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至上の無名光術師の苦難  作者: 八指犬
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19章 成長

余計な情報を排除する為に殊更場面転換を明示する事は致しません。会話の間の表現を重視し、詰まりの無い会話はそれに応じて発言が連続します。発話者が分かりにくい事も多々ありますがご容赦下さい。その代わりに「」の鍵括弧を一纏めとして同一人物の発話が描写を挟まずに連続する事はほぼ排除しております。

また、多少前後している事もありますが描写は時間順となっております。


 1節 余韻

 

 宿に戻ると夕食は既に準備されている。夕食はコース料理の様だが細やかに量や具合を聞いてくる。ユッミルはやり過ぎだろうと思いつつも聞かれるので答えていく。最初に用意された前菜の追加も可能な程であった。完食すると手早く片付けていく。もう来ないですよと暗に仄めかす。戸も閉めていく。この宿は細やかな奉仕と夜の不干渉を徹底している。もっとも例の果物や飲み物を頼む事は可能で何回かは無料らしい。浴場も無料らしいがネメッカはユッミルが覗けてしまうので存在を伏せている。ネメッカは普通にユッミルと触れ合って眠っていく。

 朝食を終えると馬車に乗るが今日は誰も相席していない。それどころか単独である。ネメッカは冷気が漏れる箱を従業員から渡されて置いている。

 「ユッミル、せっかく隙間のある服なんですし手を入れたらどうです?」

 「どうせそこのを着るんですから不要でしょう」

 「ユッミルに関心を持たれないと私は不安なんですけど」

 「これ以上丸出しの欲望を暴かないで頂きたい」

 「まあ余裕もそこまでですよ」

 馬車は何の変哲もない砂漠で止まる。目的の方向を示す。少し歩くと広い池が見える。ユッミルは砂風呂の時と同じ服を持たされている。ネメッカは箱を運んでいく。池に着くと片側が少し高い岩陰になっている。その近くには低い机がある。ネメッカは箱をそこに置く。池の近くには植物編みのベッドが二つある。

 「さて、せっかくですから着替えましょうか」

 「そうですね」

 ユッミルは二股に分かれた下と袖付の上を着る。

 「さあ、遊びましょうか」

 「なっ。ネメッカ様、何も着て…早く着て下さい」

 「大丈夫ですよ。誰もいませんよ。ユッミルはユッミルなんですから自分で確認すればいい」

 「今はいませんけどね。分からないでしょう」

 「隠したいならユッミルが術を使って隠せばいい」

 「そうします」

 「でも遊びもして下さいね。けどユッミルが抱けば全て解決ですね」

 「狙いはそこですか」

 「それにしてもさっきは大胆でしたね。私のを躊躇も無く鷲掴みですか。僕の胸ですから他には見せたくないですよね」

 「ネメッカ様、暴くのはやめて下さい」

 「まあ私のですけど半分近くはあなたのですよ。子供産む気満々ですし。私は今日位は脱いで過ごしたいのでユッミルが隠して下さいね」

 「脱いで過ごしたいのですか?」

 「ええ、私の夫が脱ぐのを許してくれないのですよ」

 「私がいない時はたくさんありますよ」

 「そうですね。ですがまあこの方が良いのでこうします」

 「でしたら」

 「ですが私は動きますよ」

 「問題ありません。少し面倒ですが」

 「ずっと続けるのですか?まあユッミルが私の体にずっと目を奪われるのは悪い気はしませんが」

 「ネメッカ様、流石に遠くにいると負担なので近くで良いですか?」

 「もちろんですよ」

 「ユッミル、横は…一緒に水遊びでもどうです?」

 「まああの布を付けても濡れてもそれはそれであまり意味もなさそうですし」

 「ユッミル、それ」

 「ネメッカ様のせっかくの髪を濡らすのは惜しいですね」

 「ならこうします。最初からこうするつもりでした。今日位は好きにさせて下さい」

 ネメッカはただユッミルをしっかり抱きしめている。しばらくするとネメッカは布を付けると体を浸ける。

 「あっ」

 「ユッミル、どうしました?」

 「いえ、そのやはり透けますね」

 「そうですね。まあユッミルだけですし問題は無いですが。それにこれは遠くからなら特に問題無い」

 「ネメッカ様、光を纏ってくれませんか?その方が美しいと思うので見てみたいです」

 「ユッミル、私にそんなに魅力が無いとかまだ体を触った程度で機嫌を損ねるとか思っているなら別れましょう。せっかくの旅行なのに遠慮はもうこりごりです」

 「やはり主導権はネメッカ様ですね。逆らえません。ただ、慣れはありますから」

 「その、これで構いません」

 ユッミルはネメッカの体を撫でる様に触っていく。しばらくしてネメッカはユッミルに抱かれながら眠っていく。ユッミルはネメッカの肩を叩いて起こす。

 「昼ですか。あの箱の中に食事が冷えているので持ってきます」

 「そうなんですね」

 「けど起こすならもっと敏感な所を激しくしてくれても良かったのに」

 「ネメッカ様は無防備でしたので楽しませてもらいましたよ」

 「つまらない嘘ですね。まあ良いです」

 ネメッカは冷やしてある飲み物と軽食を持ってくる。

 「ネメッカ様、先程の透けた布が見たいですね」

 「ユッミル、そういう割には今、既にですよ。さっきより」

 「そのですね、ネメッカ様の弱みを握って服を着させないで働かせてるみたいでやらしいのですよ」

 「ああ、ずっと裸でお相手しますから見捨てないで下さいですか?」

 「本当にしないで下さい」

 「違う?みたいですね。今もそんな感じですし今更ですね」

 「ネメッカ様は脱ぐのをきちんと拒否できますよ」

 「塔の仕事中はユッミルが非難されますからね。ですが夜はユッミルが脱がないと別れるぞと言えば脱ぎ、胸で全身

を洗えと言えば洗います」

 「その、もうやめて下さい」

 「私を従わせたいらしいですがそれなら今も従順ですしおかしいですね」

 「そうですよね。ネメッカ様は従順です」

 ユッミルはネメッカを抱き寄せる。

「誤魔化すなら口も封じて下さい」

 しばらくしてネメッカはまた箱から何かを取り出す。飲み物と冷え切った白い液のかかった果物を持ってくる。

 「あの、ネメッカ様は本来服を着るのがお嫌いなのですか?」

 「ユッミル、何故いつも私を上にしようとするのですか」

 「いえいえ、ネメッカ様。きっと私が粗暴な口調を使うと嫌ですよ」

 「そんな事は無い筈です」

 「ネメッカ様、どういう口調が良いのですか?服を着ないネメッカ様をどう諌めれば良いのですか?」

 「ネメッカ、着ないなら触るよ。と言って実際に触ってこうされたくなかったら着てねと言って服を渡せばいい」

 「そしたら着るんですか?」

 「さて、それは約束できませんが着ると思いますよ」

 「話を戻しますがその姿の方が好きなのですか?」

 「そうですね。ユッミルとは直接触れ合いたいですね。寒季は難しいので久々にしたくなってしまいました」

 「つまり、触ったら着てくれなくなりそうですね」

 「もう観念して下さい。ユッミルも嫌では無いでしょう」

 「それはそうですがやりすぎると嫌になるかもしれませんよ?」

 「仕方ないですね。ユッミルの事を考えます」

 ネメッカは脱ぎ捨てた布を拾ってユッミルの横で履き始める。

 「何故わざわざ?」

 「ユッミルが興味を持つからですよ」

 「水に入ってきます」

 「じゃあ後で行きますね」

 ネメッカは水に入る。やはり体は中々に透けている。

 「ユッミル、目を逸らしてますが嘘でもついてるのですか?」

 「そうかもしれませんね」

 しばらく遊ぶとネメッカは水から出て座り込む。その後、寝そべる。

 「そろそろですね。ユッミル、来て下さい」

 「ああ、はい」

 「ユッミル、私の体の砂を払いなさい」

 「えっと」

 「まあ布は邪魔なら外しても構いません。好きにしなさい。ユッミルは遊ばれてると思っているらしいですから私の体で少々遊んでも構いませんよ」

 「ネメッカ様、こんな事はしなくて良いですよ。そもそも先程から馴れ馴れしく触らせて頂いてますし」

 「でしたら妻のお世話をお願いしますね」

 ユッミルは丁寧に払っていく。

 「ユッミルはつまらないですね」

 「さて、着替えますか」

 しばらくして迎えが来て宿に帰る。

 「名残惜しいですが明日で最後ですね」

 「はい、今後は二人きりの旅行は中々難しいでしょうしね」

 「そういう意味ではありません」

 「いえいえ、子供が大人になる頃にまでこんな風は無理でしょう」

 「ならユッミルはお気に入りの女性とどんな旅行がしたいと言うのですか?」

 「それは旅行前に聞かないといけないでしょう」

 「いえ、場合によってはまた行きます。ここである必要は無いですが」

 「今回の旅行で十分ですよ。そんな完璧な旅行は無理でしょう」

 「質問を変えます。どうしたら私と気兼ねなく遊んでくれるんですか?」

 「そういう事ですか。ですが気遣いをやめたらみっともないでしょう、繕わせて下さいよ」

 「それがいらないと言うのです。夫婦なのですよ」

 「ですがネメッカ様こそ遠慮するなと言う気遣いを見せてますよね?それこそいりませんよ。好きでやってますから」

 「我慢していない?」

 「ネメッカ様がそうやって来てくれたらその方が良いですしね」

 「騙されません。それにそういう事ならもう私も我慢しません。ユッミルの言う通りもう無い機会かもしれませんし」

 ユッミル達は部屋で夕食を食べる。ネメッカは軽く酒を飲んでユッミルにべったり甘える。ユッミルは自分も少し飲みつつもネメッカを上手くあしらって抱き込む。

 「ネメッカ様、どうです?」

 「おいしいですよ。ユッミルも楽しんでますか?」

 「そうですね」

 「食べさせて」

 「良いですよ」

 「この方がおいしい」

 「そうだ、ユッミルには私の抱き方、教える。ここを持って抱えて」

 「たまにはこれでも良いですよ」

 ユッミルはネメッカの肩を抱く。従業員は夕食を片付けていく。従業員が出ていくとユッミルはネメッカの服を脱がせていく。

 「ユッミル、やっとやる気になったのね」

 「とりあえずお風呂ですね。僕を抱いててくれれば良いですから」

 ユッミルはネメッカを支えながら風呂に入る。ユッミルはネメッカに服を着せようとする。

 「ユッミル、素直になって」

 ネメッカは服を振り払い、ユッミルを押し倒す。ただ、程なく寝てしまう。ユッミルはネメッカに服を着せ、自分は部屋を出て大浴場に向かう。能力的には可能なので何気なく女風呂を見る。数人の女性がいる。

 「シウさんやネメッカ様がいるしどうでも良いな」

 ユッミルは大人しく湯船に浸かって部屋に戻る。

 「ユッミル、私鬱陶しかったですよね?ごめんなさい」

 「大丈夫ですよ。ああいうネメッカ様も可愛いですし」

 「それで酔いは醒めたのですが気分の方は収まってないのでお願いできますか?」

 「もちろん、構いません」

 「ユッミル、少し鬱陶しいかもしれませんけど甘えさせて下さいね」

 翌朝、ネメッカは機嫌が良い。朝食を終えると砂風呂の時の更衣室に向かう。

 「最後に散歩ってこういう事ですか」

 しばらくしてネメッカは出てくる。

 「けどユッミルが隠せば更衣室は不要でしたね。ああ、好きに見てくれて良いですよ、服の中でも」

 「わざわざ見なくても見せてくれますししませんよ」

 「そうですね」

 ネメッカは砂風呂から少し離れた場所でユッミルの手を引いて自分は座り込む。しばらくするとネメッカは濡れて戻ってくる。ユッミルは慌ててネメッカの体を抱く。

 「どうしたんですか?」

 「その、今日もそういう気分なだけですよ」

 「まあこれは半分ユッミルのですしね。けどユッミルも濡れてしまいますしそろそろ帰りますか」

 馬車に揺られて二人は塔へ帰っていく。

 「ユッミル様、お帰りなさい」

 「ユッミル殿、久しぶりです」

 「フェノか、君も休んでいたのだったね。休めたか?」

 「ええ、私は早めに休み始めて数日前から復帰してますが」

 「イーサ、私達は部屋で一度休みます。話は後です」

 「ではユッミル様は主宰部屋で私が相手をします」

 「イーサ様?ユッミル殿は私の主ですよ」

 「ええ、フェノさんも構いません。ネメッカ様は休みたいらしいですから」

 「私達と言ったのが聞こえなかったのかしら?」

 「あの、トキホとネミークは?」

 「主導部屋の向かいのあの部屋ですが」

 「とりあえず会ってきます」

 「ユッミル、待って下さい」

 「フェノさん、私達も行きましょうか」

 ユッミルは階段を上がっていく。

 「ただいま、ネミーク。トキホも。ズードもだね」

 「三人だけですか?」

 「流石に当面はご勘弁下さい。あなたの子の名前は呼びましたよ。それにむしろ子供より母親の名前の方が怪しい」

 「酷いですね」

 「文句はイーサさんに言って下さい。碌に交流も無しにああいう事をさせたのですから。それとユーカさんの名前は覚えてますよ。リュッサさんとケーシャさんは良く呼びますし少しずつは覚えた人も増えていますよ。まあその代わり主導の名前を忘れそうですが」

