメシャーナで肉を持ち帰る。ユッミルは一定量の肉を持って光の塔に向かう。

 「ユッミルさん、有難いですけど困ります。子供が多いのですが」

 「嫌なら諦めますが」

 「いえ、まあ受け付けますけど頻繁だと困りますよ?」

 「分かってます」

 ユッミルは食材を少し分けてもらい帰宅する。既に少し調理が始まっており、いくつかの料理は出来ている。ユッミルはさっさと食べると調理を手伝う。女性陣は子供に食べさせつつゆっくり食べる。徐々に妊婦は寝床に休憩に行き、ピュッチェも付き合う。食卓では子供を片手に会話が進む。ユッミルは食べる比重が高い。サーナとミリットとモティアもユッミルと食べる側になっているが他の子はフェノと遊んでいる。ユッミルはセテューカとメシャーナにオーネに仮眠をお願いして子供の世話をフェノとリュッサに任せる。子供と妊婦の見守りは交代でする。ユッミルも子供と遊んで小休止を挟むが間もなく夕食の時間になり、ピュッチェは帰宅する。ユッミルは先に子供達を風呂に入れる事にしてオーネ母子を先に風呂に入れる。オーネ母子は風呂から出て代わりにテーファ母子とファッリーユが風呂に入る。その後、リュッサの手伝いでミーハとテーファの三人でたくさんの子供を風呂に入れていく。オーネ母子やメシャーナ母子は寝てしまうがユッミル達はそのまま夕食に突入する。女性陣は少し多い程度だったがユッミルはかなり食べるとそのまま寝てしまう。

 翌日、ユッミルは昼前まで寝ている。起きるとソヨッハとチェーハは出かけており、ニーフェとサーナが横で寝ている。ミーハは壁で寝ている。どうやら一番遅くまで子供の世話をしており、メシャーナとの交代でやっと寝たらしい。気づくとイーサが枕元にいる。

 「おはようございます、ユッミル様」

 「主の苦しい時についてあげなくて良いのですか?」

 「夫に付き添う方が優先ですが」

 「イーサさんは仕事をしている方が似合ってますね」

 「今も仕事ですが。もちろん、仕事を使ってユッミル様と一緒にいる時間も確保していますけど」

 「それは良いですが呼びに来たのですか?」

 「ええ、ですけどシウさんの方が先な上に余裕はあるので明後日の朝まではユッミル様に同行します。明日の指揮所にはカノールも同行させます」

 「ダメですよ。カノールかあなたのどちらかです」

 「分かりましたよ。カノールはあなたの術で隠して構いません」

 「そうしましょう」

 ユッミルとイーサにマティッセにソヨッハで子供の世話をしているとシウがテーファに苦しさを訴える。ユッミルは子供を連れてシウに駆け寄る。

 「女の子ですね。シウさんに似た美しい子に育って素直で居て欲しいですね」

 「ユッミル、毎晩あなたを素直に抱いていいかしら?この子が落ち着いたらだけど」

 「いえ、そのうまく誘惑して下さい。そもそも実の娘が魅力的だと困ります、懐いて欲しいです」

 「良かったわ。娘と妻は違うわよね。それでこの子の名前は?」

 「ツグミでどうでしょう?」

 「良いと思うわ」

 「じゃあそうしましょう」

 ユッミルは昼食を終える。

 「塔に向かいましょうか」

 「今日は遠慮します。流石に大丈夫なのですよね?」

 「私は居座りますが?」

 「構いませんよ、指揮所に同行するのですから」

 夕食はカノールとファッリーユを両隣にツグミを膝に置いて食べるが途中でニーフェを膝に乗せてミーハ母子の横に移動してリュッサ母子を横に呼んで食べる。風呂はイーサとチェーハでメシャーナの手伝いでたくさんの子供の世話をする。ユッミルはミリットを抱いてシウ母子とニーフェ、ファッリーユを両脇に眠っていく。

 翌朝は早く起きるとオーネ母子とメシャーナ母子と寝床で静かに話す。早めの朝食をとっているとイーサ母子も加わってくる。モティアにも話し掛けるがやはり返事は適当だ。カノールはそれなりに話せる。

 「パパ、ママがパパと二人で歩いた方が良いって言ってた」

 「カノール、それは良いね。けど外が晴れてないと無理だよ」

 「そっか」

 「ユッミルさん、外は曇り気味ですが雨は降ってません」

 「イーサ、午前中は用事があります。昼前に戻るのでゆっくり散歩の時間は無いですよ」

 「でしたら行きだけはどうでしょう?私も行って途中で連れ帰ります」

 「ちゃんと間に合う場所で引き返してくださいね?」

 「もちろんです。お互い昼前に家に戻りましょう」

 ユッミルは途中までイーサ母子と散歩する。そこまでの距離は歩けないがカノールは満足そうだ。ユッミルは療養所に向かう。午後から指揮所だと伝えて近況報告等の最低限でユッミルは引き返す。そのまま急いで昼食を食べて指揮所に向かう。交代先はシェンハらしいがさっさと行ってしまう。カノールを隠しながら抱いて魔族を見る。特段の動きは無い。流石に損害が大きかったらしい。任を終えるとそのままイーサ母子と光の塔へ向かう。途中でチェーハ母子と合流する。ユッミルが主導部屋に着くとネメッカは抱擁してくる。

 「どうしました?」

 「服を着ててごめんなさいね」

 「何を言ってるのですか。寒くなって来るので簡単に脱いだらダメですよ」

 「じゃあユッミルが手を突っ込むしかないですね」

 「いえいえ、しばらくはそういう事をしない約束なので我慢しますよ」

 「約束の内容が変わってますね。約束は子供が増えすぎない様に脱ぐのは私だけにするでしたよ」

 「寒季はネメッカ様も脱がなくていいでしょう」

 「それは約束が違います。私が決めます。子供が生まれて数日は控えますが」

 「分かりましたけど無理は喜びませんので」

 「他の方も含めて停止ですね?」

 「それはそうです。火の術師は少し緩くなりますが私が脱がないはしばらくそうします」

 「仕方ないですね。子供の世話が少し厳しいのは現実ですし。ただ、私は若くないのでいずれは再開してもらいますからね」

 「それは大丈夫ですよ」

 ユッミルは一度部屋から出て子供達をユーカとイーサの協力で風呂に入れる。その後、少し触れ合うと大人数を抱えて寝る。

 翌日は店の様子見として昼食を食べに行く。ターヒョ母子やナーレ母子と触れ合う。エコはもう少し掛かるものの第二子誕生は近そうだ。二人の母親に名前を求められるが答えに窮して光の塔へ撤収する。

 夕食後はトキホ、ネミークとイーサ母子でネメッカを見舞う。ネメッカは元気にユッミルを巻き込んで息子達に話しかけている。

 「あの、本当に近いのです?」

 「逃げたいのですか?」

 「まさか、ネメッカ様の今の姿は見逃せません」

 「それは良かった。こんな服さっさと払っていいのですよ?」

 「子供の為にならないですので。ネミーク、妹が増えるよ」

 「ユッミル、分かるのですか?」

 「そうですね、特に魔力が強い場合はですけど。最近は女の子が多いので確信しましたね」

 「まさか、女の子が欲しいからと何かの術を?」

 「それは考えた事も無いですね。流石に無理でしょう」

 ユッミルはネメッカと話しつつもトキホやネミークを撫でている。トキホはネメッカがネミークに話しかけた機会を見てユッミルに話しかける。

 「パパ、パパは何が好き?」

 「トキホも好きだよ」

 「うー、なめるの好き?」

 「なめないよ」

 「いつもなめてる」

 「えっ、トキホは何をなめてるの」

 「まだなめれない」

 「ママは何をなめるの?」

 「色々なめてる」

 「ネメッカ様、離婚ですか」

 「ユッミル、トキホの言うなめるは食べるですよ」

 「パパは肉を食べるのが好きだよ」

 「トキホ、肉なめれる?」

 「少し早いかな。固いし」

 「肉、かたい?」

 「少しね」

 「ネメッカ様、本人もこう言ってますけど食事は早いですかね?」

 「少し早いわね。ネミークが食べてて興味が湧いてるのだろうけど。ネミークもそんなに種類は食べてないのよね」

 「子供の成長は早いですね」

 「ネミークはそろそろ二歳よ」

 「そうでしたね」

 その後、ネメッカと風呂に入る。ユッミルがイーサと入ろうとするとネメッカがさっさと割り込む。途中でトキホとイーサが上がってイーサはカノールを引き渡す。ネメッカはユッミルをそのまま寝床に連れ込もうとするが辛うじて押し留めて服を着せる。ただ、服を着て一緒には寝る。

 翌日、ユッミルが起きると身動きが取れない。ネメッカ母子だけでなくイーサ母子に他にも数人が折り重なっている。何とか子供を安全に横のベッドにずらすと実行犯に説教をしてから子供の世話に戻る。そうしているとネメッカが少し苦しそうなので駆けつける。

 「どこに行くの?」

 「静かな方が良いですよ」

 「居て下さい」

 「構いませんが」

 ネメッカはユッミルを抱き込むとしばらくして寝る。少し抜け出して早めの昼食をとる。しばらくするとネメッカは目を覚ます。

 「もう大丈夫ですよ」

 「いえ、もう少しいます」

 翌朝、ネメッカが踏ん張り始める。ユッミルは慌てて朝食を食べ終えてトキホとネミークを主導部屋に連れて行く。ただ、時間には余裕があり、問題なく恒例通り、ユッミルが取り上げる。

 「ユッミル、どうです?」

 「少し大人しいですね。ただ、体調に問題はありません」

 「男の子ですか?」

 「いえ、女の子ですね」

 「続きますね」

 「そうですね。シャーユの後はしばらく男児が多かったのに。ファーちゃん以降はほぼ同数でしたけどトキホの頃から女児が増えてますね。それでもまだ男児の方が多そうですけど」

 「そうですがもう誤差の範囲ですね。徐々に男女同数に向かいそうですね」

 「ええ、不思議ですね」

 「そう考えると最初に男児が多かった事以外は普通ですね。それで名前はどうします?」

 「そうですね。悩みます」

 「後に回しますか?」

 「流石にネメッカ様の子供を後回しにはできません。それよりネメッカ様こそ私ばかりの名付けで良いのですか?」

 「名付けで思い出しましたがユッミルも私の名付け親になればその様扱いをやめてくれるのですか?」

 「たまに呼んでる気もしますけどね」

 「生まれた時にユッミルに取り上げてもらえれば良かったのかしら?」

 「えっと、ネメッカ様?ここには十人以上の子供がいますし側室も十人いますけどそのたくさんの中の一人が良いのですか?」

 「変えてほしいのは呼び名ですよ」

 「いえいえ、呼び名と扱いは切り離せませんよ」

 「ですがユッミル、私と気軽に抱き合ってますがネメッカ様なのですか?」

 「分かりましたよ。僕がネメッカ様を抱きたいだけ、触れ合いたいだけです」

 「それが困ります。私はネメッカです。立派な人間ではなく仲の良い夫婦です」

 「やはりたくさんの妻になってる以上ネメッカ様として扱う方が上手くいきます」

 「ユッミル様、流石ですね。言う事を聞きます」

 「ネメッカ様?まあ良いですけど難しいと思いますよ」

 「ユッミル様、負けません」

 「もう負けてると思いますが」

 「ユッミル様、胸を揉んでやるから諦めろと言って下さい」

 「ネメッカ様、胸を揉まれたいのですか?」

 「正確には抱いて欲しいですね、顔が近い方が良いですね」

 「頼めばしますよ」

 「ユッミル、胸を抱いて下さい」

 「分かりましたよ」

 「満足ですがそろそろこの子の名前を決めましょうか」

 「ネメッコ、可愛くていいですね」

 「ユッミル、私はそれで構いませんが」

 「冗談ですよ、そうですね。どんな名前が良いですかね?」

 「私を意識はしなくて良いですよ」

 「もちろん、そんな立派な名前は…レーティスはどうでしょう」

 「良い名前ですね。何となく名付けが上手くなってますね」

 「気のせいですよ」

 「愛称はレーテでしょうか。私の事もネメと呼んでくれませんか?」

 「ネメッカ様は長くないですよ。けど弾みで呼ぶかもしれません」

 「まあ良いです」

 二人はしばらくネミークをあやしながら赤子を見守っている。ユッミルがトキホを抱いてネメッカがレーティスを抱いて間をネミークが歩く。五人は食堂に向かう。

 「ユッミル様、明日午後は指揮所なので明後日辺りに氷の塔へ行くのは如何でしょう?」

 「それは分かりましたけど魔族騒動や他の赤子の出産等で遅れてしまったのですがイーサさんの娘の名前はもう付いてますか?」

 「もちろん、ユッミル様待ちですね」

 「でしたらサテーラはどうでしょう?」

 「分かりました。普通の名前ですね。ありがとうございます」

 「ユッミルさん、私の娘は?」

 「エルネさん、最近はイーサさんを含めると六人位女の子に名付けたので少し待って下さい。急ぐのであればその娘を私に預けに来て下さい。世話してると決めやすい。ただ、ベーニュさんの第一子、フーニャさんやレヒーハの二人目にユーカさんの娘、ナーレとターヒョの第一子がまだなのです。ターヒョさんの所は男の子なのでほぼ決まってますしナーレさんも決め掛かってますがかなり待たせてます」

 「分かりました。ユーカさんのもまだなのですね。イーサさんもかなり待たせたみたいですね」

 「はい、すぐに決めてるのはネメッカ様やテーファさんにシウさんやミーハさん、ユッホさん位ですよ」

 「ユッミル、分かるけど早く決めてあげなさいね」

 「一人目はすぐ決めましたよ?けど二人目以降は少し滞ってます」

 翌朝は早い時間に帰宅して様子を見る。フーニャとシャーネが近いがすぐという感じではないので店に寄る。

 「ユッミルさん、娘を抱いてるという事は名前を付けてくれるのですね?」

 「はい、ここ十日程で七人目の女の子の名付けなので少し拙いかもしれませんが」

 「えっと、付けてくれるならお願いします」

 「ではツーヤでお願いします」

 「少し不思議な名前ですけど悪い感じではありません。ツーヤ、良いよね?」

 「うー?」

 「はい、ツーヤにします」

 「次は私の子の番かしら?」

 「えっと、抱きますね」

 「まあ良いけど」

 「君の名前はボッティケだよ。良いかな?」

 「…」

 「まあ良いと思うわ。思ったより良いわね」

 「それで申し訳ないですがこの後は寄る所があるので」

 「私は気にしないわ。ユッミルと触れ合うなら家でするわ」

 「私も忙しいなら仕方ないです。行ってらっしゃい、ユッミルさん」

 ユッミルは療養所に向かう。

 「この後は指揮所なので時間が無いので何か連絡があれば」

 「特に変わった事は無いわね。皆、順調に傷は塞がってるわよ」

 「ユッミルさん、この前も指揮所前に来てましたけど私達の引き留めが困るからとかですか?」

 「ええ、それは困りますがそれ以前に指揮所の日はどちらにしても出かけるのでここにわざわざ来る感が薄まるというのはあります」

 「けど指揮所は反対ですよ」

 「そうですね。何より指揮所の日位しか自由に外を動けません。子供の世話で忙しいので指揮所に行くとかでないと抜けられない。もちろん、最近は出産待ちでしたからいずれは解消しますし寒季前に一度は散歩時間は作りたいですね」