 「ユッミル、私の名前は別に呼ばなくても対応は変わらないから気にしなくて良いわよ。まああなたは不便でしょうけど」

 「ネメッカ様、改めて名前を伺っても?」

 「そうね、私の名前はネメッカ様よ。よろしくね」

 「ネメッカサマ様、お名前を失念して…」

 「もう良いから」

 「そうですね」

 「それよりトキホ達は私達が世話をするわ。で、また二人生まれそうなのね」

 「はい」

 「本当にユッミル…ではなくイーサはユッミルに何をさせてるのかしら」

 「ユッミル様が望んだ場合に即対応できる体制を整えてるまでです」

 「イーサさん、僕に触られるのを嫌になってくれませんか?」

 「何故です?」

 「そうすればイーサさんは他の女に自分の嫌な事を押し付けているからそれが治るまで何もしないって言えます。嫌がって下さい」

 「ユッミル様、まあもうおそらく二人目がいるので特に意味は無いですがお相手は歓迎ですよ」

 「触って申し訳ないです。今日は遠慮します」

 ユッミルはネメッカとトキホ達と4人で昼寝をする。その後、ユッミル達は夕食に向かう。

 「あなたは」

 「久しぶりです。覚えてますか?」

 「いえ、そこまで久しぶりでは無いです。そう言えば家に居ました。姿を薄めてるので忘れがちですが」

 「はい、使用人としての仕事で唯一邪魔なのは私の実体だと思って隠しては見たものの、掃除等の家事、お子様の見守りは上手くいきましたがユッミル様と話す機会を失ってしまいました。姿を隠すのをやめようかとも思いましたが機会が掴めませんでした。そもそもユッミル様が夜に空いてる時を見計らうつもりでしたがほぼ空きが無いか他の方に今日はしない旨を伝える日ばかりでして」

 「そうですね。中々空きません」

 「それは構わないので今日、機会を設けました」

 「はあイーサ様、ネメッカ様の前ですよ。せっかく二人の旅行で色々してきたばかりなのです」

 「ユッミル、申し訳ないです。今回の旅行はそれと抱き合わせなので私は止められません」

 「ネメッカ様」

 「あの、ユッミルは断っても良いですよ?」

 「流石ですね、イーサ様。まあそちらの方は気が合うのであればいずれと考えていましたから構いませんよ」

 「後、もう一人ですね」

 「えっと、ユーカさん達では無いのですね?それに二人はまだですよね?」

 「はい、新しい方ですね」

 「はあ、トキホとネミークかシャーユとユンルクかを両脇に寝ようと思ったのですが」

 「ユッミル、駄目ですよ」

 「この方は良いのですがこれ以上お相手を増やすのは嫌なのですよ」

 「ユッミル様、私は希望者をしっかり見て決めています」

 「これ以上の増員は同意しかねます」

 「宿舎で会ってから決めるというのでも構いませんが」

 「駄目です。私は五人を遥かに超える女性と関係を持ってるんですよ?そんな男に見た上で断られるとか嫌でしょうからそんな理由でのお断りはできません。ましてそんな嘘は嫌ですね。きっちり人数が多いから無理と言いますが」