 「子供を連れてくれば?私達は構わないわよ」

 「あまり意味は無いですね。同時に五人とかを世話するので連れ出すのは無理ですね。ですがお言葉に甘えて散歩には一人位は連れて行くかもしれませんけど」

 「五人か。凄いわね」

 「今だけですよ。いずれ十人の母親なのがばれてしまう訳ですし」

 「良いですけど落ち着いたらお願いしますよ。所で今、何人位出産を控えてるのですか?」

 「三人?いえ、四人、五人位だと思いますね」

 「ユッミルさん、大丈夫ですか?」

 「ええ、流石に一人は被ったので立ち会えなかった様ですね。もちろん、今回が初めてではないのですが」

 「それもそうですが私達の世話をする時間の確保ですよ」

 「それは大丈夫です。立ち会わないとまずいのはネメッカ様と一部ですから他もできる限り、立ち会いますが」

 「指揮所でしたよね?」

 ユッミルは指揮所に向かう。特に魔族に動きは無い。帰りは塔に向かう。

 「お帰り、ユッミル」

 ネメッカはネミークと出迎えて夕食を共にする。

 「えっと、エルネさんとユーカさんはいますか?」

 「そういう事ですか。後で呼んでおきます」

 イーサは食事を少し急ぐとカノールを残して食堂を後にする。しばらくして戻ってくる。

「主宰部屋に居ますから」

 「ネメッカ様も連れて行きますが」

 「はい」

 ユッミルは主宰部屋に向かう。

 「寝やすそうな格好ですね。眠そうな所に悪いのですが娘を連れて来てくれますか?」

 「申し訳ありません。若い娘は用意できていません。お詫びに私で勘弁して下さい」

 「イーサさん、知っててやってますよね?エルネさん、娘の名前を付けるので連れて来てくれますか?」

 「やっとですか」

 「ユーカさん、あなたの娘にはノヒャールと名付けたいのですが」

 「そうですか。分かりました」

 「次はエルネさんですね。ロキュームはどうでしょう」

 「良い名前ですね。それでこの後は?」

 「寝ますよ。脱ぎませんけどね」

 「分かってますよ、ネメッカ様の子が生まれた後ですよね」

 「違います。ネメッカ様が先ですよ」

 「そうですね。子供の世話で忙しいですし仕方ないです」

 翌日、ユッミルは氷の塔に向かう。シェンハは不在の様だ。ベーニュが赤子を抱えて出てくる。

 「早速、赤子の名前ですけどラファッソはどうでしょう?」





4節 寒季の渋滞


 「ユッミルさん、いきなりどうして?ああ、名前…良いと思いますよ」

 「良かったです」

 「えっと、ユッミルさんは普段どうしているのですか?」

 「ああ、抱きます」

 「それでこの塔に預ける環境はあまり整ってないので家に戻りたいのですが」

 「もちろん、構いません」

 「今から帰りませんか?」

 「それはそうですね」

 ユッミルはラファッソを抱えてベーニュと帰宅する。

 「もう帰って来たの?ああ、ベーニュさん」

 「ここで世話します」

 「もちろん、それよりも少し放っていてごめんね」

 「いえ、ユッミルさんは他にも仕事とかネメッカ様の世話とか子育てとか色々で忙しいのは知ってますし」

 ユッミルはベーニュ母子とオーネ母子と昼食を食べる。その後はテーファ母子やニーフェにシャーユも参加して遊ぶ。フーニャの様子を気にしつつ夕食を食べる。セテューカと子供を風呂に入れる。途中でソヨッハも入ってきて手伝う。子供の受け渡しはリュッサがしていく。風呂の後は子供と少しだけ話してモティアとニーフェを寝かせる。しばらくしてユッミルも寝そうになっていると何かの感触がある。布団に誰かが潜り込んできたらしい。どうにも服を着ている様子は無い。

 「ユッミルさん、遊びませんか?来て欲しかったですけど」

 「ベーニュさんか、今は少し迷っていてね」

 「えっと、脱落ですか?」

 「いや、子供の数が増えているだろう。だから当面はやめておこうかと。母親は一人から二人になった途端にしんどそうだしね。少し間隔を開けるだけで違うだろう」

 「それだけですか?」

 「そうだね」

 ベーニュはユッミルを抱く。

 「つまり、片方が脱がなければ良いですね」

 「それはそうだけど、任せるよ」

 翌朝、目を覚ますと一瞬何か分からなかったが少なくとも上半身は服を着ていない女性に抱かれていると分かる。しかもベーニュとは反対側である。

 「シウさんか」

 「どこへ行くの?」

 「驚かして起こしてくれたのですね」

 「違うわね」

 「分からないですね」

 「遊んでいいわよ」

 「ああ、自分の体に夢中になる男を見下しに来たのですね」

 「言い訳が苦しいわよ」

 「恥をかかせないで下さいと言っているのです」

 「抱きたくないの?」

 「あなた相手はまだ軽く抱いて済ませられないのでやめて下さい」

 「そんな大した女じゃないしそうだとすれば側室で良いの?」

 「お互いに軽いなら良いですがこういう軽いを超えさせようとするのはご遠慮下さい」

 「抜ければ良いわよ?」

 「はあ、恥をかけば満足するんですね?悪いのはシウさんですから」

 ユッミルはシウの体を頻りに触って抱きこんで口も重ねていく。しばらくするとニーフェを膝に乗せてシャーユを横にして朝食に向かう。

 「どうしたの?」

 「満足ですか?」

 「ええ、楽しく遊んでくれたみたいだし」

 「それで勝利宣言ですか?」

 「いえ、ユッミル、脱がないのですね」

 「ええ、子供が増えすぎたら困るので一旦控えます」

 「やはり負けてるのは私ね。ユッミルと遊ぶのは楽しいわよ」

 「勝てる遊びだからでしょう」

 「でも遊びに誘うのを我慢できてないのは私の方よ。あなたからの誘い、断れないわよ?」

 「ありがとうございます。確実に勝てる遊び、断る理由は無いですよね」

 「水術師みたいに磔にならないと勝った気にはならなそうね。けどもう少し気軽に遊びたいわね」

 ユッミルはフーニャを見舞う。ヌーグとシャーユを両腕に軽く抱いている。

 「ヌーグ、もう少しだからね」

 「少し?」

 「妹か弟ができるよ」

 「妹いっぱい」

 「シャーユは妹じゃないよ」

 「知ってる。ニーちゃんとかカッちゃんだよ」

 「でもしばらくしたら会うのはヌーグの大事な妹だよ。ママの妹だからね」

 「そっか、ニーちゃんはパパの妹だよね」

 「妹じゃなくて娘だけどね」

 「パパ、娘いっぱい」

 「そうだね。遊びにくくてごめんね」

 「ん?パパ、悪くないよ」

 ユッミルは早めの昼を食べると療養所に出かける。

 「では今日は時間があるのでいよいよ森に散歩に行きましょうか」

 「で、誰が行きます?」

 「まず、今日は行きたくない人は?いませんか。では私が選びます」

 「とりあえず行ってみないとですから」

 ユッミルは火、木、氷の三人の術師を連れて森に向かう。泥濘は幾分収まっている。

 「見たい光の術はありますか?」

 「敵がいないですけど何が良いですかね?」

 「ではこれで」

 ユッミルは無数の光源を周囲に作る。

 「何これ?」

 「狩りには向きませんけど。それに長時間は無理ですね」

 「もう進まないのですか?」

 「帰りましょうか」

 ユッミルは三人を療養所に送り、ニーフェを家に帰すと店を手伝う。夕方に帰宅する。子供達を風呂に入れているとチェーハが帰ってくる。チェーハは風呂に入ってきてニーフェと入ってくる。子供の世話を手伝いつつ器用にユッミルにくっつく。風呂から出るとベーニュ母子がやってくる。ユッミルは服を着る。ラファッソを抱くとベーニュと寝床に向かう。夜中、フーニャが苦しそうなので起きて見舞う。テーファを残して他は寝る。翌朝、朝食後、ユッミルはフーニャをヌーグやシャーユとユンルクにファッリーユとフーニャを見舞う。レヒーハも寝ている。程なくフーニャは女児を産む。ユッミルはいつも通り抱いている。

 翌日は療養所に向かう。一昨日行かなかった残りを森に連れて行く。泥濘は収まっている。しばらくして療養所に戻る。

 「ウッダさん、怪我してるだけですよね?」

 「どういう意味?」

 「怪我が治ったらもう森には勝手に行きますよね?」

 「ユッミルさんが治ってないと判断するのは自由ですけど」

 「私にはこの療養所から人を無理に追い出す気は無いのですが」

 「怪我が治ったら考えるわ」

 ユッミルは光の塔へ向かう。

 「イーサさん、今更ながら先日の魔族襲撃の件ですが怪我人が少なかったのは知ってますが光の団には魔族が怖くて森に行けなくなった人とか指揮所が無理になった人はいないのですか?」

 「いませんね。指揮所に行く方はフェノさんやルーエさん等の手練れが多いですし不完全ながら光の術による身を隠す術は十分に有効ですから。この団にはそういう話は聞きません。そもそも今回の被害者は土と木が多い。火も多めですが。月も指揮所勤めが多かったですがやはり月の術は有効なので月術を使われると決着する前に別に移動したとかも多い様ですね。氷は指揮所にいた人数も少なかったですし防御面の高さからこれまた無視される場合が多かった様ですね」