 「困りましたね。人数が多いのが問題なら誰かと交代…」

 「ん?流石にもう子供がいる人と交代は無理でしょう」

 「とにかくお願いできませんか?」

 「分かりましたよ。お気に召すとか召さないでは無く基本的にはお受けしますよ。後、あなたは宿舎ではなく主宰…そう言えば名前を聞いてませんよね?」

 「アミラです。今後もよろしくお願いします。主宰部屋でお待ちしています」

 「イーサさん、野放図な規模拡大はお控え願います。ネメッカ様もきっちり止めて下さい」

 「ユッミル、その権限はありません」

 「ユッミル様に逃げられたら困るので無茶は言いませんよ」

 「まあ良いです」

 ユッミルはイーサと共に宿舎に向かう。

 「どうですか?」

 「ですから余程でない限り、お受けしますから心配なさらず」

 「えっと、不十分でしょうか?」

 「そんな事は無いですよ。その様な姿で長く待って頂くのも良くありませんしね」

 しばらく触れ合うとユッミルは主宰部屋に向かう。

 「アミラさん、お待たせしました」

 「ええ、構いません。私は急いでませんよ」

 「そうですね」

 「ユッミル」

 「ネメッカ様?」

 「起きましたね。遅いですよ。そんなに遅くまでしてたんですか?」

 「いえ、色々話してからでしていつの間にか寝てましたね。起こしに来たのなら乗りかかるのはやめて下さい」

 「そうね、服を着た私に乗りかかられても嬉しくないわよね」

 「用事があるんですよね?服を着ますので待って下さい」

 二人は食堂に向かう。

 「パパ、どうぞ」

 「ネメッカ様?」

 「パパ、できればママって呼んで欲しいですね」

 「急にどうしました?」

 「教育ですよ、パパ」

 「そういう事ですか。まあ構いませんがネミークに直接話せばいいのでは?真下に居るのですから」

 「ユッミルは一緒に居る時間が短いですしそれに効きが悪い」

 「ですがユッミルと連呼されているのにユッミルと認識しない時点で駄目なのでは?」

 「それがですね…とりあえずネミークに話しかけて下さい」

 「ネミーク、元気?」

 「ユッミウ、元気」

 「あの、でしたらママが話しかけるとどうなるんですか?」

 「ええ。ネミーク、パパと会えて嬉しい?」

 「ネミーク、嬉しい。いらなあい」

 「ああ、満腹か」

 「とにかくユッミルの名は覚えてしまったけどパパまでは行っていないんです。しかも一時期はママだったのに自分の名前と私の名前を混同し始めて」

 「ママ、さっさと食べるので待っててくれますか?」

 ユッミルはさっさと食事を済ませる。

 「パパ、行きましょうか」

 「はい。でもパパは今日は戻りますけどね。トキホはどうしましょうか」

 「パパ、居て欲しいのですが」

 「ママ、パパは仕事なのですよ」

 「はあ夜には戻ってくれますか?」

 「仕事は夜もありますよ、ママ」

 「パパはいつもそう。もっとこっちに居ても良いのに」

 「ママ、そういう文句はそこにいる私に仕向けてくるママの部下に言って下さい」

 「パパ、あれは私の部下ですが権限は向こうの方が広いのです。パパが権限を奪うなら私も協力しますので言って下さい」

 「ママ、権限と言うのは必要な時だけ行使できる方が良いのですよ」

 「パパは無責任ですね」

 「というかネミークに直接お願いしてみるのも良さそうですね。ネミーク、パパって呼んで。パーパ」

 ユッミルはネミークの眼前で自分を指さしている。

 「パパ?」

 「パパだよ」

 「分かりまし、パパねー」

 「うん、ああ」

 ユッミルはトキホを主導部屋に送り届けて家に向かう。家にはリュッサとレヒーハにフーニャにメシャーナとその子供達とセテューカ、ミリットのみがいる。

 「人、少ないね」

 「はい、シウさんとベーニュさんはフェノさんと森ですね。他は塔や店等ですね」

 ユッミルはミリットを抱きかかえる。メシャーナ母子とリュッサ母子が寄ってくる。

 「レヒーハさん、名付けたいので抱かせてくれませんか?」

 「そうですね。お願いします」

 「ただ、そろそろ名付ける名が無くなってますから女性方に付けてもらいたいですけどね。ただ、一人目はこちらでします」

 ユッミルは赤子を抱く。

 「ユッミル殿は相変わらず私の事を雑に扱うのだね」

 「いえいえ、メシャーナやリュッサは寄ってきてくれました。フーニャさんが寄ってくれば拒む気はありませんよ」

 「だが場所が無い様だが」

 「そうでしたね」

 「やはりではないか」

 「悪気はありません」

 「仕方あるまい、私は後ろと言う屈辱的な場所であっても君の近くに居ようとする健気な姿勢を見せよう。少しは配慮を見せてくれると期待する」

 「繰り返しますがヌーグだけで良いですよ。ヌーグの場所はあります」

 「まあ良い。せっかく君の帰りを期待して森に行かなかったのに」

 「仕方ないですね。小さなフーニャさんを乗せる膝はありますよ」

 「珍しく素直…君は私に好きと言わせてそれを口実に好き放題する気だな」

 「それが嫌なら膝に座らない方が良いですよ」

 「私は逃げない」

 「分かりましたよ」

 ユッミルは子供達にちょっかいを出しつつ女性陣と話をしていく。夕方にまず狩りに行っていたシウやベーニュにフェノが帰ってくる。

 「ユッミル様、お帰りなさい」

 「フェノ、久しぶりだな」

 「はい」

 「ユッミル、旅行はどうだったの?ネメッカと仲良くしたわよね?」

 「ええ、あんなに長く二人で居たのは初めてでしたが良かったですよ」

 「羨ましいわね」

 「ありがとうございます」

 「えっと、この子の面倒を見てくれてありがとうね。店の方からもそろそろかしら?」

 「そうですね。フェノ、良いか?」

 しばらくして店からエコとターヒョにナーレにチェーハが帰ってくる。ターヒョは食材を持っている。

 「魚か。どうしたの?」

 「チェーハちゃんがユッミルが今日帰るって言うからね。そしたら大人数が集まると思って。この大きめの魚を使うには丁度いい」

 「チェーハ、見てたのか」

 「はい、半分はたまたまですけど。私は比較的自由に動いてますので」

 夕食の準備の途中でミーハも帰ってくる。サーナも連れている。

 「ムヒューエさんは?」

 「ああ、色々調べてる所。私はもう二人目がいるって確定ではないけどムヒューエさんから聞いてるよね?」

 「そういう事ですか」

 「私はまだなのよね。羨ましいわ」

 「シウさん、子供にそこまで興味無いでしょう」

 「ミリット、放っては無いけど?」

 「そういう意味では無く僕との子ができて嬉しいとか無いでしょ。ネメッカ様は喜んでくれてますが」

 「まあネメッカ程では無いけどいらないとは言ってないわ」

 「ですがミリットの世話も大変でしょう?」

 「それは無いわね。忙しいのは今後よ。けどそんな事を考えているといつまでも無理ね。少なくともそんな事はユッミルが気にする事では無いわ」

 「ええ、私もまあ男女一人ずつは生まれるまでは気にしません」

 ユッミルはサーナとユンルクを横に夕食を食べる。しばらくしてチェーハとフーニャ母子の間に割り込む。

 「チェーハ、向こうはどんな感じ?」

 「まあ少し暇ですね。依頼は少し少ないですね」

 「そうだろうな。少しウチが早目に解決したからな」

 「そうですね。ユッミルさんが動かないといけない案件は減りましたね」

 「フーニャさん、調子はどうですか?」

 「ずっと数人の赤子の世話をするか本を読んでるだけで退屈だな」

 「どうすれば退屈でなくなりますか?」

 「君が相手をしてくれたら多少は…」

 「まあ常に退屈ではないのは無理ですが狩りも含めて出かけるのはどうですか?」

 「何処にだ?」

 「まあそう答える人は出かけるのには向きませんね。家の中で退屈になり過ぎないですか」

 「ユッミルは退屈とは無縁よね?誰かと話して気が向けば抱く」

 「まあ当面はシャーユがいますからね」

 「ユッミウ?」

 「なっ、呼びかけに反応…」

 「そうよ。話せる日も近い」

 「シャーユ、何が好き?」

 「ユッミウ」

 「シャーユ、何してるの?」

 「ユッミウ」

 「シャーユ、ママの嫌いな人は?」

 「ユッ…ママ」

 「ママは自分が嫌いなんだ。変だね」

 「うん、ユッミウ」

 「メシャ、何を仕込んでるの?」

 「ユッミルの名前を教えただけ。それに教えなくても呼びかけてたし。ここの家の人は皆ユッミルとよく言うし」

 「けどまあメシャがママで僕がユッミルという事はパパは別にいるんだね」

 「ユッミルを目の前で襲って証明したらシャーユもパパと呼んでくれるかもね」

 「シャーユ、パパだよ」

 「パパ?」

 「パパ」

 「パパ、パパ好き」

 「シャーユ、好き」

 「うん」

 「メシャ、別にメシャを抱きたくない訳では無いけどシャーユに呼ばせるのにはいらないと思うよ」

 「で、今日は誰と風呂に入るの?」

 「フーニャとリュッサさんだね」

 「その、できれば寝たかったがまあいい」

 ユッミルはフーニャ母子とリュッサ母子と入浴する。

 「ユンルク、ママ好き?」

 「すーき?」

 「すき。ママ?」

 「ユッミルさん、まだ無理ですよ」

 「ヌーグ、僕は誰?」

 「ヒュッミー」

 「ママ、ヒュッミー好き?」

 「好き、そーだ」

 「ママの名前は?」

 「うん」

 「フーニャ改めうんさん、あなたの子は惜しいですがまだまだですね」

 「ユッミル、赤ちゃんごっこをしようではないか。ヌーグの為に赤子がどうあるべきかを示す。パパ、話しかけて良いよ」

 「ママの名前は?」

 「ううん」

 「では好きな食べ物は何かな?」

 「まあだ、ミルクしか飲めないよ、ユッミー、赤ちゃんの事分かってね」

 「パパの名前は?」

 「ユッミー。ユッミー、おんぶ」

 「風呂は危ないからだっこね」

 「ユッミー、赤子は痛くしなければ何処を触られても大して感じない。赤ちゃんを演じないといけない私は攻められても我慢する必要がある」

 「しませんよ」

 「ちょっと遊ぶ位構わないのだよ?一応、私の方がお姉さんなのだから甘えても良いのだぞ?」

 「今日は遠慮します」

 ユッミルは風呂から出るとセーテュカの隣に寝る。

 「遊んで良いですか?」

 「好きにすればいい」

 ユッミルはセテューカの服を脱がせて触れ合う。

 「もう終わり?」

 「今日はそうですね。こういう日もありますよ。ですから早く帰られる事をお勧めします」

 「考えておくわ」

 「それは良かった」

 ユッミルはミーハと少し話すといつも通り脱がせて縛ってサーナを回収してリュッサに預ける。その後、メシャーナを抱きながら横になると脱がせていき、自分も脱ぐ。

 「メシャ、どう?」

 「ユッミル、私だと足りないの?」

 「まだ子供の頃の認識が抜けない」

 「私ばっかりなのね。やっぱり私が行くしかないのね」

 「ちょっと」

 「どう?」

 「こっちか」

 「うん、下の方はユッミルに攻めてもらわないと困る」

 「けどまあメシャには子供のままで居て欲しいかも」

 「嫌よ」

 「分かってるよ」

 「チェーハ、良いかな?」

 チェーハはさっさと布団から服を出して頭の上に置くとユッミルを抱き込む。

 「ユッミルさん、私が最後ですよね?」

 「えっと、その」

 「気を変えてくれても良いんですよ」

 「もう少しいますけどやはり今日は」

 「分かりました」

 しばらくしてユッミルは布団を出る。

 「シウ様、お見苦しい姿ですがお願いできますか?」

 「分かったわ」

 シウは布団から出る。

 「えっと」

 「あなたが脱がすに決まってるでしょう」

 翌朝、ユッミルはシャーユとリュッサの間に逃げ込んで寝ている。

 「ユッミルさん、私も脱いだら相手をしてくれますか?」

 「いえ、今日は流石に店の様子を見に行かないと」

 ユッミルは慌てて服を着る。

 「あら?昨日の私は大人しくしていたのにどうして逃げたのかしら?」

 「シウさんが優しいのでついつい無遠慮な欲が出たので服を着ているリュッサさんの方に引き上げただけですよ」

 「どんな事をしようとしたの?」

 「言えません。シャーユ、朝食にしようか」

 「パパ、しょーか」

 「ご飯ね」

 「はーんね」

 ユッミルはシャーユを抱いて卓に着く。もう一方の隣にリュッサとシウが向かう。ユッミルは一瞬の迷いの後、リュッサの手を引く。

 「ユンルクは?」

 「もう少し寝かせます」

 「まああっちにたくさんの赤子を送れないですからね」

 

 

 

 2節 贈り物

 

 ユッミルはターヒョにエコにリュッサとナーレと店に向かう。まだ少し肌寒く客足は少し悪い。ユッミルは昼過ぎに抜けて塔に向かう。

 「おはよう」

 「おはようございます」

 入り口には側室の一人がいる。ユッミルの側室はもう十人近くになっており、一階に常駐する受付のうち、一人はもうユッミルの側室が夜以外は常駐している。夜は数少ない実戦派やフェノがいるが昼間は実質的な休憩枠として側室がいる。

 「用事は?」

 「自分で行くので」

 「それもそうですね」

 ユッミルは主宰部屋に向かう。ミヨーナとフェノがいる。

 「フェノ、来てくれ」

 「私は?」

 「力仕事だから可愛い女の子は必要ないよ」

 「分かりました。留守番は任せて下さい」

 ユッミルは歪曲視野等を駆使してイーサを探す。イーサは上階の執務室に居る様だ。

 「イーサさん、そろそろ届いてますか?」

 「ああ、ありますよ。応接室ですね。木の団には来訪があったのでもう渡しました。他も寒さが引き次第、行ってもらいます」

 「ええ、家の分もそこですよね?」

 「はい、団内の分はまだ配り終えていないので間違えないで下さい」

 「分かってますよ。フェノ、行くよ」

 ユッミルとフェノは大荷物を隠して運搬していく。家に帰ると店組はいない。

 「皆さん、ちょっと良いですか?」

 「全員?」

 「そうですね。まずはシウさん、髪を括っても良いかなと思いますので」

 ユッミルはシウに黄色のリボンを渡す。

 「ありがとう」

 「ああ、ネメッカ婆との旅行の土産ね」

 「メシャ、僕も5年後には爺になるけど?」

 「5年の差は大きいよ」

 「メシャにはこれ」

 ユッミルはメシャーナに五本の小型ナイフを手渡す。

 「私だけ使い捨て品?いや、良いのだったら逆に使えないよ」

 「それ、練習用だから」

 「そんなの、良く売ってましたね」

 「ああ、これは別で買ったから安かったし」

 「安いとか気にしない。がっかりさせようとしても無駄」

 「これ、安い割には綺麗ですね」

 「えっと、まあ雷装剣で研いだから。メシャ、人に投げたら絶対に駄目だよ?人がいる可能性がある死角が無い所でやってね」

 「もちろん、ありがとう」

 「シャーユにはフォークだね。少し早いけど」

 「長女を可愛がるなら分かるが長女は私だぞ?」

 「フーニャさん、このフォークは安くは無いですが一番高いお土産ではありません」

 「はあ。シャーユ君は長女だろう。しかし、メシャーナ君は長女では無い。わざわざ研いでまで投げナイフ。同じ土術師の私には何をくれるのかね?」

 「あなたの場合は迷う事は無いでしょう」

 ユッミルは土産の山から箱を取り出す。

 「何かね?」

 「開ければ良いですよ」

 「ああ、そういう事か。まあ仕方ない。私はそういう固定観念で見られるのは織り込まなければなるまい」

 「いらないなら返してくれても良いのですよ?」

 「いや、有用な贈り物だ。確かに多彩なのはありがたい」

 「で、ヌーグには?」

 「お手拭きですね。待って下さい、確か、ありました」

 ユッミルは中身を確認したついでにフーニャに渡す。

 「いや、ヌーグに渡してくれ」

 「すぐにあなたが何とかして下さいよ」

 「ヌーグ、どうぞ」

 「ぬー?」

 「奇跡は起きないか。うちの子はまだまだしゃべれないが冷遇しないでくれよ」

 「フーニャさん、あなたはよくしゃべりますよね?」

 「そうは思わないが?」

 「そうなんですよ。けど優遇されていません。私はしゃべれないから冷遇したりはしません」

 「はあ、まあ良い。ありがとう、ヌーグの代わりに礼を言っておく」

 「そう言えば子供にも土産があるのね」

 「ああ、シウさん、ミリット君にもありますよ。お手玉ですね」

 ユッミルはミリットに赤と青の二色のお手玉を渡す。

 「ありがたいけど汚しそうね」

 「大丈夫ですよ。続きの前に一度物を整理しますね。リュッサとベーニュは少し待ってて下さい。メシャ、少し手伝って」

 リュッサとメシャーナはお土産と言う名の家財としての食器を並べていく。新たに多数の串が投入される。

 「リュッサさんにはこれですね」

 「タオルですね」

 「はい、ユンルク君にはシャーユと同じでフォークですね。ベーニュにはこれですね」

 「ああ、そういう事ですか。今夜が楽しみですね」

 「えっと」

 「ああ、私のもそういう事。連夜だけど仕方ないわね」

 「ベーニュさん、髪ですよ、髪」

 「そういう事にしておきますね」

 「私は?」

 「ああ、ミーハ。居たのか。少し待ってね」

 「増えたね、人。お土産の量も多い」

 「これだね。これはサーナね」

 「これ、やはりユッミル。夜の遊びに飽きて」

 「それはサーナのですよ。あなたには」

 「こっちは…首飾りね」

 「はい、僅かですが魔力も通るそうですよ」

 「まあ使ってみるわ」

 「次はレヒー…」

 ナーレとチェーハにエコが帰ってくる

 「あれ?集まってどうしたの?」

 「旅行のお見上げを配ってたんですよ」

 「はい、エコさんも」

 「籠?」

 「はい、野菜を洗った後、これに入れれば水が切れます」

 「ああ、そういう事ね。珍しいね」

 ユッミルはナーレとレヒーハにもお土産を渡す。

 「ユッミル、シウ君やベーニュ君にナーレ以外には相応しい役割を頼むという事だね。私に至っては本でも読んで大人しくしておけと」

 「フーニャさん、そんな事を言う君とは今日は寝ません」

 「ずるい。図星だからと言って」

 「それにしてもフーニャさんは察しの悪い女ですね」

 「酷い悪口だがまあだからこれなのだろう。やはりな」

 「でしたらミーハさんへの贈り物はどうなるんですか?」

 「なっ。役に立つし女としても見ている側室序列一位」

 「ああ、フーニャさんが良いなら今度お土産を買ってくる機会があれば腕輪にでもしましょうか?」

 「まあ構わないが」

 「毎日付けます?」

 「恩着せがましくみみっちいな」

 「まあ付けないでしょうね。だからそれにしたんですよ?問題ありますか?」

 「分かったがシウ君にも指図したまえよ」

 「何をですか?」

 「色々あるだろ」

 「それが答えです。シウさんはよく分からないからそういうのでお茶を濁しました。フーニャさん、同居人としてはあなたの方が上で一番はメシャですよ。普通の女の人は良く分かりません」

 「そう言うのは私がいない所で言えばいいのにね」

 「シウさんはずるいです。隠すのが上手い。だからその代わりこれ位は我慢して下さい」

 「そうね。でも私に中身なんて無いわ。だから演出もできる。それだけよ」

 「そういう事にしておきます。それでこの流れで渡し辛いのだけどチェーハには水晶の首飾り。でもチェーハは優秀なだけの普通に可愛い女の子だしまだ出会ったばかりで見つけてないだけかもしれないし」

 「ユッミルさん、そこの人じゃないので私は勘ぐりませんよ。下手に賢い女より私の方が抱き甲斐があるって事です」

 「チェーハの事は馬鹿だとは思ってないよ。馬鹿ならあの術は使いこなせない」

 「分かってます。大好きなユッミルさんの前では少し馬鹿になっちゃう女の子です」

 チェーハは抱きつく。

 「ありがとう」

 「いえ、今回はこれをくれた私がありがとうですよ」

 「うん、でも今は待ってね」

 「ユッミル、まだ私が主導権を握ってると思いたいの?」

 「現にそうじゃないですか。まあシウさんが悪い訳では無いですけど」

 「ああ、リッネの考えが分かったわ。裸で手足を縛らないと襲ってくれないのね」

 「酷い悪口です。チェーハさんやレヒーハさんは形上脱いでもらってはいますけどそんな姿に関係無く委ねてくれます。それに全員に丸投げされても困りますしシウさんはシウさんで良いんです」

 「ねえ、私だけ酒を飲んで酔うから私を欲しいままにしてみない?」

 「遠慮します」

 「その機嫌を損ねたくないは嫌なのだけど」

 「損ねる前は何とでも言えます。シウさんは今のままで十分に魅力的ですよ」

 「あっ、でもそうね。結局、こうやってここで引き下がる私はやはりユッミルにがっしり心を掴まれてるわね」

 「だと良いですね」

 ユッミルはしばらくしてケーシャ母子が帰宅したのでお土産を渡す。一緒に戻ったターヒョにも大きめの匙を贈る。

 「ユッミル様、明日は光の塔に来て欲しいそうです」

 「ん?」

 「子供ですね」

 「またですか?困りますね」

 「十人は軽く超えてるわよね」

 「私はネメッカ様とテーファさんにシウさんにミーハとかオーネ以外の子を望んだ訳では無いのですが。まあ今やエコさんやリュッサさんは居てくれないと寂しいですけど」

 「ちょっと、ユッミルさん」

 「チェーハは少し早い」

 「まあ良いさ」

 「あっ、フーニャさんは忘れてましたね。あれはネメッカ様が悪いだけで別にあれは望まない結果という訳ではありませんよ。私が言ってるのはイーサさんが押し付けてくる光の女性の事です。まあリュッサさん以外に三人位ならともかく五人も六人もは多すぎる。後はターヒョとかムヒューエだね。」

 「そうね」

 「大体、ここまでの女性の数を上手く回すのは無理。お蔭でテーファさんには中々会えない。ネメッカ様にも気を遣わせる」

 「ユッミル、私の事は抱き枕で良いよ」

 「そうね、私も気軽に遊び相手にすればいい」

 「メシャ、遊び相手が居たら無理だぞ。シウもですよ」

 「ユッミルさん、私もですが気が向いたらで良いんですよ」

 「ただ、狩りはあんまり空くと鈍るわよ?」

 「ターヒョ、今日はミーハと風呂だぞ」

 「ええ、ああ話はその時って?大した話は無いのだけど」

 「まあでもそろそろターヒョにも順番を回さないと」

 「もしかしてユッミルを好きな演技をした方が良い?」

 「いらないよ」

 「ターヒョさん、やめた方が良いですよ。本気になった時に覆すのがしんどいです」

 「そうだな、それはやめた方が良い」

 「私も似た苦労をしてるわ」

 「リュッサさんは悪かったですが残り二人は自業自得でしょう」

 「とにかくそれはしないわ」

 ユッミルはターヒョとミーハと風呂に入る。

 「ユッミル、嫌いな相手と風呂には入らないし親しげにはするわね」

 「ええ」

 ユッミルはサーナを抱いている。

 「サーナ」

 「さーあ」

 「可愛いね」

 「かーいー」

 「ママ、分かる?」

 「まー」

 「分かるんだね。パパは?」

 「ぱー?」

 「ユッミル、良いの?サーナは」

 「まあ会えなくなるとは思ってないけど違う?」

 「ああ、水だものね。この子は水なのね」

 「それはそうだけどね」

 「ユッミウ、うー」

 「そっちは覚えたのか」わt

 「えーかー?」

 「まあまだだよね」

 「いや、少しは話せるよ。さーちゃん、来て」

 「まー、好き」

 「私はぱー、好き」

 「ぱー、さーよ」

 「ゆっみーぱー?こない?」

 「ん?」

 「ぱー、ゆっみー?」

 「ユッミルだよ。君のパパだよ」

 「ぱー?すき?ゆっみう、いる」

 「えっと」

 「あー、私達の真似ね」

 「まあ娘に口にされるのは良いけど驚きはしたね」

 「ねー?ねー、おかわー」

 「ユッミル」

 「仕方ないでしょう」

 「いく、はい」

 「サーナ、ありがとう」

 「すき」

 ユッミルはサーナの頭を撫でる。

 「ああ、思ったよりは話せるね」

 「そうよ」

 ユッミルはミーハを縛るとサーナを抱いてフーニャの横に行く。

 「ヌーグ、預かりますね」

 「構わないよ。君の子でもある」

 「で、良いんですよね?」

 「大歓迎だ。前回はあんな形だったが今回は普通に願いたい」

 ユッミルはサーナを寝かせながらフーニャを抱いていく。

 「フーニャさんは静かですね」

 「君は手慣れているね」

 「余計な事はもう考える気はありませんね」

 「つまらないのか?」

 「いえいえ、でも全く気にいっていない人とは遠慮したいですね」

 「少し喜ばしいな」

 「ですが一方的だと悲しいので多少は正直に願います」

 「多少なら」

 ユッミルはフーニャに言って布団を出ると地を這って周りを見回す。

 「エコさん、良いですか?」

 「私の番ですか?」

 「急ですよね?」

 「少し急ではありますけど構いませんよ」

 エコはユッミルを温めながら布団に招き入れる。

 「ありがとうございます」

 「じゃあユッミルさん、お話ししましょう。その間に脱がせて下さいね」

 「まあ良いですけど」

 「脱がし終えたらさっさと襲ってくれて良いですよ」

 「それで何の話ですか?」

 「うちの子の話ですね。少し話せるようになりましたよ」

 「それは良かったです」

 「ええ、エ、エッヒネ様も手伝ってくれますしシェヒユス君も遊んでくれます」

 「シェヒユス君はそろそろ1歳ですね」

 「はい、最初は数十日の差は大きいと思ってましたけど少しその差は気にならなくなって」

 「お待たせして申し訳ないです。最近は忙しかったので。それに店の方でかなり色々やってもらって」

 「ずるいですね。この状況でその話は」

 「ですけど言っておきたかったので。後、少し空きましたけどエコさんはこれでも早いと思ってるかなと思うので急かして申し訳ない」

 「ああ、それは構いませんよ。あなたに任せます。火の術師は冬が売り時ですが今年は真っ盛りにいなくなったのでもう無いかなと思って油断してただけです」

 「そうでしたか。この後はここで寝ますので抱いてくれてもそうでなくても良いので布団に残らせて下さい」

 翌朝、エコにしっかり抱かれていたのでエコを起こして解いてもらうと朝食後に塔に向かう。

 「ユッミル様、二人が近く生みまして一人はかなり近いですが今日の昼は無いので昼までに戻るなら出かけても構いません」

 ユッミルは事務所と店の様子を見るが変わった事は無い。店の客は少し戻っている様だ。ユッミルは昼前に光の塔に戻る。

 「午後からはテーファさんにお土産を渡したいのですが」

 「今日は家に…」

 「塔ですか」

 「家だと思いますが確認します。ユッミル様はお昼を」

 「ではそうします」

 食堂に向かうとネメッカがやってきてトキホを預ける。

 「三人目になると二人では手が足りませんね」

 「ユッミル、あなたの方は三人目では無いでしょう」

 「ネミークの独り立ちはまだですしね」

 「やっと一歳ですよ。気が早い」

 「あの、他の側室の方と三人目の予定は全く無いですしそうならない様に気を付けますのでしばらく控えませんか?」

 「テーファさんは二人目の疑いですよ。それにもうできていた場合、ユッミルは太ってしまったとか言ってやらなくなります。そうなると半年お預け、不安です」

 「えっと、ネメッカ様が太らなければ雨季にはやりますよ。少しだけペースを落としたいだけなので」

 「五日ですね。とりあえず今、生まれる予定の二人が生まれるまでは待ちます」

 ユッミルはテーファの家に向かう。

 「荷物多いね」

 「ああ、これはお土産です」

 「気を遣いすぎなくても大丈夫だよ」

 「中々、来れていなかったのでつい。まずはファーちゃんに服と前掛けですね。」

 「二つも?」

 「前掛けの方は子供が生まれてる可能性もあるし来るか来ないか分からない子の為に五個位余分に確保したあまりですね。本命は服ですね」

 「ありがとう」

 「もちろん、テーファさんにもあります。首飾りとコップですね。迷ったので両方にしました」

 「付けて良い?」

 「はい」

 「どうかな?」

 「良いと思いますよ。下級術数個が入るのですが」

 「もちろん、ユッミルのを入れてね」

 「では雷打を。三回分入れましたので好きに使って下さい。ファーちゃんと話していいですか?」

 「お土産を置いてくるので抱いておいて下さい」

 「んー?」

 「ファーちゃん、パパだよ」

 「ぱー?」

 「何がしたいの?」

 「んー?」

 「ユッミル君、おいでって言ってみて」

 「おいで?」

 「おーで」

 「そういう事ですか」

 ファッリーユは顔をユッミルの肩に埋める。

 「他には待っててですね」

 「えっ。もう歩けるんですか?」

 「いえ、黙って去ろうとすると止めようとしたり、泣いたりで大変なんですけど待ってと言うと少しの間なら大人しくしてくれます」

 「なるほど」

 ユッミルはファッリーユをベッドに置いてその場を去る。

 「ユッミルさん?」

 「まあ私は知らないおじさんなので大丈夫ですよ」

 「うー」

 「ほらっ。誘ってはいますね」

 「まあ誰もいないよりはいいという事でしょう。手伝いますよ」

 「あの、ファーと会話したがったのはユッミル君ですよ」

 「ゆっみー、おーで」

 「呼ばれてますよ」

 「仕方ない、ファー、何しよう?」

 ユッミルはとりあえずファッリーユを膝に乗せる。

 「うー」

 「良い子良い子」

 「いーこ」

 ユッミルはテーファの方を見ている。

 「ん?」

 「はーむ」

 「なっ。痛くは無い。可愛いお口。ってそこは綺麗じゃない」

 ユッミルは慌ててファッリーユを抱き上げると手近な布で口の中を拭く。

 「ゆっみー、ゆっみー。おーで、おーで」

 「ユッミル君、どうしたの?ファッリーユが随分ご機嫌だけど」

 「ファーちゃんは僕の娘ですよ。ごめんなさい」

 「ん?」

 ユッミルはファッリーユを強く抱いてミルクもあげると光の塔に戻る。

 「遅かったですね。まあ問題は無いですが」

 「でしたら子供達と戯れてます」

 ユッミルは階を上がっていく。食堂前に数組の母子がいる。

 「ユッミル様、食堂でミルクをあげたいのですがお付き合いを」

 「良いですよ」

 ユッミルが適当に腰掛けると両隣と正面に母親は座る。

 「ズードを抱いてますね」

 「ユッミル様、この子の名前知ってます?」

 「いえ、知りませんね。教えて下さい」

 「イーサさん、お願いします」

 「ユッミル様、それはあなたの仕事です」

 「あの、おそらくですが私はそもそも母親の方の名前も知りません。流石に母親の名前を知らずに名づけるのはどうかと思いますよ。あなたの責任は重いです」

 「主宰なのに団員の名前を知らないのですか?」

 「ユッミルはいきなり主宰になったので宿直当番や見張りをしてませんから名前は知らなくて良い」

 「ネメッカ様は知ってますよね?」

 「何人かは知りませんよ。けど最近は入った方は把握してます。名前だけなら全員知っていますが最近来てない人の顔は知りません。ユッミルの正面にいる目の少し細い方がエルネさんでユーカさんは知ってますよね?右隣の幼げな顔をしたのがデーリャさんです」

 「エルネさんの息子はゴータムにしましょう」

 「デーリャさんの息子は今度でお願いします。イーサさん、あと何人ですか?」

 「二人ですが二人増えますよ」

 「はあ頑張ります」

 ユッミルはズードと話していく。しばらくしてネメッカはネミークを連れて戻ってくる。

 「少し様子を見に行こっか、ズード」

 「ユッミル、それはどういう意味ですか?」

 「ネメッカ様、話しかける時は流石に二人同時は無理ですよ」

 「トキホより優先ですか?」

 「トキホはまだ話せないでしょ」

 「ネミークは結構話せますよね?」

 「順番ですよ、それだけです」

 「なら良いですけどまた後回しですか」

 「いつも通りですがイーサさんに言って下さい」

 「ごめんなさい。ついついね、気にしなくて良いわ」

 ユッミルはイーサと共に子供部屋に行く。出産直前の二人に声を掛けると主宰部屋に引き上げる。

 「フェノ、今日は帰って良いよ」

 「そうですか、そうします」

 しばらくすると夕食に向かう。トキホを預かってミルクを飲ませる。

 「ユッミル様、今日は早めに寝てくれませんか?事が起きれば起こしますので」

 「まあ良いですよ」

 ユッミルはトキホを主宰部屋に連れ帰って風呂に入れると一緒に寝る。ユッミルは翌日の早朝に目を覚ます。トキホを起こさない様に主宰部屋を出る。会議室が若干騒がしい気がしたので覗くと数人が女性を囲んでいる。

 「ユッミル様、丁度良かった。そろそろです」

 「イーサさんは?」

 「少し前に寝に行ったので起こすのは少し気が引けます」

 「時間が掛かりそうなのですか?」

 「はい」

 ユッミルは女性の横に陣取り、トキホを別の女性に預ける。しばらくすると女性陣が起きてきて息子にユッミルの手を握らせる。ユッミルは頭を撫でたり、赤子に合わせて鸚鵡返しをしていく。

 「長丁場ですね。寝てない人は寝た方が良いですよ」

 「そうします」

 二人の女性は息子を横に眠っていく。ユッミルはトキホを回収して背中に乗せ、女性の足元に陣取る。程なくして赤子の頭が見える。

 「そろそろですね」

 ユッミルはトキホを預けると赤子を抱き上げる。布でくるむとベッドに寝かせる。母親は元気であり、抱き直すので声を掛けて朝食に向かう。朝食を終えると帰宅する。

 「レヒーハさん、その子の名前を付けるので抱かせて下さい」

 「ユッミルさん、この子を抱くのに一々そんな丁寧な声を掛けられても困ります。お気軽に」

 「どうしましょうね」

 ユッミルは抱きながら悩む。

 「ユッミルさん、急がなくても良いですよ」

 「私、少し出かけるわね。また後でね、ユッミル」

 「ではカッサにしましょう」

 「カッサ?いい名前ですね」

 「ユッミル、ヌーグとも遊んでくれ」

 「フーニャさん、その子は結構本を読み聞かせてますしさぞ話せるんでしょうね」

 「普通だな、もし話せるなら君に吹聴するさ。ただ、話せば普通に反応はあるぞ」

 「ヌーグ、ママは?」

 「まーま?」

 「僕は誰かな?」

 「だーれ?うー、ユッミル?ユッミル」

 「ユッミルがパパだよ」

 「パパよー」

 「その程度?私の息子は遂に動き回る様になったわ。ミリット、あの男を捕まえなさい」

 「いくー」

 「悪いママじゃなくパパの所においで」

 「あら?ユッミルパパはママを悪者にしていやらしいお仕置きをするのね」

 「させてくれるんですか?」

 「そうね、構わないわよ。するの?」

 「また考えておきます」

 ユッミルはヌーグと遊んでいく。しばらくするとドアを叩く音がする。

 「ナーレかな」

 「ユッミル様、お久しぶりです」

 「ああ、久しぶり」

 「はい、結婚式以来ですね。もう聞いていると思いますが側室として同居します」

 「そうですね。よろしく」

 「ユッミル、その子は子供でしょ?」

 「君よりは大きいよ、メシャ」

 「本当に?背は低くないけど」

 「そっちか。うん、少し年下だと思う。でもチェーハより少し下位だと思うよ」

 「ユッミル、けど子供は子供でしょ」

 「メシャの最初の子の時よりは上だと思うよ」

 「その子は水?」

 「はい」

 「そういう事ね」

 「子供多いんですね」

 「うん、多分全員僕の子だよ」

 「ユッミル、それはどういう意味かしら?」

 「シャーユ、ユンルク、ネミークは魔力からして明らかに僕の素養を引き継いでますからね。ですが他の属性は分かりません。光属性でもヌーグは分かりません。ただ、フーニャさんとレヒーハさんはほぼ一緒に居ましたからね」

 「ユッミル、それは私にずっとくっついて来いという脅し?」

 「冗談ですよ」

 「けどそうね。そろそろユッミルのわがままに付き合うのはやめるわ」

 「シウさん?」

 「何か問題でも?」

 「その、今日はちょっと困ります」

 「知ってる」

 「困ります」

 「それも知ってる」

 「なら何故?」

 「若干だけどネメッカに感じが近い」

 「さて、どうでしょう?ネメッカ様には口説かれましたからね。テーファさんは良い感じですが意外とナーレさんが良いかもしれませんし分かりませんよ」

 「ここにいない子ばかりね。ここなら誰なの?」

 「シウさんとレヒーハさんじゃないですか?けどまあそれぞれ良い悪いはありますし」

 「私の悪い所は?」

 「飽き性ですね。毎日お願いしたら飽きて捨てられます。一緒に暮らすだけならフーニャとメシャで十分ですよ。二人共狩りの面でも優秀ですし」

 「そうやって私に永遠に服を着たままで居させる気だな。ちゃんと脱ぐ時は脱ぐからな」

 「とにかくシウさん、チェーハみたいな入ったばかりの子をすぐに気に入る事は無いです。まあそろそろばかりではなくなりそうですがどっちにしろネメッカ様の誠意には敵いませんよ」