 「そうですか。それでもう妊婦はいませんか?」

 「はい、いませんね」

 「では少しだけいます」

 ユッミルはレーティスを中心に子供と遊ぶと帰ろうとする。

 「私も行くわ。トキホ、お願いね」

 「まあ良いですけど」

 ユッミルはネメッカと帰宅する。軽い昼食後、ネメッカが服に手を掛けているので抱き留める。

 「ユッミル、気が早いですよ」

 「ネメッカ様、生まれたばかりの子がいるのですから昼間からはお控え下さい」

 「子供に乳を飲ませようとしただけですよ。もちろん、ユッミルがしたい事には付き合いますけど」

 「そうですか。なら出かけるのにお付き合い頂けますか?」

 ユッミルはネメッカとミーハを連れて出かける。トキホをユッミルが抱いてサーナもいる。サーナは歩けるが移動距離が長いのでミーハが抱く。店に入る。

 「どうしました?」

 「実はこの二人は今日はいませんけど今日連れてきたこの子より下の子がいまして今の服装だと色々と不便ですしね?」

 「ああ、そういう事ですか。大丈夫ですよ。後はこれからの時期は寒いのでこういうのもどうです?」

 「そうですね」

 「買うのは良いですがほぼ使いませんね」

 「ネメッカ様、何を」

 「ユッミルが不便でしょ」

 「分かりましたけど適当に使って下さいね」

 ユッミルが片方の赤子と手を繋いで待つ中、二人は試着していく。ユッミルの指示で五着ずつ買っていく。防寒具も少し買っていく。

 「はあ、ネメッカ様ではなくテーファさんを連れてくれば良かったですね」

 「テーファも言わないだけで思う事は同じです。どうせ服を脱がせるのが面倒になってやらなくなったり、脱ぐ前に止めやすい服とか考えてるに決まっています」

 「まさか、ネメッカ様との触れ合いを拒む気は無いですよ。ですが私の機嫌は気にする必要が無いですよ」

 「私の機嫌を気にしてるのはユッミルの方でしょう。そうされると機嫌を取らずにはいられません」

 「機嫌を取る為にそういう事をされても嬉しくありません」

 「そうですね。それだけではないですし私がしたくてやってるだけです。迷惑ならやめますよ」

 「そうは言いませんが」

 「なら良いですね」

 ユッミル達は帰宅する。

 「何してたの?」

 「ああ、服を買ってたのですよ」

 「多いという事は」

 「ああ、ミーハさんを連れて行ったのは小さい目も買う為なのね」

 「それはそうですね」

 「ええ、それで胸を触りやすいから着て欲しいらしいわ」

 「そうね。ユッミルがやりやすい様にしておいた方が良さそうね」

 「ネメッカ様、そんな事はありません。そもそも頼めば普通に脱いでくれる相手なのに赤子の世話の邪魔をしてまで触りにはいきません」

 「ごめんなさい。私が触れ合いたいだけですから抱きに行きますね。そしたら抱き返してください。その時に服が邪魔なら脱がせても構いません。脱げ易いのを着れるようになりましたし」

 「適当にしますよ」

 「じゃあ早速着替えますね。ユッミル、着替えさせて下さい」

 「子供の世話で忙しいのですが」

 「ユッミルに配慮して子供に見せない為に部屋に隅で術で隠しながらしましょうか」

 ユッミルは替えの緩めの服を持って部屋の隅に向かう。ネメッカは視界を遮る。ユッミルは服を脱がせる。

 「ネメッカ様、ここで服を渡さなかったらどうします?」

 「少し寒いからユッミルを抱いて温まるわね」

 「その、いつも歓迎だとありがたみが無いですよ?」

 「またその話ですか。あなたは良く言いますよね、機嫌を損ねたくないと。私も同じですよ。今更断りだしたら気分悪いでしょう」

 「ですが夫婦間でその程度は我慢すべきですし関係解消する訳でもない」

 「関係を冷やしたくないのですよ。ああ、服を渡さないみたいなので抱きますね」

 「ああ、離してくれないと着せれませんよ。それにやはりネメッカ様だけ脱がせてると性奴隷みたいでダメですね」

 「ユッミル、そういうって事はかなり高ぶってるのかしら?私が誘ったのですから好きにして良いのですよ」

 「少しだけそうしますね」

 「ユッミル、私は娘ではないのですが」

 「体より愛の方が良いでしょう」

 「体を差し出してるのに愛しか差し出さないユッミルは正しいのですか?」

 「体全体を抱いてますけど。それにネメッカ様は今以外も出してくれるのでもっといい機会を待ちます」

 「はあ仕方ないです。そろそろ着ます」

 ユッミルは服を着せる。

 「お似合いですね」

 「ありがとう。ではユッミル、胸に手を入れる練習をしておきましょう」

 「遠慮します」

 「天邪鬼ですね。胸を触るなと言えば触ってくれるのでしょうか。いえ、嫌で言ってるとは思わないでしょうね」

 「ネメッカ様、戻りますよ」

 ユッミルは子供の方に戻る。ユッミルが戻ってくるとシウとミーハが着ている。ユッミルはトキホを抱く。ファッリーユもやってくる。

 「シウさん、何をやって」

 「赤子に乳をあげるだけよ。何か問題あるかしら?ああ、俺だけの胸を赤子にしゃぶらせるなって事かしら?気になるなら手で直接洗ってくれていいわよ」

 「シウさん、ユッミルの手は二つ。ユッミルを困らせてると私の胸に逃げてきてしまうわよ」

 「そんなに自信があるならユッミルに選んでもらえば良いだけだし口出しは無用でしょ」

 「私はユッミルを困らせないでと言って」

 「ネメッカ様、お願いしますから」

 「ユッミル、呼び捨てで叱った方が効果的ですよ」

 「ネメッカ、側室と揉めてはいけませんよ」

 「はい、ユッミル。今日の夜は一緒に寝て下さいね」

 「ネメッカ様、こちらでは優遇しかねます。もっとも無意識にはあなたに若干吸い寄せられてるので側室の方との関係の為にもこちらでは控えめで願います」

 「ユッミルがこんな服を着せて腰を隠させようとするからですよ」

 「これからの時期は寒いですしね」

 「そうですね。どっちにしろ、当面は着込むので関係は無いですけどね」

 翌朝、ネメッカが帰塔しようか迷いつつレーティスを抱いているとレヒーハが踏ん張り始める。結局、ネメッカも付き添ってユッミルが取り上げる。昼前にネメッカは指揮所に向かう。ユッミルはニーフェを抱いてシャーユと指揮所の下に行き、フェノと言葉を交わす。シャーユを家に帰すとニーフェを隠したまま療養所に向かう。ニーフェは歩きながら着く前に眠らせる。

 「ユッミルさん、確認願います」

 「その予定は無いのですが」

 「お願いします」

 「進展が無いと困りますよ」

 「大丈夫です」

 「うーん、かなり治ってる気はしますけどね。元々浅かった訳ですし」

 「あの、指揮所に行くかは未定ですが仕事が決まりそうでして」

 「なるほどそれなら止めません。それを早く言って下さい。良かったですね」

 「はい、火の団から退団する訳ではないのでまた会う事もあると思いますが一旦さようならですね。明日朝にはいないと思います」

 「そうですか。元気に活動できると良いですね。また会いましょう」

 「ユッミルさん、治療が終わった人ではなく私の相手をお願いします」

 「ただ、今日も泊まったりはしませんからね」

 「で、家の方はどうです?」

 「はい、人手不足は解消しましたしソヨッハさんが居てくれるので残った妊婦さんも心配無いですね」

 「そうですか。新たな妊婦が増えたりはしないのですね」

 「いなくなるのは少し先ですがしばらくすると一旦いなくなりますね。その後、少し増えますけど少し前みたいな事は当面無いと思いますよ」

 「では狩りは大丈夫ですか?」

 「ユッホさんが毎回呼べないので少し困ってますがソヨッハさんで多少は補えます。ただ、ユッホさんが来てくれないと若干前衛は手薄ですね」

 「私が後衛なのを知ってわざと言ってます?」

 「ヤーチェさん、私の側室にはシウさんがいるのは知ってますよね?水術師も一人は居ます。それで後衛型の優秀な土術師を一人抱えてるのですよ。ソヨッハさんがそれに参加するのです。中衛には氷術師が二人とテーファさんが居ますし必要ならネメッカ様も呼べます。もちろん、前衛もいない訳ではないですけど」

 「つまり、断ると?」

 「側室は当面は難しいですね。狩りに関してはそもそも可能なのですか?」

 「そうですね。確かに難しいと思います」

 「それに特定の団ばかりと仲良くする訳にもいかないので木の団の前衛を取り込むとなると木の団の後衛は難しい事になります。ですからソヨッハさんをこの時期に送ってきたシーリュノ様の意図が分かりませんしそれがどうあれ立て続けに木の側室は難しいですね」