 「それは良いけど飽き性ね。改善するわ」

 「しなくて良いです。何より改善してないのに改善したって強弁されても困ります」

 「どういう事よ」

 「変わってないと指摘したらシウさんは不快でしょう」

 「まあ良いわ」

 「シャーネ、そろそろ帰れなくなるけど今日は泊まるんだね?」

 「ええ、泊まりますよ」

 しばらくすると店からナーレ、ターヒョ、ケーシャ母子、リュッサが帰宅する。

 

 

 

 3節 不服

 

 「ユッミル、その子は?」

 「新しい側室ですね」

 「随分若いのね」

 「ですがあなたと違って成婚済みですよ」

 「まあ良いわ」

 「イーサにはばれない様にしないと。年齢層を下げかねない」

 「いえ、関係無く下げ始めると思います。無駄ですよ」

 「受け入れるのですか?」

 「どう断れと?」

 「子供は駄目でしょう」

 「完全な子供なら断りますが年下と言うだけでは無理でしょう」

 「そうですね」

 ターヒョやケーシャにレヒーハが夕食を用意していく。ユッミルはシャーネとシウを両隣に座る。

 「食事しにくいので少し控えてくれますか?」

 「では食後にしますね。ミリット、ミルクだよ」

 「うーん?」

 「悪いわね。反応の悪い息子で」

 「何も言ってませんよ、ですがまあこうなるとやはりシャーユと話したくなりますね」

 しばらくして風呂の用意ができる。

 「ナーレさん、リュッサさん、入りますよ」

 ユッミルはナーレの手を引いて風呂の近くまで来るとナーレの服を脱がせる。

「ありがとうございます」

自分も脱ぎ、ユンルクを脱がすと風呂に入る。ユッミルはユンルクを抱きながらナーレと触れ合う。風呂から上がるとレヒーハに声を掛ける。

「カッサは預かっておきますから風呂に入ってきて下さい」

 「今日は入れないんですね?」

 「いえ、後で入れます。今日は氷の姫さんに嫌な思いをしてもらいます」

 ユッミルはメシャーナ母子とレヒーハの入浴を見守る。

 「私と入るって事で良いのね?」

 「ええ、フーニャさんと一緒ですが」

 次はシャーネとケーシャ母子が入る。しばらくするとユッミルはフーニャ母子を抱き込んで風呂桶の近くまで運ぶ。

 「今日は少しこういう欲が高まってますので我慢して下さいね」

 「それはありがたいな」

 ユッミルはフーニャ母子を脱がせる。

 「ターヒョさん、遅いので脱がせますね」

 「ええ」

 ユッミルはターヒョをしっかり抱き込みながら風呂に入る。

 「積極的だけどこの後の相手はしてくれないのよね?」

 「今日はそうですがして欲しいのですか?今更嘘はいりませんよ?」

 「どうかしらね?好きにしてくれて良いわよ」

 「そうします」

 ユッミルは風呂から出る。

 「シャーネさん、来て下さい」

 「どうしたんですか?」

 「あなたは水術師でしょう」

 「やっぱり」

 「水の塔に帰す事もできますしここを出るとしても止めませんが」

 「脱がないと駄目ですか?」

 「ミーハさんもしてますからね」

 「私、初めてなんです」

 「は?いや、まあ…うん、シャーネ、でもまだ脱いでないけど十分大人だと思うから我慢できなくなってきたよ」

 「えっ、その。子供ですよ」

 「まあそれとは関係無しにするけどね。まずはおいで」

 ユッミルはシャーネを抱き込む。

 「あっ、その、これ位は良いです」

 「けどまあ無防備だなあ」

 「ひゃっ」

 「もう良い?引き延ばしても良い事ないよ?」

 「駄目ですか?」

 「嫌なの?」

 「分かりません」

 「うん、とりあえず脱がすね」

 「じぶ…」

 「そうやって恥ずかしそうにされると余計に興味が沸くね」

 「仕方ないじゃないですか。こんな感じになって初めて脱がされて」

 「寝るか遊ぶかどっちが良い?準備はできてるよ、多分」

 「ちょっと、ユッミル」

 「メシャは黙ってて」

 「分かってます。けどもう少し丁寧に」

 「じゃあ遊ぼうか」

 「メシャ君、どう思う?」

 「分からない、胸は私の方が大きいのに」

 「話術は私の方が上の筈だ」

 「そういう事じゃないわよ」

 「シャーネはやっぱり大人だったね」

 「ユッミルさんは慣れてますね。上手く乗せられました。もうさっさと縛って下さい」

 ユッミルはシャーネを縛る。

 「シャーネは優しいね。僕はまた遊んでも良いけど」

 「私はしばらくいいです」

 「けど一回だと確実ではないよ」

 「またしたいから言ってるのではないですよね?」

 「それもあるね。君は魅力的だからね」

 「最初からこうするつもりだったんですか?」

 「それは無い」

 「じゃあいつから?」

 「君が式に来たからだよ。最近はもう女性について深く考える余裕が無い」

 「なっ。何それ?私はそんな」

 「じゃあ君は深く愛したら返してくれるの?」

 「分かりません」

 「うん、それで良いよ」

 ユッミルは寝床に戻っていく。

 「ユッミルさん、一緒に寝ませんか?」

 「ん?脱いで、誰?レヒーハさん?」

 「はい、子供の後なら私でも楽しめるかと思って」

 「お願いします」

 「それにしても手厳しかったですね」

 「そんな事はありません。下手なだけですよ」

 「そうかしら?」

 「その話は良いでしょう」

 翌朝、眠ったままのトキホを連れたフェノやって来て午後からの指揮所を頼まれる。フェノはそのまま帰っていき、ユッミルはトキホを抱く。トキホは程なく目を覚ます。ユッミルはミルクを飲ませる。ターヒョとナーレとケーシャ母子とリュッサは店に向かう。しばらくしてシャーネが目を覚ます。

「ユッミル様、貧相な私の体ではなく他の方へどうぞ」

「貧相では無いので嫌ですね」

「起きたのでとりあえず解いて下さい」

「まだ遊び足りないのですが良いでしょう」

ユッミルは解く。

「さて、朝食」

シャーネはユッミルを押し倒す。

「気が済むまでして下さい。今、逃げても」

「はい、申し訳ない。そこまで嫌ならやめておきます。ですが私は女に不自由してないのでこれで済みますが他の男は危ないですよ」

「分かってますよ。ユッミル様が逆らえない状況を上手く作っただけです」

「作ったのはラーハ様ですからね」

「でも楽しそうでしたね。ユッミル様も危ない男と変わりません」

「昨日も言った通り、シャーネちゃんは可愛らしいので今回の件は不本意ではありません。ですからシャーネちゃんがもう嫌なのは残念ですね」

「分かりましたけど一緒に寝れないですし夜はそこまで機会はありませんよ。仕方ないとはいえラーハ様のやり方は甘いですね」

「まあ普通の水術師を捕まえた人なら縛ったまま遊ぶんでしょうね」

「まさかユッミル様?」

「やらないとは言ってません。そもそもシャーネ様が寝てるうちなら知らずに済みますし」

「うーん、よく分からなくなりますね」

「とにかくトキホの世話をするので起きて服を着て座ってて下さい」

早めの昼食後に指揮所に向かうと珍しく水の老幹部と土の青年であった。だが横には透明のチェーハがくっついている。

 「チェーハ、動くなよ?」

 「嫌です。逃がしません」

 「家に来れば逃げないと思うけど」

 「今日の夜の相手は?」

 「今日は特に決めてませんがそもそも塔に行く予定です」

 「なら今日はネメッカさんの眼前ですか。楽しみですね」

 「一度家に戻るのでチェーハさんは先に行ってて下さい」

 「嫌ですよ。まだユッミル様の後ろ盾が無いとあの塔は居づらい」

 「まあ良いですよ。私もイーサさんの手の及ばない人手は欲しいですし」

 ユッミルは任を終えると家に帰る。シャーユやミリットを抱いていく。

 「シャーネ、今日は僕がするけど朝はいないからレヒーハにしてもらってね」

 「ユッミル、これをしに帰ってきたの?私の体が気に入ったってのは本当なのね」

 「それも無いとは言いませんが一応ネメッカ様の元へ行く回数がそれなりに多いと言っておきたかったので」

 「側室だしそれは知ってるわよ」

 「ですが一応、では塔に行ってきます」

 ユッミルはチェーハを纏いながら塔に向かう。

 「チェーハ、僕は塔に行くから逃げたりしないよ」

 「そんな理由で抱き着いてはいません」

 「僕が歩きにくい演技をしている変な人とか新しい女をこそこそ連れ回してる様に見えるからやめてくれないか?」

 「仕方ないですね」

 「チェーハ、何をやってる。これも手がおかしいぞ」

 「これは遠目から見ればわかりません」

 「チェーハ、心配しなくても君の事は女性として見てるからこういう事をされると困る。いっそ淫乱認定で無を目指すべきか」

 「ん?ああ、分かりました。普通に歩きます。手は軽く繋ぎますけど」

 「やはり逃亡警戒なのか」

 「違いますよ、もう」

 塔に着くとチェーハは偽装を解き、くっついていく。

 「ユッミル、お帰り」

 「はい、まあ家とは言えませんが」

 「妻のいる建物は帰るべき家ですよ」

 「ではただいまですね」

 「じゃあ部屋で遊ぼうよ」

 「その前に食事ね。心配しなくても逃げないしそもそも逃げようと思えば逃げられる」

 ユッミル達は食堂に向かう。

 「ユッミル、今日はトキホと私とネミークの家族で過ごしましょう」

 「ユッミル、私と遊ぶ方が楽しいわよ」

 「分かりました、風呂は主導部屋で入りますからチェーハさんは待ってて下さい」

 「私は出し惜しまないから子持ち正妻に負担を掛けないようさっさと来てね。私とはゆっくり過ごして良いけど」

 「分かったから」

 「ユッミル」

 「明日の午後は塔に戻るから」

 「分かりました。私とは昼間から堂々としましょうね」

 「そうですね」

 ユッミルはトキホの世話をしながら夕食を食べる。ユッミルは夕食を終えるとトキホを抱いて主導部屋に向かう。

 「ネメッカ様、脱がしますよ」

 「ユッミル、失礼しますね」

 ネメッカはユッミルをしっかり抱き込む。

 「ネメッカ様、何をするんですか?」

 「さて、脱がせてくれるんですよね?」

 「ええ、そうですよ」

 ユッミルはネメッカの服を脱がせる。ネメッカはユッミルの服を脱がせていく。

 「ちょっとユッミル、邪魔しないで下さい」

 「何か誘惑された気がするので無理ですね」

 ユッミルはトキホの服を脱がせていく。ネメッカはネミークの服を脱がせて抱きかかえる。ユッミルは湯船に浸かると左手でトキホを抱いて右手でネメッカを抱く。

 「本当に世間はこの夫婦の力関係を誤解してますよね」

 「ん?そうですね。ネメッカ様が不必要に宣伝したせいで僕がネメッカ様を籠絡したという間違った現実が伝わってます」

 「ですがユッミル、今の手の位置はどうです?ユッミルは平気でそこに手を突っ込んでますけど私は腰の上です。でも私がユッミルを好きなので自然と許してしまいます」

 「ネメッカ様が興味が無いだけですよね?」

 「それ以前に今日はこの後は別の女とするという事なのでそういう方向に向かない様控えてます」

 「チェーハとも最近は相手できていなかったのですよ。別にチェーハを甘やかしてる訳では無いです」

 「別に怒ってはいませんよ。ただ、ユッミルはそうやって私の行動をコントロールしてますし完全にユッミルが上ですよね。ユッミルはネメッカ様とか言って逆を演出してて卑怯ですよ」

 「ネメッカ様も嫌なら拒めますし」

 「そうなんですね。でも私にその気が無いので意味が無いです。ユッミルは毎日求めたりしませんし」

 「ネメッカ様、何が言いたいのですか?」

 「ユッミルは観念して外でも私の体を好き放題触って亭主関白な現実を世間に知ってもらうべきです」

 「ネメッカ様、そもそもあなたの様な美しい方は私の指図を聞く必要は多くありません。そもそも今回の一件は側室が多すぎることに起因しますけどそれはあなたの側近のせいですよ」

 「あなたの側近も含めればやはりこの夫婦関係はネメッカ様に主導権があります」

 「そうですよね。私が好きになってしまったので実際には良い様にされてても外ではユッミルを操縦してるふりをする理不尽な演技をしないといけない」

 「理不尽?ネメッカ様、夫婦関係に上下があるなら改善します。こちらの何が上なのですか?」

 「いえ、ユッミル様、失礼しました。何もありません」

 「ネメッカ様、今は向こうに行きますが覚えてますからね。続きは明日にしましょう」

 ユッミルは主宰部屋に向かう。

 「チェーハ、じゃあしよっか」

 「いえいえ、待って下さい。どうしたんですか?」

 「ネメッカ様の機嫌を損ねてしまいました」

 「その、ユッミル様を落ち込ませてまではいらないです。戻っても良いですよ」

 「いえ、今回の事はきっかけに過ぎない。戻ったからといって事態は改善しません」

 「とりあえず。大丈夫です。こんな事になるとは思わなくて強引になってごめんなさい」

 「チェーハのせいでは無いです。けどありがとう」

 チェーハはユッミルを宥める様にユッミルが寝るまで抱いていた。

翌朝、ユッミルは起きるとネメッカと朝食を食べる。

 「昨日は申し訳無かったです」

 「何の話かしら?昨日は大してユッミルに悪い事はされてませんよ。風呂で楽しく触れ合っただけですしユッミルが私の体に釣られるのは私も普段から促してますし不満はありません」

 「ネメッカ様、私も軽率だったのかもしれません。ですが私の感覚ではイーサさんを通じて私の行動は統制されていると感じしています」

 「ですが外でのわがままは好きにすればいい」

 「その、一度店の様子を見てきます」

 「ユッミル」

 「やはり光の主導として名高いネメッカ様を体目当てで使ってるとは見られたくないです。術師として力量が高い事を利用してそんな事をしてるとは思われたくない。現実では無いですよね?」

 「そうだとして何が悪いんですか?」

 「とりあえず店に行ってきます」

 ユッミルは家に寄ってシャーネを外す。

 「ユッミルさん、服も着せてくれて良いんですよ?わざわざ、ユッミルさん?」

 「えっと、用事があるので行きますね」

 「どうしたんですか?私の体にも興味は無さそうですね」

 「いえ、とりあえず用事を済ませます。今日の夜は帰ってくるか分かりませんから誰かに頼むなりして下さい。ただ、僕が寝泊まりしない日は縛らなくても良い気もしますが」

 「分かりましたからいってらっしゃい」

 ユッミルは店に向かう。

 「ユッミル様、お久しぶりです」

 「そうでしたっけ?」

「旅行から帰ってから会うのは初めてですね」

 「それはそうですがそんなに経った気はしませんね」

 「で、旅行はどうでした?」

 「そう言われましてもネメッカ様とずっと一緒にいて楽しく過ごしましたよ」

 「それは良かったですね」

 「えっと、行きますね」

 「もう話は終わりですか?」

 「そうですね」

 ユッミルはノシャフスを抱きに行く。店自体はそこまで繁盛はしていない。とは言え最低限は来ているので問題は無いらしい。少し暇なのでナーレとも触れ合っている。ユッミルが早めの昼食を終えた昼頃になると確かに少し客足が出てくる。昼過ぎと夕方前の仕込みをある程度手伝うとユッミルは塔に帰る。

 「お帰りなさい」

 「はい」

 「明日なんですがお土産をそろそろ配りに行きたいかと」

 「そうですね」

 「ユッミル様は月の塔へ願います」

 「えっと、私だけですか?」

 「いえ、私も同行します。ネメッカ様はフェノさんと火の塔を担当します」

 「どうして別々で?」

 「多少は急ぎますから」

 「ならもっと早くにした方が良かったのでは?」

 「何日もユッミル様に予定を合わせて頂くのは申し訳ないからですね、正直に申しますと。後はもう一人の事があるので午前中にそれだけ済ませて他の団はその後ですね」

 「そういう事ですか」

 「ええ、そもそも月の団はあなただけの方が喜びそうですし」

 「そこまででは無いでしょう。ところで側近を逆にさせるのは?」

 「それはユッミル様が頻りに方々で私を自分には従わないでネメッカ様の威光を使って指図してくる見せかけの側近だと吹聴するので部下らしい事をしに来ました」

 「それが目的じゃないですか」

 「そもそも私はユッミル様の側室ですよ。私の差し金で側室が増える度に夜の相手をしろと言えば従いますし光の方針も相談いただければ基本的には従います」

 「ただ、側室を増やさないとは言わないんですね」

 「ただ、当面は増えないと思いますよ。店でユッミル様をお気に召す方でも現れなければ。後は土の団が留守番を選定中ですのでそれは私の差し金ではありません」

 「そうですね、あなたの差し金だったものですね」

 「増えすぎる秩序を修正した結果です」

 「まあ良いです。強く不満はありません。今や既に差し金だったものばかりですから」

 「ありがとうございます」

 「ですがイーサさんへの見解は変わりません。これからもイーサさんを妻の面従腹背の側近として扱います」

 「困ります。私の強がりは謝罪します。二人目はできたかもしれませんが関係無く一緒に寝させて頂きたいしユッミル様が寝たいならお相手したいです」

 「ありがとうございます。ですがイーサさんの行為はその程度で誤魔化せません」

 「光の女性陣の不満は大丈夫なんですか?私はリュッサさんで手一杯です。チェーハさんを手放す気はありませんし家を疎かにする気は無いです」

 「そうですね。ユッミル様、妊娠中の光の女性陣のお相手をお願いできますか?」

 「女性陣の要望があるなら構いません」

 「ありがとうございます」

 「ところでネメッカ様の機嫌はどうです?変わった事は?」

 「明日はネメッカ様には火の塔に出向いて頂きますが他の塔はあなたと一緒なのかを念押しされましたよ」

 「そうですか」

 ユッミルはイーサと食堂へ向かう。

 「ユッミル様もお食事ですか?」

 「そ、そうですね」

 「ああ、ネミークは」

 「そうでしたね」

 「えっと」

 「ユッミル様、今日は私が隣を」

 「ああ、カノール。ネミーク、元気?」

 「げーき?パパ、嫌い?」

 「き、誰を?」

 「だーお」

 「流石に通じないか。良い子、良い子」

 「ありがーと」

 「どーたーて」

 「ユッミル?」

 「どうしました、ネメッカ様?」

 「な、んでも無いです」

 「なーいない」

 「ママはいないね。何処行ったんだろ?」

 「ユッミル、いい加減に」

 「僕が悪いなら怒れば良い。ネーミーク」

 「ネミー、もっと欲しい」

 「ああ、ごめんね」

 「いいよー」

 「いえ、今回は怒るという話ではないので楽しみにしていて下さい。後、トキホはよろしくお願いします」

 ユッミルはトキホを膝に乗せる。相変わらずネミークにミルクを飲ませている。ネメッカは主導部屋に戻る。

 「見事に亀裂を避けましたね」

 「亀裂は避けましたが別の問題が降り注ぐだけでしょう」

 「まあ明日はよろしくお願いします。後、せっかく茶番とは言えネメッカ様と距離を置いてますし今日は私と寝て下さい」

 「連れ子の世話もしてくれるなら」

 「冗談でもその言い方はやめて下さい」

 翌朝、イーサに起こされる。

 「どうして服を着ていないんですか?」

 「昨日の夜の事を万が一にも無かったことにされたくないからです」

 「えっと、私何か酷い事でもしました?」

 「どうしてそうなるんですか?もちろん、私が人にばかりあなたの相手をさせて自分は好きでもないのに側室を気取っているという言い分をさせない為です。ですがこういう言い訳をすると嘘っぽいですね。女性に言い訳をさせるユッミル様は罪な男です」

 「そもそも個人的にはイーサさんが側室と言う地位を肯定するような方とは思えないのですよ」

 「その点については気にしていないだけで肯定はしていません。ですがユッミル様に男性としても含めて興味があるのは事実ですしミューレさんもでしょうが他がどうでも良いのです。話が通じるのに不思議な所もある。近くには居たいですよ」

 「うーん、少し分かった気もしますが。ただ、あなたの差し金に迷惑してますから警戒は解きません」

 ユッミルはまたもやネメッカと向かい合わせで朝食を取るとフェノも起きてくる。塔の近くでネメッカとフェノと別れる。しばらくするとナーレとチェーハが立っている。

 「どうして?」

 「もちろん、お迎えに来ました」

 「いや、チェーハに聞いているんだが」

 「側近ですよね。対外お披露目です。駄目ですか?」

 「ネメッカ様に許可は?取ってませんよね?」

 「イーサさんがいます」

 「私としては構いませんよ」

 「意外ですね」

 「実力的には申し分ないですし」

 「ネメッカ様に不満に思われたら困るのは私ですしね」

 「私も協力しますよ。私はむしろネメッカ様に我慢いただく事が多い」

 「夫婦の片方を利用してもう片方を動かしてますね。離婚したらあなたの責任だと思う事にしますね」

 「お好きにどうぞ」

 ユッミルは形式上ナーレを先頭に歩いていく。

 「ユッミル君、おはよう」

 「テーファさんですか。おはようございます」

 「何?私居ても嬉しくないの?」

 「いえ、そんな事は無いと思っていたのですがテーファさんでも駄目となるとやはり人間関係の拡大が限界に来ている気がします」

 「私最後の砦なの?嬉しい」

 「テーファさんはやはり優しいですね」

 「うん、ユッミル君には優しくしたくなるよ」

 テーファはユッミルの手を引く。

「やあ、ユッミル」

 「ええ、ご無沙汰ですね。リッネ様」

 「今日はどうしたのかな?」

 「はい、先日新婚旅行に行きましたのでお土産を持ってきただけですよ。応対ありがとうございます」

 「いえいえ、皆で頂かせてもらうよ」

 「後はリッネ様へこちらを」

 「研ぎ石か。ユッミルはもしかして私にどうせなら綺麗に切られたいとでも思っているのかな?」

 「そんな事は無いですよ」

 「ああ、私にもそんな気は無い。まあ使ってみるよ」

 「ユッミルさん、来てたんですね」

 「パパ、いた」

 「えっ」

 「ん?」

 「ウメックは元気?」

 「げーき、ウメックげむき」

 「良かったね」

 「うん」

 「若干話せてる気も…」

 「ええ、まあこの子とは色々話しますよ」

 「それは良かった」

 「私もユッミルと帰りますね」

 ユッミル達は塔を後にする。

 「その、私は事務所に寄ってから帰ります」

 「ああ、分かったよ」

 「私は店に戻ります」

 ナーレとチェーハは去っていく。

 「さて、本来は塔に戻る予定でしたがテーファさん、家良いですか?」

 「はい」

 「ネメッカ様は戻りますよね?」

 「ネメッカ様にはネメッカ様に取られた態度に動揺してテーファ様に泣きついたと私が言います」

 「分かりました。テーファさんとの機会を断る理由は無い」

 ユッミルはテーファの家を訪れる。

 「ユッミル君、どうぞ」

 「ありがとうございます」

 「で、どうしようか?とりあえずファーちゃんと世話係さんだけど」

 「今日は休みにさせます。塔に戻ってなさい」

 「はい」

 光の女性は帰って行く。

 「ファーちゃんは片方が世話をしましょう。視界はユッミル様が上手く隠して下さい」

 「寝かせましょうか?」

 「できるんですか?」

 「はい、一応テーファさんの方でも寝かしつけながらの方が良いですけど」

 ファッリーユは程なく寝る。

 「これ、私達にも使えますか?」

 「可能だとは思いますがどういう?」

 「私達を眠らせて好きにして下さい」

 「えっと、別にあなた達は私を信用してるのでやろうと思えばできますよ」

 「信用では無く特に嫌では無いですがユッミル様はこうやって言わないとしませんので」

 「その、起きて相手をしてくれる方がいいかなと」

 「まあテーファさんはそうでしょうけど私はどうです?私の体を好きにして下さい。もちろん、起きてる時でも良いですよ」

 「起きてる時なら今である必要は無いですよね」

 「もちろん、無礼を働いた親に売られた言いなりになるしかない娘設定でも良いですよ。好きに命令して立場を知ってもらいます」

 「そんな事をしてもあなたが上と思うのは変わらないかもしれないよ?」

 「それは構いません。ではテーファさんは脱いで寝ててくれますか?あなたの体も抱きたいです」

 「そっか、良いよ」

 「まあそれよりもこの人にやってる事を見られたくないのが大きいですけど」

 ユッミルはテーファの服を脱がせてファッリーユの隣に寝かせる。

 「さて、イーサさん。やりましょうか」

 「ええ、言いなりになります」

 「ではイーサさんは男の人としたくて仕方なくなる術を掛けられたでどうです?」

 「えっと、何ですか?私はユッミル様としたいですよ?」

 「その上で命令を聞くのですよ?」

 「ユッミル様がそれで良いなら」

 「では行きますね。仕方ないなあ。イーサちゃん、相手してやるから脱いでいいぞ」

 「そういう事ですか。はい、したいので脱ぎます。お待ち下さい」

 「はあ。胸がもっと大きい方が良いなあ。あの、光の主導のネメッカみたいなのは出せないのか」

 「申し訳ないです。ですがお願いします」

 「面倒だから黙って股を開いて待ってろよ」

 「もちろんです」

 「まずは手でだな」

 「きゃっ」

 「開いたままで居ろよ、もういい先に胸で大人しくさせる」

 「ユッミル様、いつまで?」

 「最後にはしてやるから待ってろ」

 「はい、ユッミル様のご意向には逆らいません」

 「そろそろだな、閉じるなよ」

 「もちろんです。ありがとうございます」

 「ご褒美だ」

 「その、嬉しいです。ありがとうござ、います、本当に感謝しています」

 「もう良いがもう少し楽しませてもらう。膝に来て下さい」

 「喜んで」

 「悔しいが少し気は晴れてしまった。ただ、本当に要求を増やすのはやめて欲しい」

 「努力します」

 ユッミルはその後、テーファと普通に触れ合うとイーサと塔に戻る。

 「随分、遅いですね」

 「ああ、浮気してましたから」

 「側室以外ですか。それは大変ですね」

 「いえ、側室です。テーファさんとイーサさんですね。ネメッカ様より仲良くなったかもしれません」

 「ユッミルは可愛いですね」

 「ネメッカ様、もう不満じゃないんですか?」

 「あっ。ユッミル、昨日の失言は私にご奉仕すれば許します。嫌でも今日は私と寝て下さい」

 「えっと、分かりました」

 「まずは夕食ですけどね」

 ユッミルは夕食を終えるとネメッカに二人きりで主導部屋に行く。

 「じゃあユッミルは服を脱いで寝ころんだら後は言う事を聞いて下さい」

 「ではそうします」

 「まずはユッミルが私を抱き寄せて口を重ねて下さい」

 「はい」

 「ああ、いい感じですね」

 「ここで脱ぐんですか」

 「だってユッミルがこうなってますし私が我慢する理由、ありませんよね」

 「ネメッカ様がそれで良いなら」

 「ここで胸を揉んで下さい」

 「ええ」

 「じゃあ感想を教えて下さい。褒めてくれると嬉しいです」

 「柔らかくて良いですね。って何か、恥ずかしいです」

 「駄目ですよ。言う事、聞いて下さい」

 「分かりました。好きにして下さい」

 ユッミルはこの後もネメッカを褒めさせられる。

 「ユッミル、顔が真っ赤ですよ」

 「ネメッカ様もさっきまでそうでしたよね?」

 「あら。見られてましたか?恥ずかしい」

 「隠す気なんて無いでしょう」

 「それはそうですよ。ユッミルが本当は大好きですし誰にそう思われても嬉しいだけです。ただ、ユッミルはそう思ってくれないのが不満ですけどね」

 「分かってはいますが世界は僕ら二人だけでは無いと言いますか」

 「いつまでそうするんですか?ユッミルは私を過大評価してますが胸が少し大きいだけで脱いでしまえばただの女です。けどユッミルが好きなのでユッミルを上手く口説いて騙してるだけです」