 「木の団の側室は何人でしたっけ?」

 「ユッホさんを含めて三人ですね」

 「水はどうです?」

 「三人ですね」

 「火はどうなのです?」

 「えっと、側室は三人ですけど一人は関係が止まってます。後は一人側室候補がいますね」

 「でしたら私はその候補で良いです」

 「候補というのはそういう事ではありません」

 「えっと?ユッミルさんがそれすら嫌なのですか?」

 「そういう訳ではなく」

 「まさか、ユッミル様流石ね。私ともどうです?候補止まりで捨てても良いですよ」

 「あなたはそれで良いかもしれませんがこれ以上増やす訳にはいきません」

 「ネメッカ様も拒むの?」

 「そうは言ってませんが」

 「そういう事なのね。候補にして下さい」

 「とりあえず治ってからですね」

 「ユッミルさん、私も帰ります」

 「まあ治っていないとは言えませんが次があるなら仕方ないですね」

 「もちろん、帰るといっても寒季の盛りだけですけど今年は少し早いという噂なので期を見て帰ります。私が居なくなっても明けたら帰ってきますので勝手にいない事にしないで下さいね。どうせユッミルさんは側室さん達とゆっくりするでしょうしここに来なくても良いですよ」

 「そういう事ですか。皆さん、帰るのですかね?」

 「私は残るわ」

 「えっと、大丈夫ですか?」

 「私も残りますよ。火や木の団の人も来てくれるそうですし」

 「それなら問題なさそうですね」

 「私はユッミルさんの所に行く予定でしたけど泊まります」

 「そうですか。私は出産が立て込んでいただけなのでそろそろ来る頻度を増やします」

 ユッミルは帰宅すると子供の世話をしていく。夕食後、シウやベーニュと子供達を風呂に入れる。風呂から出るとユッミルは急に引っ張られていく。気づくとネメッカがうえに乗っている。

 「ネメッカ様、どういうつもりですか?」

 「別に良いでしょ?」

 「困ります」

 「ダメなの?というかユッミルが襲ってくれても良いのよ」

 「ですから当面は僕は脱がないという約束ですよね?子供はこれ以上無理ですよ。他の側室の方にも基本的にはお守り頂きますし。特に複数人の子供がいる方と間違ってしてしまった場合はちゃんと言ってネメッカ様の好きにして良いので」

 「分かりました。服を着て下さい」

 ネメッカは風呂に入る。ユッミルは服を着て子供の世話をする。しばらくすると母親が子供を回収していく。そして、いつの間にかまた押し倒されて布団を掛けられる。

 「テーファさん、誘ってくれればこんな事をしなくても大丈夫ですよ」

 「ユッミルのそういう言い方に騙されない」

 テーファとネメッカは体を寄せてくっついている。

 「ネメッカ様、申し訳ないです」

 ユッミルはテーファを強く抱く。

 「ユッミル君、ネメッカに意地悪する為に私を抱いてるのね」

 「違いますよ。ネメッカ様に意地悪するならシウさんを誘います」

 「そうね、気にしすぎね」

 「そうよ、私も機嫌は損ねないわ」

 ネメッカは後ろから抱く。

 「あの、服を脱ぐ必要はないと思いますね」

 「いえいえ、服を脱いでるとユッミルは大人しいです」

 「いきなりだったので反応できてないだけです。それに嫌ではないですよ。後、ネメッカ様とは話しにくいですし抱かれながら会話は少し難しいです。服を着てるかは関係ないですよ」

 ユッミルはそのまま寝てしまい夜中に目を覚ます。

 「ネメッカ様、起きて下さい」

 「どうしたの?」

 「寒いですし服を着ましょう」

 「ごめんなさい。寝てるうちに緩んでましたね」

 「服を着た方がお互い暖かいですよ」

 「ユッミル、我慢しなくていいのですよ?」

 「ネメッカ様、我慢してる事は否定しませんがそれはネメッカ様から強引さが消えてるだけ。私だけでは無理ですね」

 「そうですか?ユッミルは昔と同じ誘い方では動かないですし」

 「それはそうですね。もうこんな事に頼らなくても大丈夫ですよ」

 「私はそうは思ってません。気を抜くと子育てに追われてそれが終わったらいらなくなります」

 「ですがそれを言い出せばネメッカ様もいらないですよ」

 「そう思うなら今を楽しんで下さい。将来ユッミルを捨てる私の体なんて好きにしてしまえばいいのです。さあどうぞ」

 「どちらにしてもこちらではそこまでできません。二人きりが良いですね」

 「はあユッミルを飛びつかせられない私が悪いですし捨てられるのは私でしょうね」

 「ネメッカ様を騙せてる間に抱いてしまってますが今は本当に寒いですよ」

 「私はそこまで寒くないですけど」

 「寒くなってからでは遅いですよ」

 「ああ、要するに女共は昼間に脱いで愛を示せという事ですね。分かりました」

 「違いますよ。テーファさん、起きて下さい」

 ネメッカは大人しく寝る。ユッミルはテーファを起こせなかったので抱いて寝る。

 翌朝、朝食は珍しく揃って食べる。唯一指揮所から朝帰りしたソヨッハと何人かの赤子以外は卓に着いている。しばらくしてマティッセとレヒーハにセチューカが大半の子供を連れ出す。ユッミルはトキホを撫でている。チェーハが甘えてきて相手をしつつシャーユと話している。フーニャはシャーネと寝床に戻っていく。

 「メシャ、どうしたの?」

 「ユッミルこそ何か用?一緒に子供の世話ならすると言いたいけどレヒーハさんがしてくれてるでしょ?」

 「メシャーナはこの後どうするの?」

 「ユッミルに他の用がなければ一緒にいる」

 「そっか、今日はネメッカ様を監視する予定だから一緒に遊ぼうか。ファーちゃんを読んでテーファさんにも居てもらおう」

 ユッミルはトキホを抱いてネメッカの傍に移動する。

 「朝食はもう良いですよね?」

 「そうですね。心配しなくても逃げませんよ」

 「ですがネメッカ様と触れ合いたいので待ちます」

 「ユッミルが望むなら脱がせても構いませんよ」

 「いえいえ、教育に悪いので脱がせませんよ」

 「そうですか。じゃあ」

 ネメッカは席を立つ。ユッミルはネメッカの腰を抑える。

 「ん?」

 「あっ、ユッミル。いきなりはずるいですよ」

 「そういうつもりはありません。勝手に脱げただけです」

 「直しますね」

 ネメッカは服を脱ぐと風呂桶に投げ入れる。

 「ネメッカ様、何をして」

 「夜の約束通り昼間に触れ合いましょう」

 「ユッミル君、待っててね」

 シウも脱ぎだす中、ユッミルはテーファの手を握る。

 「テーファさん、嬉しくないですから」

 「でもユッミル君は嬉しそうな顔をするよ」

 「後ろから抱いて優しくしてくれる方が喜びますよ」

 「ネメッカさんは今、後ろから抱いてるけど」

 「服を脱いでたらダメですね」

 「ユッミル、遠慮はいらないのよ。いつも頑張ってるし」

 「あっ、本当だ。脱ぐから待っててね」

 「ネメッカ様、シウにミーハは子供の教育を考えてやめて下さい。メシャもダメだよ」

 「何がダメなのかしら?あなたが脱がなければ子供の問題は無いわ」

 「分かりました。ネメッカ様とシウさん、来て下さい」

 「もちろん、そのつもりです」

 「良いわよ」

 「いつもながらいい体ですね。本当に子供がいなければ何も気にする事は無いのですが。それでネメッカ様は元々はどうする予定だったのですか?」

 「やってみますか?」

 「後にしますね。そろそろ交代ですね」

 「じゃあ私ね」

 「はい、ベーニュさんはどうします?」

 「行きますよ」

 「ユッミル君、我慢しなくていいよ」

 「そうです。子供を作った仲に手探りは無用です」

 「ベーニュさん、あちらを見て下さい。子供、何人います?」

 「八、九人?」

 「他にも数人は寝てますし光の塔にはこれ以上にいます。他にも店に数人、店以外でもいます。そんな何十人も子供を抱える父親は嫌でしょう」

 「今更ですね。遊びましょうよ」

 「いえ、ダメです。ここで止めないと事態は悪化します」

 「じゃあ永遠に私ばかり誘って断られるのですか?」

 「ベーニュさんに限ればそれは無いです。二人目は良いですけど間隔を開けたいです。それだけでもましな筈です。そこの人とはもう三人います。四人目は少し位間隔を開けないと十人では済まなくなります。いや、ネメッカ様は仕方ないにしても八人の側室と十数人の子供を作ってしまったらあっという間に百人の子供ですよ。流石に世話しきれない」

 「ユッミル、同じ日に百人生まれる訳ではありませんよ」

 「先日までの数十日で十人生まれたのですよ。そのまま行くと年間六十人です」

 「最近はたまたま集中しただけですよ」

 「そうですね。ですが女性一人につき一年に一人ですから無計画に二十人の側室とやってしまうと五年で百人になってしまいます」

 「そこまでは困りますけどその半分位は構わないですよ。」

 「何が半分なのですか?ですが数年で三十人ですし側室も増えてますから五年たつと五十人では済まないでしょうね。このままだと」

 「ユッミル、五年で五十人ですから十数年だと二百人位は構わないですよ。抑えるにはまだ早いですね」

 「ネメッカ様、ふざけないで下さい。そんな大人数を何処で世話するのですか?」

 「ネミークはいずれ手は掛からなくなりますし光の塔に関しては二十人程度若い団員が増える位なら問題無い。子供を数十人抱える事になりますけど頑張りますよ」

 「世話の必要な子供は百人同時が大丈夫と言いたげですが」

 「ええ、赤子は五十人程度世話できるでしょう。この家十人、光の塔で十数人、各塔に数人ずつですね」

 「十人足りませんが。足りたからと言ってギリギリですよ」

 「各団が世話してくれる子が増えたら大丈夫ですよね?」

 「ネメッカ様、そういう事では、父親とほぼ関われない子が増えます」

 「それは母親が責任を持つ事ですよ。私達がユッミルの元に順番に連れて行きます。一日十人相手してくれれば十数日で全員と遊べます」

 「それはそうですが」

 「ですからそういう心配はいりませんよ。ただ、少し空けるという提案は受け入れています。ですが一年待ては嫌ですよ」

 「ネメッカ様に関しては一年待たせる気はありませんよ」

 「私は良いよ」

 「あの、テーファさんは三人目いますね。ですからお待ち頂くのはシウさんとミーハさんですね」

 「あら。私に俺の言う時期になってから体を差し出せと言うのね。良いわよ、ユッミルの側室ですし」

 「シウさん、そういう訳なのでテーファさんとはしても良い。子供は出来ないけどチェーハはまだ1人目だしね」

 「私は二人目だからダメなのね」

 「メシャは団に所属してないし抜けられたら狩りが難しい」

 「分かってるよ。でもそろそろお願いね。後で良いから」

 「ユッミル君、私とはしてくれるの?」

 「子供居ますよね?」

 「そうね。そういう感じはする」

 「しばらくしたら太ってしまいますししんどくなると思います。子供を増やしすぎたら良くないので四人目を産んだ後は控えるかもしれないという事を分かった上でなら構いません」

 「うん、でも私はいつもユッミル君を待っちゃうし任せるわ。けど今日は誘うかもしれない」

 昼食前に女性陣は辛うじて服を着る。シャーネはしんどいとは言わないが寝伏しがちである。昼食後はネメッカがレーティスを散歩に連れて行く。ユッミルはベーニュ母子とテーファ母子にフーニャ母子とサーナやニーフェ、シャーユにミリット、ヌーグを世話する。レヒーハはミーハやメシャーナと乳幼児を纏めて世話していく。ネメッカはしばらくして一人で帰ってくる。フェノに預けたらしい。ソヨッハは起きてくると慎重にユッミル達を手伝う。夕方、リュッサがユンルクとヨータを連れてやってくる。大人数の夕食の後、ユッミルはシウとリュッサとミーハの手伝いで子供を風呂に入れる。その後、ユッミルはテーファと寝る。

 翌日、リュッサに誘われるまま無性の町に出かける。途中でフェノと合流する。メシャーナとシャーユもいる。ユッミルはメシャーナ母子と話しつつ歩いて行く。しばらくするととある店の前にミューレまでいる。

 「どういう事ですか?」

 「イーサさんから相談を受けて机を増やす事と風呂を大きくする事にしようと思って」

 「家の方ですか?」

 「もちろん、店の方には立派な風呂はもうあるし机の数も十分」

 「私が家に居座っても良いのですね?」

 「それは店には来て欲しいですけどね。別の話です」

 「ですが家具の運び込みを自分達でするのですか?」

 「まさか、違いますよ」

 「あの、家にいる子供の人数、理解してます?」

 「当日は五、六人ですかね?」

 「えっ」

 「この話はチェーハさんとメシャーナさんと氷と水以外の方には話を通しています。ソヨッハさんはまだですがフーニャさんやオーネさんにベーニュさんと共に狩りをしていて下さい」

 「そういう事ですか。つまり、帰宅したらテーファさんがいない訳ですね」

 「そうなりますね。細かい計画は後で話すので家具を選びましょう」

 ユッミル達は店に入る。

 「机はこれでどうかしら?今あるのより少し大きくてこちらを主に使ってという感じね」

 「そうですね。良いと思います」

 「では風呂もこれで良いですね」

 「ミューレ、良くないですよ」

 「えっと、この大きさなら人が少ない日は全員で入れますよ」

 「いや、冗談はやめましょうね。大きめの子供は数人しかいませんよ」

 「大丈夫ですよ。いずれ六人の大きな子供を持つかもしれないからという事にしてます」

 「分かりましたけど家は大きくならないのでもう少し小さいのでお願いします」

 「ああ、そうだよな。家の大きさは聞いてたからそれでも大きめってのでこれ位が俺的には良いと思うのだが」

 「はいはい、良いですね。これ位なら良さそうです。後、何人かは増えるので」

 「よし、決まりだな。金はミューレちゃんから先払いである程度は貰ってるしミューレちゃんが払ってくれるらしいからそこの雑貨も気に入ったのがあれば買うと良い。使用人さんは掃除道具でも見ておきな」

 「使用人?」

 「俺は用があるから決まったら呼んでくれ」

 「はい、フェノさんは使用人でリュッサさんが奥さん、メシャーナさんとシャーユちゃんが娘という体裁で二人の娘と夫婦に使用人で来店すると言ってあります。ですのでフェノさんは当日、家でお願いします。予定は大丈夫だと思いますが」

 「ええ、大丈夫ですね」

 「どうして私に内緒にするのですか」

 「えっと、決め事は塔でするので塔にいないので相談しようがないと言ってましたよ」

 「あれ?結構最近は塔にいましたけどね」

 「いえその、ユッミルさんに伝えると子供を塔に預ける規模が大きくて反対されそうとか色々反対しそうなので裏で進めたのだと思います」

 「リュッサさん、まあ悪いのはネメッカ様ですね」

 「ただ、私は何も負担してないので文句は無いのですが」

 「金は払わないのですか?」

 「あの、天引きしますよね?」

 「もちろんです」

 「負担感は無いですね」

 「まあとにかく当日はよろしくお願いします。明日はフーニャさん、オーネさん、ベーニュさん、ソヨッハさんを連れて狩りに行ってて下さい。ユッホさんの予定は抑えましたので来てくれます。サーナちゃんは残りますがミーハさんはタツヌ君と塔に戻るそうですね。モティアちゃんを世話してくれると助かります。ニーフェちゃんはフェノさんが当日、姿を消してくれます。メシャーナさんの息子はマティッセさんが土の塔の見学に連れて行ってくれます。家に残るのは風邪気味で寝ているシャーネさん、奥さんのリュッサとその息子のユンルク君にヨータ君、メシャーナちゃん、シャーユちゃん、サーナちゃん、使用人のフェノさんですね。後はレヒーハ親子とセチューカ親子を音も遮って部屋の隅に寝かせておきます」

 「セチューカさんは確かに昼間寝てますけど大丈夫ですかね?」

 「家から出すのはやめた方が良いでしょう」

 ユッミルが家に帰るとテーファが子供を連れて帰っていない。ネメッカはトキホの世話をしている。フェノはヌーグを塔に連れて行く。家具の件は特に話していないが光属性らしき子供を時折光の塔に通わせる事は今回の一件に関係なく時折やっている様だ。もう隠す必要はないがユッミルも何故か隠したままする事にしている。夕食で明日は狩りに行く事にして目的の四人の参加は普通に取り付ける。風呂の後にフェノが帰還する。

 翌朝、家の前にはスーリにターヒョにユッホにピュッチェにナーレ、レミーカまでやってくる。どうやらフェノとメシャーナの不参加をアシストする気らしい。

 「まあ行きましょうか」

 マティッセは後からコトマを連れ出すらしい。シウも後から娘を連れて行くらしい。ミリットは昨日の内に店に預けた様だ。ユッミルはモティアを抱く。フーニャは一応出かけるが娘を抱いているだけで戦わせる気は無い。