 「多少はそういう面もあるかもしれないですが」

 「けど好きなのは本当ですよ。好きな相手が魅力的に見えるのはお互い仕方ないですよね?」

 「分かりましたよ」

 「それでなんですがユッミルが決めて下さい。ユッミルが私に甘えるか、私がユッミルを抱くかどちらが良いですか?」

 ユッミルは考え込む。

 「僕が手を出すとネメッカ様をいいようにしてるですしネメッカが手を出すと嫉妬される。女性に嫌われるか男性に嫌われるかの二択ですね」

 「でしたら私が抱く方が良いのでは?私よりもテーファさんやシウさんを側室にした時点で男性の不興は避けられない。女性にまで嫌われるよりはもう男性への嫌われを諦めましょう」

 「まあ男性にはどうやっても嫌われそうですしね」

 「では決まりですね」

 「ところで子供の様子を見に行きたいのですが」

 「物足りなくは無いのですか?」

 「今日はネメッカ様にご奉仕の筈では?」

 「言わせるんですか?それとも乗らない?」

 「いえ」

 しばらくするとユッミルはネメッカをベッドに残してさっさと服を着ると子供のいる部屋に向かう。早速トキホを預かって妊婦の様子を見る。その後、塔や周辺を見回ってチェーハを捕まえて主宰部屋に連れ込む。

 「じゃあ罰を与えるので服脱いでね」

 「そんなのいつも通り、いや、ネメッカの子供に私がユッミルの性のはけ口で格下と見せつけるですね」

 「違いますよ。この子達が風呂に入るので世話をしてもらいます」

 「後でお相手は?」

 「無しですよ。そもそも今日はもう何も無くてチェーハさんに恥をかかせかねない」

 「えっ。夜は夜ですがまだ早い時間ですよ?」

 「今日は昼にも色々したから」

 「でなくても良いですよ」

 「やめておきます」

 「それは仕方ないです」

 ユッミルはチェーハとトキホとネミークを風呂に入れる。

 

 

 

 

 4節 変心

 

 夜遅くになると妊婦が産みそうになったとユッミルに知らせが来て起きる。トキホと着くとどうやらすんなりいっており、そこまで時間が掛からずに生まれてくる。恒例行事のように取り上げて産着を着せる。

 「ユッミルさん、寝てて良いですよ」

 「部屋に帰って寝たいのだが」

 「たまには私達の相手もして下さい」

 「寝るのでできませんが」

 「居てくれれば良いです」

 「はあ、寝ますよ」

 ユッミルはトキホと手を繋いで寝る。ユッミルが目を覚ますとトキホ以外にも赤子に囲まれている。

 「危ないですよ。寝相が悪かったらまずいですよ」

 ユッミルはトキホと二組の母子と朝食に向かう。

 「今日は午後から水と氷の団にお土産を持っていきます。午前中は出産のずれ込みを考慮していましたので。土の団は明日午前ですね」

 「分かりました。少し店に顔を出しますね。家にも行きます」

 「昼はこちらでお願いします」

 「分かりましたよ」

 ユッミルは家に向かう。いつも通りレヒーハとフーニャ、メシャーナ、シウの各母子にオーネ、セチューカとシャーネがいる。

 「ユッミル様、今日の案内役を私がやる様に言われているので光の塔にお連れ頂けますか?」

 「シャーネ、別に丁寧じゃなくて良いよ」

 「そうなの?分かったわ」

 「じゃあ戻ってくるから待っててね」

 ユッミルは店と事務所でミューレとレミーカの報告を受けてから家に戻る。

 「じゃあ行こうか。まあ君の事はネメッカにまだ言ってないから話を合わせてね」

 「素直に謝った方が良いよ」

 「シャーネ、君がもう少し大人になってもその体だったとしてその上でシウさんが今のままで一切老けなかったとして好きな人に君の顔はシウさんより少し可愛いけど体がお子様だから側室の中で一段格下だからシウさんが側室に新規加入するのが言い出せなくてごめんなさいって言われたらどう思う?」

 「ユッミル、何気に私に喧嘩売ってない?」

 「私も怒って…」

 「シウさんは大丈夫ですよ」

 「何がよ」

 「老けても可愛い子供を…そもそもシウさんこそ側室を永久に続ける訳では…」

 「一緒に住まないし夜の相手はできなくなるけど会う事は無くならないわ」

 「そうですね」

 「私を置いていかないで。とにかく話は合わせます。ですがどう繕うのですか?」

 「単に忙しくて忘れていたと」

 「光の塔に頻繁に行ってましたけど」

 「そうだね。できれば言い訳はしない方向で行きます。聞かれたら忘れてたと答えます」

 「ところでさっきの話ですけど私がネメッカ様より少し可愛いから言い出せなかったのですか?」

 「あの、シャーネちゃんはネメッカ様より可愛いですがネメッカ様の方がそれ以上に美しいのでそういう事では無くシャーネちゃんが若くて可愛いので将来有望な若い子に乗り換えようとしている事を疑われたくないのです」

 「ふーん、ありがとうございます」

 「シャーネちゃん、ユッミルはたくさんの側室の中の一人として君を適当に扱ってるだけかもしれないよ?」

 「ユッミル、時間だよ」

 「それはそうですね」

 ユッミルはシャーネを連れて塔に向かう。

 「あら?シャーネ様ですね。これを機会に正式に同居ですか?」

 「そうね。よろしくお願いします」

 「既にご存知かもしれませんが光の主導ネメッカ様の側近筆頭のイーサです。加えて最近はやっとユッミル様の側室とお認め頂きました」

 「ユッミルさん?」

 「シャーネちゃん、この人が僕に女の人を送り付ける人だよ」

 「送り付けるって」

 「分かりやすく言ってるだけだよ。それにあまり断っていない。断らないからとどんどん送る」

 「ユッミルさん、女好き?」

 「嫌いではないけどね。それでこの人につい無責任だと言ったら私もなるなら良いでしょうと言って自分も側室に割り込んできた人」

 「えっと、これからも送り込む為に側室になったの?」

 「多分ね」

 「ユッミル様、私との激しい交わりは演技とでも?」

 「あれは演技でしょう。演技でないと困ります」

 「何?」

 「とにかく信頼してくれてる事は分かっています。団の運営を一緒に頑張りましょう。ただ、無秩序な側室網は困ります。お願いします」

 「まあ良いでしょう」

 「分かったわ。全てを知る気は無いわ。じゃあ行きましょう」

 シャーネはユッミルの手を引く。

 「ユッミル、客人はなるべく応接室ですよ」

 「ええ、ですが特段の問題は無いでしょう」

 「ええ、構いませんよ。では紹介願えますか?」

 「はい、水の団所属の新しい側室のシャーネです」

 「ネメッカ様、よろしくお願いします」

 「はい、知ってるとは思いますが光の主導のネメッカです。ユッミルの妻をしております。まあ主導ではありますがユッミルに惚れてしまっているのでユッミルの言い分をかなり受け入れてしまうので実質的な主導はユッミルですけどね。私は傀儡です」

 「それを言い出せばイーサさんが実質的な主導でしょう」

 「ユッミル様、私もあなたが好きなので甘やかしますよ。それなのにあなたは要求しません。私は権限を押し付けられているだけです」

 「よく分からないけど仲良いのね」

 「まあそうだね」

 「それでシャーネさんともするんですか?子供だから先と言うなら同居は不要ですよね」

 「はい、水ですから早急にする事になると思います」

 「良いの?」

 「そのつもりですよ。ただ、今日はゆっくりしたいかな。もちろん、ちょっと恥ずかしいけど脱がせて触るのは仕方ないかな」

 「そうですか」

 「ユッミル、程々にしなさいよ。子供相手ですから」

 「ええ、それは大丈夫ですよ」

 ユッミル、ネメッカ、イーサ、フェノ、シャーネは水の塔に向かう。荷物はフェノが持っている。そして、ネメッカはユッミルにぴったりくっついている。しかも光から水なので集会所の近くを通る。

 「ネメッカ様、可愛らしい」

 「そうだな。だが大丈夫か?」

 「ユッミルに指図されてるって訳でも無さそうだし」

 「ユッミルに騙されてるのか」

 「けど奴は強いのは強いからそれでって事だろ」

 「まあ光は弱小だしな。強い術師は貴重」

 ユッミル一行は水の近くに至る。

 「やっぱりああいう風評になりますよ」

 「ですが私が誘惑したという正確な事実ですから仕方ありません。私は構いません」

 「まあネメッカ様がそれで良いなら良いですけど」

 水の塔に着く。

 「ベーニュ?」

 「ユッミル様、驚きすぎです。この後、氷の塔へは私が案内する形になりますので特別にここで待たせてもらう事になりました」

 フェノがラーハの側近にお土産を渡している。

 「ユッミルさん、ありがとうございます」

 「いえ、大したものでは無いですよ」

 「ですがネメッカ様が主導に就任してからこういう事は初めてなのですよ。ネメッカ様には使いを送り返されましたし」

 「私はユッミルみたいに強くないので主導への使いに格上を送り込むラーハ様が怖かっただけです。今もユッミル様の後ろ盾あればこそこの塔に来れています」

 「正直なのね。それよりユッミルさん、シャーネをよろしくお願いします。シャーネは基本的にはユッミルさんとの生活を望んでいる様ですので子供を水に預けてシャーネ自体はユッミルさんの家で良いでしょう。後はミーハ」

 サーナを抱いたミーハがいる。

 「ああ、ミーハか」

 「氷の塔に一緒に行ってそのまま帰るわ」

 「私もその予定よ」

 「シャーネは案内役だからここまでだよね?」

 「ユッミル様、色々言う事を聞くので置いていかないで下さい」

 「冗談ですよ」

 ユッミルは氷の塔に向かう。

 「ユッミル、待ってたわよ」

 「シェンハ様、出迎え位側近でも揃えて任せればどうです?」

 「ユッミル、様とか言ってるけど私を下に見てない?まあ夜営とかの私の依頼を正式に受けてくれるならそれでも構わないし依頼してる時点で下手に出てるから良いけどね」

 「いえ、何でもありません」

 「夜営を止めてるのは私ですから。代わりに言いますがあなたの要求はおかしいです。リッネ様も同席するならまだしも二人はおかしいです」

 「リッネと一緒なら良いの?ちょっと不服だけどそれでもできないよりは良いわね。ユッミルはもっと困ると思うけど」

 「エッヒネ様も必要でしょうね」

 「それは困るけど抱き込める気もするのよね?ねえ、ユッミル?」

 「まさか」

 「ユッミル?どういう?」

 「とにかくしません。というかターヒョさんですか」

 「ああ、ターヒョは実力では無く事務的に側近が必要な時の為に側近にしてあるわ」

 「じゃあ側室の任は解消で」

 「そんな訳無いでしょう。まあターヒョに酷い扱いをすれば別だけどね」

 「私に悪気が無くても解消しないと駄目ですよ」

 「分かってるわよ。現状、ターヒョからそういう希望は無いわ」

 「ターヒョさん、そろそろ良いでしょう」

 「不服な扱いがあれば個人的にあなたに言ってから主導に相談しますのでご安心下さい」

 「仕方ないですね」

 「そういう訳だからお土産はターヒョに渡しておいて」

 「それでは」

 「ユッミル、良い機会だしもう少し話しましょうよ」

 「ネメッカ様もですか?」

「そうね、まあ彼女が忙しいなら別だけど」

 「全く、どうしました?」

 「二人きりの夜営は駄目なのよね?」

 「ええ、基本的には認める気はありません」

 「じゃあ森の少し浅い所で夜営込みの合同訓練は?」

 「目的は?」

 「もちろん、夜の戦闘の訓練」

 「危険です。流石に承服しかねます」

 「当然、ユッミルか私も付くし、ユッミルの場合は幹部の氷術師、私の場合はユッミルの側近が加わる」

 「全く否定はできませんが急には無理ですね」

 「まず下見として私とユッミル、ターヒョにユッミルが推薦する側近の四人で夜営はどう?」

 「やはりそっちが本丸でしょう」

 「何が問題なのですか?ネメッカ様?」

 「その、危険です」

 「ユッミルは強いわよ。ユッミルとターヒョで浅い位置だけど何が危ないの?」

 「獣の心配ではありません。ユッミルに対する心配です。あなたがユッミルを引き込もうとするのが心配です」

 「私とユッミルが仲良くして何が悪いのかしら?」

 「ユッミルと女性が不必要に夜営するのは気分が良くないですね」

 「ユッミルが嫌がれば大丈夫な筈だけど?」

 「ユッミルが不愉快でしょう。ねえ?」

 「確かに困りますね。シェンハ様と関係を持ってしまうとリッネ様を焚き付けかねない。それで両者とも関係を持ってしまったら皆からどう見えます?」

 「まあ魔族の完全討滅を目指してると思われるんじゃないかしら?」

 「だとすれば時期尚早ですね。戦力不足です」

 「ふーん、ところでそもそも各団があなたに側室を送る理由でもあるけど私と子供を作るのが一番手早いとも言えないかしら?」

 「さて、どうでしょう」

 「なら尚の事、試してみない?私は構わないわよ」

 「子供をそんな風に産むのは良くないでしょう。あなたは忙しくて子育てできないでしょう」

 「なるほど、今度はその解決策を持ってくるわね」

 「いえいえ、それは問題の一つに過ぎない。そもそもリッネ様が女性だった場合、断る理由がなくなります」

 「ああ、そういう事。本命はリッネなのね」

 「それはどういう意味ですか?」

 「リッネとの関係をどうするかの延長線上にしか私の関係は無いって事ね。悲しいわね」

 「もうそれで良いです。さっさと諦めて下さい」

 「でもそれって関係無くないかしら?そもそも残念だけど私がネメッカから正室を奪えるとは全く思ってないわ。リッネより下なのは残念だけどそれは理由にならないわ」

 「そうですか。ですがリッネ様との関係は今は無理ですね。同時にあなたとの関係も無理です」

 「なら夜営では耐えれば良い。もし間違いが起きてもあなたとの子である事は伏せるわよ。もちろん、好きに会わせてあげるから心配しないでね」

 「一つ気になったのですが子供は欲しいのですか?」

 「分からないけどあなたのお蔭で興味は出て来たわね」

 「ならターヒョさんの子供は氷の塔で養育して下さい。それができれば少しは考えますしシェンハ様も判断材料が出来ます。子育てが大変なのに間違いが起こったら大変でしょう」

 「前にも言われた気がするけどユッミルがその気なら受け入れるわよ?」

 「あなた、私が受ける気が無いからって押してませんか?」

 「何それ?私はそこまで間抜けでは無いわ。あなたこそどうなの?」

 「理由はさっき言った通り、他の事はあまり考えていません」

 「つまり、私の女としての魅力はあまり考えていないのね?」

 「よく分かりませんがネメッカ様はもちろんの事、側室で上位とは思っていません。ただ、ここの側室は狩りの互助会の側面もあるのでその点では有力ですがそもそも主宰や主導間の協力は別に側室である必要は無いのでやはりシェンハ様を側室に取るのは必然性が無い」

 「ふーん、つまり、私との同居は子供以外に無いという事ね」

 「ええ、そもそも各団が側室を寄越すのは狩りの効率向上でしょう。私の子供を養育すれば戦力が上がります。少なくとも頭数は確保できます。ねえ、イーサさん?」

 「はいはい、そういう側面はあります。ユッミル様の子供は最低限の戦力として計算できます。半分の子供が団に残らなくてもです。光と光で他の素養は少ない。ただ、本人達の意向を無視する気はありません」

 「分かったわ。私が言いたいのは私は良いと言うのが変わらないって事」

 「ですがリッネ様との兼ね合いで基本的には無理ですね。あなたを受けたら断る口実が無くなります」

 「分かったわ。やっと腑に落ちた。じゃあとりあえずベーニュとターヒョは持ち帰ってね」

 「持つのは無理ですけど連れて帰ります」

 「ベーニュは抱えて帰れるでしょ」

 「しませんよ」

 ユッミルは氷の塔を後にする。

 「帰宅ですか?」

 「四人の側室がいるので集会所は通りません。基本は帰宅したいですね」

 「まあ良いでしょう」

 ユッミルと四人の側室とイーサはユッミルの家に帰る。

 「イーサさん、どういうつもりですか?」

 「疲れたので明日朝に帰ります。ユッミル様の家に泊まっても何も問題が無いどころか運が良ければ楽しく遊べますし」

 「まあ好きにして下さい」

 ユッミルは家に帰るとやはり赤子に順繰りにちょっかいを出す。しばらくするとナーレとエコが帰って来てレヒーハとエコにターヒョが夕食を用意し始める。ユッミルはレヒーハの娘の世話をする。メシャーナ母子とシウ母子が一緒に居る。

 夕食後、珍しくユッミルは一人で風呂に入る。

 「ご一緒して良いかしら?」

 「シャーネか、無理しなくて良いよ」

 「ん?とにかく入るわね」

 「で、どう入る…横ですか」

 「ユッミル様、失礼します」

 「あの、あなたは水術師を実質奴隷として買い上げた悪徳豪商です。用も無く私の体を触らないんですか?」

 「はい」

 「肩じゃないです。女の子な所です」

 「届きません。ゆったりできないです」

 「それで横が不満だったのですか」

 「シャーネ」

 「どうしました?」

 「あの、一昨日は脱ぐのすら嫌がってましたよね?」

 「ええ、あなたの演技にまんまと騙されました。私を可哀想な体売る女に仕立てて操縦する気でしたね」

 「えっと、嫌がったのはシャーネさんですけど?」

 「確かに最初は恥ずかしかったですけどそれを演出で膨らませて恥ずかしがる私を楽しむ気でしたね」

 「そんな事は無いですよ。シャーネは可愛いのでシャーネが少々嫌でも体は買いますよ?」

 「残念ですね。ほらっ。触られても恥ずかしくないですよ」

 「シャーネさん、品が悪いですよ」

 「やっぱり操縦しようとしてます。それにさっき買いたいと言いましたけど嘘なんですか?」

 「いえいえ、シャーネさんが他の男に買われたら嫌なので他の男にしないか心配しただけです」

 「他の男の前で服を脱ぐ状況は無いですけど?」

 「ん?シャーネさん、側室は一時的な関係ですからそんな女だと男は捕まりませんよ」

 「私を捨てるの?」

 「それは分かりませんが永久に狩れる訳では無いですし私は老けます」

 「けどもう子供作ったかもしれないし作るのよね?」

 「捨てはしません」

 「ならしばらくは良いよね?」

 「ええ」

 しばらくするとユッミルとシャーネは上がる。

 「まあ良いですけどそうやって甘える系だとメシャーナみたいに子ども扱いですから子供はできないかもしれませんね」

 「ふーん、じゃあ今日もやってみる?」

 「構いませんよ」

 ユッミルとシャーネは寝る。

 「よいしょっと。さあ、行きますよ」

 「お好きにどうぞ」

 シェーネはただただしっかり抱きつく。

 「ユッミル、好きよ。ゆっくりで良いからね」

 「っはあ。シャーネ、こんなの何処で覚えた?なっ」

 「私の勝ちね。ところでユッミル、覚えたとか言ってるけど他にもこういう簡単なやり方をしてくる子は居たの?」

 「いや、そう言えばいない」

 「私はそんな小手先は使えない。ユッミルの事はお気に入りだし気持ちに嘘は無い。嘘つく理由も無いけどユッミルは知ってるの?」

 「知らないから負けました。悔しいのでこれから少し強く縛って良いですか?」

 「良いけどそれで怪我したら優しく抱けないわね」

 「はいはい、しませんよ。可愛らしい女の子は得ですね」

 「ん?良いから縛って。仕返しするなら無抵抗な私の体で悪徳主宰らしく虐めれば良い。して欲しいなら恥ずかしい演技でもしようか?」

 「遠慮します」

 ユッミルはシャーネを縛る。

 「私の体、そんなに見られたら恥ずかしいわ」

 「この胸、形は良いけどまだまだ小さい筈。やられてしまった。」

 「そうそう、そうやって」

 「シャーネは将来有望だね。演技力にやられたよ」

 「いえ、気持ちに嘘は無いです」

 「うん、でもそれをきっちり伝える演技力だよ。可愛いね、シャーネ」

 「分かればいいんです」

 「ただ、子供をたくさん作るのはダメだからね?」

 「もうたくさんいますけど?」

 「一人に付き二人までは良いけどそれ以上は慎重にね」

 「私は若くて期間が長いので年上の人が二人なら私は四人とか五人で良いですよね?」

 「えっと、長く居たら三人目は大丈夫だよ」

 「まあユッミルさんとやっていれば五人どころか八人は行けそうですね」

 「いえ、耐えます。一人が崩れると何人もが崩れる危険があるので」

 「どういう事?」

 「側室は公平なので子供の人数も一部の例外の人を除いて合わせないと」

 「ああ、私が例外に昇格すればいいのね。分かったわ」

 「もうそれで良いです」

 ユッミルが寝床に戻るとメシャーナとシウとフーニャが自分の子を寝かせて裸で待っている。

 「はい?どうしました?」

 「このままだとユッミルに居ない事にされそうだからね」

 「シウさんは居ない事になりませんよ。メシャも長女の母親ですよ」

 「ユッミル、ここまで子供が増えると母親ってのはあまり意味が無いと思うの」

 「悪手であってもやむを得ない。忘れられるよりはいい」

 翌朝、シウが上に乗っていて両手にはそれぞれメシャーナとフーニャが乗っている。

 「メシャ、起きて」

 「ああ、ユッミル」

 「とりあえずどいてくれないか?」

 「もう良いの?」

 「良いから」

 ユッミルは先にフーニャから手を抜き、シウをどかせる。

 「メシャ、心配しすぎ」

 ユッミルはメシャを抱き寄せる。

 「心配は心配なの。後は昨日も言ったけど好き、これまで余り言ってなくてごめんなさい。もちろん、男としてね」

 「ありがとう、メシャ。けどまあ今はそろそろ服を着るよ。メシャもね」

 ユッミルはシャーネとミーハを解く。まだ寝ているので寝床に寝かせる。ユッミルがメシャーナやオーネにレヒーハとセチューカと朝食を食べているとシウが起きてくる。

 「ユッミル、ごめんなさい」

 「もう良いですよ。あなた達の地位は低くないのに何を…シウさん?」

 「ユッミル、側室の癖にあなたを散々惑わせて困らせた挙句に動揺してあんな強硬手段に出て恥ずかしい」

 「そんな事は無いですよ。シウさんは悪くないです」

 「ユッミルは駆け寄ってくれないんですね。こんな姿でも興味が無い」

 「逆ですよ。見れません。見られてたくも無いでしょう?」

 「見てくれないと困ります」

 「分かりました」

 「シウさん、もう十分恥ずかしい姿をお店頂いたので大丈夫ですよ。というか今はそうですけど私が慣れてしまいますよ」

 「ええ、慣れて欲しい」

 「そういう事ですか」

 「ですから昨日の夜の続きで気が済むまで攻めつくして下さい」

 しばらくするとシウはユッミルに抱えられている。

 「ごめんなさい。私が耐えられませんでした」

 「もう大丈夫ですから。やり過ぎですよ」

 「これ位しないと君は認識を変えないわ」

 ユッミルはターヒョにエコとナーレと店に向かう。ユッミルは手伝いながら店の様子を見ていく。珍しく閉店まで一通り見ていく。チェーハと合流してエコを置いてケーシャと帰宅する。久々にノシャフスも家に連れ帰る。家にはリュッサがユンルクと共にトキホも抱えている。どうやら連れて来たらしい。ユッミルは夕食を終えてチェーハとナーレとトキホと風呂に入るとトキホにユンルクやシャーユにミリットにヌーグとも遊ぶ。

 「シャーちゃん、楽しい?」

 「うん、パパ好き」

 「パパ、来て」

 「今度はユンルクか。どうした?」

 「来て」

 ユッミルはユンルクを抱き寄せる。

 「あーがと」

 「うん、いつでもいいよ」

 「僕も」

 「待ってね」

 「まつー」

 ユッミルはユンルクを下ろしてミリットを抱く。シャーユはメシャーナの方に戻る。ユンルクを抱きながらヌーグを撫でていく。ノシャフスとトキホは膝にずっともたれている。

 「ユッミル、私もまだ子供だと思うし優しく話しかけて」

 「君の体を全部見た訳だけどその体で赤子に対抗するのは無理だと思うよ」

 「何処が?背丈が少し大きいだけだよ」

 「胸が綺麗に出来てたね。シャーネが嫌になるほど揉みたいけど赤子と一緒に扱うのは無理。今は子供と遊びたいから待ってて縛るには少し早い」

 「まだ私を操縦する気ね。そんな事を言ってると脱いで抱き付くわよ」

 「正直にシャーネちゃんの体が魅力的だと言ってるだけだよ。絶対に赤子扱いは無理」

 「まあ良いわ」

 ユッミルはユンルク、ヌーグ、ミリットを並べて話しかけていく。


読了ありがとうございました。少々忙しいので次回は10月以降ですね。その次は年内には仕上がるとは思いますが細かい時期は未定です。

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