 「やはりそっちに付いて行くわ」

 シウが娘を連れてついて来る。ユッミルは三人の娘と九人の側室に二人の女性の狩り仲間を連れて森に向かう。狩り自体はフーニャがあまり動けずユッミルも放置できないのでレミーカとピュッチェを中心とした近接組が仕留めていく。ただ、やはり獣は少なく少し奥に向かったが二頭の確保に留まる。ターヒョはきっちり生き血の確保を行う。在庫はあまり豊富ではないらしい。弁当配達が意外と繁盛している様だ。森から出るとターヒョは生き血と少量の肉を持って店に向かう。レミーカとピュッチェは帰宅するらしく付き合ったのでいつもより北の道を使う。

 「おっと邪魔だなあ」

 「すまないね」

 少し狭い道だったのでユッミルはフーニャを抱き寄せる。

 「この女の数、ユッミルとかいう新参主宰じゃないですか」

 「ああ、全ての団に女を貢がせる色ボケ主宰だろ」

 「さあ行きますよ」

 ユッミルはスーリやオーネにナーレを先に行かせる。

「おい、逃げるのか?」

 「あそこにいると邪魔なのでね。子供にうるさい声は困る」

 「女共を守る恰好か?」

 「主宰としては揉めたくないのだが困りましたね」

 「で、何が目的なの?」

 「この声、何処かで。まあ良い。ユッミルさんよう、お前は一人で十数人の女を抱えてるだろう。けどよう俺らは一人身なのよ。お前さんの女の囲い込みは許せないのよ。譲ってもらえねーかね?」

 「別に一人減っても構わないだろ。俺らは五人だから五人だけどな」

 「一つ確認なのだがここに三人娘がいるが親は全員違ってここにいる。子持ちでも世話するのか?」

 「はあ?」

 「まあ子持ちでない方が良いのは確かだな」

 「まさか」

 「生憎だがここには子持ちではない子は二人しかいない。内輪揉めしないよう諦めた方が良い」

 「はあ、子供はお前が面倒見ればいいだろ」

 「まあ良いけどそれだと俺が了承しても母親が了承しないだろう」

 「良いから渡せ」

 「で、誰が良いの?」

 「ビビったか、話が分かるじゃねーか」

 「ただ、この場に娘がいる三人は除外させてくれ」

 「ユッミルさん?」

 「オーネさん、来て下さい。あっ、ナーレさんもお願いしますよ」

 シウはナーレに娘を渡す。

 「そこの小さいのはいらないし後は普通のと最後のは悪くは無いが好みじゃない」

 「揉めないように被ってもとりあえずそのままで」

 「俺はこの子で」

 男の内三人はシウを選び、一人はベーニュ、もう一人はスーリを選ぶ。

 「じゃあ森に移動しようか」

 「はあ?」

 「流石に強引に僕の強要で君らと付きあわせるのは無理だよ。それにそんな事をしても上手くいかない。各団から僕が怒られるだけ」

 「はあ?」

 「話だけは聞いてやるよ」

 「それはありがたい。移動しながら話そうか」

 「逃げる気だろう」

 「逃げても面倒だししないよ」

 ユッミル達は森に移動する。

 「さて、ルールは簡単、僕の所の側室は皆強い。やめておけという事を示す為に戦ってもらう。負けたら諦めてくれ。ただ、戦う前に愛の告白をする事は可能。それで相手が了承すれば僕は止めない。まずは手本だ。ソヨッハ、頑張り屋の君には傍に居て欲しい」

 「えっと、はい」

 「という訳で僕も参加するので基本的には一巡毎に参加者は減ります。そうしないと時間かかるしね」

 ユッミルはソヨッハを抱き込む。

 「任せましたよ」

 「はあ、仕方ないわね」

 「術師同士の戦いだからこの程度の距離は取るぞ」

 「どの程度、燃やして良いの?」

 「火の術師か。火?」

 「そう言えばユッミルの側室は実力者も多くて、それに火?まさか火の幹部級?」

 「よく気づいたわね。燃やされる覚悟は良いかしら?告白というけどあなた達は降伏宣言をした方が良いわよ」

 「男側が負けを認めれば終わりだぞ。シウさん、無用な怪我をさせてはダメですよ」

 「分かってるわ」

 「降伏したらどうなる?」

 「全員の結果が出た後に一人減らすからもう三人だな」

 「なっ。シウさんは無理だろうから実質二人、しかも実力者ばかりかもしれないのか。それでその余裕なのか」

 「というか私だけこいつらにも選ばれないしユッミルにも後回しにされるしちょうど良いわ」

 シウは三人同時に相手して装備をさっと焦げ付かせて諦めさせる。ベーニュも氷で身動きを止めて諦めさせる。敵は弱い月術師らしく少し当たったが特に問題は無い。

 「ちっ、ユッミルが強い側室を抱えてるって噂は本当だったのか」

 スーリも月術と剣術で何とか勝つ。

 「じゃあスーリ、これからも一緒に…」

 「ユッミルさんよう、今回の指名はシウさんでお願いできないか。そうすればこの一巡で最後にするからよう」

 「スーリ、見くびられてるけどどうする?」

 「戦います」

 「じゃあシウさん、また一緒に…」

 「今だけ断るわ」

 「それは構いませんが誰もあなたを指名しないと思いますよ?一応、言っておきますが同じ人の連続指名は無しですよ」

 「どうする?あの氷の子も強いぞ」

 「俺は氷の子に行く」

 「俺は背の低めの強気の女にするぞ」

 「ただ、構えは中々。嫌な予感がするぜ。俺は降りる。装備も燃えちまったしな」

 「俺は氷の子だな」

 一人は棄権。二人がベーニュで一人がユッホ、もう一人はスーリである。

 「まずは背の低めなユッホさん、お願いします」

 「ユッミル、後で娘の世話を押し付けるわ」

 「ユッホ?何処かで」

 「早くしなさい」

 「告白は無駄だろう。戦うぞ」

 男は瞬殺される。

 「ユッホさん、やはり僕には手加減してたのですね。口説いておいて良かったです」

 「ユッミル、冗談は良いから」

 「私も二人纏めてで構いません。ちゃんと負けて謙虚になりましょう」

 男達は不意に現れた氷で頭を打ち、こける。

 「氷術師はやはり対人戦では強い」

 「最後ですね。そこの四人は間違って強い女性を怒らせるとどうなるか理解できましたか?」

 「少なくともお前の側室には手を出さない。確かに俺らには見合わない」

 「だがリーダーは強い。少し実力不足の奴なら勝てる」

 「月術師相手に剣を交え…お互い月術師か」

 月術を撃ち合うがスーリの方が技量は上である。

 「姑息ね。スーリ…」

 「やはり術師か」

 「単なる剣士では魔族に勝てない。けど剣術も軽視はしないです」

 「だがそのやり方では上達しないぞ」

 「私の目的は魔族の対処です。ユッミルさんのそれに貢献できる勝てる戦いを目指します」

 「もう良い、降参だ。行くぞ」

 五人は撤収していく。

 「ユッミルにとってはナーレが一番で次はソヨッハなのね」

 「その理論で言えばフーニャさんが一番ですよ」

 「何を言ってるの?嘘付いてまでかばったでしょ」

 「もちろん、対人戦に向いてない子を優先しただけですから向いてるのに正直に保護したフーニャさんが最重要ですね」

 「全く嬉しくない。結局、抱いてくれる以外にそこまで興味は無い」

 「確かに選択肢は無かったし私を選ばなかった事に文句は無いわ」

 ユッミル達は帰宅する。風呂が少し大きい風呂が新調され、机も運び込まれている。マティッセとコトマは既に戻っており、メシャーナはコトマを世話している。ネメッカはトキホもネミークもレーティスも連れて来ている。フェノも残っている。ユッミルにはカッサとシャーユにサーナが寄って来る。シャーネとレヒーハはやはり寝ている。テーファ母子もいる。

 「かなり遅かったですね。あまり早い帰宅もあれだった訳ですけど」

 「風呂新しくしたのね。シウさんありきのシステムに見えるわね」

 「しかも子供向けの段差付き。特注品でしょ」

 「施設用らしいですね」

 「大人にとっては椅子になりますし」

 「そういう訳で食事をしつつ風呂に入りましょう。ユッミル、あなたが最初に入るのですよ」

 「それは構いませんけどある程度食べてからですよ」

 「テーブルをここに置くので入りながら食べられますよ」

 「まさかネメッカ様、一日中脱ぐ気じゃ」

 「こんなのが無くてもユッミルに言われれば脱ぎますので関係無いですね」

 「ですが床や壁は水が染みると腐るのです」

 「それでしたら風呂場を中心に漆を厚塗りして外壁は元々塗ってありましたし補強しましたよ」

 「ただ、子供が自分で入れなくもない高さになったので見張りが必要ですね。頭から突っ込むと危ないですよ」

 「もちろん、蓋もありますよ」

 「そうですか」

 「とにかく食べますよ」

 程なくして食事はできて皆で食べ始める。水がある程度溜まると四隅の三つの鈴が鳴る。高さの調節も可能である。溢れそうになると壁の高さの低い位置の場所に設置された鈴に水が打ち付ける等の溢れ対策があるらしくシウは鈴の音で蛇口を締めて熱を撃つ。小さいがはっきり聞こえる音と共にそこそこの量の湯気が一瞬吹き出す。

 「大丈夫ですかね?」

 「ああ、そう言えば水術師がいないのね」

 「ああ、それ位なら私がやるわ」

 シャーネがゆっくりやって来る。湯気がさっと全体に広がる。

 「大丈夫なの?」

 「ええ、ソヨッハさん、回復お願い」

 「回復します」

 「ありがとう」

 「後はユッミル、服を脱がせて新しい風呂に入ろう」

 「構いませんが食事を済ませて下さい」

 ユッミルは立ってネメッカに声を掛ける。

 「最初に一緒に入るのは公平の為にネメッカ様にお願いします。テーファさんも来てくれて良いですよ。テーファさんが入ったらわざわざユッミルと風呂に入りたい人は好きに来て下さい」

 ユッミルはトキホとネミークの服を脱がそうとするがネミークはもう自分で脱げるらしい。トキホの服を脱がす。ネメッカはレーティスの服を脱がすがネメッカは脱いでいない。

 「ユッミル、さっさと私の服を脱がさないと子供を待たせますよ」

 「分かりましたよ」

 ユッミルは手慣れた手つきでネメッカを脱がせつつ自分も脱いでいく。トキホを抱いてネミークを抱き上げて段差に乗せる。トキホは立たせても鼻まで浸かりそうなのですぐに抱き直して座る。

 「段差の所だと肩までどころか胸も浸かりませんね。ああ、ユッミルにとってはお手軽に見れていいという訳ですか」

 「ネメッカ様、見られたくないなら光で覆っても良いのですよ」

 「ユッミル、私と向き合って子供の世話をしても良いのですよ」

 「お邪魔しますね」

 ファッリーユはやはり頭突きをしてくる。テーファはリーシキを抱えながらユッミルの正面に立っている。

 「せっかく風呂を大きくしても当面は広くは使えませんね」

 「ですけど常に子供を入れる必要は無い訳ですし使えますよ」

 「子供を囲むには一人足りなそうね」

 シウがツグミを連れて入ってくる。

 「まあこれなら見逃さないとは思いますけど自分の子は見てて下さいね」

 「ユッミル、私の珍しい膨れ腹よ。でももうすぐこれが元に戻るわ。その美しく見える姿に遠慮は無用。さっさとしてしまいましょう」

 「シャーネさん、他の三人にも言った事ですが子供が多くなってきたので間隔を開けるつもりです。あなたはまだ一人目なのでいずれは次も構いませんが三人目は簡単には困ります」

 「うーん、そうね。私だけ若いからって二十人作ったら問題か」

 「シャーネ、何を言って」

 「はあまあ私は年寄りだし八人が限界ね」

 「私達は真ん中なので十数人位ですね。そういう限りがあるのに制限を掛ける夫には困ったものです」

 「ネメッカ様は何を言って」

 「リュッサ、子供達をお願い」

 リュッサは服を脱いで布を持って待機している。ユッミルは思わず横目で見てしまう。ユッミルは気を取り直してテーファに甘える。

 「そこで行くのはテーファなのですね」

 ただ、すぐに誰かが入る音がする。リュッサとユンルクにシャーユが入ってくる。ユンルクはリュッサの腰の高さなのに対してシャーユは文字通り頭一つ抜けている。

 「きれいなママが横で世話してくれるユンルクは羨ましいですね」

 「ユッミル、本当は大きな女性が好みなの?」

 「そういう意味では無いですよ。ママは子供を誘惑したりはしませんしね」

 「そうですね。私はユッミルが好きなので誘惑はやめられません」

 しばらくしてシャーネは風呂から出るがソヨッハとマティッセにベーニュも入ってくる。マティッセは子供が深い所に入らない様に見張ってくれるらしく早速水面に手を突っ込みながらゆっくり歩いていく。ソヨッハも段差の上下を行き来するシャーユを説得していく。見かねたメシャーナも入っていく。メシャーナは久々にシャーユを抱く。メシャーナですら立っても巨大な胸の下まで水面が迫っている。シャーユはつま先立ちなら鼻は水面から出せるらしい。

 風呂の外ではフェノだけでなくフーニャにスーリまで子供の世話に追われている。いつの間にかチェーハが帰っており、サーナとニーフェにカッサと遊んでいく。その後、ユッミルとテーファにネメッカが上がってフーニャやスーリ達と風呂と子供の世話を交代する。そうしてユッミル達が子供を寝かせようとしていると声が聞こえる。

 「ミル、来そう。ユッミル?」

 「シャーネ?」

 ユッミルは慌てて駆け寄る。ネメッカも子供を宥めると寄っていく。

 「子供ですね。どうしてそんな状況で風呂を」

 「別に平気よ。若いし」

 「あなたまで行くと若すぎます。舐めてはいけません」

 「ユッミルに二人目を躊躇させない様に倒れたりなんてしないわ」

 「だと良いですけど。ソヨッハさん」

 「はい、えっと心配しすぎですね。大丈夫ですよ」

 「ソヨッハ、そこは少し疲れてる事にしてくれないと反省しないし歯止めなくせっかくの可愛さを台無しにする忙しなさが発揮されてしまうだろう」

 「ユッミル、私は余裕だから聞こえてるわよ」

 「急がなくて良いですからね」

 しばらくして特に問題も無く女児が生まれる。

 「ユッミル、次は私にも抱かせて」

 「元気ですね」

 「ええ、ユッミルに心配される位なら太った方がましだしちゃんと食べたわよ。出たから大分へこんだわね」

 「早速、寝たいのだけど」

 「そこに寝床がありますよ?」

 ユッミルがシャーネを宥めて抱いて寝る事で服を着たまま寝させることに成功した。ただ、生まれたばかりの赤子が産声の後もシャーネとユッミルの枕元で泣き始めたのでユッミルは起きて宥める。最終的にツグミと並ぶと落ち着いて眠っていく。

 翌朝は前日の後片付けをしながら朝食を作る。ユッミルにはいつにも増して多数の子供が押し寄せる。会話も動く事もままならない。シャーユやユンルクだけでなくファッリーユまでもが遠慮して引っ込む。昼からはネメッカが指揮所でソヨッハとチェーハも出かけ、フェノは朝のうちに出かけており、昼からはマティッセやテーファの手伝いにもかかわらず子供の世話に追われる。特にレーティスがユッミルに巻き付く。カッサも大人しくしてはいるものの離れない。生まれたての赤子はヨータを筆頭にユッミルの膝を椅子代わりにしていく。

 「シャーネさん、子供の名前はナキャーロで良いですか?無理ならまた考えますけど」

 「構わないわ。忙しいのに悪いわね」

 「それより助けて下さい」

 「流石に無理ね」

ユッミルは疲れたのでさっさと子供を風呂に入れて寝るが周りには子供が群がっている。

 翌朝はレヒーハが近いらしく見舞うが子供が寄ってくるのですぐに撤収する。ネメッカは一計を案じて散歩する事にする。ネメッカはトキホを抱き、ユッミルがレーティスを抱き、テーファがリーシキを抱いてファッリーユとネミークにユンルクとシャーユと歩く事にした。帰宅して昼食を終えてもユッミルの人気は収まらない。外も寒く店も短縮営業な上にレヒーハの出産が近い以上出かける口実が無く子供の世話に追われる。翌日の昼前にレヒーハは女児を産む。

 

 

 

読了ありがとうございました。次回は五月上旬前後を予定しています。その次は6月後半以降となっています。

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